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マーケティング
カスタマージャーニーマップとは?基本・作り方を事例・テンプレート付きで解説
2025/02/13

カスタマージャーニーマップは、顧客が商品やサービスと出会ってから購入・利用に至るまでの体験を時系列で可視化するツールです。特に、デジタル化やSNSの普及により顧客接点が多様化する中、一貫した顧客体験の提供が企業の競争力を左右します。このマップを活用することで、顧客の行動や感情の変化を把握し、部門を越えた顧客理解の統一が可能になります。また、改善すべき課題や機会を特定し、より効果的なマーケティング施策の立案を実現できます。
本記事では、カスタマージャーニーマップの基本的な作り方から、具体的な事例、テンプレートを活用した効果的な運用方法まで詳しく解説します。マーケティングや事業成長に役立つ情報が満載なので、ぜひご覧ください。
目次
カスタマージャーニーマップとは

カスタマージャーニーマップは、顧客体験の可視化と改善に欠かせないツールです。顧客の行動や感情を体系的に理解し、より良い体験を提供するために役立ちます。
カスタマージャーニーマップの重要性
あらゆる消費のデジタル化やSNSの普及により、企業と顧客のタッチポイントは急速に多様化・複雑化しています。従来の「売り切り型」ビジネスからサブスクリプションモデルへの移行など、ビジネスモデルも大きく変化する中、顧客体験の設計と最適化は企業の競争力を左右する重要な要素となっています。
カスタマージャーニーマップを活用することで、顧客の行動変化や感情の推移を可視化し、各接点での体験を最適化できます。特に、社内の関係者間で顧客理解を統一し、一貫した戦略を立案・実行することができます。また、「認知」から「ロイヤル化」までの道筋を明確にすることで、顧客の潜在的な課題やビジネスチャンスの発見にも役立ちます。顧客のペインポイントや、感動体験を生む機会を特定し、的確な改善策を講じることができます。さらに、競合との差別化ポイントを見出し、独自の価値提供を実現する戦略立案にも活用できます。
このように、カスタマージャーニーマップは、顧客中心のビジネス展開において不可欠なツールとして、その重要性を増しています。データに基づく顧客理解を深め、より効果的なマーケティング施策の立案・実行を可能にすることで、持続的な事業成長を支援します。
カスタマージャーニーマップの基本レイアウトと雛形
カスタマージャーニーマップは、横軸に時系列のフェーズを、縦軸に行動、思考、感情、タッチポイントなどの要素を配置します。まずペルソナを定義し、認知から購入後までの体験を段階的に整理します。次に、各フェーズで顧客の行動と感情の変化、接点となるチャネル、そして企業側のアクションを明確化します。これにより、顧客体験の全体像を把握し、改善ポイントを特定できます。
以下に簡単な雛形を用意しましたので、ご参考に自社におけるカスタマージャーニーマップを作成してみましょう。

カスタマージャーニーマップを作成する目的
カスタマージャーニーマップは戦略的なマーケティング活動に不可欠なツールです。その作成目的と期待される効果について解説します。
顧客体験の可視化による課題発見
顧客が商品やサービスと出会ってから購入した後までのすべての接点における行動と感情の変化を時系列で整理することで、重要な課題を発見できます。例えば、どの段階で顧客が離脱しやすいのか、どのような要因が購買決定に影響を与えているのか、あるいはどのタイミングで感動体験を提供できるのかといった機会を特定することができます。
この可視化により、改善すべきポイントが明確になり、より効果的な施策の立案が可能になります。特に、デジタルとリアルが混在する現代の購買行動において、見落としがちな課題を洗い出すことができます。
部門を越えた顧客理解の統一
一つの商品やサービスを顧客に届けるには、様々な人が様々な役割と目的を持って関わります。マーケティング、営業、開発、カスタマーサポートなどの異なる部門が同じ顧客像を共有することで、一貫した商品やサービスの価値と顧客体験を提供することが可能になります。
各部門が独自の視点で顧客を理解するのではなく、統一された顧客像に基づいて同じ方向に向いて施策を検討することで、より効果的なアプローチが実現できます。また、カスタマージャーニーマップは部門間のコミュニケーションツールとしても機能し、協業を促進する効果があります。これにより、組織全体で顧客中心のビジネス展開が可能となり、より質の高い商品やサービスの提供につながります。
競合との差別化ポイントの発見
顧客の行動や感情を詳細に分析することで、競合他社との差別化ポイントを見出すことができます。特に、顧客が感じているペインポイントや潜在的なニーズを特定することで、新たな価値提供の機会を発見できます。購入前の情報収集段階での不安や迷い、購入後のサポートへの不満など、顧客が抱える具体的な課題を把握することができます。さらに、競合他社が見落としている顧客体験の改善ポイントを見つけることで、独自のポジショニングを確立することも可能です。こうした分析は、新規サービスの開発や既存サービスの改善において、重要な示唆を提供します。
投資判断とリソース配分の最適化
カスタマージャーニーマップを通じて、顧客体験の各段階における重要度と課題を明確化することで、より戦略的な投資判断が可能になります。例えば、顧客の離脱が多い接点や、満足度が特に低い領域を特定し、優先的にリソースを投入すべき箇所を判断できます。
また、各タッチポイントでの投資対効果(ROI)を測定・予測する基準としても活用できます。
顧客の行動データや感情の変化を定量的に把握することで、投資による改善効果を予測し、より効率的なリソース配分を実現できます。例えば、認知段階であればデジタル広告投資、検討段階ならコンテンツ制作、購入後のサポート体制強化など、段階ごとの最適な投資配分を決定することができます。
これにより、限られた予算やリソースを最大限効果的に活用し、顧客満足度の向上とビジネス成果の最大化を図ることが可能になります。
カスタマージャーニーマップ作成の基本の流れ

カスタマージャーニーマップを効果的に作成するための8つのステップを、具体的な手順とポイントとともに解説します。
目的の明確化
カスタマージャーニーマップ作成の第一歩は、明確な目的設定です。
例えば「顧客離反率の低下」「新規顧客の獲得効率向上」「クロスセル機会の発見」など、具体的なゴールを定めます。この目的に応じて、必要な情報や分析の深度が変わってきます。マーケティング部門だけでなく、営業、カスタマーサポート、開発など、関連する部門と目的を共有し、それぞれの視点からの期待効果も整理しましょう。また、プロジェクトの範囲や期間、必要なリソースも目的に応じて決めます。目的設定の段階で、経営層の理解と支援を得ることも重要です。カスタマージャーニーマップ作成の目的を組織内で共有することで、関係者の協力を得やすくなり、より実効性の高いマップを作成することができます。
ペルソナの設定
対象とする顧客層を具体的な人物像として定義します。年齢、性別、職業などの基本属性に加え、価値観、ライフスタイル、課題、ニーズなど、できるだけ詳細な特徴を設定します。実際の顧客データや調査結果を基に、リアリティのあるペルソナを作成することが重要です。特に、商品やサービスの利用動機や購買意思決定のプロセス、情報収集の方法など、行動面での特徴を明確にします。また、複数のペルソナを設定する場合は、それぞれの特徴や行動パターンの違いを明確にし、優先順位をつけるとより効果的な分析が可能になります。ペルソナ設定の際は、実在の顧客へのインタビューなども活用し、より実態に即した設定を心がけましょう。
顧客データの収集
アンケート、インタビュー、行動ログなど、様々なソースから顧客に関するデータを収集します。定量データと定性データの両方を組み合わせることで、より正確な顧客理解が可能になります。Webサイトのアクセスログ、購買履歴、問い合わせ内容、SNSでの発言など、あらゆる接点でのデータを収集し、分析します。特に、実際の顧客の声や行動データは、マップ作成の重要な基礎情報となります。
また、データ収集の際は、プライバシーへの配慮や、データの信頼性の確保にも注意を払いましょう。必要に応じて、外部調査会社のデータも活用し、業界全体のトレンドや競合との比較分析も検討しても良いかもしれません。
カスタマージャーニーの段階設定
まず、商品やサービスとの最初の接点から、購入後のフォローまで、顧客体験の全体を時系列で整理します。一般的な段階として「認知→興味→検討→購入→利用→推奨」などがありますが、自社のビジネスモデルに応じて適切な段階を設定しましょう。
各段階での顧客の目的や行動の特徴を明確にし、段階間の移行のトリガーとなる要因も特定します。特に重要なのは、各段階での滞在時間や、次の段階への移行率、離脱率などの指標を把握することです。また、各段階で顧客が直面する課題や不安、期待なども整理し、より詳細な体験の把握を試みます。業界特性や商品やサービスの特徴によって、独自の段階設定が必要な場合もありますので、ご注意です。
タッチポイントの洗い出し
上で設定したカスタマージャーニーの各段階における顧客との接点を網羅的に洗い出します。Webサイト、SNS、実店舗、カスタマーサポート、メールマガジンなど、あらゆるチャネルを考慮します。オンラインとオフライン、直接的な接点と間接的な接点を区別し、それぞれの特徴や役割も整理します。また、各タッチポイントでの顧客体験の質や重要度を評価し、特に重要な接点を特定します。タッチポイントごとの利用頻度や満足度、問題発生率なども把握し、改善の優先順位を付けて行います。さらに、競合他社との比較分析を行い、自社の強みや弱みを明確にすることで、より効果的な改善策の立案が可能になります。
顧客の感情と行動の分析
各タッチポイントにおける顧客の感情の変化や具体的な行動を分析します。特に、ポジティブな体験とネガティブな体験を明確に区別し、その要因を特定することが重要です。感情の変化を時系列で追跡し、どのような要因が満足度や不満に影響しているかを分析します。また、期待と実際の体験のギャップや、離脱につながりやすい場面なども注目すべきポイントです。顧客の行動パターンや意思決定のプロセスを詳細に分析し、より効果的なアプローチ方法を検討しましょう。感情分析では、アンケートやインタビューだけでなく、SNSなどでの発言分析なども活用し、より多角的な理解を目指します。
課題と機会の特定
分析結果を基に、改善すべき課題と活用できる機会を整理します。顧客満足度に大きく影響する要因や、競合との差別化につながるポイントを中心に、優先的に取り組むべき項目を特定します。課題は「緊急性」と「重要性」の2軸で評価し、優先順位をつけます。また、短期的に対応可能な課題と、中長期的な取り組みが必要な課題を区別し、実行計画の基盤を整えます。課題ごとに、想定される改善効果や必要なリソース、投資対効果なども検討しましょう。特に、複数の部門が関係する課題については、部門間の調整や役割分担も含めて検討も必要です。
アクションプランの策定
特定された課題と機会に対する具体的な施策を計画します。各施策の目的、期待効果、必要なリソース、実施スケジュールなどを明確にし、実行可能な形にまとめましょう。また、施策の効果を測定するKPIも設定し、PDCAサイクルを回せる体制を整えます。施策は「Quick Win」(短期で効果が出せる施策)と「Strategic Initiative」(中長期的な取り組み)に分類し、バランスの取れた計画を立案します。アクションプランは関係部門と共有し、全社的な取り組みとして推進できるよう準備します。定期的な進捗確認と効果測定の仕組みも組み込み、継続的な改善活動として定着させることが重要です。
カスタマージャーニーマップ活用の成功事例とポイント

ここからは、実際にカスタマージャーニーマップを活用して成功した事例と、そのポイントを見ていきましょう。
USA.govの活用事例
米国の電子政府サイト「USA.gov」では、ユーザー体験を向上させるためにカスタマージャーニーマップを導入しました。具体的には、ユーザーの詳細なペルソナを作り込み、顧客満足度調査やGoogle検索データ、他機関サイトのアクセス情報などを統合してユーザー像をリアルに描いたうえで、ワークショップ形式で改善を検討しました。
結果としてウェブデザインやコンテンツ、コールセンターの自動応答メニューまで大幅に改善し、約110件もの改善案を導き出せたと報告されています。
詳細な情報を収集してペルソナを設定し、それを社内で共有しながら改善を繰り返すプロセスが成功のポイントです。プロジェクトの最初から顧客中心の姿勢を徹底することで、質の高いユーザー体験の実現につながっています。
エミレーツ航空の活用事例
エミレーツ航空では、急速な企業成長と従業員増にともない顧客体験が一部で低下しかけていることに気づき、カスタマージャーニーマップを導入しました。顧客体験に関する問題点を明確にし、従業員への研修を実施しつつ、顧客中心の考え方を企業文化として浸透させる取り組みを始めたのです。
最初は全社的な協力を得られなかったものの、協力的な部門から成果を重ねることで社内に広げ、顧客視点を重視する文化を定着させました。また、顧客のニーズや技術革新に合わせて定期的にカスタマージャーニーマップを更新し、常に変化に対応し続けています。
これらの成果により、ブランド価値を維持しながら顧客体験を向上させるモデルケースとして注目されています。
カスタマージャーニーマップ作成の注意点と失敗例
効果的なカスタマージャーニーマップを作成するため、よくある失敗パターンと具体的な注意点について解説します。
データに基づかないペルソナ設定
ペルソナ設定は実際のデータや顧客調査に基づいて行う必要があります。顧客の実態を正確に把握するため、アンケート、インタビュー、行動ログ分析など、複数の情報源を組み合わせた分析を行いましょう。また、継続的なデータ収集と更新で、変化する顧客ニーズにも対応する必要があります。
【失敗例】
・マーケティング部門だけの想定で理想的な顧客像を作成し、現場の声を反映していない
・性別や年齢などの基本属性のみで設定し、価値観やライフスタイルの分析が不十分
・過去の成功体験だけを基にしていて、変化する顧客ニーズを見落としている
・競合分析やマーケット調査を怠り、業界全体のトレンドが反映できていない
・デモグラフィック属性に偏重し、サイコグラフィック属性の分析が不足
部分的な顧客体験の分析
カスタマージャーニーは、顧客とのタッチポイントのすべてを網羅的に分析する必要があります。特定の部門やタッチポイントだけに注目すると、重要な課題や機会を見逃す可能性があります。また、部門を超えた連携ポイントの分析も重要です。オンライン・オフライン双方の接点を含め、顧客体験の全体像を把握しましょう。
【失敗例】
・オンラインタッチポイントだけに注目し、実店舗やオフラインでの体験を考慮していない
・購入までのプロセスのみを分析し、アフターサービスを軽視
・自社が管理する接点のみを分析し、SNSや口コミサイトなどの外部接点を見落としている
・特定の部門が関わる接点のみを重視し、他部門との連携ポイントが把握できていない
・短期的な顧客行動のみに着目し、長期的な関係性構築の視点が欠如
顧客の感情分析の不足
顧客の行動データだけでなく、各タッチポイントにおける顧客の感情変化を詳細に分析することが重要です。特に、期待と実体験のギャップや、満足度を大きく左右する重要な転換点の特定が必要です。インタビューやSNS分析など、多角的なアプローチで感情変化を捉えましょう。満足と不満足の要因を特定し、改善ポイントを見出す必要があります。定量データと定性データを組み合わせ、より深い顧客理解を目指します。
【失敗例】
・行動ログやコンバージョン率などの定量データのみに依存
・アンケートの選択式回答だけで感情分析を済ませている
・ネガティブな感情の原因分析が不十分で、的確な改善策を立案できない
・顧客の期待値と実体験のギャップを把握できていない
・顧客感情の変化を時系列で追跡できておらず、重要な転換点を見逃している
施策実行への落とし込み不足
分析結果を具体的な改善施策に落とし込み、実行可能なアクションプランを策定する必要があります。各施策の優先順位や必要なリソース、実行体制、効果測定方法などを明確にすることはもちろん、その内容を組織全体で共有することを忘れないでください。また、短期的な改善と中長期的な取り組みのバランスも考慮します。課題の把握だけで終わらせず、優先順位付けと具体的な実行計画まで落とし込むことが重要です。各施策の効果測定方法も事前に検討しましょう。
【失敗例】
・課題の洗い出しで終わり、具体的な改善施策が立案できていない
・部門横断的な調整が必要な施策の実行体制が不明確
・改善施策のKPIや効果測定方法が設定されていない
・予算や人員などのリソース配分が現実的でない
・Quick Winと中長期施策のバランスが取れていない
継続的な更新の欠如
カスタマージャーニーマップは定期的な更新と見直しが必要です。市場環境の変化やそれに伴う顧客行動の変化、新しいタッチポイントの追加、施策の効果測定結果などを反映し、生きたツールとして活用することが重要です。また、更新の責任者と頻度を明確に定め、組織的な運用体制を構築しましょう。市場環境や顧客ニーズの変化、新しいタッチポイントなどを反映し、常に最新の状態を保つことが重要です。効果測定の結果も踏まえ、継続的な改善を行います。
【失敗例】
・作成して終わりとなり、定期的な更新がされていない
・新規サービスやタッチポイントの追加が反映されていない
・実施した施策の効果が検証されず、PDCAが回っていない
・顧客フィードバックや市場の変化が適時反映されていない
・マップの更新担当や更新サイクルが明確に定められていない
カスタマージャーニーマップ作成における相談の例

カスタマージャーニーマップ作成時によく寄せられる相談について、具体的な事例とその解決アプローチについてご紹介します。
相談例:サイトのコンバージョン率が低く、原因がわからない
ECサイトを運営していますが、直近半年間でコンバージョン率が低下傾向にあります。サイトへの流入数は増えているものの、カート投入後の離脱が特に多く、原因の特定ができていません。競合と比べても購入までのステップ数は同程度なのですが、なぜか購入完了まで至らないケースが増えています。
【プロジェクト成功におけるポイント】
・購入プロセスの各ステップにおける離脱要因の特定
・競合サイトとの比較分析による改善ポイントの抽出
・デバイス別の顧客行動の違いの把握
・決済プロセスの使いやすさ検証
【プロジェクトの進め方例】
・アクセスログとヒートマップによる離脱ポイントの特定
・顧客アンケートとユーザーテストの実施
・競合サイトのベンチマーク分析
・デバイス別の改善施策の立案とA/Bテスト
相談例:新規サービス立ち上げ時の顧客体験設計をしたい
新しいサブスクリプションサービスを企画していますが、顧客体験設計をどうしたら良いかわかりません。特に、ユーザー獲得からロイヤル化までのプロセスをどのように設計すべきか悩んでいます。競合調査も実施していますが、自社の強みを活かした差別化ポイントの見出し方に課題があります。
【プロジェクト成功におけるポイント】
・ターゲットとなる顧客の明確な定義と理解
・競合サービスを徹底的に分析
・顧客の期待値を正確に把握
・シームレスな顧客体験の設計
【プロジェクトの進め方例】
・市場調査とターゲット顧客の定義
・競合サービスの利用体験調査
・顧客候補になる消費者へのインタビュー実施
・カスタマージャーニーマップの作成とブラッシュアップ
相談例:既存顧客の離反が増えている
サービス開始から3年が経過し、初期に獲得した顧客の解約が増加傾向にあります。カスタマーサポートの満足度は高いのですが、継続的な利用に至らないケースが増えています。特に、利用開始半年後からの離反が目立ちます。
【プロジェクト成功におけるポイント】
・解約理由とそのきっかけの特定
・顧客セグメント別の課題抽出
・継続利用における障壁の特定
・効果的なコミュニケーション施策の立案
【プロジェクトの進め方例】
・解約顧客データの分析とセグメンテーション
・離反顧客へのインタビュー実施
・継続顧客との比較分析
・タッチポイント別の満足度調査と改善策立案
相談例:部門間で顧客理解にズレがある
マーケティング部門と営業部門、カスタマーサポート部門で、顧客ニーズの理解に大きなズレがあります。各部門が異なる顧客像を持っており、施策の方向性が定まらず、一貫した効果的なアプローチができていません。
【プロジェクト成功におけるポイント】
・各部門の顧客理解の現状把握
・部門横断的な顧客データや情報の統合
・共通の顧客像の構築
・部門間の連携ポイントの明確化
【プロジェクトの進め方例】
・各部門との個別ワークショップ実施
・顧客データの統合と分析
・部門横断型のカスタマージャーニーマップ作成
・定期的な更新や共有の仕組み構築
カスタマージャーニーマップの活用方法
カスタマージャーニーマップは、顧客の行動変容をデザインするためのツールです。ここでは、代表的な施策例として「メルマガ」「コンテンツマーケティング」「SNS運用」での活用方法を紹介します。
メルマガ
メルマガは、BtoBやBtoCを問わず効果的なマーケティング手段です。「メルマガは古い」という声もありますが、適切に活用すれば顧客との関係を着実に深められます。
カスタマージャーニーマップで可視化された顧客の行動や感情の変化を基に、メルマガの配信戦略を最適化することができます。特に、顧客の購買サイクルや関心度に合わせたコンテンツ設計が重要です。例えば、認知段階の顧客には商品・サービスの基本的な価値や使い方を紹介し、検討段階の顧客には具体的な導入事例や比較情報を提供します。購入後は使い方のヒントや関連商品の提案など、段階に応じた情報提供を行うことで、より効果的なコミュニケーションが可能になります。
特に注目すべきは、カスタマージャーニーマップから得られた顧客の感情の変化です。不安や懸念が強まりやすいポイントでは、それを解消するような情報を提供し、満足度が高まるポイントでは、その体験を更に深める提案を行いましょう。また、離脱リスクが高まる時期には、事前に防止策となる情報を届けることで、顧客維持率の向上につながります。
メルマガの開封率やクリック率、反応の良かったコンテンツなどのデータは、定期的にカスタマージャーニーマップに反映させ、より効果的なコミュニケーション戦略の立案に活用します。このPDCAサイクルを回すことで、顧客理解を深め、より良い顧客体験の提供が可能になります。
コンテンツマーケティング
カスタマージャーニーマップを活用することで、顧客のフェーズに応じた最適なコンテンツを提供し、効果的な顧客育成を実現できます。各フェーズでの顧客の課題や関心事を把握し、それに応じたコンテンツを戦略的に設計・配信することが重要です。
認知フェーズでは、業界トレンドや課題解決のヒントとなる基礎的な情報を提供し、ブランドの認知度向上を図ります。検討フェーズでは、商品やサービスの具体的な活用事例や、導入による効果を示すホワイトペーパー、比較表などを提供し、検討を促進します。購入後は、活用のベストプラクティスやより高度な使い方のガイド、関連サービスの情報など、顧客の成長を支援するコンテンツを提供しましょう。
特に重要なのは、ジャーニーマップから得られた顧客インサイトを基に、コンテンツの形式や配信タイミングを最適化することです。時間に余裕がない検討初期フェーズでは簡潔な動画コンテンツを、詳細な検討フェーズではより詳細な資料など、顧客の状況に応じた使い分けが効果的です。また、コンテンツの反応データをカスタマージャーニーマップに反映させ、継続的な改善を行うことで、より長期的な顧客との関係構築につながります。
顧客コミュニティ
カスタマージャーニーマップの分析結果を基に、顧客コミュニティを戦略的に活用することで、より深い顧客理解と継続的な関係構築が可能になります。特に、各フェーズでの顧客の課題や感情の変化を踏まえ、適切なコミュニティ施策を展開することが重要です。
例えば、検討フェーズの顧客には、既存ユーザーの活用事例や体験談を共有する場を提供し、不安や懸念の解消を促進します。購入後は、活用のヒントや応用例を共有するフォーラムを設置すれば、顧客同士の学び合いを促進することができるでしょう。さらに、熱心なユーザーには、新商品の開発に参加できる特別な機会を提供するなど、フェーズに応じた参加機会を創出します。
コミュニティ内での会話や生成されたUGC(ユーザー生成コンテンツ)は、定期的にカスタマージャーニーマップに反映させ、顧客理解を深めることが重要です。例えば、投稿されたレビューや使用事例から、新規コンテンツの企画や製品改善のヒントを得ることができます。また、UGCの傾向分析から、効果的なマーケティングメッセージの開発にもつながります。
このように、カスタマージャーニーマップとコミュニティ活動、UGCを有機的に連携させることで、より効果的な顧客エンゲージメントを実現し、口コミによる新規顧客の獲得と既存顧客のロイヤル化を促進することができます。
まとめ
カスタマージャーニーマップは、顧客体験を可視化し、改善するための重要なツールです。顧客の行動や感情の変化を時系列で整理することで、顧客の課題や機会を特定し、より効果的な施策の立案が可能になります。作成にあたっては、データに基づいたペルソナ設定、全タッチポイントの網羅的な分析が重要です。また、部門を越えた顧客理解の統一や、継続的な更新も成功の鍵となります。メルマガやコンテンツマーケティング、顧客コミュニティなど、様々な施策との連携により、より深い顧客理解と効果的な体験設計を実現できます。
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