パーソルテンプスタッフ株式会社
エンゲージメントの強化で内定辞退率が改善〜コミュニティが生む内定者の安心とつながり




- 概要
- パーソルテンプスタッフ株式会社では、無期雇用契約を結んだfuntable社員を企業に派遣し、将来的に派遣先での直接雇用を目指す「育成型無期雇用派遣 funtable」(以下、ファンタブル)を展開しています。事業が急成長を遂げ、新卒の採用数が大幅に伸長する中で、内定者との関係構築や就業前フォローのあり方に見直しが求められていました。ロイヤルティの向上につながる交流の場を模索する中で、コミュニティを導入するに至った経緯と成果について、ファンタブルの採用とコミュニティの運営にかかわる方々にお話を伺いました。
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課題
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- 採用人数の増加により、個別での対応が困難になっていた
- 内定後のフォローが不十分となり、内定の辞退が発生するケースもあった
- 内定者同士のつながりが乏しく、会社に帰属意識が生まれにくい状況だった
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活用方法
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- 内定者専用のグループを設置し、入社前からのキャリア意識形成と不安の解消を図る
- 卒業生の声や想定される悩みに答えるコンテンツを用意し、信頼醸成の機会にしている
- 内定通知後、7月にコミュニティへ招待し、入社前までの接点を増やしてエンゲージメントを高める
- リアクション機能を活用し、気軽に反応、参加できる環境を整備
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成果/これからの目標
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- 2025年内定者の辞退率が前年と比べて大きく改善
- 同期や先輩とのつながりから、安心して入社を迎える声が増えている
- 派遣先が異なる状況でも、コミュニティが「戻ってこられる場所」として定着しつつある

採用数が増え、内定者との新たなつながり方が必要に
はじめに、貴社の事業概要とそれぞれの役割について教えてください。
奈良様(以下、敬称略):パーソルテンプスタッフは、「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンに多様なソリューションを展開するパーソルグループの一員として、事務系職種をはじめとした幅広い人材サービスを提供しています。
派遣社員といえば有期契約による働き方を連想する方が多いと思いますが、ファンタブルは、当社と無期雇用契約を結んだfuntable社員を企業に派遣し、派遣先企業での直接雇用を見据えて育成するという特徴があります。
私はこれまでファンタブルの立ち上げから携わり、現在は採用責任者として、コミュニティの企画と運用を担当しています。
宮野様(以下、敬称略):私はファンタブルの新卒採用として、選考から内定後のフォローまで一貫して担っています。新卒から派遣で就業するのは、珍しく感じられるかもしれませんが「事務職に特化したい」「働きながら自分に合う職場を見つけたい」といった志向を持つ方には、メリットの多い就業スタイルだと感じています。
桑原様(以下、敬称略):私の担当は東日本エリアを中心とした、ファンタブルに所属する社員のキャリアマネジメント全般です。Communeの導入初期から関わり、コンテンツの設計や原稿作成など、内定者との接点を強化するための基盤づくりを進めてきました。
採用活動において、内定者との関係構築にどのような課題があったのでしょうか?
宮野:2017年に当社が無期雇用派遣市場へ参入した当初は、市場規模も事業規模もまだ小さく、新卒採用数は年間20名ほど、それを当社スタッフの7人ほどで対応している状況でした。そのため、当時は電話やメール、対面などの手段で十分に内定者とのコミュニケーションが取れていたのですが、事業拡大にともなって、現在では新卒採用数が100名を目指すほどになりました。その結果、1対1のフォローでは対応しきれない場面が増え、新たな手段が必要だと感じるようになりました。
そのような中で、なぜコミュニティという形を選ばれたのでしょうか?
奈良:入社前から継続的にコミュニケーションを取り、内定者に「安心できる居場所」を提供することが、関係づくりの上で重要だと考えました。ただ、電話やメールは形式的になりがちで、身構えてしまう方も少なくありません。もっと自然なやりとりができる場として、オンラインコミュニティが最適だと判断しました。

伴走支援と高い操作性が導入の決め手に
具体的に、コミュニティを導入した目的について教えてください。
桑原:大きく2つあります。1つ目は情報の蓄積と見える化です。メールで情報を配信していた頃は、読まれたかどうかの把握が難しく、過去の内容もすぐに埋もれてしまうという課題がありました。コミュニティを活用することで、内定者が必要な情報をいつでも確認できるようにしたいと考えました。
2つ目は内定者同士の横のつながりを生むことです。運営からの一方的な連絡にとどまらず、内定者間で自然と会話が生まれるような環境を整えることで、入社前の不安を和らげ、安心してもらいたいという思いがありました。
コミューンを選んでいただいた理由は何でしょうか。
桑原:導入の決め手となったのは、充実したサポート体制と高い操作性です。我々にとって初めてのコミュニティ運営ということもあり、設計やコンテンツの方向性など、一緒に考えてくださる伴走型のサポートが心強く感じられました。また、コードが書けなくても直感的にオンラインコミュニティを構築できるのも、大きな魅力でした。
一般的にコミュニティとは、商品やサービスに関心を持つ顧客との継続的な関係構築を目的としていることが多いかと思います。
そのような中で、コミューンさんは、私たちのように「内定者」を対象とした少し特殊なケースに対しても、私たちの目的や意図を丁寧にくみ取り、適切な提案をしてくれました。その柔軟な対応力が、導入を決める大きな後押しとなりました。
奈良:検討の過程では複数のサービスをリストアップし、最終的には3社に絞り込んでいました。料金や機能面、サポート体制などさまざまな観点から比較した結果、コミューンさんの提案内容が丁寧で、最も魅力的だったことを覚えています。

内定辞退率を改善した、双方向の発信と運用時期の見直し
コミュニティ導入後、どのような変化がありましたか?
奈良:実は、導入してすぐに効果が現れたわけではありません。はじめは、就業中のfuntable社員とのやり取りを主な用途としており、内定者への活用は、内定式以降に情報を共有する程度にとどまっていました。また、当時はコロナ禍の影響で他社が採用を抑制していたため、当社の採用活動は比較的順調で、大きな課題は感じていなかったのです。
しかし、2024年4月入社予定の新卒採用では状況が一変しました。各社が採用を再開・強化したことで競争が激化したことにより、目標採用人数の確保が難しいという状況に直面しました。この経験から、「内定を通知した後、できるだけ早く内定者とのつながりを築く必要がある」と実感し、コミュニティへの参加時期を前倒しする方針に見直しました。
宮野:それまでの運用は、主にこちらからの一方的な情報発信が中心でした。そのため、内定者に当社への愛着を持ってもらい、コミュニティ内で自然と人とのつながりが生まれるようにするにはどうすればよいかを改めて考え、コンテンツや運用方法を全面的に見直していきました。
具体的には、どのようにコミュニティ運営を見直したのですか?
宮野:コンテンツの内容と、内定者の参加を促す仕組み、の2つで工夫を加えました。
コンテンツの内容に関しては、先輩社員の体験談や、新社会人が悩むオフィスカジュアルについての紹介、直接雇用に切り替わった「卒業生」の声などを記事にして、リアルな姿を届けるようにしました。不安を先回りしてフォローすることができたようで、内定者からは「記事を読みました」といった声やメッセージをもらう機会が増え、手応えを感じることができました。
内定者の参加を促す仕組みについては、自己紹介の投稿を依頼するとともに、各投稿に対してスタンプ機能などを通じてリアクションするように呼びかけ、自発的に参加しやすくしました。
見直し後の2025年4月入社予定の新卒採用では、どのような成果がありましたか?
桑原:参加時期の前倒しと、コンテンツの見直しによって、内定辞退率の改善という成果につながりました。
また、コミューンさんのサポートによって、コミュニティへのログインやリアクションの有無など、個別の状況が可視化されました。当社への関心が薄まっている可能性がある方、早期のフォローが必要な方を把握することが可能になり、的確かつ迅速なアプローチにつなげられたことは大きなメリットでした。
宮野:その後も定期的なミーティングでは、コミューンさんから他社事例の共有や当社の課題に対する客観的な改善提案をいただき、運用の見直しを重ねてきました。こうした継続的な取り組みが、内定辞退率の減少につながっていると感じています。

コミュニティがつながりを育て、安心感を届ける
コミュニティは、内定者やスタッフにとってどんな価値を生んでいると感じますか?
桑原:「戻ってこられる場所」であることが、コミュニティの大きな価値だと感じています。単に情報が集約されているだけでなく、内定者や社員にとっての「家」や「拠点」のような、帰属意識が生まれる存在になれたらうれしいです。
私たちが提供している派遣型の働き方は、各配属先でそれぞれの人間関係が築かれる一方で、派遣元である当社とのつながりが実感しづらいケースもあります。だからこそ、コミュニティを通じて「ファンタブル」や「パーソルテンプスタッフ」とのつながりを感じてもらえれば、より安心して働けるのではと考えています。
奈良:当社は、スタッフとの長期的な関係づくりにおいて「ファンになってもらうこと」を大切にしています。愛着を持ってもらえれば、お付き合いが続き、その方らしい働き方の実現にもつながるはずです。だからこそ、コミュニティが安心感を届け、より身近な存在として感じてもらえる場になればと、願っています。
今後のコミュニティ運営について、それぞれの考えをお聞かせください。
桑原:2025年採用の方々はサイトの使い方に慣れ、リアクションも増えました。次は2026年卒の新卒者に向けて、より気軽に反応したくなるコンテンツを届けたいと考えています。
コミュニティは当初から、内定者と既存社員が同じ空間で活用できる設計になっています。現在は新卒採用での活用がメインですが、今後は既存社員にも展開し、より多くの人が参加できる場を目指していきます。
宮野:内定者はやや受け身な姿勢が見られる傾向があり、入社後の研修でも主体性を引き出す働きかけが必要な場面が増えています。コミュニティの活用においても、ただ情報を見るだけではなく、学生自身が自分の考えを発信し、主体的に関わるきっかけとなってほしいと考えています。
奈良:私たちの事業全体を見ると、新卒の採用割合よりも、実際は既卒や第二新卒の方が多くを占めています。その人数は新卒の約15倍、年間で1,500名ほどにのぼりますが、そうした方々にはまだコミュニティを活用いただけていないのが現状です。
中でも第二新卒は、新卒と同じくらいの年齢の方も多く、似たような不安を抱えているかもしれません。ファンタブルを選んでくださった以上、誰にとっても安心できる場所として、今後はより広くコミュニティを活用してもらえるようにしていけたらと考えています。
“はたらく”の選択肢を広げる挑戦を、これからもご一緒できたらうれしいです。立ち上げからの歩み、そして未来への構想まで、貴重なお話をありがとうございました!
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