株式会社ヘラルボニー

「買ってくれる人」だけがファンじゃない。
ヘラルボニーが行動ロイヤルティで描くCRMの新しい形

「買ってくれる人」だけがファンじゃない。ヘラルボニーが行動ロイヤルティで描くCRMの新しい形
株式会社ヘラルボニー
「買ってくれる人」だけがファンじゃない。ヘラルボニーが行動ロイヤルティで描くCRMの新しい形
株式会社ヘラルボニー
  1. Commune(コミューン)
  2. 導入事例一覧
  3. D2C/ECの導入事例
  4. 「買ってくれる人」だけがファンじゃない。ヘラルボニーが行動ロイヤルティで描くCRMの新しい形
顧客獲得コスト(CAC)は高騰し、コモディティ化やAI検索の台頭によって、新規獲得の難易度は上がり続けている。そんな中、「既存ファンとの関係をどう深めるか」は、あらゆるブランドに共通する課題になりつつある。

障害のあるアーティストの作品をIPビジネスとしてプロダクトやライセンスに展開するHERALBONY(ヘラルボニー)は、「異彩を、放て。」をミッションに掲げ、購買額だけでは捉えきれない熱狂的なファン層を持つブランドです。同社がCommune Engage(※)で構築したロイヤルティプログラム「HERALBONY CLUB」では、こうした「応援行動」を独自マイル「BONY」として可視化・還元しています。

※Commune Engageは、LINE上で購買や来店、SNS投稿、イベント参加などの顧客行動を可視化し、ポイント付与や会員施策に活用できるサービスです。ヘラルボニーでは導入から数カ月で、会員のLTV(顧客生涯価値)に明確な変化が見え始めています。その背景を、コミューン株式会社の新山が、株式会社ヘラルボニーの大屋佳世子氏に伺いました。
インタビュイー
・株式会社ヘラルボニー Manager of Customer Relationship Marketing 大屋佳世子氏(右)
・コミューン株式会社 ビジネス部門副責任者 新山恒平(左)

課題

  • 購買データだけでは、行動ロイヤルティの高いファンが可視化できていなかった(イベントに毎回足を運ぶ、SNSで発信する、岩手の「聖地」まで訪ねてくれる、など)
  • 他社事例で見る一般的なロイヤルティプログラムの多くが「購買金額」のみを基準としており、ヘラルボニーの顧客像と合わなかった
  • BtoC事業とBtoB事業の架け橋としてメンバーシップの必要性は意識されていたが、リテール事業戦略とのひも付けには至っていなかった

活用方法

  • Commune Engage(LINEミニアプリ)でメンバーシップ「HERALBONY CLUB」を構築
  • 購買・来店チェックイン・SNS投稿・イベント参加など、多様な「応援行動」を独自マイル「BONY(ボニー)」として蓄積
  • 貯まったBONYはクーポン交換だけでなく、限定商品、イベント参加や、ヘラルボニーを通した還元にも充てられる循環型の仕組みに

成果/これからの目標

  • HERALBONY CLUB会員のLTVは、非会員の約1.5倍
  • 当初確保していたクーポン原資に対し、実際の消化率は1%未満
  • 他部門が自発的にHERALBONY CLUB上の施策推進を始め、全社施策に発展

入社半年、50人のN1インタビューで気づいたこと

――まず、大屋様のご経歴と、HERALBONY CLUBを担当されることになった背景を教えてください。

株式会社ヘラルボニー 大屋佳世子氏

大屋氏(以下、敬称略):実は私自身がもともとヘラルボニーのファンで、入社前にロイヤル顧客インタビューを受けているんです。そんな経緯で入社し、マーケティングの経験を生かしてブランドの価値を見定めるために、入社後の半年間で、一人ひとりの顧客を深く理解するN1インタビューを50人ほど実施しました。

――50人ですか。かなりの数ですね。

大屋:入社した瞬間にちょうど経営陣の号令で顧客インタビューが始まったのですが、当時社内にマーケティング調査スキルを持った人間がいなくて。それで、みんな自分の知り合いの中から「ヘラルボニー好き」と言っている人を集めてきたんです。本当にたくさんの商品を買ってくださっているお客様もいれば、「すごい好きです」と言ってくださるけど、まだあまり買っていない方もいた。そこで、行動のロイヤルティと、心理のロイヤルティと、購買のロイヤルティが、違うドライバーなんだというヒントを得たんです。その後、私自身が多角的なロイヤルティ観点の分析を元に対象を設定し、さらなるインタビュー実施で各対象の解像度を深めていきました。

さらに、定量データだけでなく、店頭やイベントにも立って、リアルな場でお客様の声を聞いていきました。その中で印象的だった方が何人かいらっしゃって。例えば、5年前のコラボキーホルダーを3回も修理してずっと大切にカバンにつけてくださっている方が、ひとつのギャラリー展示に5回も足を運んでくださっていたんです。お話しすると、周囲の方にいつもヘラルボニーの話をしてくださっているとのことでした。購買履歴だけから分析したら「ロイヤル顧客」に当たらない方かもしれませんが、この方をロイヤル顧客とお呼びしないのはおかしいと思ったんです。

そういうお客様方と話す中で、ヘラルボニーがメンバーシップを作るなら、購買の頻度・額だけでお客様を見ると、ビジネスプランを見誤ると思い始めた。それが思想の根幹になっています。

4象限で見えた、もう一つのロイヤル顧客層

――その気づきを、社内ではどのように整理されたのでしょうか。

大屋:ブランドへの共感・共振の度合いを縦軸、購買金額・頻度を横軸に取り、4つの区分で整理しました。

ヘラルボニーが好きで応援したいという気持ちはあるけれど、購買や応援行動にはまだ結びついていない方が「心理ロイヤル」。その気持ちが、地方まで足を運ぶリアルイベントへの参加やSNSでのシェア、詳細なnoteレポの発信といった応援行動として表れている方が「行動ロイヤル」。応援行動は活発でなくても、購買で支えてくださる方が「購買ロイヤル」。応援行動と購買の両方をしてくださる方が「超ロイヤル」です。

これまで社内で「いつもお顔を見かけるロイヤル顧客様」としてお名前が挙がる方々はいたものの、「特殊な例だよね」という理解で止まっていました。4つの区分で整理したことで、そうした方々は購買と応援行動の両方に高い熱量を持つ「超ロイヤル」層なのだと捉えられるようになりました。

ヘラルボニー社 ご提供

(ヘラルボニー社 ご提供)

一方で、購買額はまだ高くなくても、イベントのたびに足を運んでくださる方もいます。そうした「行動ロイヤル」の方が、好みの商品との出会いやライフステージの変化などをきっかけに購買へ移り、「超ロイヤル」になっていく。購買ロイヤルティが先に高まるというより、まず行動ロイヤルティが高まり、そこから購買につながるのがゴールデンパスなのではないか、という仮説を持てたことが、HERALBONY CLUBの設計の出発点です。

思い描いていた機能が、すでにそこにあった

――Commune Engageを選定された決め手を教えてください。

株式会社ヘラルボニー 大屋佳世子氏

大屋:先にやりたいことの絵は描いていたんです。行動がポイントになって、ポイントが貯まるほどステージが上がって、ステージが上がった方をさらに特別な場に招く。この絵だけは最初にできていて、それを叶えるために他社さんから見積もりも取っていました。ちょうどそのタイミングでCommune Engageの話をいただいた時に、「やりたいことが大体もう載ってるな」と感じたんです。

ヘラルボニー社 ご提供

(ヘラルボニー社 ご提供)

――社内の合意形成はどのように進めましたか。

大屋:社内推進の決め手としては、LINEミニアプリだったことが大きいです。自社でゼロからアプリを開発するのと比べて圧倒的に低コストですし、導入スケジュールにも合っていました。LINEはすでに店舗での顧客接点として活用していたので、そこに追加できたんです。お客様にとっても、新しいアプリをダウンロードする手間がなく、インストールしたまま使われなくなることもない。既存の顧客接点に自然に組み込めたのは大きかったですね。

あとはSaaSなので、追加開発や保守にかかるコストの見通しも立てやすい。自社でアプリを作っていたら、APIの仕様変更などにも振り回されていたと思います。投資にあたっては、「LTVをX%に伸ばして投資を回収する」という収支計画を作り、経営陣に提出しました。開発費を抑えられ、運用費用も軽いからこそ、初年度は赤字でも2年目には黒字転換する見通しを描けたんです。

正直、「必要であれば撤退できる」と説明できたことも大きかったと思います。自社アプリの場合、減価償却する規模の投資になりますし、簡単にはやめられません。その身軽さが、社内で最後の合意を得られた大きな理由だったかもしれません。

取材の様子

新山:ヘラルボニーさんの状況を見て、コミュニティよりもCommune Engageの方が短期的に価値を示しやすいと思ったんです。行動ベースのロイヤルティを可視化できるというのがCommune Engageの提供価値で、それがヘラルボニーさんのフェーズに合っていました。行動ロイヤルティが大事だという土壌がすでに社内にあったからこそ、「じゃあそれを可視化しよう」という動きに自然とつながったのだと思います。運用保守の面でも、InstagramやXの仕様変更を追いかけたり、ECカートとの連携を増やしたりというのは、スクラッチで作っていたらかなり負荷が大きかったはずです。

大屋:本当にそう思います。自社でやっていたら、APIの仕様変更への対応にかなり振り回されていたと思います。その部分まで対応していただけるのはありがたいですね(笑)。

理念への共感度が高い行動ほど、多く還ってくる設計

――HERALBONY CLUBの設計でこだわったポイントを教えてください。

大屋:一番の大前提は、購買だけじゃなく行動をたくさんしてくれる方でも、ある程度のインセンティブにアクセスできるようにすること。ほとんど購入していない方でも、イベントに何度か参加すれば次のステージに上がり、そこで新たな楽しみ方や特典にアクセスできるように設計しました。

特にこだわったのが、ブランドの理念への共感度が高い行動ほど、付与するBONYを多くするという点です。例えば「HERALBONY Art Prize(ヘラルボニーアートプライズ)」という年に1回の大きな国際アートアワードのファイナリストによる展示会があるんですが、既存のヘラルボニー契約作家の展示会ではなく、企業賞など、出口のあるアワードで国内外の障害のある表現者の皆さまの作品が一堂に集まる企画展です。商売には直接結びつかない。でも、私たちのビジョンの源泉に一番近い場所だと思っているので、来場チェックインには通常の10倍のBONYを付与しました。

ヘラルボニー社 ご提供(2026年9月時点)

(ヘラルボニー社 ご提供 *2026年9月時点)

――10倍ですか。

大屋:はい。SNSでアートプライズについて投稿した場合も、通常は1 BONYのところ、10 BONYを付与しました。実際に、そこで何百 BONYも貯めている方がいました。購買だったらこういう設計はできないんです。買わないとポイントがつかないから。行動にポイントがつくからこそ、商売に直結しなくてもブランドの根幹に近い体験にしっかり還元できる。

――「BONY(ボニー)」というネーミングはどのように決まったのですか。

大屋:代表の松田崇弥の発案です。HERALBONY CLUBが立ち上がった時に、お客様の中で愛着を込めて呼んでもらえる愛称がついたらいいなと思っていたんです。「ボニー」と聞いた瞬間に、「ボニ活」という言葉が浮かんで、これは親しみやすいなと。こちらが押し込むわけじゃないけど、お客様の心に自然に馴染むような名前にしたかったので、すんなり決まりました。

少人数でも運用を始められた

――実際に運用を始めてみて、現場ではどんな反応がありましたか。

株式会社ヘラルボニー 大屋佳世子氏

大屋:最初の1カ月間は、正直、店頭キャストからの阿鼻叫喚もありました。一つひとつ使い方を教えに行ったり、ドキュメントを整え直したり。でもここもLINEミニアプリで良かったなと思うところで、ECの購買データとHERALBONY CLUBの会員情報をひも付けるため、「Shopifyに登録しているものと同じメールアドレスを入力してください」と案内を統一したら、店頭スタッフからの問い合わせが減ったんです。

ゼロから開発されたアプリの操作を1から説明するわけではなく、バーコードを1個ピッと読んで、LINEの許諾を進めていったら登録できる。カスタマーサポートのトークスクリプトもシンプルです。

店頭のキャストは、年代も所属もITリテラシーもさまざまです。ポップアップで間借りしているスペースの百貨店の方が、一緒になってHERALBONY CLUBを宣伝してくださることもある。さまざまなバックグラウンドの方でも説明できるのは、LINEベースであるメリットが大きいと思います。

――運用体制はどのくらいの規模でやられているのですか。

大屋:立ち上げ期は私一人で担当する前提でした。成果が見えてきた今は「メンバーを2〜3人ください」と言えますが(笑)、初年度は最大1人月以内で運用し、ほかの業務とも両立できるというプランで社内承認を得ました。完全に初めての試みで、成果が出る確証もなく、身軽に始められることが説得材料として不可欠だったんです。カスタマーサポート担当だけいれば私一人でも運用できるかもしれないと思えたのは、導入時のコミューンの担当者の方がかなりサポーティブな姿勢でいてくださったからです。

LTV1.5倍と、「使わずに貯める」というファンの選択

――導入からまだ数カ月ですが、成果はいかがですか。

株式会社ヘラルボニー 大屋佳世子氏

大屋:一番分かりやすい数字で言うと、HERALBONY CLUB会員とそうでない方とで、期間内LTVに約1.5倍の差が出ています。導入2カ月目くらいからその傾向が見え始めて、半年経った今もまだ同じ傾向が続いていますね。

――1.5倍ですか。

大屋:はい。ただ、最初は正直「本当に?」と自分でも思ったんです。もともとよく購入してくださっていた方がHERALBONY CLUBに入っただけで、会員・非会員の差が生まれている可能性もあります。つまり、因果関係ではなく、単なる相関なのではないかと。

そこでかなり多面的に分析を重ねて慎重に見てきましたが、やはり会員になることが明確に購買行動につながっていると、因果関係といえる傾向が見えています。また、「お得」以上に「行動での参加」「アプリを介した日々の薄いつながり」が購買につながっているという、期待以上に期待通りの面白い示唆も見えてきています。

――想定外だったことはありますか。

大屋:一番驚いたのは、BONYの使われ方です。BONYがクーポンに交換されることを想定し、あらかじめクーポン原資を確保していましたが、実際の消化率は現時点では1%未満なんです。

たくさん購入してくださっている方ほどクーポンを求めるのではないかと思っていたので、驚きました。実際にお会いした方に聞くと、「今後、作家さんに還元したり、寄付できる機能が出ると聞いたので貯めている」「単純に貯まっていくことが嬉しいから、残高を減らしたくなくて使っていない」と言われたんです。想像していた以上に、お客様がブランドへの共感の総量としてBONYを捉えてくださっているんだなと感じました。

――それは寄付還元機能の構想とつながりますね。

大屋:はい。寄付・還元ができる機能は、設計段階からずっと入れたかった機能です。ただ、すごく大事にしたのは、BONYを自分向けの特典に交換する場合も、作家への寄付などを通じて社会に還元する場合も、交換価値には差がないと捉えていただけるようにしたいということです。私たちはあくまでブランドです。「社会にいいことがあるのは嬉しいけど、単純にこのデザインが好き」というお客様もたくさんいる。理念の押し売りではなく、買ったものが結果的に社会をちょっと良くしているくらいの塩梅がうちならではの価値ですし、お客様に「良いこと」を押し付けないようにしたいと思っています。

他部門が動き出し、イベントの熱量も変わった

――社内や社外の反応に変化はありましたか。

取材の様子

大屋:社内では、他部門が自発的にHERALBONY CLUBの会員、コラボ案件を増やそうと動いてくれるようになりました。クライアント様とのコラボイベント会場にチェックインポイントを置くことで弊社のお客様に向けた告知がしやすくなったり、「コラボ商品のご購入でもBONYが貯まります」というご案内であれば積極的に商品告知をお客様にお送りできたり。短期間のキャンペーンに1,000名単位の参加者が出た案件もありました。BtoCのお客様とBtoBのクライアント様、双方にとってメリットのある案件が、この仕組み上で作れるということが伝わってきたんです。それで、ライセンス事業を担当する営業担当者が「クライアント様にメリットのあるHERALBONY CLUBコラボを設計したい」と相談してくれたり、アート事業部がイベント会場で全員に会員登録を勧めてくれたり。数字が出てきたこと、それもクーポンを使った無理な購買誘導ではなくお客様が行動を楽しんだ結果として数字が伸びてきていることで、経営陣も「あらゆる場所でHERALBONY CLUBを活用しよう」と言ってくれています。

――イベント自体にも変化がありましたか。

大屋:はい、イベントの熱量分布が変わりました。これまでは作家さんを囲むイベントが中心で、もともと熱量の高い常連の方のご来場がメインでした。でもHERALBONY CLUBのセグメンテーションを使うことで、ステージごとに招待する会員の割合を調整し、ブランドとの関わり方や熱量が異なる方々を意図的に混ぜられるようになったんです。さらにグループ分けも工夫することで、参加者同士が「混ざり合える」場を設計できるようになりました。

あるファンミーティングでは、ろう者の方がいらっしゃって、私たちが手話通訳を手配しました。同じテーブルの方は最初「慣れない自分が参加して大丈夫かな」と不安に感じたそうなんですが、参加してみたら「自分と違う人が、違う手段でコミュニケーションを取っているけど、全然一緒に楽しめた。これこそヘラルボニーらしい体験だった」と言ってくださった。違いを楽しめるという成功体験が生まれたんです。

ブランドをきっかけにした意識変容。これこそ私たちが一番やりたいことで、HERALBONY CLUBができたことでイベントに人を誘致しやすくなり、こうした体験が増えていく。個人的にはこれが一番嬉しい成果です。

コミューンから見た、HERALBONY CLUBのすごさ

HERALBONY CLUBの支援に携わる、コミューン株式会社 ビジネス部門副責任者の新山に、客観的な視点から話を聞いた。

――外から支援していて、HERALBONY CLUBの一番のすごさはどこにあると感じていますか。

コミューン株式会社 新山恒平

新山:一番感じているのは、「売上に直結しない場所ほど手厚く報いる」という設計の思い切りの良さです。アートプライズの来場やSNS投稿に通常の10倍のBONYを付与するという判断は、普通のロイヤルティプログラムだとなかなか出てこない発想だと思います。ROIを考えれば、まず購買に直結する行動を優遇したくなるのが自然なんですが、大屋さんたちは逆をやった。それが結果的に、ファンの一番深いところにある共感を可視化することにつながっています。

もう一つ驚いたのが、「使うためじゃなくて貯めている」というお客様の声です。ポイントプログラムは普通、いかに使ってもらうかを設計するものだと思うんですが、HERALBONY CLUBは使われないこと自体もブランドへの信頼の証になっている。これは狙って作れるものではなく、ヘラルボニーというブランドとファンの関係性の深さがあったからこそ生まれた現象だと思います。

あとは、店頭のキャストの方々を巻き込む速さですね。さまざまなバックグラウンドの方が同じトークスクリプトでHERALBONY CLUBを説明できている。これは設計がシンプルだったことに加えて、現場の方たち自身がHERALBONY CLUBの価値を信じてくれているからこそだと思います。数字だけでなく、こういう現場の温度感が伴っているブランドさんは、実はそう多くありません。

ファンとの関係を深めることが、ブランドの「選ばれる力」になる

最後に、大屋氏に聞いた。
――今後の展望を教えてください。

株式会社ヘラルボニー 大屋佳世子氏

大屋:「深く」と「広く」の両方をやりたいと思っています。深くの部分では、ヘラルボニーの購買以外でもブランドの世界観でつながれる場を広げたい。たとえば岩手にあるヘラルボニーがアートプロデュースを手掛ける「HOTEL MAZARIUM(マザリウム)」に泊まるとBONYが貯まるとか、会員限定の体験や情報の設計を進めていきたいです。

広くの部分では、うちへの共感の形は必ずしも3万円のシャツにはならなくても、他社様とコラボレーションして発売する1,000円のペンにはなる方がたくさんいる。そういう方にも同じように仲間になっていただける仕組みにしていきたいと思っています。

――最後に、この記事を読まれるマーケティング・CRM・EC担当の方へメッセージをお願いします。

大屋:どんなチャネルのマーケターでも、CACが上がり続けているという話はどこでも聞くと思います。広告やSEOに投資すればリターンが見えた時代が、だんだん難しくなっている。AI検索が当たり前になると、SEOに投資するだけでは、顧客に見つけてもらうことが難しくなる可能性もあります。そうなった時、既存のお客様との関係性に再注目するブランドは絶対に増えるはずです。

共感や行動がSNSの投稿を通じて外に発信され、可視化されて、ブランドの資産として広がっていく。それは将来的に、AIがブランドを評価する際の判断材料にもなり得ると思っています。

本質的にお客様と向き合おうと思った時に、SaaSで気軽に始められ、LINEという既存の顧客接点に追加できる仕組みは、さまざまなブランドが試しやすいのではないでしょうか。

もちろん、どんなサービスを使うかはそれぞれだと思いますが、行動ロイヤルティに着目する企業が少しでも増えたらと思っています。

新山:最後までおすすめいただいてありがとうございます…(笑)。引き続き、よろしくお願いいたします!

――購買という結果だけでなく、その手前にある「応援したい」という気持ちに、企業がどう向き合うか。HERALBONY CLUBが見せてくれたのは、その向き合い方ひとつでファンとの関係も、事業のインパクトも大きく変わりうるという実例でした。本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました!

「買ってくれる人」だけが、ファンじゃない。

「買ってくれる人」だけが、ファンじゃない。

  • LINEを活用しているが、顧客の興味・関心まで把握できていない
  • 購買データだけでは見えない、顧客の行動や熱量を可視化したい
  • 既存顧客との継続的な接点をつくり、ファン化につなげたい
  • LINE・EC・コミュニティを横断して、LTV向上につなげたい

Commune活用事例集