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【Tableau】ユーザーコミュニティから生まれた機能が486個!- 海外コミュニティ事例集 Vol.4

2024/08/23

【Tableau】ユーザーコミュニティから生まれた機能が486個!- 海外コミュニティ事例集 Vol.4
コミューン編集部

コミューン編集部

海外企業ユーザーコミュニティ事例第4弾!
今回はアメリカから、Tableauを紹介します!

基本情報

【Tableau】

  • 低コストかつノンプログラミングで誰でも簡単にデータ分析できるビジネスインテリジェンス(BI)ツールで、アメリカ発のSaaS企業です。
  • リサーチやマーケティング、経営企画等幅広い職種において活用されており、筆者の前職 (ボストンコンサルティンググループ)でもグローバルでガンガン使っていました。

 

【Tableauコミュニティ】

  • 2012年にスタートし、現在8年目
  • コミュニティユーザー数 :全世界で150,000人以上
  • 累計投稿数:約13万投稿(さらにそれぞれの投稿にコメントがあります)

ユーザーコミュニティの目的は2つ!

① ユーザー間の課題解決 / ディスカッションの場

ユーザー同士で問題解決をしあう場としてコミュニティがうまく機能しています。

↓実際のディスカッションの様子(意訳)

<投稿者>「購買データから各顧客の2回目のオーダーだけを抽出したいのですがよくわかりません。いい感じの方法はありますか?」

<ユーザー1>「日付を条件にMIN関数を使えば1回目のオーダーを抽出することができます。そこで1回目のオーダーを除外して再度MIN関数を実行すれば2回目のオーダーを抽出できます。」

<ユーザー2>「購入頻度をみるコホート分析にて、2回目の購入に絞り込めばちょっと手間がかかりますが抽出できます。」

<ユーザー1>「なるほど、それいいですね!コホート分析だと前回購入日からの日数も確認できるので幅が広がりそうです!」

<投稿者>「お二人ともありがとうございます。今回は2回目のデータだけ取れれば良いのでユーザー1さんを参考にさせていただきます。ユーザー2さんの前回購入日からのデータは他の分析で今後使えそうです!」

Tableauの場合、ディスカッションが盛り上がりやすい背景には、”活用できて初めて価値を発揮する / 使い方が幅広いプロダクトである”というプロダクトの特性があります。

Tableauはただ導入するだけでなく、データをどのように組み合わせ活用するかが重要なプロダクトです。そのためたくさんのユースケースが想定でき、必然的に多くの疑問が生まれます。

コミュニティでは簡単な質問が主ですが、中には複数の関数が必要であったり、業種固有の問題(不動産業で地図との連動が必要である、等)など応用編の話題も多く見られます。

このような場合、カスタマーサポートでは量 / 質ともに対応に限界があり、なおかつユーザーのリアルな知見が最も活きる領域であるため、コミュニティはユーザーにとってのGoToとなりやすいといえます。

また、これは超粗い仮説ですが、分析業務を行うのはだいたい忙しい人で、だいたい定時外におこなっているのでは?と思います。私は前職でTableauを使っていましたが、定時内はミーティングやスキマ時間での対応等しかできず、落ち着いて分析業務ができるのは17時以降でした…。

このような場合カスタマーサポートは閉まっており、Google検索もしっくりこないことがあるので、わからないことがあると「詰む」のです。

そんなとき、コミュニティの知見にはだいぶ助けられていました…。

また、回答側についても、コミュニティディスカッションに参加することで、自身のスキルや知見の向上につなげることができます。このあたりは、BtoCコミュニティでは一般的な、「ポイントによるインセンティブ」に強く依拠しすぎないコミュニティ設計となっており、興味深いですね。

「私がどのようにしてDetaMonarch(トップアンバサダー)になったか」
↑こちらのブログを読むと、あるユーザーがなぜ、どのようにコミュニティに参加し、トップユーザーになったのか? がわかります!💡

ユーザー同士でのコミュニティタッチによる問題解決に関しては過去ご紹介したAirbnbのホストコミュニティやGoogle Adsのコミュニティとも似ているので、こちらもお読みいただけたらと思います!

▶︎Airbnb事例紹介

▶︎Google事例紹介(アップデート中)

② ユーザーからプロダクトフィードバックをもらい、効果的にサービス改善を行う場

一生PMFしないと言われるほど、SaaSにおいては継続的な機能改善が必要です。その源泉とすべきは、ユーザーの声。

“ユーザーのニーズを拾い、機能改善につなげる”取り組みをTableauはコミュ二ティで実現しています。

発案者「データの組み合わせの保存機能がほしい!過去の組み合わせを使いまわしたい場合が多いので!」

ユーザー1「それめっちゃ欲しい!できたら保存データを他のユーザーとも共有できるようにしたい!今メンバーが個々に同じものを作ってたりするから時間短縮できる!」

ユーザー2以降 〜似たようなコメント〜

開発者「今回のバージョンで実装しました!もしよかったら使い勝手に関してフィードバックをください。提案してくれてありがとう!」

ユーザー1「最高!!!」

ユーザー2「本当にありがとう!!

投稿者「提案してよかった!!」

こんな幸せなコミュニケーションが実際に行われています!!

ただ、実際にユーザーフィードバックを集めると問題点が出てきがちです。Tableauコミュニティではそれにうまく対応しています。

ユーザーの声全て聞けない問題

そもそも、リソース不足や届けたい価値とのズレなどから、もらったユーザーの意見を全て反映することは無理ですよね。その結果、「無視された」と感じ不満に思う方もいるのではと思いませんか?

Tableauでは、「なぜ実装できないか?」についてもコミュニティで明示しています。企業の意思決定に透明性があるため、ユーザーにとっても意見を言うモチベーションが生まれるのです。

また、コミュニティには過去のやりとりが自然と積み上がっていくので「なぜその実装をしないのか?」に対する共有知となり、同じようなやりとりを行う必要がなくなります。

フィードバックの優先順位付け大変問題

いろんなフィードバックをもらうけど何が一番重要な意見なの?と迷うこともありますよね。

Tableauコミュニティでは発案者以外のユーザーに投票機能が用意されており「これは是非実装してほしい!」と思えるフィードバックに投票することで解決しています。

投票数によってユーザーが本当に望んでいる機能が可視化されるため、よりインパクトの大きな機能開発が可能となります。


こちらのグラフは縦軸がユーザーの声の総数で横軸が期間。色は赤に近いものほど投票数が多かった声を示しています。

Tableauが新規上場を果たした2013年前後(2012~2014)は特に赤い(投票数の多い)フィードバックが多く、サービス規模が大きくなるほど個別性の高い要望 (票が集まらない)が多くなっているようです。


こちらはユーザーの声から実際にリリースされた機能を表しており、総数は486機能です。

2012年が特に多く、2016年頃まではコンスタントにコミュニティ起点のサービス改善が行われています。2017年以降は改善数は落ち着きましたが、今に至るまでコミュニティがサービス改善の主たるドライバーとなっていたことがわかります。

まとめ

Tableauはまさに、コミュニティとともに進化してきたサービスですね!

ユーザー間の課題解決と、ユーザーとの共創の場としてのコミュニティ活用は、ソフトウェアであればどの企業でも実現したいものかと思います。

特にSaaS企業に対して参考になる事例だと思いました!

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