シャープ株式会社
会員数が5年間で2.6万人超へ。商品への愛着度向上につながるコミュニティ運営とは?




- 概要
- シャープ株式会社が運営する「ホットクック部」は、ロングセラーかつヒット商品である水なし自動調理鍋「ヘルシオ ホットクック」のファンコミュニティとして、会員様同士の交流と情報共有の場を提供しています。スタートから5年あまりで、会員数は2.6万人超。レシピ共有や調理のコツなどの情報交換を通じて、顧客満足度の向上とロイヤルティ強化に貢献しているだけではなく、会員様の声をもとにした新製品開発につながるなど、ビジネス面でも価値ある顧客接点として機能しています。メーカーが自らオンラインコミュニティを継続し、育てることの意義や成果について国内キッチン事業部 商品企画部主任の西橋雅子さんに教えていただきました。
- 運用体制
- ・専任チームではなく商品企画部の業務の1つとして、コミュニティを運営
・会員様の声を大切にしながら日々改善を継続
- 導入の決め手
- ・実務と並走し、温度感を合わせて提案してくれるスタンスが信頼できた
・サポート体制の厚さ、企画提案力、柔軟な運用支援がコミュニティ継続の後押しになった
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活用方法
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- 初心者会員様の疑問をベテラン会員様が解決する場として活用
- レシピや活用術、オリジナルの調理アイデアなどを共有する交流の場としても発展
- 投稿内容から関連製品やコンテンツ企画を検討
- 初心者会員様の疑問をベテラン会員様が解決する場として活用
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成果/これからの目標
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- 他SNSとのすみ分けが明確となることで、コミュニティの存在価値が高まった
- 導入から約5年で会員数2.6万人を突破する活発なコミュニティへと成長
- 製品活用の幅が広がり、会員様のロイヤルティや満足度向上に寄与
- 社内の製品開発やプロモーションへの示唆も得られ、価値ある顧客接点として定着

「ホットクック部」のみなさまの愛で支えていただいています
貴社の概要と現在の役割について教えてください。
西橋さん(以下、敬称略):シャープは、テレビや冷蔵庫に代表される家電から携帯電話まで、幅広く展開する総合家電メーカーで、2025年に創業113年目を迎えます。私は国内向けのキッチン家電の店頭プロモーションを中心に、SNS運用を担当しています。
ホットクックは、材料を入れてボタンを押すだけで“ほったらかし調理”ができる自動調理鍋として、多くのお客様にご愛用いただいています。「ホットクック部」は、これまでになかった調理家電であるホットクックの使い方を伝えることで、多くの方が利活用、購入しやすくなることを意図して立ち上げられたコミュニティです。
西橋さんが、「ホットクック部」を担当するまでの経緯を教えていただけますか?
西橋:調理機器の商品企画においてプロモーション関係の仕事をすることとなり、「ホットクック部」の運営をすることとなりました。
以前より「ホットクック部」内の投稿を見ていて、会員様の方々がホットクックを大切に思ってくださり、生活の一部として愛されていることを強く感じていたため、運営に携われることは大変光栄だなと思いました。
それほどまでにコミュニティが好きだったのはなぜですか?
西橋:これまであまりお話ししてこなかったのですが、私自身のキャリアで、子育て世帯のためのコミュニティサイトを立ち上げて運営していた経験があり、同じ目線で相談できる相手がいることや、悩みを話せる場所があることの大切さを身をもって感じていました。
また、コミュニティというのは、情熱や理念だけで回せるものではなく、適切な仕組みとサポート体制がなければ継続できないものだということもその経験から学んでいました。だからこそ、「ホットクック部」の運営担当になったとき、パートナーとして経験と知識が豊富なコミューンさんがいてくださったのはとても心強かったです。
コミューンと共にコミュニティを再活性化
担当した当初の様子はどうでしたか?
西橋:担当当初は、会員数が約1万3,000人でした。ホットクックの売れ行き自体は好調で、それに伴い「ホットクック部」の会員数も増えてはいました。
もっと「ユーザー様に幸せになって欲しい」「毎日忙しいみなさまに、ホットクックで余裕を生み出していただきたい」。そんな思いと、コミューンさんの熱心な伴走のおかげで、ユーザー様がさらに増えていきました。特別なことはしていないのですが、コミューンさんと一緒に手間暇を惜しまず運営したことが何よりポイントだと思います。

インスタグラムも運営されていますが、コミュニティとSNSとの使い分け、また連携についてはどのようにお考えですか?
西橋:SNSにはリアルタイムで情報を発信できる強みがありますし、広く知ってもらうためのツールとしては非常に有効だと思います。しかし、私自身もSNSを運用してわかったことですが、SNSではあくまでも発信型です。
一方、コミュニティは会員様同士が継続的に交流し、安心してやり取りできる居場所です。SNSでは反応がないと不安になったり、発信のハードルが高いと感じたりする方もいらっしゃいますが、「ホットクック部」には、誰かがちゃんと見てくれていると思える安心感があるんです。そういった意味でも、SNSとコミュニティはそれぞれ役割が異なり、使い分けながらうまく連携させていくことが大切だと感じています。
ユーザーさんからの反響で印象的だったエピソードはありますか?
西橋:たくさんありますが、中でも「1台では足りないから、2台目を”お迎え”しました」と、まるでホットクックを家族の一員として扱ってくれている投稿が一番印象に残っています。製品に対する言葉なのに深い愛情を感じました。
しかもこの投稿が他の方にも波及していったのには驚きました。2台目の購入報告が続々と投稿され、その様子を見てまた別の会員様が購入する流れができたんです。私はこれを「幸せの連鎖」と呼んでいますが、そのくらい熱量が高く、日々の暮らしに溶け込んでいる様子をお客様の声から改めて実感しました。リアルタイムでその様子を拝見できたのは、私個人としても幸せな体験だったと思っています。
ユーザーの高い熱量が施策を動かす原動力に
最近はオフラインイベントの開催にも注力されていますね。
西橋:「ホットクック部」を運営するようになってから、いつかリアルな場で会員のみなさまと直接つながり、感謝の気持ちを伝えたいと思っていました。その思いを形にしたのが、2024年に開催したファンミーティングです。

開催にあたっては、コミューンさんのサポートを受け、運営設計から当日の進行まで手厚くフォローしていただきました。東京会場では、予想を超える多くの方から参加希望のお申し込みをいただきましたが、会場の収容人数に限りがあったため抽選で30名のみご招待しました。会員のみなさまの熱量やホットクックへの深い愛情を、リアルな場で直接感じられる、非常に意義深く貴重な機会となりました。今後も会員様同士の交流の場を増やすための、新たな構想を練っています。
ユーザー様の声をきっかけに生まれた取り組みがあれば教えてください。
西橋:以前から、より本格的な料理に挑戦したいという声が多くありました。その声を受けてホットクック用の別売アクセサリー「もっとクック」を開発・販売しました。これは、ホットクックの「まぜ技ユニット」のかわりに本体に取り付ける「ヘラ」タイプのまぜ技ユニットです。このアクセサリがあることでより本格的な調理が可能になります。
「もっとクック」にも、「ホットクック部」内の会員様をはじめとする多くのお客様から、大きな反響がありました。販売終了後に再販を望む声も多く届いていて、開発者としても非常にうれしかったですね。このように、投稿を通じてリアルタイムに会員様の声が届き、それを製品開発に活かせるのも、「ホットクック部」という場があるからこそだと感じています。
導入後の効果や現在の状況はいかがですか?
西橋:「ホットクック部」の会員数は、現在、2万6,000人を超える規模にまで成長しました。投稿数やコメント数も着実に増え、今では会員様同士が自然に質問し合い、教え合う場として機能しています。
新しいレシピや使い方の共有、新しいホットクックの購入報告など、会員様同士の交流から新たな購買行動が生まれているのも特徴です。これらのコミュニケーションの積み重ねが、製品へのロイヤルティや継続的な使用につながっていると感じています。
社内外問わず「ホットクック部」の価値が認知されてきた点もとても嬉しく思っています。社内でも「ホットクック部」ファンがおり、最近では『これ「ホットクック部」でできる?』とアンケートやモニター募集の相談をされるようになっています。また、販売後も「ホットクック部」でお客様とつながり続けられることで、「売りっぱなしじゃない」とイメージしてもらうことができ、ブランディングにも好影響を与えられていると感じています。
コミューンのサポートに対する評価をお聞かせください。
西橋:コミューンさんのサポートがなければ、ここまで順調に成長することは難しかったと思います。私自身が他業務と兼務している関係上、日々の運営をすべて一人で見るのは難しい場合もあります。そうした中で、コミューンさんは、単なるツール提供にとどまらず、日々の運営設計や月毎に提案してくださる投稿・企画内容など、丁寧に伴走してくださっています。実務レベルでの支援はもちろん、私たちの状況を汲んだ上で引っ張ったり、時には背中を押してしてくださる姿勢に、非常に助けられています。
ユーザー様からのお問い合わせ対応に迷ったときには、知見のあるコミューンさんに相談できる環境のありがたさを感じましたね。
暮らしをポジティブにするコミュニティのつながりを
今後、どのような展望を描いていますか?
西橋:「ホットクック部」でのつながりを、もっと丁寧に育てていきたい思いが一番強いですね。コミュニティは、特定の誰かが無理をして盛り上げるものではなくて、そこにいる人たちが安心して声を出せる雰囲気があり、自然と輪が広がっていく姿が理想だと思います。私自身も、さらに良い場になるための方法を日々模索しながら、運営に向き合っています。
ホットクックをきっかけに始まったつながりが、製品やレシピだけに留まらず、暮らし全体にポジティブな影響をもたらすような存在に育っていったら、とても素敵だなと思います。会員様の皆さんと一緒に、この場所をもっと面白く、意味のあるものにしていきたいですね。

最後に、コミュニティ導入を検討している企業の方に向けてメッセージをお願いします。
西橋:コミュニティ運営は、簡単ではないと日々感じています。会員様の声に向き合い、継続的に価値を提供していくには、相応の覚悟と支援体制が必要です。だからこそ、ユーザーと本当の意味でつながれる場所になりますし、製品やブランドに対する想像以上の愛を受け取ることができます。
コミューンさんのように、単なるサービス提供にとどまらず、運営者の立場に寄り添って支援してくださるパートナーがいれば、その挑戦はぐっと現実的になります。もし迷っていたら、まずはやってみることをおすすめしたいです。きっと、想像以上の出会いや学びがあるはずです。
会員の方々との深いつながり、愛を感じられるお話をありがとうございました。永く運営されているからこそ、さまざまな経験と思いが詰まった学びの多い事例でした。
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