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【イベントレポート】累計60万台突破!シャープが語る!ヒット商品ホットクックがコミュニティを運営する理由とは

2024/09/06

【イベントレポート】累計60万台突破!シャープが語る!ヒット商品ホットクックがコミュニティを運営する理由とは
コミューン編集部

コミューン編集部

<イベントレポート>
皆さんは、コロナ禍に前年比3倍の売り上げを達成・それまで存在しなかった電気調理鍋という新市場に突如参入し、累計出荷台数は60万台を突破しているヒット商品「ホットクック」をご存知でしょうか。
今回は、そんなホットクックを提供しているシャープ株式会社の調理企画開発部係長の西橋雅子氏をお招きし、ホットクックが取り組むオンラインファンコミュニティ施策についてお話しを伺います。

※この記事は、2024年6月6日に開催した、ウェビナー「累計60万台突破!シャープが語る!ヒット商品ホットクックがコミュニティを運営する理由とは」の様子をまとめております。


ホットクックのご紹介

シャープ株式会社 西橋 雅子氏(以下、西橋):シャープは総合家電メーカーで、テレビなどの黒物家電と、本日お話しするホットクックのような白物家電の両方を扱っていて、今年創業112年目を迎える老舗企業です。

調理機器にはヘルシオなどオーブンレンジのような四角いものと、ホットクックや炊飯器など丸いものの、大きく二つあります。本日お話しするホットクックは、材料を入れてほったらかしで料理が出来上がる自動調理鍋です。圧倒的に簡単で美味しい料理が作れるということで、累計販売台数が60万台を達成する人気商品です(※2024年7月23日時点では累計台数65万台を突破)

私は現在Smart Appliances & Solutions事業本部で、国内向けのキッチン事業、主に調理機器を担当しています。

新卒でシャープに入社し、日本語ワープロや黒物家電、その後ネットワーク事業として子育てママのためのコミュニティサイトの運営や、新規事業のLED照明、研究開発本部で基礎技術、社内ベンチャーの立ち上げなど様々な業務を経験してきました。

入社前から白物家電を担当したかったのですが、ようやく現在担当することができ、今は白物家電のプロモーション、SNS担当、そして、コミューンの齋藤さんと一緒にコミュニティ「ホットクック部」を立ち上げて一緒に取り組んでいます。

ホットクックとは?

ー IoTを活用し、美味しい料理を簡単に

西橋:ホットクックは材料を入れたらほったらかしで、無水調理ができます。密閉されるので野菜から出てきた水分と少ない調味料で調理することできます。カレーもルーと生の肉と野菜を入れるだけで出来上がります。IoTと繋げることで、自動でかき混ぜたり、混ぜ方を変えたり細かい制御もできます。

家電をインターネットに繋げるのは抵抗がある方も多いのですが、ホットクックは新しい家電なので抵抗がない方が多く、受け入れられています。

おかげさまでホットクックは累計販売台数が60万台(※2024年7月23日時点では累計台数65万台を突破)達成し、多くのお客様の家事負担を減らすことができています。

水なし自動調理鍋『ホットクック』
出典: 水なし自動調理鍋『ホットクック』

ホットクックユーザーは幅広いのですが、お仕事してる方、家族がいる方が多く、手間がかからず効率的に調理ができそうだからという動機で購入した方が7割にのぼります。

満足度は約90%で、週2〜3回以上使う人が60%と、毎日の調理に役立つことができている商品です。

 

『ホットクック』はユーザーの購入後の満足度が非常に高い

コミュニティを導入する前は

ー お客様のフェーズごとの課題にアプローチ

西橋:コミューン導入前は、お客様のフェーズごとに異なる課題がありました。

今は他社からも自動調理鍋が発売されていますが、10年前にホットクックを発売した当時は「未知なもの」でした。購入検討者は「何がつくれるのか?」など、未知に対する不安がありました。

購入した方は、「取説はあるけど使い方がよくわからない」「メニューがマンネリ化してしまう」といった、使ってみて生じる疑問がありました。

ベテランユーザーは、「オリジナルレシピや体験などを共有したい」という思いを持っていました。また、製品に対する具体的な要望や疑問を抱えている方もいましたが、カスタマーサポートまでお問い合わせしてくれる方は僅かでした。

そんな時に、コミュニティを運営すれば、点在していた課題に一元的にアプローチできるということをコミューンさんから提案いただき、「ホットクック部」の導入に至りました。

そして、コミュニティ導入へ

『ホットクック部』とは?

ホットクック部とは?
出典: ホットクック部

ー コミュニティでユーザー同士が熱量高く交流

ホットクック部では、ホットクックユーザーと情報交換することができ、初心者は先輩の使い方を知ることができたり、お悩み相談をしてアドバイスをもらったり、活用術を紹介したりできます。

最初はシャープ側から発信していましたが、今は自発的に発信してくれたり、お客様同士で疑問を解決してくれるようになりました。

基本のレシピ投稿以外にも、「こんな使い方ができたよ」「投稿を元にレシピを作ってみました!」など、ユーザーの交流が活発で、熱量もとても高いです。

中には、「ジンジャーエールを作りました!」などとオリジナルレシピをどんどん共有してくれる方もいて、社内でもホットクックでジンジャーエールが作れると知らなかったのでびっくりしました。

ホットクック部とは?
出典: ホットクック部

ー コミュニティの声から別売アクセサリーを販売

西橋:ホットクック部での投稿を見ていると、ベテランユーザーを中心に「手の込んだ料理も作りたい」「素材の味を生かした料理を作りたい」という声が出てきました。そこで、本格的な料理を作れるようにへらでかき混ぜる「もっとクック」という別売アクセサリーを製造販売しました。ホットクック部でも紹介したところ反響があり、購入報告や、「買えなかったので再販して欲しい!」というコメントもあり、ユーザーの声が直接聞けて嬉しかったです。

また、ホットクック部で、エリックサウスというレストランの総料理長の稲田さんが監修したホットクックともっとクックを使ったレシピを公開し、オンライン料理教室も開催しました。270名ものお申し込みがあり、気さくな稲田さんとみんなで料理をし、好評のイベントになりました。

ー ホットクックが家族の一員に

西橋:ホットクック部の投稿で、ホットクックを子供のように可愛がっていたり、「2台目をお迎え」して2台持ちでメニューの幅が広がったことを喜んでいるユーザーをよく見かけます。それだけでも嬉しいのですが、その投稿を見た他のユーザーが「私も2台目をお迎えしてみよう」と購入し、その報告を投稿し、さらにその投稿を見た他のユーザーが購入を検討し…という循環が生まれました。実は私も自腹で3台購入しています。(笑)

そんなホットクックを愛する方のおかげで、コミュニティを開始し3年半で部員数が2.2万人を突破しました。

パネルディスカッション

ー コミュニティでファンホットクック愛を実感

コミューン株式会社 齋藤 美緒(以下、齋藤):現在のコミュニティの取り組みについてお伺いしたいのですが、まずはコミュニティへの導線について教えてください。

西橋:商品に同梱しているチラシに案内を入れていたこともありました。また、購入検討者に対しては、店頭カタログ、展示の中で紹介し、「ホットクック部があるから安心」と訴求しています。

齋藤:現在コミュニティではどのような取り組みをされていますか。

西橋:日々の投稿として、ホットクックを使ったレシピを投稿できる「レシピ投稿」やユーザー同士で自由なコミュニケーションをとることができる「トーク」があります。投稿数としては、レシピ投稿が多く、「取説やメニュー集に載っているものを作りました」という投稿はもちろん、オリジナルレシピを披露してくれたりしています。

不定期に開催するコンテンツとしては、ホットクックを買った理由として皆さんの「ホットクックストーリー」を投稿してもらい漫画にしたり、料理教室やファンミーティングを開催しています。YouTuberのたろすけさんにレシピを紹介してもらったり、ホットクック愛をみんなで語るオンラインイベントも好評で、170名の申し込みがありました。

ー お客様の生の声をSNSで活用

齋藤コミュニティとSNSの違い、それをどう生かしたかを教えてください。

西橋:社内でコミュニティとSNS両方運用するの?片方でいいのでは?と社内でも声が上がるのですが、コミュニティで相談したいことと、SNSで発信することは目的が違うので、私は共存した方がいいと思っています。

コミュニティ内で出てきた「わたしのホットクックストーリー」を漫画にしてInstagramで発信したら、「私のホットクックストーリー」が「みんなのホットクックストーリー」になり、コミュニティ外への認知獲得施策として活用できます

企業からの一方的なSNS投稿は、営業感が出てしまったりするのですが、実際に買ってくださった方からのリアルの声をそのまま使えたのが良かったと思います。

ー コミュニティ仲間を見つけて完全に任せる

齋藤:体制や社内の巻き込み方についてお伺いしたいのですが、コミュニティは1人で運営できるのでしょうか。

西橋コミュニティ立ち上げはできるけど、継続が難しい。でもコミュニティは継続しないと意味がないので、社内の仲間を増やしていくことが重要です。共感してくれる人を見つけて、お願いするときは300%の信頼を置いて任せ切るのがポイントだと思います。私の助手が欲しいわけではなく、仲間を増やしたいので、細かいことは言わず、楽しい雰囲気を作りながら、コミュニティを一緒に盛り上げる仲間として完全に任せます。

ー コミュニティは事業成果にもユーザーの孤独解消にも繋がる

齋藤:最後に、今後の展望について教えてください。

西橋:ユーザー数はわかりやすい指標なのですが、単に人数が増えるだけだと意味がないと思っています。濃いお客様との関わりや、想いをちゃんと受け止めてお返しできるような場にしたいと思っています。

社内からは、「ホットクック部があって助かったね」と言われたいですし、なによりも、ユーザーからは「ホットクック部に参加して良かった」と思われるような場を作りたいです。

齋藤コミュニティが事業成果に繋がる動きもあるんですよね。

西橋:ホットクック部内では、2台目、3台目のホットクックを「お迎え」する文化ができつつあり、さらにお迎えしやすい空気感も醸成できており、事業にも貢献できていると思います

齋藤:孤独を解消する取り組みもしていらっしゃるんですよね。

西橋:そうなんです。料理は1人ですると孤独で、義務感があったり、辛い時もあるのですが、「料理をエンタメ」にすることで、コミュニティに所属していて良かった」、「1人じゃない」と孤独を解消できていると思います

最終的にはホットクックがあることで、人生を豊かにする世界観を目指していきたいです。

子育てで忙しい時にホットクックを使うことで時間ができ、「空いた時間に何をする?」と考えることができたら少し豊かになりませんか。

そして、「身体にいいものを食べたい」というのも人生を豊かにすると思います。ホットクックでは無水で調理するので、素材本来の美味しさを楽しむことができ、子供の野菜の好き嫌いが減ったらいいなと思います。

他にも、「ごはんが美味しかった!」「ごはん時間の満足度が上がった!」「料理のレパートリーが増えた!」「料理の腕前が上がった!」など、作った人も、食べた人も、みんなが笑顔になれる世界を作るお手伝いをしたいです。

質疑応答

Q.コミュニティは最初から盛り上がっていましたか。

最初はこちら主導で話を振ってみたり、新しいコンテンツを追加したりしていました。だんだん一緒に盛り上げてくれる部員が増えてきて、投稿やコメントが活発になっていきました。

Q.コミュニティは成果が出るまで時間がかかると思いますが、社内での評価はどうですか。

上層部には「コミュニティ、いいね!」と評価されていて、「今の部員数でも十分で、コアなお客様を大事にするのが重要。引き続き頑張って。」と言われています。しかし、中間層には、費用対効果の説明を必要としているのが現状です。

コミューンさんとの定例ミーティングでも、このような悩みを相談してディスカッションしながらどうすれば成果を出せるか一緒に考えてもらっています。

Q.ホットクックがヒット商品になった経緯を教えてください。

実は、最初の3,4年は全然立ち上がらず苦しい時期を過ごしていました。ホットクック体験会をした時に、「美味しい!」「これが家でも食べられるの?」と実感してもらって、そこから「便利」「ほったらかし」「美味しい」というキーワードが口コミで広がっていきました。

Q.コミュニティで声が大きい要望に応えると売上げが上がるのでしょうか。

コアなユーザーには刺さっても、一般ユーザーには刺さらなかったりするので、せめぎ合いです。もっとクックはユーザーの声から開発された商品ですが、「こういうことができたら嬉しいですか?」というアンケートはホットクック部で取りました。試作品ができた時にも実際に使ってもらって意見を聞きました。

Q.コミュニティ内でアップセルやクロスセルを促したのでしょうか。

こちらから促してはいないのですが、2台使いしているお客様の投稿を見て買ってくださった方が「2台持ち良かった!」と投稿し、それを見た人がまた2台目を買ってくれて…という循環が自然と生まれました。こちらから2台目を買ってとは言っていないです。

 

Q.コミュニティ立ち上げで最も難しかったところはどこですか。

腹決めだと思います。コミュニティは立ち上げたらすぐ辞められるものではないので、腹を括ってやるということを担当者は意識しないといけないと思います。

また、炎上したときはどうするか、なども全部決めて、設計図を用意して、想いの部分で決裁をとるというところはありました。

 

Q、新しい市場開拓する際に心がけた方がいいことはありますか。

しばらく辞めないことです。

 

 

齋藤:本日はたくさんのお話、ありがとうございました!

 

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