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CX(顧客体験)とEX(従業員体験)とは?相互作用を最大化する方法

2024/12/12

CX(顧客体験)とEX(従業員体験)とは?相互作用を最大化する方法
コミューン編集部

コミューン編集部

「CXとEXって、最近聞くけれど、実際どう関係しているんだろう?」
「CXを向上させるには、EXも同時に考えないといけないって本当?」
このような疑問をお持ちかもしれません。

CXは「顧客体験」、EXは「従業員体験」を指します。両者は、一見まったく別の概念に見えますが、実は、CXとEXは相互的に影響し合っていることが、注目されています。
本記事では、CXとEXの意味や重要性について基礎知識から解説するとともに、その関係性を経営に活かす方法について掘り下げていきます。

CX向上を目指すマーケティング担当者の方や、従業員と顧客にとってWin-Winな経営を目指す経営者の方が、押さえておくべき要点を網羅しました。

CXとEXの適切なマネジメントを通じて、ビジネスの好循環を生み出すためにお役立てください。

CX・EXとは?基本の知識

CX・EXとは?基本の知識

まずは、CX・EXの意味や構成要素といった基本から確認していきましょう。

  1. CXとは:顧客が感じる総合的な体験価値
  2. EXとは:従業員が組織で働く中で得るあらゆる体験

1. CXとは:顧客が感じる総合的な体験価値

CXとは、Customer Experience(カスタマーエクスペリエンス)の略語で、日本語では「顧客体験」です。

CXは、顧客が企業やブランドとのあらゆる接点で得る体験価値の総体を表す概念です。

CXとは

製品やサービスの品質だけでなく、購買前から購買後に至るまで、顧客が企業とのやりとりを通じて感じる満足感や印象のすべてが含まれます。

【CXの主な構成要素】

認知価値:ブランドの存在を知り、興味や関心を抱くこと。
機能的価値:製品やサービスの性能、利便性に満足すること。
情緒的価値:ブランドに対して好感や愛着を抱くこと。
経済的価値:支払う対価に見合った価値を享受できると感じること。
社会的価値:ブランドを通じて社会や環境に貢献できると実感すること。

上記はポジティブ面のみ羅列していますが、「不満に思う」「不信感を抱く」といったネガティブな体験も、CXに含まれます。

優れたCXを提供するためには、これらの要素を適切に設計・マネジメントし、顧客との長期的な信頼関係を築いていくことが鍵となります。

CXについて掘り下げたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

2. EXとは:従業員が組織で働く中で得るあらゆる体験

EXとは、Employee Experience(エンプロイーエクスペリエンス)の略語で、日本語では「従業員体験」です。

EXは、従業員が組織で働く中で得るポジティブ・ネガティブなあらゆる体験の総称です。

EXとは

職場環境や人間関係、仕事の内容、評価・処遇制度、成長の機会など、従業員の働きがいに影響を及ぼすすべての要因が含まれます。

【EXの主な構成要素】

職務内容:担当業務にやりがいを感じ、強みを発揮できること。
人的環境:上司や同僚、部下との良好な人間関係を築けること。
物的環境:働きやすいオフィス環境や、業務に必要なリソースが適切に提供されること。
評価と報酬:成果や貢献度に基づいた公正な評価と納得感のある処遇を受けられること。
成長機会:スキルアップや昇進など、自己の成長を実感できる機会に恵まれること。

EXの向上は、従業員エンゲージメントの強化につながり、生産性の向上やイノベーションの創出など、事業に直結する成果を生み出す原動力となります。
以上、顧客体験(CX)と従業員体験(EX)の基本を解説しました。

どちらも企業の持続的な成長には欠かせない概念ですが、これまでCXはマーケティング部門、EXは人事部門というように、それぞれ独立した文脈で語られてきました。

しかしながら、近年注目されているのは「CXとEXは密接に関係している」という考え方です。どういうことなのか、詳しくは以下に続きます。

CXとEXの関係性を理解する3つの重要ポイント

CXとEXの関係性を理解する3つの重要ポイント

ここからは、CXとEXの関係性について、掘り下げていきましょう。CXとEXの関係性を理解する際には、まず押さえておきたい3つのポイントがあります。

  1. CXとEXが相互に影響し合うメカニズム
  2. 心理的安全性CX
  3. CXとEXのバランスの重要性

1. CXとEXが相互に影響し合うメカニズム

CXとEXは、なぜ相互に影響し合うのでしょうか。そのメカニズムとして、次のような相互関係があります。

CXとEXが相互に影響し合うメカニズム

CXとEXが影響し合うメカニズム

良質なCXを提供し続けるには従業員のモチベーションが不可欠:高いモチベーションがなければ、CXの質を維持し続けることは難しくなります。従業員のやる気を引き出すEX施策は、CX向上に直結します。

EXが高い組織は顧客対応力に優れる:従業員が働きやすい環境で能力を最大限発揮できれば、質の高い顧客サービスを提供できます。EXの高さが、卓越したサービスを生み出す土台となるのです。

従業員の意見はCX向上のとなる:EXの高い組織の多くは、現場の声がCX改善に反映されやすい仕組みを整えています。従業員の気づきを経営に活かすEX施策は、CXを高める原動力になります。

従業員を大切にする企業文化は顧客からの信頼感を高める:EXを重視する組織は、顧客から選好されます。従業員を大切にする企業文化は、顧客の共感と信頼を得やすいからです。

CXはEXを高める:顧客が抱く信頼や愛着、共感、感謝といった感情は、従業員にとってやりがい・モチベーションの源泉となります。

CXとEXの好循環が優れた業績につながる:従業員が誇りと情熱を持って顧客と向き合えば、顧客満足度も収益性も高まります。CXとEXの相乗効果が、ビジネスの好業績を生み出すのです。

逆に、EXが低下している組織では、上記と真逆のことが起こります。

つまり、やる気のない従業員が提供するサービスの質は悪くなり、顧客視点は失われ、顧客は企業・ブランドに対して批判的な印象を持つようになります。

CXとEXの関係性を理解し、EXを高めることがCXの向上に直結する」と認識することが、まず重要です。

2. 心理的安全性とCX

EXとCXの関係は、「職場の心理的安全性CX」という文脈でも、捉え直すことができます。

心理的安全性とは、チームのメンバーが安心して率直な意見を言ったり、失敗を恐れずにチャレンジしたりできる環境を表す概念です。

心理的安全性が低い職場では、従業員は以下のような行動をとる傾向があります。

心理的安全性とCX

心理的安全性の低い職場で起きること】

顧客よりも上司を意識:上司の顔色をうかがい、顧客よりも上司の評価を優先してしまいます。「顧客のため」ではなく「上司のため」に働く形になり、顧客満足度は低下します。

責任の回避:問題が発生した際に、責任を負うことを恐れ、積極的に解決しようとしません。ミスの隠蔽や顧客への謝罪の遅れにつながります。

発言の抑制:間違いを指摘されたり、評価を下げられたりする恐れから、自分の意見やアイデアの発言を控えます。CX改善の機会損失となります。

チャレンジの回避:失敗を責められることを恐れ、新しいチャレンジや困難への挑戦を避けます。既存の方法から脱却できないため、CXの陳腐化を招きます。

ここでの重要ポイントは、上記のような行動に陥る従業員に悪気があるのではないという点です。

従業員の資質にかかわらず、心理的安全性が低い組織では、防衛的な行動を取らざるを得ない状況に追い込まれます。

優秀な人材であっても、そのパフォーマンスを十分に発揮できず、結果としてCXの質が低下していきます。

心理的安全性については、以下の記事もあわせてご覧ください。

3. CXとEXのバランスの重要性

ここまでお読みいただき、「EX、CXのどちらか一方を引き上げれば、双方とも上昇する」というイメージを持たれた方もいるかもしれません。

しかしながら、CXとEXの取り組みで注意したいのは、「双方を同時に追求し、高いレベルでバランスを取らなければならない」という点です。

CXとEXのバランスの重要性

一方に偏重すると、ビジネスに悪影響が生じるリスクがあるため、注意が必要です。

【偏重によるリスク】

従業員に負担を強いる顧客第一主義の弊害顧客満足度向上のために従業員に過度な負担を強いると、モチベーションが低下し、長期的にはサービス品質の劣化を招きます。従業員の働きがいを損なう施策は、結果として顧客価値を毀損します。

従業員重視の落とし穴従業員満足度を過度に優先すると、顧客視点が欠如し、市場競争力が低下します。従業員エンゲージメントと顧客志向のバランスを保つ必要があります。

CXとEXのバランスを取る難しさを認識しつつ、両者のシナジーを生み出す鍵は、従業員の自律的な行動を引き出す組織づくりにあるといえるでしょう。

「具体的にどのように実行すればよいのか?」については、以下に続きます。

CXとEXを融合させ両方を向上させる3つのステップ


続いて、CXとEXのバランスを取りながら、両者を高みに導くためのステップを詳しく見ていきましょう。

  1. CXとEXの”融け合い”を設計する
  2. パーパスに基づく従業員の行動変容でCXを向上させる
  3. 顧客のフィードバックをEX向上の源泉とする

1. CXとEXの"融け合い"を設計する

1つめのステップは「CXとEXの”融け合い”を設計する」です。

先ほど、CXとEXの一方を高めるのではなく、バランス良く両者を高める重要性をお伝えしました。これを実行する際に必要なのが、「CXとEXを融合させる」という考え方です。

CXとEXの"融け合い"を設計する

上図の2つの円が重なっている部分が、EXとCXの“融け合いポイント”となります。

融け合いポイントでは、従業員は顧客視点で顧客のためを思って業務に従事しています。顧客は、関係を進化させ、本音を共有するという体験をしています。


まずは、上記のようなイメージを描き、EXとCXを包括的な概念として捉えることが重要です。

2. パーパスに基づく従業員の行動変容でCXを向上させる

2つめのステップは「パーパス(存在意義)に基づく従業員の行動変容でCXを向上させる」です。

パーパスに基づく従業員の行動変容でCXを向上させる

EXとCXの融合において、起点となるのは従業員に対する理念浸透です。理念が浸透し、行動規範ができ、行動変容が起きて、それが顧客への理念浸透にも波及する流れになります。

理念浸透の鍵を握るのが、組織のパーパス(存在意義)です。パーパスを軸とした組織文化の醸成が、EX向上とCX向上の好循環を生み出します。

パーパスに基づく従業員の行動変容を促すポイント

組織のパーパスを再定義し従業員と共有する:顧客にとっての価値創造に主眼を置いたパーパスを設定し、経営理念やビジョンと連動させます。全社一丸でパーパス達成に向かうために、従業員一人ひとりへの浸透を図ります。

パーパスと従業員個人の役割を関連づける:組織のパーパスと自らの仕事とのつながりを意識できるようにし、主体的な行動を促します。従業員が自分のミッションをパーパス達成の一端と捉えられれば、意欲もCX向上への意識も高まります。

パーパスを起点とした対話の場をつくる:経営層と従業員、部門間の垣根を越えて、パーパス実現に向けた議論を重ねます。顧客視点でのアイデア創出を促すとともに、従業員の共感と参画意識を高めることが大切です。

パーパスに沿った行動を評価・賞賛する:パーパスに沿った行動を取った従業員を称え、ロールモデルとして組織内で共有します。しっかりと行動が評価される風土があれば、従業員のCX向上へのモチベーションが高まります。

実践イメージ

重視したいのは「パーパスを単なるお題目に終わらせず、従業員の行動指針として組織に根付かせること」です。自らの仕事を通じて組織のパーパスに貢献していると実感できる従業員は、必然的に顧客本位の行動を取るようになります。

なお、パーパス経営と密接に関係している概念として「内発的動機付け」があります。以下で解説していますので、あわせてご覧いただくと理解が深まります。

3. 顧客のフィードバックをEX向上の源泉とする

3つめのステップは「顧客のフィードバックをEX向上の源泉とする」です。

顧客のフィードバックをEX向上の源泉とする

CX向上において、「顧客の声を聞く」ことの重要性は、いうまでもありません。一方、EXの向上においても、顧客からのフィードバックが重要な役割を果たします。

顧客の声に真摯に向き合うことが、従業員のモチベーションとスキル向上を促すからです。

顧客のフィードバックをEX向上に活かすポイント

顧客の声を従業員にダイレクトに届ける:現場の従業員に顧客の生の声に触れる機会を数多く提供します。顧客視点を積極的に取り入れ、従業員の自発的な気づきと学びを促しましょう。

顧客からの評価を従業員にフィードバックする顧客満足度調査の結果を従業員と共有し、自身の行動を振り返る機会とします。優れた対応をした従業員は適切に評価・賞賛し、モチベーションの向上につなげることが大切です。

顧客の声から従業員の成長機会を見出す:顧客のニーズや課題をもとに、従業員に必要なスキルやマインドセットを洗い出します。従業員の能力開発の方向性を、顧客起点で定めることがポイントです。

顧客からのクレームを従業員の学びに変える:ネガティブなフィードバックにも真摯に向き合い、サービスの改善につなげます。顧客の不満に向き合う経験は、従業員のレジリエンス(困難からしなやかに立ち直る力)の向上にも寄与します。

顧客にとっては、
「本音を伝えたら、真摯に受け止めてもらえた」
「理解してもらった実感があり、改善策にも反映されている」
という上質なCXがもたらされます。

従業員にとっては、
「自分の仕事の成果が顧客の喜びとなって返ってきた、もっと喜んでもらいたい」
「期待に応えられなかった、次はより良い対応をしたい」
という顧客への思いが、何にも代えがたい仕事のやりがいとして、心に深く刻まれていきます。

顧客のフィードバックをEX向上に活かす

この循環が、スパイラルアップしていくとき、非常に強い組織が生まれるのです。

EX・CXの向上に効果を発揮するコミュニティの活用

EX・CXの向上に効果を発揮するコミュニティの活用

ここまでお読みいただき、さっそく具体的な施策を考えたいという方も多いのではないでしょうか。

その際、重要な役割を担うのが「コミュニティ」です。

EXとCXの融合を促進するうえで、コミュニティの存在は見逃せません。組織の内外を越えたつながりが、CX向上とEX向上の触媒になるからです。

最後に、コミュニティの戦略的な活用について、詳しく見ていきましょう。4つのポイントがあります。

  1. 融け合いポイントをコミュニティで強化する
  2. 顧客と従業員の共創の起点とする
  3. 従業員コミュニティで心理的安全性を高める
  4. 可視化された企業愛や顧客愛で組織をブーストする

1. 融け合いポイントをコミュニティで強化する

1つめの活用ポイントは「融け合いポイントをコミュニティで強化する」です。

コミュニティは、CXとEXの接点を生み出し、両者の融け合いを促進する場となります。組織の垣根を越えたインタラクション(相互作用)によって、相互理解とシナジー創出が期待できるのです。

コミュニティを通じたCXとEXの融け合いの例

顧客コミュニティを通じて顧客との結びつきを深める:製品やサービスの利用者同士の交流を促進し、つながりを高めます。コミュニティ運営を通じて顧客との信頼関係を築くことが、CX向上の原動力になります。

従業員コミュニティを通じて部門間の壁をなくす:異なる部署の従業員同士が対話し、協力し合う雰囲気をつくります。顧客価値の創造に向けて、組織の枠組みを越えたチームワークが生まれます。

アルムナイ(OB/OG)コミュニティで在籍者と退職者をつなぐ:かつての同僚との絆を大切にし、組織の壁を越えた学びと交流を促します。外の視点を柔軟に取り入れる姿勢は、EXの向上にもつながります。

従業員コミュニティやアルムナイコミュニティは、直接的な顧客との接点はありませんが、理念浸透や行動変容を通じて、間接的にCXに寄与します。

CXやEXは「体験価値」という目に見えない感情や印象を扱うからこそ、コミュニティという「人と人との絆」を構築する施策がダイレクトに効果を発揮する分野です。

実際の事例を見て、具体的にイメージしたい」という方は、以下のリンクより活用事例をご確認ください。

実際の事例を見て、具体的にイメージしたい

業界別のコミュニティ活用事例をみる

https://commune.co.jp/industry/

2. 顧客と従業員の共創の起点とする

2つめの活用ポイントは「顧客と従業員の共創の起点とする」です。

コミュニティは、顧客と従業員が出会い、一緒に価値を生み出す場ともなります。

オンラインでのやりとりはもちろん、直接顔を合わせる機会があれば、両者の相互理解が深まり、協働したサービス開発やCX向上の取り組みも加速するでしょう。

コミュニティを顧客と従業員の共創の場とするためのポイント

顧客参加型のイベントを定期的に開く:ファンミーティングやユーザー会など、顧客と直接対話する機会を作ります。双方向のコミュニケーションを通じて、ニーズを把握し、共感を育みましょう。

アイデア出しイベントに顧客を巻き込む:サービス開発や課題解決に関するアイデアを出し合う場に、ユーザーにも参加してもらいます。顧客目線での価値創造プロセスは、従業員のやる気アップにもつながります。

顧客の声を見える化し組織内で共有する:オンラインコミュニティ上の発言を分析してまとめ、経営判断に役立てる仕組みを整えます。従業員全員が顧客視点に立って考え、行動できるよう後押しします。

ブランドコミュニティを通じて顧客と価値観を共有する:自社ブランドへのロイヤルティが高い顧客同士のつながりを強化します。ブランドの世界観を従業員と顧客が共に体現すれば、CX向上につながる共感が生まれます。

コミュニティを介して顧客と従業員が直接つながると、協力して価値を生み出す流れが加速します。

顧客目線を従業員が追体験し、そこでの学びをサービス開発やCX向上に活かす」という仕組みは、コミュニティならではの活用法です。

なお、初めて顧客コミュニティ構築を検討される方は、先に以下の資料をご確認ください。最初に知っておきたいコミュニティマーケティングの基本を分かりやすくまとめています。

コミュニティマーケティング超入門

3. 従業員コミュニティで心理的安全性を高める

3つめの活用ポイントは「従業員コミュニティで心理的安全性を高める」です。

従業員同士のつながりを深めるコミュニティは、心理的安全性を高める効果も期待できます。従業員コミュニティは、安心して能力を発揮できる「心の安全基地」として機能するからです。

社内の従業員コミュニティが心理的安全性を高めるメカニズム

フラットなコミュニケーションによる心理的障壁の低下:普段の職場では言いづらい本音も、コミュニティ内では打ち明けやすくなります。上下関係にとらわれない対話を通じて自由に発言しやすい雰囲気が生まれます。

チャレンジを後押しする仲間意識:挑戦するとき、同じ志を持つ仲間の存在は何よりも心強い味方となります。一人では踏み出せなかった一歩も、コミュニティ内で絆を深めた仲間からの応援があれば踏み出す勇気が湧いてくるはずです。

褒め合い認め合う文化の醸成:コミュニティ内で互いの頑張りを認め合い、称え合う習慣が根付けば、一人ひとりの自己肯定感が高まります。自分の存在価値を実感できる環境は、心理的安全性の向上につながります。

ありのままの自分でいられる安心感:コミュニティ内で失敗や後悔を自己開示しやすい雰囲気を作ることも効果的です。「失敗しても大丈夫な居場所」と思えれば、自分らしく振る舞えるようになります。

従業員コミュニティ構築について詳細は、Commune for Work の社内向けコミュニティ活用資料にて解説しています。以下よりダウンロードしてご確認ください。

3分でわかるCommune for Work

4. 可視化された企業愛や顧客愛で組織をブーストする

4つめの活用ポイントは「可視化された企業愛や顧客愛で組織をブーストする」です。

企業愛や顧客愛が強い従業員がいても、その思いが表現されるとは限りません。多くの従業員は、心の中に秘めているものです。

従業員コミュニティをオンラインで構築すると、企業愛や顧客愛が可視化されやすくなります。テキストベースでのコミュニケーションは、口頭では伝えにくい思いや考えを整理して伝えやすい特性を持つからです。

コミュニティが生む企業愛・顧客愛の効果

自社の製品やサービスへの誇りを高める:メンバー同士が自社のファンとしての思いを共有する行動は、直接的にモチベーションを高めます。自社ブランドへの愛着を従業員が再認識できることが鍵です。

組織への帰属意識とチームワークを醸成する:従業員同士のつながりが深まれば、組織への一体感も高まります。「この仲間が好きだ」という気持ちは、良質なEXを生み出します。

顧客の成功体験を共有し顧客愛を高める:顧客の喜びの声を、コミュニティ内の従業員全員で共有しましょう。自らの仕事の価値や貢献を実感でき、顧客への思いが深まっていきます。

他社には真似できない「熱量」を武器にする:企業愛に根差した従業員と顧客の絆は、他社が容易に取って代われるものではありません。コミュニティ由来の熱量こそが、競争優位の源泉になります。

個人のパッションがコミュニティで共鳴すると、組織のエネルギーが何倍にも増幅します。企業愛と顧客愛に根差したつながりこそが、CX向上とEX向上を加速させる秘訣だといえるでしょう。

まとめ

本記事では「EXとCX」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。

最初に基礎知識として、以下を解説しました。

CXとは顧客が企業やブランドとのあらゆる接点で得る体験価値の総体
・EXとは従業員が組織で働く中で得るポジティブ・ネガティブなあらゆる体験の総称
CXはマーケティング部門、EXは人事部門と、それぞれ独立した文脈で語られてきたが、近年は両者の密接な関係性が注目されている

CXとEXの関係性を理解する3つのポイントは、以下のとおりです。

1. CXとEXは相互に影響し合うメカニズムがある
2. 職場の心理的安全性CXに直結する重要な要素である
3. CXとEXのバランスを適切に取ることが大切で、一方に偏重すると悪影響が生じるリスクがある

CXとEXを融合させ両方を向上させる取り組みを、3つのステップで解説しました。

1. CXとEXの“融け合い”を設計する
2. パーパスに基づく従業員の行動変容でCXを向上させる
3. 顧客のフィードバックをEX向上の源泉とする

EX・CXの向上に効果を発揮するコミュニティの活用のポイントは、以下のとおりです。

1. 融け合いポイントをコミュニティで強化する
2. 顧客と従業員の共創の起点とする
3. 従業員コミュニティで心理的安全性を高める
4. 可視化された企業愛や顧客愛で組織をブーストする

CXとEXの融合は、顧客と従業員双方の満足度を高め、ビジネスの好循環をもたらします。本記事を参考に、CXとEXのマネジメント、および戦略的なコミュニティの活用を進めていただければ幸いです。