コラム
マーケティング
情報回遊時代の購買行動モデル「SEAMS®」をコミュニティ研究家の視点で解説
更新日:2026/06/08
マーケティングでお困りの方へ
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施策は実行している。CSにも取り組んでいる。
それでも、どこか噛み合わない。
その違和感は、顧客との関係性が
積み上がっていないことかもしれません。
顧客との関係性を「面」として設計するために、
コミュニティという選択肢を検討しませんか?
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それでも、どこか噛み合わない。
その違和感は、顧客との関係性が
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顧客との関係性を「面」として設計するために、
コミュニティという選択肢を検討しませんか?
目次
カスタマージャーニーを綿密に描いたとしても、現実の顧客はその通りに動いてくれるわけではありません。消費者を取り巻く環境は日に日に変化し、情報収集から購買に至るまでのプロセスも従来の常識とは大きく様変わりしているようです。
例えば、2023年の調査では日本人(15~79歳)の95%がスマートフォンを所有し、85%がInstagramやTikTokなど何らかのSNSを利用していると報告されています。誰もが常にネットに接続し、欲しい情報を好きなときに入手できる時代となったのです。企業から一方的に発信される広告だけでなく、SNS上の個人の発信やコミュニティで交わされる声が、消費者の購買判断に強い影響を与えるようになりました。
事実、ある調査によれば熱心なファンによる製品レビューは、企業の広告・PRよりも信頼されやすい傾向があります。今や消費者は、自分で検索して比較検討する「計画的な購買」だけでなく、ふと目に入った情報から思わず買ってしまうような「偶発的な購買」を当たり前のように経験するようになっています。
こうした「情報回遊」とも呼ばれる新しい購買行動様式では、欲しいものを探していない時でさえ、自分に合った商品情報に偶然出会い、その場で一目惚れしてしまうことがあります。この変化を捉え、電通はマーケティングの新たな視点を提供する購買行動モデルとして「SEAMS®(シームズ)」を提唱しました。
これはデジタル上での回遊(サーフィン)を起点にした衝動買い行動を5つのステップで説明するフレームワークです。本記事では、このSEAMSモデルをコミュニティ研究家の視点で解説し、企業のコミュニティ戦略においてどのように活用できるのかを考察していきます。
それではいきましょう!
新たな購買行動モデル「SEAMS®」とは
SEAMS®モデルは、Surf(回遊)・Encounter(遭遇)・Accept(受容)・Motivation(高揚)・Share(共有)の頭文字を取った5つのステップから成ります。電通が2024年に提唱したこのモデルは、デジタル上の「サーフィン」(情報回遊)によって生まれる衝動買い行動を体系立てたフレームワークです。従来のAISASモデルが検索(Search)を軸にした比較検討型の購買行動を説明したように、SEAMSモデルはSNS上での回遊(Surf)を起点とする偶発的な購買行動を説明するものだとされています。
この記事もご参考にどうぞ。
SEAMSモデルでは、まず消費者がSNSやオンラインコミュニティ上で興味の赴くまま情報を回遊し、ある投稿との偶然の遭遇(Encounter)によって商品に強い興味を抱きます。そこで「この人が言うなら試してみよう」という人起点の信頼が後押しとなり商品を受容(Accept)し、スマホ上でそのまま衝動的に購買に至ります。購入後、商品やブランドから得られた満足感によって顧客は高揚感(Motivation)を覚え、その体験を周囲に共有(Share)し始めます。
以下では、この5ステップそれぞれについて具体的に見ていきましょう。
①Surf(回遊):アルゴリズムに導かれる情報サーフィン
「Surf(回遊)」は、目的もなくSNSなどで情報を眺め続けるフェーズです。従来「ネットサーフィン」というとWeb上のリンクを辿ってあちこちのサイトを渡り歩く行為を指しましたが、SEAMSモデルにおけるサーフィンとは特定のSNS上で自分好みのコンテンツをひたすらスクロールし続けることを意味します。
近年はレコメンドアルゴリズムの高度化により、ユーザーの興味にマッチした情報が次々と提供されるため、消費者はまさに「いい波」に乗ったように際限なくコンテンツを回遊してしまいます。スマホを手に、なんとなく「面白いことや新しいモノはないかな」という漠然とした気持ちでSNSやコミュニティを彷徨っているうちに、全く知らなかった商品に関する投稿と偶然に出会い、一瞬で強く惹きつけられてしまう。
そんなことが現実に起こるのです。そして、このような運命的な出会いこそが次の「遭遇」ステップへの入り口となります。
②Encounter(遭遇):偶然の出会いが生む衝動的興味
「遭遇」とは、情報回遊中に偶発的に訪れる商品との出会いです。それまで存在すら知らなかった商品の投稿を目にした瞬間、思わず「なんだこれは!」と心を奪われます。
ここで重要になるのが、その投稿を発信している「人」の存在です。偶然目にした投稿に強く惹きつけられた際、「あの人が語っているから」という人起点の信頼が働き、ユーザーは商品情報をすっと受け入れることがあります。広告ではなく身近なインフルエンサーやコミュニティ内の尊敬するメンバーの言葉だからこそ、未知の商品への心理的ハードルが一気に下がるのです。
その結果、投稿を見てから購入までのリードタイムは驚くほど短く、文字通り“一目惚れ”から数クリックで買ってしまうという衝動買いが現実のものとなります。こうして生まれた購買意欲は、次の「受容」という段階で実際のアクションに移されます。
③Accept(受容):信頼による購入意思決定
受容のフェーズでは、遭遇した商品を「買う」と心に決め、実際に購買行動に移ります。言い換えれば、ここでユーザーは衝動的な購入を受け入れ、見知らぬ商品を自分の生活に迎える決断を下すのです。
もちろん、それは比較検討を経ないぶんユーザーにとって一種の賭けであり、リスクでもあります。しかし信頼に背中を押されて思い切って購入した商品が期待通り、あるいは期待以上であれば大きな満足感と高揚感につながります。「試しに買ってみた〇〇が想像以上に良かった!」という経験は誰しもあるでしょう。
SEAMSモデルでは、まさにそのポジティブな感情の高まりを次の「高揚」ステップで捉えています。
④Motivation(高揚):熱狂的な満足感と愛着の芽生え
商品を手にした顧客に訪れるのが「高揚」のステップです。衝動買いした商品が期待以上であれば、「買ってよかった!」という喜びを味わうことができます。多くのD2Cブランド(例えばファッションやコスメ)では生産数をあえて絞り込み、入手困難な状態にすることで入手時の喜びをいっそう高める手法も取られています。
こうして商品に対する満足度と愛着が極めて高まった顧客は、「熱心なファン」と呼べる存在になります。その熱量は次の「共有」フェーズで、周囲への積極的な情報発信という形で表面化していきます。
⑤Share(共有):ファンによる発信が信頼を伝播する
感動を覚えた顧客は、その体験を誰かと共有したくなります。SEAMSモデルの最後のステップである「共有」では、商品購入者が自ら情報発信者となり、熱量のこもった口コミやレビューを世の中に送り出します。
もっとも、現代のSNSは自己表現の場でもあるため、人々は何でもかんでも投稿するわけではありません。心から良いと思ったものだけを厳選して共有する傾向があり、そのハードルはむしろ以前より上がっているのです。だからこそ、一度共有された情報の価値は飛躍的に高まります。
強いモチベーションに突き動かされたファンの投稿は、その商品に共感や信頼の輪を広げていく原動力になります。こうしたファン発の情報を受け取った他の生活者が、新たにその商品と「遭遇」して興味を持つ可能性もあるでしょう。つまり、共有された情報が次の誰かの購買行動を生み出し、信頼を軸とした好循環が生まれていくのです。
SEAMSモデルを企業コミュニティで活用する
企業が運営する顧客向けのコミュニティ内でも、SEAMSモデルのエッセンスを活かすことを考えてみましょう。コミュニティではSEAMSモデルは以下のように翻訳できます。
回遊(Surf)段階
メンバーがコミュニティ内を積極的に回遊したくなるような環境づくりが重要です。具体的には、ユーザー同士の投稿やQ&A、コンテンツが豊富に蓄積されたプラットフォームを用意し、興味に応じてコンテンツを渡り歩ける導線を整えます。タグ機能やレコメンド機能を活用して、「自分に合った情報」が次々と表示される仕組みを取り入れるのも有効でしょう。メンバーがふと時間ができたときについコミュニティを開いてしまう。そんな習慣を促せれば理想的です。
遭遇(Encounter)段階
コミュニティ内でメンバー同士が商品やサービスについて偶発的に出会える機会を最大化します。例えば、あるメンバーが商品の体験談やレビューを投稿し、それを別のメンバーが目にする仕掛けを促進します。UGC(ユーザー生成コンテンツ)を積極的に収集・紹介したり、コミュニティ内でインフルエンサー的な存在(製品に詳しい熱心なメンバーや社員)に情報発信してもらったりするのも有効です。ポイントは、企業からの一方通行の発信ではなく、「メンバー発のリアルな声」が目立つ場を作ることです。そうした信頼性の高い投稿こそが、他のメンバーにとっての次の「遭遇」を生み出します。
受容(Accept)段階
メンバーが「その商品を買ってみよう」と思った瞬間にスムーズに行動に移せるよう、環境とサポートを整えます。コミュニティとECサイトを連携させてワンクリックで商品ページに遷移できるようにしたり、購入を後押しするクーポンや無料サンプル提供などのインセンティブを用意したりする施策が考えられます。また、コミュニティ内で生まれた疑問や不安には運営側や他のメンバーが迅速に回答し、購入への背中をそっと押してあげることも大切です。信頼関係が醸成されたコミュニティだからこそ、「思い切って試してみる」という衝動的な決断が促されやすくなります。
高揚(Motivation)段階
商品を購入したメンバーが感じる高揚感を、企業側も一緒に盛り上げます。具体的には、購入者向けの限定コミュニティや称号(バッジ)を用意して特別感を演出したり、購入後の感想を共有し合うスレッドを設けて「良い買い物をした」というポジティブな気持ちをみんなで味わえるようにします。メンバーが投稿してくれた喜びの声には企業も積極的に「いいね」や返信をして称賛し、ブランドと顧客の一体感を高めましょう。こうした働きかけにより、一度生まれた高揚感をより長く持続させ、メンバーのブランドに対する愛着を一層深めることができます。
共有(Share)段階
コミュニティは、ファンによる自主的な情報共有をさらに促進する舞台となります。メンバーが商品について投稿しやすい雰囲気を作り、優れた投稿には他のメンバーや企業から感謝や称賛が集まる仕組みを整えましょう(例えば、役立つレビューを月次で表彰する等)。こうすることで、「誰かの役に立ちたい」「みんなにこの良さを知ってほしい」というファン心理を後押しできます。また、メンバーが発信した有益なUGCはコミュニティ内に留めず、企業のSNS公式アカウントで紹介したりオウンドメディアの記事で引用したりすると良いでしょう。ファン発の信頼性の高い情報を社外にも拡散することで、新規顧客との接点を生み出し、信頼を起点としたマーケティングの裾野が広がっていきます。
おわりに
情報過多な現代において、偶然の出会いと信頼を起点とする購買行動モデル「SEAMS®」は、企業と顧客の関係づくりに新たな示唆を与えてくれます。
ポイントは、単に商品を売るのではなく、顧客との間に信頼を軸とした好循環を生み出すことです。
コミュニティを通じて生まれた信頼は、新たな衝動的購買を呼び、熱狂した顧客はさらに周囲へ信頼の輪を広げてくれるでしょう。その結果、顧客が企業の「ファン」となり、さらには共にブランドの未来を創る「パートナー」へと関係性が深まっていくのです。
皆さんの会社では、顧客との間にこのような信頼の循環を築けているでしょうか。そして、その貴重な資産をこれからどのように育んでいこうとお考えでしょうか。この記事の内容が、その問いを考える一助となれば幸いです。
マーケティングでお困りの方へ
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施策は実行している。CSにも取り組んでいる。
それでも、どこか噛み合わない。
その違和感は、顧客との関係性が
積み上がっていないことかもしれません。
顧客との関係性を「面」として設計するために、
コミュニティという選択肢を検討しませんか?
施策は実行している。CSにも取り組んでいる。
それでも、どこか噛み合わない。
その違和感は、顧客との関係性が
積み上がっていないことかもしれません。
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