日立建機株式会社様

「推し活」が業界の未来を変える。日立建機「重機ファンダム」が第4回 WELLBEING AWARDS グランプリを受賞するまで

「推し活」が業界の未来を変える。日立建機「重機ファンダム」が第4回 WELLBEING AWARDS グランプリを受賞するまで
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「推し活」が業界の未来を変える。日立建機「重機ファンダム」が第4回 WELLBEING AWARDS グランプリを受賞するまで
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  4. 「推し活」が業界の未来を変える。日立建機「重機ファンダム」が第4回 WELLBEING AWARDS グランプリを受賞するまで
2026年3月、第4回 WELLBEING AWARDS(主催:ウェルビーイングアクション実行委員会〈株式会社朝日新聞社ほか〉)活動・アクション部門グランプリを受賞した取り組みがあります。

「ウェルビーイング・アワード」は、あらゆる「商品・サービス」「活動」「組織」の中で、人々が自分らしく、健康に・幸福に生きる社会づくりに特に貢献した事例に光を当て、世の中に広めていくことで、ウェルビーイングな社会を推進する取り組みです。

建設機械・重機の世界最大手メーカーのひとつである日立建機株式会社が運営する「重機ファンダム」は、重機を愛するファンの方々のオンラインコミュニティです。「誰かの『好き』が、誇りに変わり社会を支える」という受賞タイトルが示すとおり、会員約1,500名(2026年5月時点)が集うこのコミュニティは、採用や業界への人材流入、従業員エンゲージメントにまで波及する場として機能し始めています。

本記事では、受賞に至るまでの歩みを、担当者の言葉を交えながら辿っていきます。
日立建機株式会社
・澤田 遊次郎 氏(サステナビリティ本部 サステナビリティ推進部 ERM支援グループ 部長代理(グループリーダ) 兼 ESG推進グループ員)

・猿山 未華 氏(サステナビリティ本部サステナビリティ推進部 ESG推進グループ 主任)

課題

  • 建設業界は慢性的な人手不足。インフラを支える担い手を確保することは社会課題
  • 現場で働く人の43%は「重機が好き」がきっかけで業界に入職。
    一方で、一般の方のうち、愛があるといえるほど重機が好きな人はたった3%
  • 「重機ファン」の存在が社会的に可視化されておらず、現場で働く人が誇りを抱きにくい状況だった

活用方法

  • Communeを基盤に「重機ファンダム」コミュニティを構築・運営
  • 「何かをする場所」ではなく「好きでいられる場所」として、
    同業他社をも歓迎する場として設計
  • 大型オフラインイベント(1回で2,000名規模)+小規模オフ会と、
    オンラインコミュニティを往復させる循環作り

成果/これからの目標

  • 第4回 WELLBEING AWARDS(主催:ウェルビーイングアクション実行委員会
    〈株式会社朝日新聞社ほか〉)活動・アクション部門 グランプリ受賞
  • コミュニティ活動を通じた日立建機への入社3名、他業種から重機オペレータへの転身が生まれ始めた
  • メディア・他社掲載60件(NHK「沼にハマってきいてみた」へのコミュニティメンバーの出演など)

「この熱量を、組織的に増やせたら」

——重機ファンダムを立ち上げたきっかけを教えてください。

澤田氏: きっかけは、社内で行われた一人のお客様の講演でした。「私は35年間日立建機のファンです。オレンジ色の機械以外は買いません。」とおっしゃるほどのファンでした。さらに、「ファンだからあえて言います」とおっしゃったあとに具体的な改善提案までしてくださったんです。講演を聞いて感謝の気持ちが芽生えたと同時に、ファンの方の熱量や対象への深い愛に心が揺さぶられました。このような方を組織的に増やすことができたら、と思い、社内のビジネスコンテストに「日立建機のファンクラブ」という案で提案しました。

——「日立建機のファンクラブ」が「重機ファンダム」へと変わった経緯を教えてください。

澤田氏: ファンの方々に直接会いに行き、最終的には300人以上にインタビューを重ねました。

猿山氏: 会いに行くと、日立建機だけが好きという方よりも、重機全般が好きという方が圧倒的に多いことがわかってきました。ご自宅を見せてもらうと、カラー別(企業別)にミニチュア模型を並べていて。たとえて言うなら、アイドルグループの推し活に近い感覚で——「この子が一番好き」という推しはいるけれど、ほかのメンバーが活動していたらみんなで応援する。重機ファンの世界観も、まさにそれでした。

インタビューと並行して、2,800名超への独自調査も実施しました。そこでわかったのが「43%が重機への憧れが建設業界への入職のきっかけになった」というデータです。建設業界は慢性的な人手不足、インフラを支える担い手を確保することは社会課題です。だとすれば、重機ファンを増やすことが、業界の人手不足を解決できるかもしれない——そういう仮説が生まれました。

——業界横断への転換を後押しした出来事はありましたか?

猿山氏: Communeの導入を決める前に、イベントに参加させてもらい、そこで紹介されていたのが、LIXILさんの猫壁ひろばと、サンマルクさんのバケット広場でした。どちらも「自社製品のファン」ではなく、「猫好き」「パン好き」という共通項で人を集める設計になっていた。

「日立建機のファンクラブにするか、重機ファンのコミュニティにするか」と社内で悩んでいたタイミングだったので、「あ、こんなパターンもあるんだ」と腹落ちしたんです。業界横断に振り切る決断を後押ししてくれた出来事でした。

自社ブランドの看板を外す決断が、年代や職業の垣根を越える場を生んだ

——社内の反応はどうでしたか?

澤田氏: 一番苦労したところです(笑)。コミュニティは複合的に効果が出るものなので、シンプルな損益換算に落とし込みにくい。なので意識的に、業界内外の機関を巻き込みながら実績と空気感をつくる戦略をとりました。業界内での活動を通じてプレゼンスを高め、業界団体の一般社団法人日本建設機械工業会に提案・働きかけをして、1年越しで業界の記念日として「建設機械の日(11月19日)」の制定にも取り組みました。また、ビジョンに共感して頂いた法人・個人も巻き込み、2,000名規模のイベントも開催しました。外部からの注目が社内トップマネジメントの理解を後押しし、「あの活動は、今後の業界の発展のためにも継続させた方がいいんじゃないか」という雰囲気が生まれていきました。

2024年5月に専任で新規事業立ち上げの部門に異動し、同年11月にCommuneを基盤としたオンラインコミュニティがプレオープン。「重機ファンダム」が誕生しました。

——コミュニティの設計で、こだわったことと、現在どんな方が集まっているかを教えてください。

猿山氏: 「B面でつながる」というのをとても大事にしています。一般的には、オフィスで働くホワイトカラーと、オペレータや現場作業員のブルーカラーなど「本業の肩書き」があると、なかなか対等に話せないことも多い。

でもファンとして集う場だと、その心理的なバイアスがなくなっていくんです。第1回のオフ会で、コンサルティング職の方と現場オペレータの方が同じグループで付箋を貼りながらディスカッションしていた。普段だったらまず起こらない光景です。仲良くなれた先に、「みんなで業界課題を一緒に解決したい」という人が増えるはず、という思いで運営しています。

メンバーは、4歳からお仕事を引退された方まで本当に幅広いです。全体の1割ほどが重機オペレータで、6割ほどが業界関係者。部品メーカー・現場監督・設計エンジニアなど、さまざまな立場の方が入ってくれています。女性メンバーも想定以上に多く、「うちの子が重機大好きで」というご家族も来てくれている。重機が好きという共通項だけで、ここまで多様な人たちが同じ場所に集まれるんだな、というのが正直な発見でした。

——オフラインとオンラインの役割分担はどう考えていますか?

澤田氏: 結果として、オフラインを先にやっておいてよかった、というのはすごく思います。大型イベントや小規模なオフ会を重ねてきたことで、熱量の高いファンたちとの信頼関係をオンラインコミュニティ立ち上げ前から作れた。最初から熱量が高い状態でスタートできたのは、オフラインを先行させたことが一つの要因だと思っています。コミュニティサイトを立ち上げてからは、オンラインがイベントとイベントの間をつないでくれる役割を果たしています。

成果:数字と、数字では測れないもの

——第4回 WELLBEING AWARDS グランプリ受賞は、社内外にどんな反響がありましたか?

澤田氏: アワードのグランプリ受賞は相当インパクトが大きかったです。受賞の瞬間をコミュニティに投稿したら、過去一番くらいの勢いでいいねが集まりました。後日、コメント欄に思わぬ書き込みがあって。社長(先崎氏)が初めてコミュニティにコメントしてくださったんです。

「おめでとう! そして、ありがとう。 日立建機 先崎」


連結で従業員数25,000人を超える企業の社長がコミュニティに直接コメントするとは思っていなかったので、コミュニティのメンバーもみんなびっくりしていました。それだけ社内にも伝わっていたんだな、と。

また、受賞前からの累計ですが、NHK「沼にハマってきいてみた」へのコミュニティメンバーの出演をはじめ、メディア・他社掲載は60件に上っています。

——採用・人材面への波及と、社内従業員への変化も教えてください。

猿山氏: まだ「芽が出始めた」段階だというのが正直なところです。コミュニティとの関わりの中で日立建機への入社に至った方が3名、他業種から重機オペレータへ転身された方も2名生まれています。

大学生のころからインタビューに答えてくれて、イベントの手伝いや打ち合わせ同席を繰り返してくれた方がいました。その方がいつしか「日立建機に入りたい」と言い始めて、実際に入社されたんです。

澤田氏: コミュニティが人と企業の接点を生んでいる、という実感があります。当社に限らず、コミュニティを通じて、この業界への入職を希望する人が増えたら嬉しいですね。

社内への波及もたくさんあります。第1回のオフ会に、製品に直接触れることのないバックオフィスの従業員も参加してくれたんですが、翌月曜日に社内で「本当にすごかった」と話してくれていた。ファンの方と実際に交流して、自分たちの仕事の社会的な意義を見出して、そこから生き生きと働いているというエピソードがたくさんあります。

猿山氏: ファンの方がイベントに来てくれることで従業員のモチベーションが上がる。従業員がイベントに来てくれることで、ファンの方も喜ぶ。そういう好循環が生まれているのは、コミュニティの大きな価値だと思います。

——正に、顧客体験(CX)と従業員体験(EX)の両輪が回る場になっていますね。他にも印象的なエピソードがあれば教えてください。

猿山氏: 私が一番嬉しかったのは、本社の廊下を歩いていたときのことです。全然知らない他部署の方に突然声をかけられて、「重機ファンダムの活動、業界に絶対必要なことだと思っています、頑張ってください」と言われて、去っていったんです。同じ会社でも、顔見知りでもなく部署も異なる従業員同士って、普段そこまで声をかけ合わないじゃないですか。それがすごく嬉しかったです。

澤田氏: 中学1年生の男の子のエピソードは今でも鮮明に覚えています。第1回のオフ会に参加した方がSNSに上げた二次元コードを見つけて、それを読み込んでコミュニティに入ってきたんです。参加した人にしか配っていない二次元コードのはずが、なぜかアンケートに回答している。コンタクトしてみたら、中学生でした。

その後、イベントで大勢の前でスピーチする機会が何度かあり、緊張しながらも、自分の重機への「好き」を語ってくれた。お母さんから「人前で話すのが苦手だったのに、重機ファンダムに出会って、この1年ですごく成長した」と言っていただいたとき、こういう価値もあるんだなと、私自身もグッときました。

Communeを選んで、よかったこと

——コミュニティ運営を始めて2年間ほど。我々のご支援を振り返っていかがですか?

猿山氏: 正直「どこから始めたらいいの?」というところからのスタートでした。最初のオンボーディングから、信頼関係をどう築いていくか、どうやって体験価値を届けるか——サイトを作るところを通じて、一緒に考えていただけた。これは本当に良かったです。

運営が進む中で、他のコミュニティ運営者との関係も一段深いものになりました。夏に開催されていたPORT(コミューンが主催するユーザー向けカンファレンス)に行ってみたら、自分たちと同じように格闘している人たちがたくさんいたんです。その後も、コミューンさんのオフィスで開かれるオフ会などにちょこちょこ参加させてもらっていて、「あるある」が共有できる場が常にある、という感覚があります。

澤田氏: 運用面の伴走もすごくありがたいんですよね。「これ、やらなきゃいけないな」「ちょっと困っているな」というタイミングで、ちょっと先回りした感じでご提案いただける。プロダクト自体もそうですけれども、運用面も含めて、非常にありがたくご支援いただいています。

猿山氏: 正直、導入を決めたときは「コミュニティを運営するためのシステムを選んだ」つもりだったんです。でも振り返ってみると、それだけじゃなかったな、と。ツールではなく、そこにいる運営者たちの場ごと選んでいた——それが、いま一番の安心材料になっています。

コミュニティ運営って、社内に経験者がほとんどいない領域なんですよね。そんなときに、社外に「同じことで悩んでいる仲間」がいて、いつでも相談できる場があるというのは大きな価値だと思います。

コミューンから見た、重機ファンダムの凄さ

重機ファンダムの支援を担当するコミューンの小林に、客観的な視点での意見を聞いた。

——以前「日本の伝統工芸の再発見に近い」という表現をされていましたね。支援者の立場から、重機ファンダムの凄さをどう表現しますか?

小林: 一番素晴らしいと感じているのが、「日立建機さんが好き」ということを前提にしていない、懐の深さのようなものです。重機が好きという共通言語で、さまざまな立場・業種・年齢の人が対等に話せる場所を作っている。もし「日立建機のブランドをより認知させるために」という目的が先に立っていたら、今あるような状態には絶対にたどり着けなかったと思うんですよね。

伝統工芸って、誰かが「もう一回見つけ直して」「その産業や働く人にフォーカスして」「そこに刻まれていた文化や伝承を広げていく」ことで初めて次の世代に届く。重機ファンダムがやっていることって、まさにそれだなと。重機が好きというカルチャーの発見と伝承——こういうカルチャー、日本に今までなかったんですよね。

個人的には、本当にマンガにしたいんです(笑)。マンガやドラマにして、「重機を扱う人ってかっこいいな」「重機をデザインしたいな」、そういう気持ちが広がれば、結果的に産業の担い手が生まれていく。そんなコミュニティのプラットフォームとして関わらせていただいているのは、本当にありがたいと思っています。

重機ファンダムの先に描く未来

——重機ファンダムをこれからどう育てていきたいですか?

澤田氏: 目標のひとつは、街ゆく人にインタビューした時に、6〜7割が「重機ファンっていますよね」と答えてくれる状態にすること。鉄道ファンはもうそういう存在ですよね。重機もそこまで行けたら、ビジョンが実現できている状態になっていると思います。

猿山氏: 重機に限らず、縁の下の力持ちとなっている産業には必ずファンがいる。そういう産業で同じようなムーブメントが起きると、日本全体がもっと優しくなるんじゃないかと思っています。実は「B面でつながる」という発想自体は、重機でなくても良かったんです。釣りが好きでも、キャンプが好きでも、なんでも良かった。今回は、重機が好きというトリガーがちょうどハマった。だからこそ、同じ発想が他の産業でも広がっていけばいいなと思っています。重機ファンダムは、その一つの実験台であり、先例になれたらと思います。

▲イベント終了後、コミュニティメンバーの皆さんと

これからコミュニティを始める方へ

澤田氏: 共通して言えるのは、長期的な視点で関係性づくり、社会関係資本というストックを作るのは、コミュニティしかないんじゃないかな、ということです。短期的に売上を上げるという意味では他にも選択肢はある。けれど、一度コミュニティができれば、人と人のつながりやシナジーから生まれる価値が社会やステークホルダーに何倍にもなってもたらされる。社会の持続的な成長も見据えた自社の中長期の事業戦略の中で、どこに位置づけられるかを最初に整理することは大事だと思います。

猿山氏: みんなが悩むところは同じで、「これってKPIはなんですか」「どこの事業のためなんですか」と。そこで大事なのが目的の置き方です。私たちは「社会のためにやっています、自社のためじゃないです」という目的をトップに置き、その下に「深堀りしていくと、こんないいことがありますよ」と説明しました。

目的をどこに置くかさえ間違えなければ、コミュニティはやって損のない取り組みだと思っています。あとは、運営する側がどれだけエネルギーをかけられるか、仲間をどれだけ集められるか、そして本人が楽しめるか。それが大事かなと思います。

——事業や業界の進む先を長い目で見ること、ファンの声にまっすぐ耳を傾けること、どちらもとても重要ですが、いざ取り組もうとすると難しさもありますよね。その難しさに対し、お二人が熱意を持って取り組んでいる姿勢がとても印象的でした。本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました!

コミュニティ運用、お困りではありませんか?

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お困りではありませんか?

  • 顧客の声やインサイトを拾いたいが、やり方がわからない
  • そもそもコミュニティ構築が難しい、うまく設定できない
  • コミュニティを作ったものの、うまく活性化できない
  • 担当者の感覚や属人的な対応に頼りがち etc..

Communeは専門家による手厚い支援で、戦略から運用までを伴走。
豊富な経験を持つ専任チームが、戦略設計からKPI設定、運営実務の代行まで一貫サポート。
成果につながるコミュニティ運営を実現します。

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