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CX(カスタマーエクスペリエンス)とは?顧客体験向上の事例や成功させるためのポイントを解説

2024/07/03

CX(カスタマーエクスペリエンス)とは?顧客体験向上の事例や成功させるためのポイントを解説
コミューン編集部

コミューン編集部

近年、注目を集めるカスタマーエクスペリエンス(CX)。重要性については薄々感じているものの、なかなか着手できていない企業は数多くあります。
今回はCXの重要性や実践のためのステップについて紹介し、注目されるようになった社会的背景にも着目しながら、成功事例もご紹介していきます。

CXとは?

CXとは?

カスタマーエクスペリエンスの言葉の定義や現状、注目されるようになった背景を順番に紹介していきます。

CXの定義

カスタマーエクスペリエンス(CX)とは、マーケティングから販売、カスタマー・サービス、およびその間のあらゆるポイントにおける顧客の体験価値のことを指します。カスタマー(顧客)が商品やサービスの導入を検討し、購入・利用、アフターフォローを受けるまでのすべてのエクスペリエンス(経験)を指しています。

似たような言葉に、ユーザーエクスペリエンス(UX)があります。これは、商品やサービスそのものに対するユーザー(利用者)の体験を意味します。つまり、ユーザーエクスペリエンスはカスタマーエクスペリエンスに含まれる、ということです。

例えば、ある不動産ポータルサイトを利用して、賃貸物件を探している顧客がいたとします。

まず不動産ポータルサイトでいくつかの物件を確認し、その中からある物件を選んで内見を申し込みます。不動産会社とのやりとりでいくつか手違いが発生したものの、担当者の対応に満足し、物件を成約しました。

不動産ポータルサイトにおけるUXの例

このフローは、すべてカスタマーエクスペリエンスとなります。

一方、ユーザーエクスペリエンスは各企業のサービス提供範囲によって異なります。不動産ポータルサイトを運営している企業にとってのユーザーエクスペリエンスは、1・2、不動産会社にとっては3・4となります。

CXマネジメントとは

CXとよく間違えられる言葉に「CS」があります。CSとは、「Customer Satisfaction(カスタマーサティスファクション)」の略語で、「顧客満足度」と訳されます。

CSは顧客が商品やサービスにどの程度満足しているかを数値化して評価するための考え方です。一方、CXは顧客が商品やサービスを体験する一連の流れで生じる感情や心理的な価値を評価するものです。

UXとの違い

CXとよく間違えられる言葉のもう一つは「UX」です。UXとは、「User Experience(ユーザーエクスペリエンス)」の略語で、CXと同じく「顧客体験」と訳されます。ただし、UXは商品やサービスを使用したときに得られる顧客の体験を意味します。CXは商品やサービスに出会うきっかけから使用後までの体験までを含むため範囲が広く、CXマネジメントはより広い視野で多くの工程や関係者を管理する必要があります。

CXの現状

日経リサーチがビジネスパーソン1000人に調査した結果によると、

CX向上の取り組みが「進行中である」「検討・計画中」「必要だが未検討」と、必要性を認識しているビジネスパーソンの割合は過半数を上回る結果となりました。

しかし、CX向上の取り組みが進行中であると回答した人の割合が約2割に留まっており、CX向上の取り組みは注目を集めている一方で、取り組みに着手できていない企業が多いことがわかります。

*参考 CX(顧客体験)向上、過半数が必要性認識 .日経リサーチ

CXが注目されるようになった背景

CXが注目されるようになった背景

CXが注目されるようになったのは、時代の変化と密接な関係があります。その背景について詳しく説明します。

市場のコモディティ化

一つ目の背景として、商品やサービスの「コモディティ化」があります。インターネットとスマートフォンの普及により、現代の日本は高度な情報化社会となりました。似たような商品やサービスが溢れる時代で、市場競争は激しく、商品やサービスの本来の価値だけでなく、感情や心理といった付加価値を高めることで、競争力を高めるためにCXが注目されるようになりました。

顧客接点の多様化

インターネットやスマートフォンの普及によって変化が起きたのは、企業だけではありません。SNSや口コミサイトなどの利用が当たり前になった今では、企業と顧客の接点が様々で、それぞれの接点が複雑に関係しています。

従来のマスメディアを通じた企業からの一方的な通信ではなく、顧客が商品やサービスの選択に大きく影響するなど、企業と顧客の接点が多様化していることもCXが注目されるようになった背景にあります。

データの収集と分析技術の発展

技術の進歩と普及による恩恵の一つとして、企業が顧客の行動データを集めたり分析がしやすくなったことがあります。マスメディアでは収集できなかった顧客の行動データが、今では収集にかかる時間と手間が大幅に改善されました。いつ、どこで、誰が購入したのか細かい情報が収集できるようになったことから、より顧客のニーズに合った提案が可能になったため、CXに注目が集まるようになりました。

「コト消費」から「トキ消費」へ

一つ目の背景として挙げたコモディティ化の影響もあり、消費者は似たような商品やサービスが溢れる中で「コト」を購入や利用することより、その購入や利用による体験の「トキ」を重要視する傾向があります。

数多い不動産屋さんが並ぶ街で同じ物件を同じ賃貸価格で進められた時に、お店の雰囲気や接待の気持ち良さなどで契約する不動産屋さんを選ぶようなことです。

サブスクリプションビジネスモデルの台頭

技術の進歩はビジネスモデルにも影響を与えています。ものを販売して終わりではなく、継続利用で収益を上げるサブスクリプションビジネスモデルの台頭もCXに注目されている背景の一つです。

音楽や動画の配信や定期的に商品を届けるなどのサービスがこれに当たります。このようなサービスは顧客と良好な関係を築き、離れずに継続して利用してもらうためにCXを高める必要があります。

CXのメリット

CXのメリット

競合との差別化

CXを向上することで、商品やサービスの本来の価値だけではなく、競合と差別化された特別な「体験」を提供することができます。低価格戦略のような消耗的な競争ではなく、付加価値を高める施策であるため、従業員のモチベーションやブランド力の向上にも繋がります。

顧客ロイヤルティの向上

CX向上により得られた体験に満足した顧客は、同じ体験を求めて繰り返し商品やサービスを利用するようになります。繰り返して利用する中で、顧客はリピーターからファンになり、ロイヤルティが向上します。ロイヤルティが高い顧客は解約や競合に移るリスクが低い特徴があるため、安定的な事業成長を実現できます。

ブランド力の向上

CXの向上による競合との差別化や顧客ロイヤルティの向上は、ブランド力の向上にも繋がります。他社の商品やサービスとは違う特別な体験を得た顧客は、リピーターからファンになり、ブランドや企業自体に愛着を持つようになります。ブランド力が向上するとさらに競合と差別化を進めることができる好循環を生みます。

アドボカシーマーケティングの実現

ロイヤルティが高い顧客はアドボケートになりやすく、自らが広告塔になり、周りの人やSNSや口コミサイトで自社の商品やサービスを宣伝してくれます。このようなマーケティング手法をアドボカシーマーケティングといいます。CXを向上し、顧客ロイヤルティを高めることで、顧客が顧客を呼んでくる構図を描きやすくなります。

コスト削減と業績改善

CXを向上することで顧客のロイヤルティ化が進み、アドボカシーマーケティングが実現できると、宣伝費用を抑えられるようになり、コスト削減に繋がります。また、ブランド力が向上すると競合との価格競争を避けることができるため、安定的で中長期的な業績改善に貢献できます。

CXを向上させるためのステップ

CXを向上させるためのステップ

ペルソナの作成

まず自社の顧客を知ることが重要です。ペルソナを作成し、自社がターゲットとしている顧客を明確化することをお勧めします。設定されたペルソナを社内で共通認識として共有することで、CX戦略を考える際に関係者が同じゴールを意識することができます。

カスタマージャーニーマップの作成

CX戦略を考える際に、最も重要なことはカスタマージャーニーマップの作成です。顧客がどのように自社商品やサービスを認知し、購入して利用するか、利用後の顧客はどのような行動を取るか可視化することで、顧客理解が深まります。

現状の課題を明確化

ペルソナとカスタマージャーニーマップを作成したら、現状の顧客層とCXを分析し、乖離があるか確認します。乖離がある場合はボトルネックを洗い出し、課題を明確化することでCXの改善ポイントが見つかります。

KPIの策定

CX戦略を実行する前に、評価基準となるKPIを決めましょう。CXは顧客の感情や心理的な価値を計る施策のため、具体的な数値としての評価基準を明確にすることが重要です。業界や商材によって様々ですが、PV、MAUMRRLTVなどから自社に適切な指標を策定しましょう。

CX戦略とPDCAの実行

顧客像と課題が明確になり、評価軸も定まったら、CX戦略を立てて実行します。CX戦略は実行の後の効果検証と修正、再実行を繰り返すことが重要です。検証の適切なタイミングは商品やサービスによって異なりますが、定期的に評価検証を行い、CX戦略を磨き続けていきましょう。

CX向上のために必要なキーワード

CX向上のために必要なキーワード

顧客体験(CX)の向上に取り組む際によく目にするキーワードの中でも、重要なものを8つまとめて紹介します。

CS(顧客満足度)

上述した通り、CSは顧客の商品やサービスに対する満足度のことを指します。顧客満足度を高めていくことで、結果的に企業の売上や利益が上がっていきます。詳しくは、以下の記事でご確認いただけます。

NPS(Net Promoter Score)

NPSは顧客ロイヤルティを測るための指標の一つです。主に商品やサービスを周りの人にもおすすめできるかを調査します。詳しくは、以下の記事でご確認いただけます。

CES (顧客努力指標) 

CESとは、顧客満足度やロイヤルティを測るための指標です。顧客が目的を達成(問題解決・購入・利用など)するのに要した「手間」や「労力」を評価します。詳しくは、以下の記事でご確認いただけます。

カスタマージャーニー

カスタマージャーニーは、顧客を理解するために必須とも言えます。顧客の行動や思考、感情の変化を時間軸に沿って明らかにし、購入までの意思決定のストーリーを顧客視点でたどる手法を指します。詳しくは、以下の記事でご確認いただけます。

リテンションレート

リテンションレートとは、新規ユーザーのうち、一定期間内にサービスを再び利用したユーザーの割合のことです。サービスの継続率や定着率を表す指標として使われ、安定的な事業成長のためには伸ばしていきたい数値です。詳しくは、以下の記事でご確認いただけます。

LTV(顧客生涯価値)

LTV(Life Time Value)とは、顧客が自社と取引を開始してから終了するまでの期間に、どれだけの利益をもたらしてくれるかを表す指標です。様々な社会背景から、既存顧客からの売上を安定 / 拡大させることの重要性が増す中、注目されています。詳しくは、以下の記事でご確認いただけます。

顧客エンゲージメント

顧客エンゲージメントとは、企業と顧客の関係性の質を表す言葉で、カスタマーエンゲージメントが高い状態は、企業が提供する商品やサービスに顧客が満足しており、良好な関係が構築できていることを意味します。エンゲージメントが高い顧客はLTVも高い傾向があります。詳しくは、以下の記事でご確認いただけます。

F2転換率

F2転換率とは、購入頻度(Frequency)が2回になる顧客の割合を算出します。初回購入をした顧客のうち、2回目の購入につながった顧客の割合で、LTV(顧客生涯価値)の最大化のためには、必ずチェックしたい指標です。

CXが向上した成功事例をご紹介

CX向上にいち早く取り組み、成功している企業の事例をご紹介します。自社の取り組みのヒントが見つかるでしょう。

株式会社LIXIL

建築材料・住宅設備機器を開発、提供する株式会社LIXILの商品の中にマグネット脱着式キャットウォール「猫壁(にゃんぺき)」があります。マグネットで壁にくっつけるタイプなので、既存のキャットウォールと違い、場所を取らず飼い猫に合わせて自由に設置できる利点から猫好きの人に注目されています。コミュニティでは顧客アンケートを実施したり、オフラインイベントで新商品の企画を顧客と一緒に行うなどの施策でCXの向上に取り組んでいます。

株式会社LIXILのCX向上の事例

ベースフード株式会社

完全栄養食の「BASE BREAD®︎」でお馴染みのベースフード株式会社はファンコミュニティを通じて顧客とのコミュニケーションに力を入れ、CXを向上しています。

ファンコミュニティで商品のレシピを顧客同士で共有したり、新商品の企画に顧客の声を反映させています。自分が考えたレシピを顧客同士で楽しめたり、意見が反映された新商品などで顧客ロイヤルティが進んでいるCXの成功事例と言えます。

ベースフード株式会社のCX向上の事例

株式会社バケット

全国で96店舗を展開するベーカリーレストランバケットを運営する株式会社バケットもファンコミュニティを通じてCX向上に取り組んでいます。「お客様の意見第一主義」を掲げ、コミュニティサイトを通じて顧客との距離を縮め、顧客のアイディアを反映した商品開発やアンバサダーマーケティングを実現し、CXを向上しています。

株式会社バケットのCX向上の事例

まとめ

CXの定義や注目されるようになった背景、実施するためのステップや知っておきたいキーワードなどについて説明しました。

CX向上は持続可能で中長期的に安定的な企業成長には欠かせません。そのためには、まず顧客を理解し、顧客の声を聞く必要があります。その手段として、ファンコミュニティをお勧めします。顧客との双方向コミュニケーションにより、顧客理解が深まることに加え、企業側は商品やサービスへの想いや正しい情報を直接伝えることができます。

 

以下のフォームからCommune(コミューン)が提供するファンコミュニティの概要や活用事例資料「3分でわかるCommune」をダウンロードできます。気になる方は、ぜひ一度ご確認くださいませ。

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