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企業の離職率が高い原因とは?離職率を改善する方法を徹底解説
2025/01/14

近年では、深刻化する人手不足や雇用の流動化などにより、企業の人材確保が喫緊の課題となっています。そこで大きな注目を集めているのが「離職率」です。自社の離職率が高い場合は、その原因を見極めて対策することが大切です。そこで本記事では、離職率が高い原因とその対処法について詳しく解説します。
目次
- 企業の離職率が高い原因・理由
- 業務内容に不満がある
- 給与水準が十分ではない
- 残業が多く労働時間が長い
- 人事評価が適切に行われていない
- 人材育成やフォローの体制が不十分
- 職場環境や人間関係が悪化している
- 社内コミュニケーションが希薄な状態

そもそも「離職率」とは?

まずは離職率について、次のポイントから見ていきましょう。
- 一定期間内に発生した離職者の割合が「離職率」
- 企業の離職率を算出するための計算式
- 2023年度の離職率の平均値は15.4%
- 新卒就職者の離職率はさらに高い
一定期間内に発生した離職者の割合が「離職率」
「離職率」とは、一定期間内に発生した離職者の割合を指します。厚生労働省が発表した「令和5年雇用動向調査結果の概要」の「用語の定義」によると、常用労働者のうち調査対象期間中に事業所を退職したり解雇された人が、「離職者」として定義されています。
その離職者が常用労働者数に占める割合が「離職率」です。なお離職率の算出期間は、期初から期末までの1年間を対象とすることが一般的です。
企業の離職率を算出するための計算式
前述したように、企業の離職率とは常用労働者数に対する離職者の割合を指すため、次の計算式で算出できます。
離職率 = 離職者数 ÷ 1月1日現在の常用労働者数 × 100
例えば、常用労働者数が80人で年間の離職者が2名だった場合は、「2÷80×100=2.5」という計算式で離職率は2%となります。
2023年度の離職率の平均値は15.4%
厚生労働省の「令和5年 雇用動向調査結果の概要」によると、全産業の平均離職率は15.4%となっており、ここ10年間はおおむね14~16%の間で推移しています。業界別の平均離職率を高い順に並べ替えた表は次のとおりなので、自社の離職率が高いかどうかを判断する際の検討材料にご活用ください。

「生活関連サービス業・娯楽業」「宿泊業・飲食サービス業」「その他のサービス業」といったサービス業は、個人消費者を対象とすることから労働時間が長くなりやすく、離職率が高い傾向があると考えられます。
新卒就職者の離職率はさらに高い
近年では、新卒採用の「3年以内離職率」が高いことも注目されています。厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)を公表します」によると、最終学歴別の新卒採用者の3年以内離職率は次のとおりです。

また、事業者の規模が小さいほど新規就職者の3年以内離職率が高まる傾向にあります。3年以内離職率が高いことで、採用活動や新人教育に費やすコストが増大するなど、さまざまなデメリットが生じてしまいます。
企業の離職率が高い原因・理由

企業の離職率が高い原因として、次のようなものが考えられます。
- 業務内容に不満がある
- 給与水準が十分ではない
- 残業が多く労働時間が長い
- 人事評価が適切に行われていない
- 人材育成やフォローの体制が不十分
- 職場環境や人間関係が悪化している
- 社内コミュニケーションが希薄な状態
業務内容に不満がある
割り当てられている業務が、本来やりたいものや適性に合うものとかけ離れている場合は、従業員のモチベーションが低下してしまいます。そのまま自分に合わない仕事を続けるよりは、他に活躍できる場所を見つけたくなるでしょう。業務内容に不満がある場合、特に若い従業員ほど離職につながりやすい傾向があります。
給与水準が十分ではない
給与水準は業務内容や労働時間に合ったものが好ましいですが、それより低い場合は従業員が不満を感じやすくなります。また、自社の給与水準が同業他社と比べて低い場合も、従業員が他社への転職を考える可能性が高まります。近年では急激な物価上昇が続いているため、なおさら給与水準に不満を感じやすいのです。
残業が多く労働時間が長い
長時間労働や休日出勤が常態化していると、従業員の心身が疲弊して健康が損なわれてしまいます。近年ではワークライフバランス、つまり仕事と生活の調和を重視する労働者が増えており、若い世代ほどその傾向が強いです。さらに、給与水準が同水準または不十分な場合は、なおさら私生活を充実させやすい他社へ人材が流出しやすくなるでしょう。
人事評価が適切に行われていない
人事評価が適切に行われず、従業員が「自分の働きや能力が認められていない」と感じると、モチベーションが低下してしまいます。人事評価は給与やポジションなど、待遇に直結することなので、従業員にとっては離職を考える際の重要な要素です。
しかし、例えば上司の主観的で具体的根拠のない評価など、従業員の成果や努力が適切に反映されない人事評価が行われると、企業への失望から「正しく認めてくれる企業への転職」を考えるようになります。
人材育成やフォローの体制が不十分
人材育成やフォロー体制が不十分な場合は、業務に必要な知識やスキルがない状態で業務に取り組まないといけないため、従業員が十分なパフォーマンスを発揮できないことが増え、将来への不安も大きくなるでしょう。また企業側も人材活用が上手くできないため、全体的なパフォーマンスが悪化して企業収益にも悪影響が出ます。
職場環境や人間関係が悪化している
職場が健全な人間関係を築きにくい雰囲気や文化だと、従業員が職場で「働きづらさ」や「居づらさ」を感じやすくなります。上司や同僚との連携や信頼が希薄になり、職場で孤立感やストレスを感じるようになると、出勤しづらくなり休職や転職につながります。
ちなみに、厚生労働省の「令和5年 雇用動向調査結果の概要」によると、「職場の人間関係が好ましくなかった」と答えた人が男性は9.1%・女性は13.0%で、主要な個人的理由の中で最も多くなりました。このことから、職場の人間関係は離職率が高い大きな要因になるといえるでしょう。
社内コミュニケーションが希薄な状態
そもそもなぜ職場の人間関係が悪化するのかというと、コミュニケーション不足が大きな要因として考えられています。上司との信頼関係や同僚との連携は、日々のコミュニケーションによって深まっていきます。
業務に関する事柄だけではなく、日常の何気ない雑談も従業員同士の関係構築に欠かせません。しかし、社内にコミュニケーションを重んじる風土や機会がなければ、コミュニケーションロスで従業員の人間関係の溝が深まり、従業員の離職につながるでしょう。
企業の離職率が高いことで生じる問題・デメリット

企業の離職率が高いことで、次のような問題やデメリットが生じやすくなると考えられます。
- 採用・教育コストが増大する
- 業務効率が低下する
- 人材育成が進まない
- 労働環境が悪化する
- 企業イメージが低下する
- 企業の採用力が低下する
採用・教育コストが増大する
厚生労働省が発表した「採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査 報告書」によると、正社員を1人採用するコストは平均85.1万円となっています。さらに、新卒採用・中途採用に関わらず行われる入社後教育(研修)にも相当のコストがかかります。
しかし、離職率が高いと頻繁に従業員を採用する必要があるため、そのたびに採用・教育のコストがかかってしまい、企業の収益にも悪影響が出かねません。
業務効率が低下する
離職率が高いことで業務の担当者が頻繁に変わり、そのたびに引き継ぎや業務手順の調整などが必要になります。さらに、新しい担当者が業務に慣れるまでには一定の時間がかかるため、それまでチームや部門、ひいては全社的な業務パフォーマンスが低下してしまいます。
従業員の入れ替わりが激しければ、それだけ業務効率の低下も深刻になり、企業収益の悪化も懸念されるでしょう。
人材育成が進まない
離職率が高いということは、定着率が低いことを意味し、自社で働き続ける人材が少なくなります。言い換えれば、自社のなかで「リーダー」となって部署やチームを率いるような、企業の成長に欠かせない人材が育たないということです。
組織に安定感がなくなるため、部下が不安や不満を感じやすくなり、業務効率の低下やさらなる離職という悪循環に陥ってしまうでしょう。
労働環境が悪化する
離職率が高い職場は、いわば慢性的な人手不足・人材不足に陥っているため、各従業員の業務負担が大きい傾向があります。その結果として残業や休日出勤が常態化しやすく、モチベーションの低下から、さらに離職が増えてしまうという悪循環に陥ってしまいます。
企業イメージが低下する
離職率が高い企業は、「職場環境や待遇が悪い」というイメージを社会から受けやすくなります。近年では、いわゆる「ブラック企業」への関心が高まっており、働きづらい企業はSNSやブログなどで悪いクチコミが拡散されてしまう恐れがあります。
企業の採用力が低下する
「働きやすい職場」を求める労働者は増加傾向にあり、従業員目線からの企業イメージが重要視されています。前述したように、離職率が高い企業は何らかの課題を抱えていることには間違いないため、採用活動を行っても求職者から避けられる可能性が高くなります。その結果として企業の採用力が低下し、高い離職率と相まって人材確保が非常に難しくなるでしょう。
高い離職率を改善する方法

高い離職率を改善する方法として、次のようなものが挙げられます。
- 業務効率を改善する
- 人事評価制度を見直す
- メンター制度を導入する
- 人員配置のミスマッチを減らす
- ワークライフバランスを改善する
- 社内コミュニケーションを活性化させる
- 社内SNSなどのツールを導入する
業務効率を改善する
前述したように、離職率が高い原因のひとつに「長時間労働」があります。人手不足で従業員の業務負荷が大きい場合は、ITシステムやツールを導入すると業務を効率化できる可能性があります。例えば、書類作成のデジタル化やルーティンワークの自動化を図ることで、従業員の労働時間を短縮できるでしょう。
人事評価制度を見直す
公正公平で納得感のある人事評価制度の導入は、高い離職率を改善するために必須といえます。上司の好き嫌いや先入観ではなく、客観的で具体的な観点から人事評価を行うことが大切です。例えば、上司だけではなく同僚や部下など複数の評価者を置く「360度評価」は、客観的な人事評価を実現しやすいのでおすすめです。
メンター制度を導入する
従業員の教育やフォロー体制を改善するためには、「メンター制度」の導入がおすすめです。メンター制度は、新入社員と年齢や社歴が比較的近い先輩従業員が、新入社員を教育する手法です。
何でも相談できる相談役(メンター)が付くことで、従業員は安心して仕事に取り組むことができます。そのほかにも、上司と部下が定期的に1対1の面談を行う「1on1ミーティング」も、上司と部下の関係を醸成しやすいので効果的です。
人員配置のミスマッチを減らす
仕事内容への不満が原因となる離職を防ぐためには、人員配置のミスマッチを減らすことも大切です。例えば採用時に、自社が求める人材像の説明や業務内容や条件について、過不足なく伝えることで、自社業務に適した人材を採用しやすくなります。
また、前述したように人事評価制度を改善することで、従業員の能力や適性を正しく把握できるようになると、人員配置の最適化も行いやすくなるでしょう。
ワークライフバランスを改善する
ワークライフバランスを重視する労働者が増えているため、労働時間・勤務形態・労働場所などを柔軟にするのもおすすめです。例えば、時短勤務やフレックスタイム制度を導入すると、従業員が働く時間帯を選べるため、仕事と私生活のバランスを保ちやすくなります。
またテレワークの導入では、通勤やラッシュアワーのストレスを省けるため、従業員が心身の健康やゆとりを保ちやすくなるでしょう。
社内コミュニケーションを活性化させる
職場の人間関係は離職の主要要因であるため、社内コミュニケーションの活性化による従業員同士の関係醸成も欠かせません。例えば、座席を固定しない「フリーアドレス制度」や定期的な「社内交流イベント」の実施、社内SNSの導入などが効果的です。
上司や同僚はもちろん、他部署の従業員も巻き込んだ積極的な交流が生まれることで、職場の風通しが良くなります。その結果、従業員エンゲージメントが向上して、離職を考える従業員を減らすことができるでしょう。
社内SNSなどのツールを導入する
「社内SNS」とは、従業員が利用できるSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)のことです。社内SNSには、X(旧Twitter)やInstagramなどの一般的なSNSのように、従業員同士で気軽に交流しやすい環境が整っています。
そのため、社内SNSはチャットツールやグループウェアとは異なり、ビジネス色を抑えて気軽にコミュニケーションが取れることが魅力です。社内SNSを導入することで、社内コミュニケーションの活性化が期待できるでしょう。
離職率の改善には社内SNS「Commune for Work」がおすすめ

自社の離職率が高い場合は、業務内容や労働時間、職場環境などさまざまな原因が考えられます。なかでも社内コミュニケーションの不足は、離職の代表的な原因となっています。そのため、高い離職率を改善するためには、社内コミュニケーションの活性化が効果的です。
社内コミュニケーションを活性化させる施策のひとつとして、社内SNS「Commune for Work」の導入がおすすめです。Commune for Workには、社内SNSとして必要な機能が網羅されています。社内コミュニケーションの活性化はもちろん、従業員エンゲージメントの向上や人材育成効果の最大化も実現でき、高い離職率を改善できるでしょう。この機会にぜひ、Commune for Workの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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