AI inside 株式会社
AIプロダクトのユーザー同士の学び合いを促進し、より深い製品理解と活用を実現




- 施策概要
- AI inside 株式会社は、生成AI・LLMや自律型AIをはじめとした最先端テクノロジーの研究開発と社会実装を行うテックカンパニーです。主力商品としてAI-OCRサービス「DX Suite」を提供している同社では、製品ユーザー向けに「AI inside Academy」というコミュニティを運営し、ユーザー同士の相互支援や学び合いの場、ナレッジベースを提供しています。運営を担当するカスタマーサクセスチームの五所様に具体的な取り組みの内容についてお聞きしました。
- 運用体制
- カスタマーサクセスチームが運営
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課題
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- 急増する顧客企業に対するカスタマーサクセスの個別対応が難しくなっていた
- 特に個別サポートのつかないLiteプランユーザーへのタッチポイントが限られていた
- 製品の活用ノウハウの共有や蓄積が十分でなかった
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活用方法
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- 製品の使い方や設定方法に関するユーザー間のQ&A形式での情報交換
- 「スタートガイド」など体系的な学習コンテンツの提供
- ユーザー同士のナレッジ共有を促進するイベントの定期開催
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成果/これからの目標
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- 登録ユーザー数約3300名を達成
- コミュニティ内での質問の約半数をユーザー同士で完結
- コンテンツや新機能に対するユーザーからのフィードバックを得られる
ユーザーの相互支援を促進し、製品活用を促進するコミュニティ
貴社の事業概要について教えてください。
弊社では、AI-OCR(光学文字認識)サービスである「DX Suite」を中心としたさまざまなAIプロダクトを提供しており、約3,000社の企業や官公庁などにご利用いただいています。あらゆる業種の企業様に使っていただけるプロダクトですが、クラウドだけでなくオンプレミスの環境を用意していることもあり、大企業や金融機関などセキュリティ面を重視するお客様や、業務効率化にこだわるBPO関連の会社には特に多く活用いただいています。
コミュニティを立ち上げた背景を教えてください。
コロナ禍以降、急速にユーザー数が増加し、お問い合わせの件数も年々増加していました。それに伴い、カスタマーサポートの対応工数も増加してきており対策を考える必要性が出てきました。そのため、一つの解決方法として、コミュニティでユーザー同士が知識を共有し、簡単な疑問や課題が解決しあえる場を作ることができれば、弊社にとっても、お客様にとっても大きな価値に繋がるのではないかと考えました。
また、「DX Suite」が提供するプランの中で個別対応のないLiteプランのユーザーに対するサポート体制の強化や、タッチポイントの確保も重要だと考えた背景があります。
Communeを選び、コミュニティを立ち上げるまでの経緯を教えてください。
複数のツールを比較した上で、ユーザーが他のユーザーの課題を解決したり、活躍してくれたユーザーにスポットを当てて賞賛したりするなど、弊社が実現したいコミュニティの姿を描ける点が決め手でした。
当時は私を含めて関わるメンバーが、コミュニティのことをあまり深く知らなかったため、ユーザーの方々へどのように価値を提供できるか、あるべき姿とは何か、といったところから手探り状態で始めました。
立ち上げに際しては、コミューンさんに非常に多くのことを支援いただきました。
特に、他社事例やコミュニティのノウハウなど教えていただけたのが非常に参考になりましたね。立ち上げ後は全てのユーザーに登録を促しています。現在も、新規ご契約時にアカウント情報とセットでコミュニティを案内したり、カスタマーサクセスチームがオンボーディングの際に直接紹介したり、プロダクト内部にヘルプセンターへのリンクとともに登録動線を設置したり、登録を促すためのタッチポイントを広く設置しています。

各部門の知見とユーザーの疑問や課題を体系化しコンテンツを生み出す
現在のコミュニティにおける具体的な活動を教えてください。
Q&A形式での情報交換を中心に、製品の使い方や設定方法について、ユーザー同士で質問や回答ができる環境を提供しています。また、新規から既存のユーザーまで、コミュニティは有益な場所だと感じていただけるよう、製品に携わる各チームと連携しコンテンツの充実を心がけています。
直近ではCommuneのトレーニング機能を使用し、製品知識を効率的かつ効果的に学べる「スタートガイド」を作成しました。これは、ヘルプセンターやコミュニティのコンテンツをもとに、ユーザーからいただいたフィードバックやオンボーディング支援の視点を融合させて作り上げたものです。弊社のカスタマーサポートとカスタマーサクセス、マーケティングが協働して作成しました。
このスタートガイドは、ヘルプセンターとコミュニティ内のコンテンツ視聴における課題を解決するために設けられました。コンテンツ数が増えてきたので、「どこから視聴すればよいか」と迷うユーザーも少なくなかったため、どの順番で視聴すればよいかを整理・体系化することによって、ユーザーのステップに応じた最適な使い方を学べるようにしました。
さらにスタートガイドでは、文字による説明が好みの方向けの静止画コンテンツ、動画で見たい方向けの解説動画、実際に試しながら学びたい方向けのサンプル環境など、ユーザーの多様なニーズ、学習スタイルに対応できる形式で用意しています。

実際に「スタートガイド」を公開し、どのような反響があったか教えてください。
ユーザーからは「とても参考になった」「専任サポートがいなくても製品知識を学ぶことができて非常に助かりました」といった嬉しいお声をいただいています。また、「ここをもう少し詳しく知りたい」といったリクエストも収集し、継続的な改善に活かしています。コンテンツや新機能などに対してユーザーから気軽にフィードバックをいただけるのはコミュニティならではのメリットを感じています。
社内の営業部門からは「このコンテンツがあることでLiteプランのお客様にも安心感を持っていただける」という声が寄せられています。専任サポートが付かないプランでも、このガイドがあれば一通りの機能を理解し活用していただけるのは、価値として大きいのではないかと感じています。
アクティブ率の向上を軸に継続的な改善施策を実施
コミュニティの運営方針や、重視している指標を教えてください。
約3,000名の登録ユーザーがいる中で、より多くの方が活発に参加し、発信できるコミュニティを目指しており、現在20%前後で推移しているアクティブ率を30%くらいまで引き上げたいと考えています。コミューンさんとは毎月定例の打ち合わせで施策を相談していますが、現在は大きく分けて3つの施策を展開しています。1つ目は投稿数の増加、2つ目は投稿の質の向上、そして3つ目はコミュニティへの参加を促すコンテンツの充実です。
投稿の質については、現状はQ&A的な質問が中心なのですが、今後は各企業の取り組みの共有を増やし、より価値の高い情報交換の場にしていきたいと考えています。そのためにCommune内のポイント機能を活用し、投稿やコメントのような貢献度が高くて、心理的なハードルのあるアクションに対し高いポイントを付与するインセンティブ設計を行い、投稿のハードルを下げる工夫を実施しています。
また、コミュニティの新規登録から1か月前後のユーザーには個別に声がけを行い、コミュニティの活用方法のご案内や投稿のサポートをしていますし、コアユーザーとも定期的にコミュニケーションをとるようにしています。これにより、新規ユーザーにはスムーズにコミュニティに馴染んでいただき、常連ユーザーには継続的な参加と投稿を促す仕組みを構築しています。
BtoBのコミュニティとして何をすべきかと迷うことも多いですが、コミューンさんの経験や他社事例にもとづくアドバイスをいただきながら進めていますね。
実際にコミューンの提案で実施し、効果が見られた施策を教えてください。
Communeにあるポップアップ機能を活用し、登録初期段階に通知設定の重要性を認識してもらうことで、直接メッセージを届けられるユーザーを増やしました。
ユーザーの一部の方にヒアリングを実施したところ、80%のユーザーがメール通知がきっかけでコミュニティに再来訪するという事がわかりました。ですので、再来訪していただくための一つの指標として、メール通知をオフにしてもらわないことが重要だと考えました。ですが、実際はユーザー登録の際に通知自体をオフにしている方は全体の50%以上と高い数値でした。まずは、通知をオンにすると有益な情報がいち早く得られるメリットがあると認識してもらう必要があるため、提案いただいたポップアップ機能を活用することにしました。
この取り組みによって、通知機能をオフにするユーザーが約50%から約30%に減少したのは大きな効果ですね。こういった細かな改善の積み重ねが、アクティブ率の向上に寄与していると考えています。
コミュニティ運営を通じて感じられた成果についてお聞かせください。
コミュニティ内での質問に対して、50~60%程度はユーザー同士で解決できており、ユーザー同士の相互支援が活性化していると手ごたえを感じています。回答に対する「ありがとうございます」という返信だけでなく、「ふむふむ」や「参考になります」といったリアクションスタンプ機能を活用するユーザーも増え、心理的安全性の高い環境が育ってきていると感じます。
「ヘルプデスクへの質問は1対1のやり取りだけど、ユーザー同士なら1対Nでやり取りができるので、様々なノウハウや気づきが得られます」といった感想や、書き込みをしないユーザーからも、読むだけでも非常にためになるとの評価を受けております。また、ユーザー同士での交流を通して、「自分自身の仕事に対する意識が高まった」という声もあり、総じて好評価をいただいております。
今後の展望についてお聞かせください。
注力したいのは、Q&A中心の現状から、より自社の取り組みの共有や戦略的なDX推進に関するディスカッションなど、付加価値の高い情報交換の促進です。投稿やコメントまでは難しくても、まずは閲覧や「いいね」などのリアクションからスタートするなど、少しずつ積極的に参加してもらえるような段階的なアプローチも考えています。コミュニティマネージャーとして、一人一人のユーザー様に寄り添いながら、継続的な改善を進めていきたいと考えています。
コミュニティはマーケティング、営業、カスタマーサクセス、開発など様々な方面に貢献できる施策ですが、特にロイヤルティ向上やエンゲージメント醸成には大きな効果があると感じています。一見するとコミュニティの運用は、プラットフォームとユーザーと運営がいれば簡単に成り立つと思われがちですが、実際には泥臭く粘り強くユーザー様とコミュニケーションを取ったり、社内のメンバーの巻き込みだったり、意外と地道で継続的な活動をすることが必要です。コミューンさんのようなコミュニティの運用ノウハウを持ち、導入から運用まで幅広くご支援いただける企業と共に運用できると安心です。顧客とのコミュニケーションに高いモチベーションをお持ちの企業様はぜひ一度検討してみることをおすすめします。
各部門のノウハウを集約した質の高いコンテンツや、ユーザー同士の繋がりと情報提供によって、今後もコミュニティの価値を高めていただけるようサポートできればと思います!今後ともよろしくお願いいたします。
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