STATION Ai株式会社様

会員が、会員を連れてくる。STATION Aiが1年で2,800件のマッチングを生んだ「自走コミュニティ」の設計図

会員が、会員を連れてくる。STATION Aiが1年で2,800件のマッチングを生んだ「自走コミュニティ」の設計図
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会員が、会員を連れてくる。STATION Aiが1年で2,800件のマッチングを生んだ「自走コミュニティ」の設計図
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  1. Commune(コミューン)
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概要
スタートアップ支援施設やオープンイノベーション拠点が全国に増える一方で、「イベントは開催できても、その先の事業につながらない」「出会いが単発で終わってしまう」といった課題を抱えるケースは少なくありません。場を用意するだけでは、継続的な共創は生まれにくい、そんな現実が浮き彫りになっています。
 
そんな中、国内最大級のオープンイノベーション拠点であるSTATION Ai様では、不動産の価値を「場所」から「出会い」へと再定義し、人と人が自律的につながり、挑戦が連鎖していく状態そのものを設計してきました。その中核を担っているのが、ビビデバビデ部 コミュニティ課 課長代行の村上 歩様、同課の川上 真穂様です。
 
本記事ではSlack運営からの移行背景、オンラインとオフラインを循環させるコミュニティ設計、そして会員社数約1,000社・マッチング2,800件超を生み出した「自走するコミュニティ」の実践について、現場の視点から紐解いていきます。
 
※撮影場所:STATION Ai

課題

  • Slack運営による情報のフロー化と履歴消失
  • 出会いが運営主導に留まり、スケールしない
  • マッチング成果が可視化できず価値が伝わらない

活用方法

  • イベント・施設来訪・DMをつなぐオンライン×オフライン循環設計
  • 会員主催イベントやギルドを前提とした自走型コミュニティ運営
  • 行動ログと施設データを横断した分析による改善サイクルの実装

成果/これからの目標

  • 会員社数約1,000社、マッチング2,800件超、協業数300件以上(※検討中含)を創出
  • イベントは1年で1,400回以上、現在は約8割が会員主催となり、運営依存から脱却
  • 信頼や貢献といった定性的価値を可視化する指標づくりに挑戦中

日本最大級のオープンイノベーション拠点

—— まずは、STATION Ai様の事業概要について教えてください。
村上: STATION Aiは、日本最大級のオープンイノベーション拠点です。スタートアップの方だけでなく、事業会社、士業、大学、行政など、本当にさまざまな立場の方々が集まっています。そうした方々が出会い、そこから何かを生み出していく。そのための仕組みをつくり、ご支援することを中心に取り組んでいる施設拠点となります。

■STATION Aiとは
約1,000社が参画する日本最大級のオープンイノベーション拠点。スタートアップの創出・育成に加え、企業・大学・自治体などとの共創を促進し、ハード(施設・設備)とソフト(実証・事業化・人材交流)の両面から多角的に支援しています。また、一般の方も利用できるカフェレストランやホテルも整備しています。https://stationai.co.jp/

—— コミュニティは、その中でどのような役割を担っているのでしょうか。

村上: コミュニティについても、考え方は同じですね。よりつながりやすく、出会いやすくするための仕組みや環境づくりを担っています。ビジネスとしてのオープンイノベーションにつながる関係性はもちろん大切ですが、それだけではありません。

同じ業種だから、同じ立場だから、という分かりやすいつながりだけでなく、偶然の出会いや、趣味を通じたつながりなど、さまざまな種類の接点が生まれることを大事にしています。そうした多様な出会いの積み重ねが、結果として新しい挑戦やイノベーションにつながっていくと考えています。

—— お二人はどのような部署にいらっしゃって、どんな役割を担われているのでしょうか。

村上:私たちは「コミュニティ課」という部署に所属しています。課の中でフロント業務とバック業務に役割が分かれていますが、私は課長として課全体の責任を持つ立場にあります。フロント業務担当は実際に会員さんと接して「こういう方がいますよ」とおつなぎしたり、イベントやギルドなどの企画を通じて関係性をつくったりする役割です。川上はバック業務を担当してもらっています。

川上:バック業務は、コミュニティの中で実際にどんなことが起きているのかを、データや現場の声をもとに分析し、その上で次にどうしていくべきかを企画・設計する役割です。会員さんの行動履歴を見て、フロント業務担当であるコミュニティマネージャーからのフィードバックを受けながら仕組みや方針に落とし込んでいきます。

村上:フロントで起きていることを起点に、バックで設計し直し、また現場に返していく。その循環をつくることが我々の役割だと考えています。

「このままSlackで続けていいのか?」

—— コミュニティ立ち上げの背景について教えてください。

村上: もともと、弊社はSlackでコミュニティを運営していました。STATION Aiの前身となる取り組みの頃で、当時はWeWorkに拠点を構えていて、会員もスタートアップの方が中心でした。9社という少ない社数からスタートし、ゆっくりと増えていく中で、コワーキングスペースという小さな場所でみんなが顔見知りになれていました。

ただSTATION Aiとして正式に開業するにあたって、プレイヤーの数が大きく増えることが想定されていたんです。スタートアップだけでなく、事業会社や大学、行政など、関わる方の幅も広がっていく。その中で「このままSlackで続けていいのか?」という議論が出てきました。

川上: 特に課題だったのが、Slack無料版では履歴が残らないことですね。過去のやり取りや自己紹介、そういった情報がどんどん消えていってしまう。コミュニティとして積み上げていきたい情報が、時間とともに見えなくなっていくのは大きな課題でした。かといって有料版に切り替えると、人数規模的にコストがかなりかかってしまうという問題もありました。

村上: そうした背景があって「コミュニティの基盤となるツールを見直そう」という話になりました。プレイヤーが増えても耐えられ、かつ、関係性や活動の履歴をきちんと残せる仕組みが必要だと考えたんです。

——その中で、 Communeを選んだ決め手はどこにあったのでしょうか。

村上: 一言でいうと、総合力ですね。特定の機能がすごく優れているというよりも、必要だと考えていた要件を一番網羅的に満たしていたのがCommuneでした。
 
ダイレクトメッセージ(DM)機能、ポータルとしての情報集約、イベント機能、通知機能など、コミュニティ運営に必要なものが一通り揃っていた、という印象です。Slackのように一部の用途に強いツールもありますが、STATION Aiが目指す「出会いを生み続けるコミュニティ」を考えたときに、機能が分断されていないこと、ひとつの基盤で完結できることは大きかったと思います。

—— SlackからCommuneへ移行する際、大変だったことはありましたか?

村上: 正直に言うと「移行します」と言えばすぐに移れる、という状況ではなかったですね。Slackを完全に閉じるかどうかも決まっていない状態で「Communeに移ってください」と言っても、「Slackもありますよね」と言われてしまう。新しい場に移ってもらうのは簡単ではありませんでした。

川上: 「ここでやります」「ここを見てください」というメッセージを、かなり意識的に出し続けました。イベントの案内も個別の連絡も、「Communeでお送りします」「DMを確認してください」という形に寄せていったんです。STATION Aiで開催されるイベント情報はすべてCommuneに集約していたので、Slackを見ているだけでは「今日何がある」かわからない状態をつくったのも、大きかったと思います。

 「自走」を生むオンボーディング

—— 拠点がある強みを、どうやってコミュニティに活かしているのでしょうか。

村上: 弊社の場合、大きな強みとして「物理的な拠点があること」があります。隣の席で仕事をする、という距離感の中に、事業会社の経営層から学生起業家まで、本当に幅広いレイヤーの方が集まっています。

オープンイノベーション推進拠点で一番大事なのは、イベントやギルドなどの人と出会え、つながれる企画がきちんと回っていること、人が集まり続ける循環があること。オフラインのコミュニティとオンラインのコミュニティを行ったり来たりしながら出会える状態をつくることが重要です。

—— その循環について、具体的に教えてください。

村上: イベントを知るためにCommuneを見て、イベントに参加し、そこで会った人とCommune上でつながる。入口でまずCommuneに登録してもらうと、イベント情報が見られる。だから見に行く、その流れが今いちばん使われているポイントだと思っています。

川上: 実際、イベントページを見てそこからイベントで会った人にDMを送る、という動きが多いですね。イベントとDM、この二軸がマッチングを生むうえでとても重要だと感じています。

村上:あとは毎週1回「はるたまカフェ」というカフェ会も開いていまして、こちらには毎回平均100人ほどが参加してくれます。コミュニティの中で一番ハードルが低い接点として機能しています。ここで顔を合わせてから、後でCommuneでDMを送るという流れも多いですね。

—— STATION Aiならではのコミュニティの特徴はありますか?

村上: STATION Aiならではの特徴としては、オンボーディングがあります。入居時に、単なる使い方説明ではなく、思想を伝える場を設けているんですね。「自分たちで動くことを大事にしてください」というメッセージです。コミュニティマネージャーも一定おつなぎはしますが「ご自分でDMを送る」「イベントを企画する」「つながりをつくる」ことを推奨しています。

川上: その結果、会員さん自身がとても能動的に動いてくれています。そこが、STATION Aiのコミュニティの大きな特徴だと思います。

村上: 「どう使うか」だけでなく、「どう関わってほしいか」まで含めて伝えている。その思想も含めて、コミュニティに参加してもらっている感覚ですね。

—— 現在、イベントの8割が会員の方主催と伺いました。どうやってその状態をつくったのでしょうか。

村上: 最初は代表的な企業さんにイベントをしてもらって、運営もサポートしながら1回やっていただく。その様子を見た企業さんが「うちもやりたい」となって、少しずつ広がっていくという流れができました。

この動きが出てきた段階でマニュアルを整備し、「イベントを実施したい方はここを見てください」という状態をつくりました。今では3社合同のピッチ企画や、フロアごとの飲み会まで自然発生しています。

イベントについてはCommune上のイベント機能を使って、会員さん自身が立てています。イベント作成の権限もお渡ししており、「やりたい人がやれる」状態を意図的につくっています。

—— ギルドという取り組みも象徴的ですよね。

川上: ギルドは、分科会に近いイメージですね。企業や役職は関係なく、同じテーマに興味がある人たちが集まります。たとえば生成AIや環境分野など、関心軸で集まって、フラットな関係で知見をギブし合う集団です。知識を持っている人はギブするし、学びたい人は受け取る。受け取るだけで終わらず、何かを返そうとする。みんなでつくり上げていく感覚があります。

—— 一方で、「DMを送るのが少しハードルが高い」という方への対応はどうされていますか?

川上:そういった方向けに、「虎の巻」「龍の巻」と呼ぶ仕組みを最近始めました。虎の巻はパートナー企業さん向けで、オープンイノベーションの考え方の整理と、自社がどんなスタートアップを探しているかをフォーマットで書いて提出してもらうものです。龍の巻はスタートアップ企業の方向けで、「どんなパートナー企業とつながりたいか」を入力してもらうものです。

村上:両方の情報を運営側で照合して、マッチングを提案する仕組みです。「誰にDMを送ればいいかわからない」という方にも、マッチングの入口を用意できるようにした、という感じですね。

年間2,800件のマッチングはどう生まれたのか

—— こうした取り組みの結果、マッチング数が1年で2,800件を超えたと伺いました。驚異的な数字だと思います。

村上: 正直、私たち自身も「すごい数字になったな」と感じています。ただ感覚としては、特別な施策を一発当てたというより、やってきたことが積み重なった結果だと思っています。

—— 具体的には、どんな仕組みが効いていたのでしょうか?

川上: 大きいのは検索とDMです。「自分たちで動いてほしい」と伝えている以上、会員の誰がどんな事業をしているのか、どんなニーズを持っているのかを探せる仕組みが重要でした。

プロフィールや過去の投稿、企業情報がストックされていることで「この人と話したい」という意思決定がしやすくなっています。過去の自己紹介や活動履歴を検索し、数ヶ月越しにDMで連絡する、ということも起きています。時間を超えて出会いが生まれるようになったのは、大きな変化ですね。

—— 協業数も300件以上創出できていると伺いました。

村上:そうですね、 把握できているだけで、協業数は検討中を含め300件を超えています。裏側では、私たちが知らないところでつながっているケースも多いはずです。

マッチングが「点」ではなく、「線」や「面」として広がっている感覚があります。運営が介在しなくても、会員同士で自然につながっていく。その状態ができたことで、マッチングは偶然ではなく必然として生まれるようになったと思います。

—— 「会員が会員を連れてくる」状態も起きていると伺いました。

村上: 最近では会員さん自身が、会員同士をつないでくれるようになってきていますね。「この人とこの人、合いそうですよ」と自然に声をかけてくれたりして、「いいコミュニティになってきたな」と感じます。

また、会員さんがイベントを開催して「これはSTATION Aiで生まれた取り組みです」と外部で話してくださることも多いです。例えば、以前、ギルドの中でも特に活動的な生成AIギルドが、Googleさんの拠点でイベントを開催しました。すると「名古屋にこういう場所があるんだ」「そこから生まれた取り組みなんだ」と知ってもらえる。そうやって認知が広がっていくのは、すごく理想的な形だと感じています。

コミューン主催 ユーザーカンファレンスPORTでのご登壇資料より

現場感覚を掛け合わせたデータ分析

—— Commune上のデータはどのように活用されているのでしょうか?

川上: 私たちが扱っているデータの中には、Communeだけでなく、施設の入館データなどもあります。ただ、単体のデータだけを見ても、意味が見えてこないことが多いですね。たとえば「出社している」という情報だけだと、仕事をしに来ているのか、交流目的なのかまでは分かりません。私たちは入館情報と、イベント参加状況、Communeへのログイン頻度などを横並びで見て分析しています。

それに加えて、コミュニティマネージャーからの定性的な情報も合わせています。その人がどういう使い方をしているのか、うまく使えていない場合はどうすれば使えるようになるのか、という視点で整理しています。

—— 分析を踏まえて、実際に変えたアクションはありますか。

村上: 最近始めたのは、一定期間出社がなく、イベント参加や支援の接点もない企業さんへのフォローです。「最近どうですか」「STATION Aiは活用できていますか」「難しいと感じていることはありませんか」とヒアリングを行なっています。手伝えることがあれば、使い方の説明をしたり、合いそうなイベントを案内したりしています。こういった活動によって、場を活用しきれずに退会してしまう層を減らせると考えています。

—— 入居検討中の方にコミュニティを説明する際、会員発のコンテンツを訴求されているとも伺いました。 

川上: 実際、コミュニティを含めて営業的な説明をすることは多いですね。「仲間になっていただくと、これだけの企業がいて、ギルドやイベントがあり、他社主催の企画もこんなに動いています」といった形で紹介しています。その方がイメージしてもらいやすいですし、「入居したらイベントも自分で開催できますよ」といった話もしやすくなります。コミュニティが入居の決め手になった、という話も複数聞いており、取り組みの価値を感じています。

コミュニティは「完成」しない

—— 今後、どのような取り組みを進めていく予定ですか。

川上:直近で進めているのは、外部データとCommuneの連携です。まだ自己紹介を投稿していない会員さんの企業情報を取得し、コミュニティ上でも検索・表示できるようにしようとしています。これによって、より網羅的にマッチングのポテンシャルを広げられると期待しています。

村上:検索の強化とあわせて、オリジナルのコミュニティアプリのリリースも検討しています。会員さんがより使いやすく、STATION Aiのブランドとして愛着を持てる場所にしていきたいですね。

—— 最後に、これからコミュニティを作ろうとしている企業や担当者の方に向けてメッセージをお願いします。

村上: 正直なところ、コミュニティ作りって最初はすごく勇気が必要です。費用もかかりますし、成果もすぐには見えにくい。数字で評価しづらいし、「本当に意味があるのか」と悩まれる方は多いと思います。

ただ、私たち自身が運営してきて強く感じているのは、数字だけでは測れない価値が、確実に積み重なっていくということです。先日、一周年のサンクスデーで、私たちが会員さんに「ありがとう」を伝える場を用意したのですが、逆に会員さんからコミュニティマネージャーへ感謝のサプライズが返ってきたことがありました。運営としては思わず胸が熱くなる瞬間でしたし、「やっていて良かった」と心から思えた出来事でした。

川上: 一方で、コミュニティの価値を感覚で終わらせたくない、という思いもあります。信頼や関係性、貢献といった、これまで曖昧に扱われてきたものを、どうやって可視化し、どうやって事業成長と結びつけていくのか。そこに挑戦する余地が、コミュニティにはまだまだあると思っています。

村上: 一人ではできないことも、誰かとつながることでできるようになる。それが一対一ではなく、一対多、多対多へと広がっていく。その連鎖を生み出せるのが、コミュニティの一番の力だと思っています。最初は小さな一歩でも、その先に広がる世界を描けるなら、挑戦する価値は十分にあるのではないでしょうか。

コミュニティ運用、お困りではありませんか?

コミュニティ運用、
お困りではありませんか?

  • 顧客の声やインサイトを拾いたいが、やり方がわからない
  • そもそもコミュニティ構築が難しい、うまく設定できない
  • コミュニティを作ったものの、うまく活性化できない
  • 担当者の感覚や属人的な対応に頼りがち etc..

Communeは専門家による手厚い支援で、戦略から運用までを伴走。
豊富な経験を持つ専任チームが、戦略設計からKPI設定、運営実務の代行まで一貫サポート。
成果につながるコミュニティ運営を実現します。

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戦略設計からKPI設定、
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