
コラム
マーケティング
顧客アンケートの作り方・活用方法。目標設定から回答率アップ施策、分析・改善策まで
2025/04/24

目次
- 4. アンケート設計のポイント
- 4-1. 目的設定:Why(なぜアンケートを行うのか)
- 4-2. 対象設定:Who(誰に聞くのか)
- 4-3. 収集したい情報:What(何を知りたいのか)
- 4-4. 調査方法・配布チャネル:How(どのように行うか)
はじめに:顧客アンケートがビジネス成長にもたらす価値
顧客アンケートは、企業や事業者が顧客の声を直接収集できる貴重な手段です。商品やサービスに関する満足度、購入のきっかけ、不満に感じる部分などは、いくら事業者自身がデータ分析やマーケティングリサーチを行っていても、顧客目線の本音を知ることは容易ではありません。そのギャップを埋める効果的な方法がアンケートです。
- 顧客満足度の向上:顧客が何を求めているのか、なぜ購入し、なぜ離脱するのかを把握しやすくなる
- ブランドロイヤルティの向上:顧客の声を聞き、改善に取り組む姿勢を示すことで「自分の意見を大切にしてくれる企業だ」という信頼感が高まる
- 新商品のヒント獲得:顧客の要望や不満点から、次のサービス開発やアップデートのインサイトを得られる
- 売上や利益の拡大:顧客のニーズに合った施策を打ちやすくなり、結果的に売上増・リピート率上昇につながる
ところが、いざアンケートを実施しようとしてみると、「回答が集まらない」「有効な意見が得られない」「設問の作り方がわからない」など、さまざまな悩みに直面する企業も少なくありません。本記事では、これらの課題を解決し、効果的な顧客アンケートを企画・運営し、ビジネス成果へと結びつけるためのノウハウを網羅的に解説します。
1. 顧客アンケートを実施する目的と期待される効果
1-1. 目的は何か?
最初に何よりも大切なのは、「なぜアンケートを実施するのか」という目的を明確にすることです。目的が定まっていないまま実施してしまうと、「とりあえず聞きたいことを羅列しただけ」の設問になりがちで、結果として役立つデータを得られない恐れがあります。
顧客アンケートを行う目的には、下記のような多様なパターンがあります。
- 顧客満足度(CS)調査:自社の商品やサービスに対する満足度や不満点を把握し、改善策を検討する
- 新商品・新サービスのアイデア収集:既存顧客に次の商品アイデアやサービス開発のヒントをもらう
- 離脱(解約)顧客の理由把握:契約解除やリピートが途絶えた顧客に対し、離脱理由や不満点を明らかにする
- 購入・利用動機の深堀り:どのようなきっかけや比較検討を経て購入(利用)に至ったのかを探る
- NPSによるロイヤルティ指標測定:顧客がサービスを周囲に推奨したいと思う度合いを調べ、ロイヤル顧客の量的・質的把握を行う
いずれの目的も重要ですが、すべてを同時に行おうとすると質問内容が膨大になり、回答率が落ちるリスクがあります。そのため、アンケートのテーマはできるだけ絞り込むほうが、有効な回答を多く得やすいです。
1-2. 得られる効果とビジネス上の意義
- 顧客体験向上:不満や困りごとを把握し、迅速なサービス改善につなげやすい
- 潜在ニーズの発掘:顧客自身も意識していない欲求や新たな利用シーンを見出せる
- 製品・サービスの継続利用促進:顧客の声に基づく改良でリピート率が向上する
- 顧客ロイヤルティの育成:アンケートで意見を求められると、顧客は「自分を大切にしてくれている」と感じやすい
ビジネスにおいては、「顧客満足度が売上・利益にも直結する」という考え方が広く認知されつつあります。アンケートを通じて顧客満足度を継続的にモニタリングすれば、競合他社との差別化要因の発見や、新サービスの発案にもつながります。
2. 顧客アンケートがもたらす代表的なメリット
- 自社視点からでは得られない「生の声」を入手できる:開発部門や経営層といった内側の視点ではなく、実際に使っている・使おうとしている人の体験や感想を知る貴重なチャンスです。
- データによる意思決定が可能になる:「何となくこうしたほうが良い気がする」という感覚でなく、定量データや定性コメントを根拠に意思決定できるため、社内合意形成がしやすくなります。
- 迅速な改善サイクルの実現:アンケート→分析→施策立案→改善→再度アンケート…という流れを回すことで、顧客満足度を継続的に底上げできます。
- 社内外のコミュニケーション活性化:顧客アンケート結果は、サポート部門・営業部門・マーケティング部門などの連携材料としても役立ち、チーム内の問題意識が共有されやすくなります。
3. 顧客アンケート実施の基本フロー
顧客アンケートの進め方を大まかに示すと、以下のようになります。
- 目的の明確化
- 対象・方法・設問内容の検討と設計
- アンケートの実施・配布
- データ回収・集計
- 分析・考察
- 改善策立案・実行
- 効果測定・再アンケート
特に最初の「目的の明確化」が重要で、それに基づいて「設問作成」「配布チャネル」「分析方法」が変わってきます。顧客アンケートを一度きりではなく、定期的に繰り返すことで、長期的な顧客満足度の推移も追いかけやすくなります。
4. アンケート設計のポイント
4-1. 目的設定:Why(なぜアンケートを行うのか)
顧客アンケートを企画する際は、まず「なぜこれを行うのか」「何を得たいのか」を明らかにしてください。目的例としては次のようなものが挙げられます。
- 新製品リリース後の顧客満足度を確認したい
- リニューアルしたECサイトの使い勝手を調べたい
- 離脱顧客が増えてきた理由を把握したい
- 競合他社と比較して自社が優位な点・劣る点を整理したい
これらの目的が固まれば、次の段階の対象・設問内容が具体化しやすくなります。逆に、目的があいまいだと質問項目もばらばらになり、得られる結果も中途半端になってしまうでしょう。
4-2. 対象設定:Who(誰に聞くのか)
「自社商品を利用している全顧客」に一斉に送付するだけがアンケートではありません。狙いによって、サンプルを絞るほうが有効な場合もあります。
- 新規顧客:初回購入者の満足度調査、導入体験の評価
- リピーター顧客:継続利用している理由や忠誠心の要因
- 離脱顧客:解約・購入停止の理由や乗り換え先、改善要望
- 特定サービス利用者:プレミアムプラン利用者の声 など
同じ「顧客」といっても属性は一様ではありません。どの顧客層からの声を優先的に拾うのかをはっきりさせると、調査結果の分析や施策立案が的確になります。
4-3. 収集したい情報:What(何を知りたいのか)
目的と対象が定まったら、次に「具体的にどのような情報を得たいか」を整理します。例としては下記が挙げられます。
- 満足度の具体的要因(価格/品質/サポート/使い勝手 など)
- 顧客属性(年齢/性別/住居地域/職業 など)
- 利用状況(利用頻度/利用シーン/契約プラン など)
- 購入理由・きっかけ(知った媒体/比較検討した他社 など)
- 改善要望・不満点
ただし、あれもこれも欲しいと詰め込みすぎると、回答者に負担がかかり離脱率が上がります。質問項目を絞る勇気も必要です。最大でも数分以内に回答できるボリュームを心がけましょう。
4-4. 調査方法・配布チャネル:How(どのように行うか)
顧客アンケートの実施方法は、多様です。代表的なチャネルを挙げます。
Webアンケートフォーム
- メールやSNSなどにURLを貼って誘導。自社サイト内に設置することも可能。
- 回答時間や場所を問わず顧客が回答しやすい
- 回収データの集計も自動化しやすい
紙のアンケート用紙
- 店舗やイベント会場などで手渡ししてその場で記入してもらう
- デジタルに慣れていない層にとって回答障壁が低い場合も
- 回収・データ入力の手間が大きい
タブレット端末設置
- 店舗や受付でタブレットを使って回答してもらう
- 回答をデジタルで記録できるが、設置費用や操作案内が必要
電話インタビュー(CATI調査など)
- コールセンター等が顧客に直接電話をかけて口頭で質問
- 質問の意味を説明しながら進められるが、人件費がかかる
SNS活用
- Twitterの投票機能やLINEのアンケート機能など
- 短時間で気軽に回答が得やすいが、拡散力が高いゆえに回答が偏るリスクも
ビジネスの形態や顧客層に合わせて、もっともスムーズに回答してもらえそうな方法を選択しましょう。また、最近はSMS配信を活用して回答率を高める手法も増えています。スマホの通知を見逃しにくいメリットがあり、短いURLをタップしてすぐに回答できるため、メールよりも高い回答率が得られるケースがあります。
5. アンケート設問の作り方
5-1. 質問形式の種類と特徴
アンケート設問にはさまざまな形式があります。一般的には以下の形式を組み合わせて使います。
単一選択式
- 「最もあてはまるものを1つ選んでください」のように、1つだけ選択する
- 回答者が答えやすく、集計しやすい
複数選択式
- 「あてはまるものをすべて選んでください」のように、複数選択を許す
- 回答者にとってはやや負担になる場合もあるので選択肢数に注意
リッカート尺度(段階評価)
- 「非常に満足〜非常に不満」のような5段階・7段階評価
- 顧客満足度を数値化しやすい
自由回答式(テキスト記述)
- 自由に意見や感想を書いてもらう
- 顧客の生の声を得られるが、集計が手間
NPS測定向け1問
- 「あなたはこの商品を友人や同僚に薦めたいと思いますか?」を0〜10点で評価
- ロイヤル顧客の割合を把握する指標として活用
形式を混在させることで、定量データと定性データの両面から顧客を理解するのが望ましいですが、あまりに多くの自由回答欄を用意すると回答者の負担が大きくなります。目的に応じて必要な形式を厳選しましょう。
5-2. 良い設問を作るためのコツ
- 質問は具体的・明確に:「サービスについてどう思いますか?」のように漠然と聞くと回答者が迷い、回答率や回答品質が低下します。
- 一つの質問に複数の要素を入れない:「スタッフ対応と商品の品質に満足していますか?」のように2つの要素を含む質問は、どちらに回答しているのか不明確になるため避けましょう。
- 選択肢は重複しないように:選択肢がかぶっていると回答者が選びにくく、分析も困難になります。
- 質問数は必要最小限に:回答者の離脱を防ぐために、一度のアンケートで詰め込みすぎないようにする。
- バイアスを避ける表現:「このサービスは多くの人が高く評価していますが、あなたはどう思いますか?」のように先入観を与えると回答が偏る恐れがあるので注意しましょう。
5-3. 代表的な質問例・テンプレート
以下は顧客満足度調査を想定した基本的な質問例です。必要に応じて適宜アレンジしてください。
属性・利用状況に関する質問
- Q1. お住まいの都道府県を教えてください。(選択式)
- Q2. 当社サービスをどのくらいの頻度で利用していますか?(毎日/週に数回/月に数回/不定期)
満足度に関する質問
- Q3. 当社サービス全体の満足度を5段階で評価してください。(非常に満足/やや満足/どちらとも言えない/やや不満/非常に不満)
- Q4. その理由を教えてください。(自由回答)
具体的な評価項目
- Q5. 価格・コストパフォーマンスをどの程度満足していますか?(5段階)
- Q6. サポート対応(電話・メール・チャットなど)は迅速でしたか?(5段階)
改善要望
- Q7. 今後サービスを改善するために、特に強化してほしい点があれば教えてください。(自由回答)
NPS測定
- Q8. あなたは当社サービスを友人や同僚にどの程度おすすめしたいと思いますか?(0〜10点)
上記のように選択式→自由回答→選択式という流れを意識すると、回答者の負担を軽減しつつ、有益な情報を収集できます。
6. 回答率を高めるための施策
6-1. 回答率向上のポイント総覧
- 回答者にアンケートの意義を伝える:「ご意見をもとに、より良い商品開発を目指します」など、回答がいかに重要かを示す
- 回答時間を明示する:「約3分で完了します」など、所要時間が短いことをアピールする
- 設問数の絞り込み:可能な限りシンプルな設問構成にする
- 回答しやすいフォーマット:選択式をメインにする、スマホ対応フォームにするなど
- インセンティブ(特典)の付与:抽選でクーポンが当たる、ノベルティがもらえるなど
6-2. アンケート誘導方法とタイミング
- 購入直後や利用直後に送る:顧客が商品やサービスを利用したばかりのタイミングは記憶が鮮明で回答率が上がりやすい
- チャットサポート終了後のアンケート:サポートが終わった直後に「今回のサポートはいかがでしたか?」と聞く
- イベント参加後にQRコードで誘導:イベントやセミナーの会場でQRコードを提示し、その場で回答してもらう
このような工夫を施すことで、顧客の回答率を高め、より有用なデータを得ることができます。
6-3. 質問数・質問内容の最適化
- 必要最小限の質問に留める:長すぎるアンケートは、途中離脱率の上昇や回答品質の低下を招く
- 自由回答を適度に:全部自由回答にすると回答者の負担が大きくなるため、核心を深く知りたい部分だけ自由回答にする
6-4. インセンティブ設計
- 抽選でギフト券やクーポン配布:金銭的インセンティブはわかりやすく、回答率を大きく高める可能性がある
- 次回購入時割引クーポン:顧客のリピート促進にもつながる
- ポイント付与:すでにポイントプログラムを導入している企業なら、アンケート回答でもポイントが貯まるようにする
インセンティブを用意する際は、あまりにも高価すぎる特典を設定すると「景品表示法」等の規制に抵触するリスクがあるため、金額や景品内容には注意しましょう。
7. アンケート結果の集計と分析
7-1. 基本的な集計手法(単純集計・クロス集計)
- 単純集計:設問ごとに回答数を集計し、どの選択肢が多かったか、平均値や比率を出す
- クロス集計:「性別×満足度」「利用プラン×NPSスコア」など、2つの変数を掛け合わせて傾向を分析する
7-2. 定量分析と定性分析のバランス
- 定量分析:選択式の回答から数値や比率を算出し、満足度の平均点やスコアを把握する
- 定性分析:自由回答のコメントを読んで内容を分類し、具体的な改善点や特徴的な意見を抽出する
どちらも重要ですが、定量分析は全体傾向を把握するのに適し、定性分析は具体的な顧客の声からインサイトを得るのに適しています。バランスよく組み合わせましょう。
7-3. NPS(ネット・プロモーター・スコア)を活用したロイヤルティ指標
NPSは「あなたはこの商品(サービス)を友人や同僚にどの程度おすすめしたいと思いますか?」という1問を軸に測定します。
- 推奨者(Promoters):9〜10点
- 中立者(Passives):7〜8点
- 批判者(Detractors):0〜6点
上記をもとに、NPS = 推奨者の割合(%) – 批判者の割合(%) で算出します。NPSは、企業やブランドに対するロイヤルティの高さを測る指標として世界的に活用されています。
7-4. 分析結果を具体的施策につなげる流れ
- 定量データの把握:満足度平均、最も多かった選択肢など
- セグメント間比較:年齢層やプラン別などで満足度の高低差を確認
- 自由回答の内容分類:よく出てくるキーワードを抽出し、ポジティブ意見・ネガティブ意見を整理
- 課題の優先順位付け:深刻度や改善インパクトの大きいものから着手
- 改善施策の計画策定と実行
- 施策の効果検証と再アンケート
「アンケートを取って終わり」ではなく、分析結果を基に改善を行い、再度アンケートを実施して効果を検証することが、顧客満足度を継続的に高めるための王道プロセスです。
8. アンケート結果の活用方法
8-1. 社内共有の仕方・報告書作成のポイント
- 目的・概要を最初に提示:アンケートの目的や対象などを簡潔に示す
- 主要な調査結果をダイジェストで:グラフや図を用いて、重要なポイントを視覚化する
- 自由回答から見えるキーワードや具体例:ネガティブな意見だけでなくポジティブな意見もバランスよく紹介
- 考察と提案:「今回のアンケートからわかった問題点」「それに対する改善策の方向性」を示す
8-2. 顧客体験(CX)向上施策への落とし込み
アンケート結果から導かれる改善策は、カスタマーサポート・商品開発・マーケティングなど、あらゆる部門と連携して進める必要があります。
- サポート体制の強化:回答が遅い、電話がつながりにくいなどの不満に対して対応策を立てる
- UX/UI改善:ウェブやアプリの操作性・デザインに対する不満があれば、UIの修正やFAQページの充実を図る
- 価格プランの再検討:多くの顧客が価格設定に不満を持っている場合、プランの見直しや割引キャンペーンなどを検討
8-3. 定期的なアンケートサイクルの導入
- トレンド把握:顧客満足度の推移から、改善施策の効果や新たな課題発生をいち早く検知
- 企業と顧客のコミュニケーション活性化:定期的なアンケートで「意見を聞いてくれる企業」というポジティブイメージが浸透
- 製品の継続アップデート:サイクルベースで顧客の声を反映し、競合他社に先駆けて改善を重ねられる
このように、アンケートは顧客との関係構築のための重要なツールとなります。
9. ケーススタディ:顧客アンケート活用の成功事例
9-1. 利用シーン別のアンケート事例
ケースA:ECサイトのUI/UX改善
- 背景:ECサイトで離脱率が高まっており、購入完了までのステップがユーザーにとってわかりにくい
- 取り組み:サイト訪問者に「購入までに迷った点は何か?」を短めのアンケートで尋ねる。あわせてメールによる購入後アンケートで「支払い方法・配送オプション・サイトナビゲーション」への不満度を調査。
- 結果:「配送方法の選択画面で混乱する」「カート画面から戻ると商品が消えてしまう」などの意見が多く、UI設計を改修。離脱率が大幅に改善。
ケースB:オフライン店舗での顧客満足度調査
- 背景:実店舗の来客が増えた一方で、リピーター化率が下がっている
- 取り組み:店舗出口にタブレット端末を設置し、退店時に数問だけの簡易アンケートを実施。
- 結果:「スタッフが少なくレジ待ちが長い」「サンプル商品の試食が足りない」などの意見が多く、スタッフ増員とサンプル追加を実施。後日、リピート率が回復。
9-2. 業界別アンケート事例
SaaS企業
- 施策:NPSを定期的に測定し、ロイヤル顧客が多いセグメントには成功事例インタビューを実施。一方で批判者セグメントの声をもとにサポートFAQ・チュートリアルを充実させた。
- 結果:解約率が減少し、ユーザーのエンゲージメントが向上。
飲食店チェーン
- 施策:新メニューアンケートをLINE公式アカウント経由で実施。クーポンをインセンティブにすることで回答率を向上。
- 結果:「味」「ボリューム」「価格」などへの厳しい評価をもとにメニューを改良し、売上増に貢献。
宿泊施設
- 施策:滞在後アンケートをQRコードで部屋に設置し、チェックアウト時に回答を促進。
- 結果:枕の硬さやWi-Fi接続トラブルに関する改善を迅速に実施し、口コミサイトでのレビュー評価が向上。
10. 顧客アンケートにおける注意点とよくある失敗
10-1. アンケート目的・設問設計の不備
- 目的が曖昧:何を得たいのか明確でなく、回答結果が活かせない
- 質問が多すぎる:回答離脱が増え、有用なデータが集まらない
- バイアス表現:誘導的な質問により、データが偏り、分析結果が誤解を生む
10-2. 回答率の低迷
- 質問が複雑・長すぎる:数十分かかるアンケートでは途中離脱が相次ぐ
- 回答メリットがわかりにくい:回答者が感じるメリットが薄く、未回答のままスルーされる
10-3. 結果の分析・活用不足
- 集計して終わり:データをまとめるだけで、具体的なアクションに結びつけない
- レポートが社内に共有されない:一部の担当者だけが見て終わるパターン
- 改善を迅速に行わない:課題が判明しても長期間手を打たない
10-4. 顧客への配慮欠如
- 個人情報保護の問題:収集する情報が過剰であったり、プライバシーポリシーが曖昧なまま実施しない
- 迷惑な頻度・方法での連絡:メールやSMSを何度も送って回答を迫ると、企業イメージを損なう可能性がある
11. まとめ:顧客アンケートの継続的運用で顧客満足度とビジネスを伸ばす
顧客アンケートは、顧客の生の声を直接取り込むことができる、非常に強力なマーケティング手法です。しかし、運用を誤ると「回答率が低い」「得たデータを活かせない」といった形で形骸化してしまいます。
本記事で解説したように、
- 明確な目的を設定する
- ターゲット・設問内容を絞り込み回答しやすい形にする
- 回答率を上げる工夫(インセンティブ、タイミング、チャネル選択など)をしっかり行う
- 得られたデータを分析して具体的施策に反映する
この一連の流れをスピーディかつ継続的に回すことで、顧客満足度の向上、リピーター増、そしてビジネスの成長につなげられます。特にNPSのような指標を導入し、ロイヤル顧客の声を深掘りすることで、さらに忠誠度の高い顧客を増やし、ブランド力を高める施策へと展開可能です。
付録:チェックリスト形式で振り返る「顧客アンケート成功の要点」
- アンケート目的は明確か?
- 想定する回答対象(セグメント)を絞れているか?
- 質問はシンプルで具体的か?
- 回答負荷は適切か?
- 回答率を高める工夫をしているか?
- 集計と分析の流れが決まっているか?
- 結果をどう活用するか決まっているか?
- 継続的に実施できる体制はあるか?
このようなポイントを押さえることで、顧客アンケートは貴社のビジネスにとって、かけがえのない顧客理解の羅針盤となるでしょう。