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日本の離職率の平均は?高くなる原因や改善する方法を紹介

2024/04/08

日本の離職率の平均は?高くなる原因や改善する方法を紹介

近年、労働人口の減少や働き方の多様化などに伴って、企業の離職率が注目されています。離職率が高くなるのは給与や労働時間、職場の人間関係などが主な原因です。この記事では、離職率の平均や高くなる原因、改善する方法を紹介しています。


近年、労働人口の減少や働き方の多様化などに伴って、企業の離職率が注目されています。就職活動中の人の多くは、企業や業界の離職率を重要な指標の一つとして考えており、企業としても重要視せざるを得ません。離職率が高い企業は原因を究明し、早期に解決する必要があるでしょう。

この記事では、日本企業の離職率の平均や高くなる原因、そして離職率を改善するための方法について紹介します。離職率が注目されている背景や、業界別離職率などについても詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

離職率とは


離職率とは、企業や組織における従業員の離職者数の割合を示す指標です。

厚生労働省の定義によると、離職率は常用労働者数に対する離職者数の割合を指します。この指標は、企業の雇用状況や労働環境の健全性を評価する上で重要な役割を果たします。高い離職率は、従業員の満足度や定着率の低さを示唆し、生産性の低下や人材採用コストの増加など、さまざまな課題につながりかねないため、早期の解決が必要です。以下では、離職率についてより詳しく解説します。

参考:厚生労働省|-令和4年雇用動向調査結果の概況-

離職率の算出方法

厚生労働省の定義によると、離職率は以下の式により算出できます。

・離職率 = (離職者数 ÷ 常用労働者数) × 100

なお、常用労働者数とは、次のいずれかに該当する労働者を指します。

  1. 期間を定めずに雇われている者
  2. 1か月以上の期間を定めて雇われている者

この指標は、一定期間内に企業を離れた従業員の割合を表し、企業の労働力の安定性や従業員の定着状況を評価するために用いられます。離職率が高いほど、従業員の入れ替わりが激しく、人材の定着に課題があることを示唆しているといえるでしょう。

離職と退職との違い

離職と退職は、ともに職を離れることを意味しますが、その範囲と意味合いに違いがあります。離職は、自己都合や会社都合に関わらず、退職や失業などによって職を離れることを指し、公務員法では免職や失職も含まれます。また、ハローワーク(公共職業安定所)などの公的機関では、「離職」がよく用いられるでしょう。

一方、退職とは労働契約を解消し、仕事を退くという行為自体のことです。退職は自発的に会社を辞める場合に使われ、懲戒解雇のような場合には使われません。

日本企業の平均離職率は15%

以下では、日本企業の平均離職率について、日本企業全体や新卒のみの統計、理由別などにわけて紹介します。

日本企業全体の離職率

厚生労働省の令和4年雇用動向調査結果の概況によると、日本企業全体の令和4年度の入職率は15.2%、離職率は15.0%です。令和3年度から令和4年度にかけて、13.9%から15.0%へと1.1ポイント上昇しています。以下、ここ数年の離職率の推移です。

厚生労働省|-令和4年雇用動向調査結果の概況-
出典: 厚生労働省|-令和4年雇用動向調査結果の概況-

ここ数年の傾向を見ると、リーマンショック後の平成21年(2009年)に離職率が急上昇し、その後は14%台後半から15%台前半で推移していることが分かります。直近の令和4年(2022年)の離職率は、コロナ禍からの経済回復に伴い、転職市場が活発化したことが影響していると考えられます。

新卒の離職率

厚生労働省の調査によると、令和2年3月に卒業した新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率は、中学で52.3%、高校で37.0%、短大等で42.6%、大学で32.3%でした。

一般的に新卒の離職率は「七五三現象」(新卒で就職して3年以内に早期離職する割合が、中卒で7割、高卒で5割、大卒で3割)の傾向に近くなるといわれています。近年、この「七五三現象」は改善傾向が見られるものの、今回の調査結果を見ると、依然として高い離職率を示しています。

事業所規模別の離職率を見ると、規模が小さいほど離職率が高くなる傾向があるようです。新卒者の早期離職を防ぐためには、事業所規模に関わらず、若手社員の定着に向けた取り組みが重要だといえるでしょう。

参考:厚生労働省|新規学卒就職者の離職状況

理由別離職率

令和4年の離職率を理由別に見ると、「個人的理由」(「結婚」「出産・育児」「介護・看護」及び「その他の個人的理由」の合計)による離職率は11.0%で前年より0.9ポイント上昇しています。「事業所側の理由」(「経営上の都合」「出向」および「出向元への復帰」の合計)による離職率は1.1%で、前年より0.2ポイント上昇しました。性別で見ると、「個人的理由」による離職率は男性が8.9%、女性が13.4%で、前年からの上昇幅は女性の方が大きくなっています。

一方、「事業所側の理由」による離職率は男性が1.4%、女性が0.8%で、こちらも前年から上昇しています。個人的理由による離職率の上昇が目立つ一方で、事業所側の理由による離職率も微増しているのが特徴です。

厚生労働省|-令和4年雇用動向調査結果の概況-
出典: 厚生労働省|-令和4年雇用動向調査結果の概況-

離職率が注目される背景とは


離職率が注目されるのは、どのような社会的背景があるのでしょうか。以下で詳しく解説します。

労働力の確保が困難になっている

日本では少子高齢化が進行し、労働力人口が減少していることで、企業にとって優秀な人材の確保と定着が喫緊の課題となっています。人手不足が深刻化するなか、離職率の高さは企業の生産性や競争力に直結する問題です。離職率が高ければ、採用や教育にかけたコストが無駄になるだけでなく、業務の継続性や品質の維持にも支障をきたしかねません。そのため、離職率の改善は企業の持続的成長に不可欠な要素として注目されています。

働き方が多様化している

近年、日本の雇用環境は大きく変化しています。成果主義や年俸制、ジョブ型雇用など、多様な雇用形態が導入されるようになりました。働き方の多様化により、特に若年層において転職がキャリアアップの一般的な手段として認識されるようになっています。

この傾向は人材の流動性を高め、企業間の人材獲得競争を激化させているといえるでしょう。そのため、企業は離職率の動向により一層注意を払う必要があります。

離職率が高い傾向にある業界


以下では、厚生労働省の調査から離職率が高い傾向にある業界について紹介します。

宿泊業・飲食サービス業

宿泊業・飲食サービス業全体の離職率は26.8%で、新規学卒者の3年以内の離職率に限ると大卒で51.4%、高卒で62.6%と非常に高い数値を示しています。この比率から、就職後3年以内の離職率が最も高い業界であることがわかるでしょう。

離職率が高いのは、以下のような理由が挙げられます。

  • 休みたいときに休めない不規則な勤務体系・繁忙期の長時間労働
  • 教育制度が整っておらずスキルアップが難しい
  • 将来のキャリアビジョンが見えにくい
  • 顧客からのクレーム対応
  • 低賃金・待遇の悪さ

宿泊業・飲食サービス業では、上記の課題に取り組み、働きやすい環境づくりが求められています。

参考:厚生労働省|-令和4年雇用動向調査結果の概況-
参考:厚生労働省|新規学卒就職者の離職状況

生活関連サービス業・娯楽業

生活関連サービス業・娯楽業とは、理髪店や美容院、映画館やパチンコ店などが該当します。業界全体の離職率は18.7%、新規学卒者の3年以内離職率は大卒で48.0%、高卒で57.0%と高い数値を示しているのが実情です。

離職率が高いのは、以下のような理由が挙げられます。

  • 賃金の水準が低い
  • 労働時間が長く休日や深夜の勤務も発生する
  • 肉体労働で体力的な負担が大きい
  • 人間関係によるストレス
  • キャリアアップが見込めない
  • 景気動向に左右されやすく将来性が不安

生活関連サービス業・娯楽業が離職率を改善するには、従業員の働きやすさを整え、将来のキャリア形成を支援する取り組みが必要でしょう。

参考:厚生労働省|-令和4年雇用動向調査結果の概況-
参考:厚生労働省|新規学卒就職者の離職状況

医療・福祉

医療・福祉関連の離職率は15.3%です。新規学卒者の3年以内離職率に限ると大卒で38.8%、高卒で46.4%となっています。

離職率が高いのは、以下のような理由が挙げられます。

  • 職場の人間関係に対するストレス・不満
  • シフト制・夜勤・残業が多いことによるワークライフバランスの不安定さ
  • 人手不足による負担の大きさ
  • 低賃金・待遇の悪さ
  • スキルアップやキャリアアップの機会が限られている

働きやすい環境を整備し、従業員のキャリア形成を支援することが、離職率の改善につながるでしょう。

参考:厚生労働省|-令和4年雇用動向調査結果の概況-
参考:厚生労働省|新規学卒就職者の離職状況

卸売業・小売業

卸売業・小売業全体の離職率は14.6%です。新規学卒者の3年以内離職率は大卒で38.5%、高卒で48.3%と高い数値を示しています。離職率が高いのは、以下のような理由が挙げられます。

  • 不規則な就業時間により私生活との両立が難しい
  • 飽和状態な市場であり、競争が激しい
  • 売上目標の達成に向けて厳しい営業活動が求められるため、ストレスが大きい

卸売業・小売業では上記の課題に対応し、従業員のモチベーションを維持できる職場環境の整備が求められています。

参考:厚生労働省|-令和4年雇用動向調査結果の概況-
参考:厚生労働省|新規学卒就職者の離職状況

教育・学習支援

教育・学習支援業界とは、学習塾の講師や学習教材の開発販売会社などが含まれます。業界全体の離職率は15.2%ですが、新規学卒者の3年以内離職率は大卒で48.1%、高卒で46.0%と高い傾向にあるといえるでしょう。

離職率が高いのは、以下のような理由が挙げられます。

  • 長時間労働や不規則な勤務形態(特に学習塾では、生徒の学校終了後に授業が行われるため、勤務時間が遅くなる)
  • 膨大な業務量(教材の準備や生徒の成績管理、保護者対応など、授業以外の業務も多い)
  • 業務量に見合った賃金が得られていない

教育・学習支援業界では、早急に上記課題に取り組む必要があり、従業員の働きやすさと適正な評価・報酬体系の確立が求められます。

参考:厚生労働省|-令和4年雇用動向調査結果の概況-
参考:厚生労働省|新規学卒就職者の離職状況

離職率が低い傾向にある業界


以下では、厚生労働省の調査から離職率が低い傾向にある業界について紹介します。

複合サービス事業

複合サービス事業全体の離職率は8.1%、入職率は6.6%となっており、他の業界と比較してもっとも離職率が低く、安定した雇用環境にあることがわかります。

複合サービス事業が離職率の低い理由としては、労働時間が比較的短いにもかかわらず、収入が高い傾向にあることが挙げられます。ワークライフバランスを保ちやすく、従業員がプライベートな時間を確保しやすい環境が整っている点が、定着率を高めている要因の一つといえるでしょう。

参考:厚生労働省|-令和4年雇用動向調査結果の概況-

電気・ガス・熱供給・水道業

電気・ガス・熱供給・水道業業界の離職率は8.7%、入職率は8.2%と、他の業界と比べて低い数値を示しています。
離職率の低い理由は、インフラ業界特有の安定性が挙げられるでしょう。電気・ガス・熱供給・水道業は、景気の影響を受けにくく、新規参入の障壁が高いため競合が少ないのが特徴です。そのため、業績が比較的安定しており、給与が大幅に下がるリスクも低くなっています。

また、インフラ業界は社会に不可欠なサービスを提供しているため、従業員の仕事に対する使命感ややりがいも高いと考えられます。安定した職場環境と仕事に対する誇りが、従業員の定着率を高めている要因の一つといえるでしょう。

参考:厚生労働省|-令和4年雇用動向調査結果の概況-

情報通信業

情報通信業界の離職率は9.1%、入職率は11.5%となっており、他の業界と比べて離職率が低く、新たな人材の流入が活発であることがわかります。離職率が低い理由は、柔軟な働き方と高い給与水準が挙げられるでしょう。情報通信業界では、リモートワークやフレックスタイムなどの制度を導入している企業が多く、従業員のワークライフバランスを重視する傾向にあります。また、専門的な資格やスキルを持つ人材に対して、高い報酬が提供されるのが特徴です。

このような働きやすい環境とキャリアアップの機会の多さが、従業員の定着率を高めている要因の一つといえるでしょう。

参考:厚生労働省|-令和4年雇用動向調査結果の概況-

建設業

情報通信業界の離職率は9.1%、入職率は11.5%となっており、他の業界と比べて離職率が低く、新たな人材の流入が活発であることがわかります。離職率が低い理由は、柔軟な働き方と高い給与水準が挙げられるでしょう。情報通信業界では、リモートワークやフレックスタイムなどの制度を導入している企業が多く、従業員のワークライフバランスを重視する傾向にあります。また、専門的な資格やスキルを持つ人材に対して、高い報酬が提供されるのが特徴です。

このような働きやすい環境とキャリアアップの機会の多さが、従業員の定着率を高めている要因の一つといえるでしょう。

参考:厚生労働省|-令和4年雇用動向調査結果の概況-

建設業

建設業界の離職率は9.3%、入職率は9.7%となっており、全体的に見ると離職者が少ない傾向にあります。建設業の中でも大手ゼネコンは、離職率が特に低い傾向にあります。これは、高い給与水準と充実した福利厚生が、従業員の定着率を高めている要因の一つと考えられます。また、大手企業では長期的なキャリア形成を支援する体制が整っており、従業員のモチベーションを維持しやすい環境が整っているといえるでしょう。

しかし、建設業界の離職率は企業規模によって差が生じる可能性もあります。中小企業では、労働環境の整備が十分でないケースもあり、従業員の定着率が低くなる傾向があるようです。

参考:厚生労働省|-令和4年雇用動向調査結果の概況-

金融業・保険業

金融業・保険業界の離職率は9.3%と低い傾向にあります。ただし、入職率は6.2%となっており、離職者よりも新規入職者の割合が下回っています。金融業・保険業の離職率が低い理由の一つとして、数字主義の傾向が強く、目に見える成果にやりがいを感じる人が多いことが挙げられるでしょう。

しかし、企業によっては数字のノルマが厳しい場合があり、プレッシャーに耐えられずに離職してしまう可能性もあります。入職率に対して離職率が高いのは、プレッシャーによるストレスが原因だと考えられるでしょう。

参考:厚生労働省|-令和4年雇用動向調査結果の概況-

製造業

製造業界の離職率は9.7%、入職率は8.2%となっており、安定した雇用環境にあることがわかります。製造業の離職率が低い理由は、待遇の良さや製品に対する安定した需要が挙げられるでしょう。特に大企業では、従業員の満足度を高めるために、福利厚生の充実や教育・研修制度の整備に力を入れています。

また、中小企業でも、人材確保のために手厚い福利厚生を用意する動きが広がっています。製造業界では、従業員の働きやすさを重視した取り組みが、離職率の改善に貢献しているといえるでしょう。

参考:厚生労働省|-令和4年雇用動向調査結果の概況-

離職率が高くなる原因とは


離職率が高くなるのには、さまざまな原因があります。以下で詳しくみていきましょう。

給与や福利厚生など待遇が不十分

多くの従業員は、自身の労働に見合った適切な報酬を求めています。しかし、「給与水準が低い」「福利厚生が手薄い」など、従業員が得られるメリットが乏しい場合、離職率は上昇傾向になります。

待遇の不十分さは従業員の不満を募らせ、他の企業への転職を考えるきっかけになりかねません。企業が優秀な人材を確保し、長期的な成長を実現するには、従業員の貢献に見合った報酬体系の構築と、充実した福利厚生の提供が不可欠だといえるでしょう。

休日や有給休暇の取得が困難

たとえば、週休が2日以下の職場や、有給休暇の取得が難しい環境では従業員の不満が高まりやすく、離職率が上昇する傾向にあります。働き方改革が推進される中、従業員のワークライフバランスを重視することが重要です。

休暇を十分に取得できれば、心身の健康維持だけでなく、仕事のパフォーマンス向上にもつながります。そのため、企業は従業員が適切に休暇を取得できる環境を整備する必要があるでしょう。

長時間労働や休日出勤の常態化

特に36協定で規定された労働時間を超えて、深夜残業や休日出勤が常態化している職場では、離職率が高くなる傾向があります。さらに、割増賃金の不払いやみなし残業制度などもあると、従業員の不信感を招き、離職につながりかねません。

長時間労働は、従業員の健康を損ねるだけでなく、仕事の効率や品質の低下にもつながります。企業は、適正な労働時間管理と、働き方改革の推進により、従業員のワークライフバランスを守ることが重要です。

人事評価制度への不満

人事評価は、給与や職務内容に直結する重要な制度であり、従業員の関心が非常に高い要素です。そのため、評価基準が曖昧で主観的な判断に偏っていたり、評価プロセスが不透明であったりすると、従業員が不満を抱く原因になりかねません。

特に、評価結果が昇給や昇格に適切に反映されない場合、従業員のモチベーションは大きく低下するでしょう。企業は、評価基準の明確化や適切なフィードバックの提供などを通じて、従業員の納得感を高める努力が求められています。

職場のストレスやメンタルケアが不十分

風通しの悪い職場環境や同僚・上司との人間関係の問題は、従業員のストレスを増大させる原因となります。特に、上司が部下のメンタル面でのサポートを適切に行えていない場合、従業員は孤立感を抱き、仕事への意欲を失いやすいです。過度なストレスを抱えた従業員は、心身の健康を損ね、疲弊した状態で離職を選択することもあります。

企業は、従業員のメンタルヘルスに配慮し、ストレスに対するケアを充実させることが重要です。従業員のストレスマネジメントを支援し、健全な職場環境を構築して、離職率の改善に努めなければなりません。

ハラスメントの横行

パワーハラスメントやセクシャルハラスメントなどのハラスメントは、離職率を高める大きな原因です。ハラスメントが蔓延する職場では、従業員同士の仲間意識・帰属意識が薄れ、心理的安全性が損なわれます。被害を受けた従業員は深刻なストレスを抱え、離職を余儀なくされることも少なくありません。

企業は、ハラスメントを防止するための明確な方針を打ち出し、従業員への教育・啓発を徹底することが重要です。安全で健全な職場環境の維持は、離職率の改善に直結する重要な課題だといえるでしょう。

企業の業績低迷や斜陽産業化の進行

業績が悪化し、回復の見込みがない企業では、離職が増加する傾向にあります。特に、業績悪化に伴って給与がカットされれば、従業員の生活に直接影響を与えるため、離職を検討するきっかけになりかねません。また、グローバル化やAIの発展により、国内の一部の産業が斜陽化しつつあることも、離職率上昇の背景にあります。企業は、業績回復に向けた経営努力を続けるとともに、従業員のキャリア形成を支援し、雇用の安定性を高める取り組みが求められています。

離職率を改善する方法とは


離職率が高まる原因はさまざまですが、それぞれの問題には解決方法があります。以下では、離職率を改善する方法を紹介します。

適切な報酬体系の構築

離職率を改善するには、適切な報酬体系の構築が重要です。給与や賞与などの金銭的な待遇改善に加え、福利厚生の充実を図ることで、従業員の満足度向上および離職防止につなげられます。また、パフォーマンスに応じてインセンティブ制度を導入することも、従業員のモチベーション向上に効果的です。企業は、公平で魅力的な報酬制度の設計を通じて、優秀な人材の定着を図れるようになるでしょう。

適切な人事評価制度の構築

適切な人事評価制度は、従業員のモチベーションや企業への帰属意識・貢献意欲を向上させ、離職防止につながります。具体的には、客観的で透明性の高い評価基準を設け、従業員の能力や実績を公平に評価することが重要です。また、評価結果のフィードバックを丁寧に行い、従業員の納得感を高める必要もあります。人事評価制度の改善を通じて、従業員の能力開発とエンゲージメントの向上を図りましょう。

従業員とのコミュニケーションを活性化

定期的な面談や社内イベントの実施、社内SNSの導入などにより、従業員間のコミュニケーションを促進できます。コミュニケーションが活性化すれば、従業員同士の相互理解と良好な人間関係の構築につながり、離職防止に役立ちます。

また、社内コミュニティサイトの開設も有効な方法の一つです。組織や業務の垣根を越えて、同じ会社に所属する人と気軽に会話できる機会があると、帰属意識やエンゲージメントの向上が期待できます。多様なコミュニケーションの機会を提供し、従業員の一体感を高める取り組みを行いましょう。

働き方改革の推進

働き方改革の推進は、離職率の改善に大きく貢献します。テレワークや時短勤務などの柔軟な働き方を導入することで、エンゲージメント向上につながり離職を防止できるでしょう。また、フレックスタイム制やリモートワークの推進は、従業員の自律性を高め、ワークライフバランスの向上につながります。企業は、多様な働き方を受け入れる組織文化の醸成と、適切な制度設計に取り組むことが大切です。

スキルアップ機会の提供

スキルアップ機会の提供は、従業員の離職防止に効果的です。たとえば、研修制度を整備したり、外部サービスを活用したりすることで、従業員のスキルアップの機会を提供できます。専門性の向上やキャリア形成への支援は、従業員の仕事への満足度を高め、人材定着につながります。

また、資格取得支援や自己啓発補助制度の導入も役立つでしょう。従業員の成長を積極的にサポートする姿勢を示すことで、優秀な人材を引き付け、離職率の改善につながります。

まとめ

離職率は、企業の人材定着や生産性に大きな影響を与える重要な指標です。離職率が高くなる原因は、待遇の不十分さ、ワークライフバランスの欠如、人事評価制度への不満などが挙げられます。企業は適切な報酬体系や人事評価制度の構築、働き方改革の推進などを通じて、離職率の改善に取り組むことが求められています。離職率の改善は、企業の持続的成長と競争力強化に不可欠な要素だといえるでしょう。

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