1. Commune コミュニティコンパス
  2. コラムの記事一覧
  3. ファンコミュニティとは?SNSマーケティングとの違いやメリット・成功事例・5つの重要ポイントを解説

コラム

マーケティング

ファンコミュニティとは?SNSマーケティングとの違いやメリット・成功事例・5つの重要ポイントを解説

2024/03/27

ファンコミュニティとは?SNSマーケティングとの違いやメリット・成功事例・5つの重要ポイントを解説
コミューン編集部

コミューン編集部

ファンコミュニティとは、簡単に言うと「ファンが気軽に参加できる場、ファンになった人の行き場」を指します。近年、多くの企業がこのファンマーケティングに注目しています。
市場競争が激しい中、既存顧客のLTVを向上させる方法を模索している企業が増えているためです。

本記事では、既存顧客のロイヤルティ化と新規顧客をファンに育成を目的とするファンコミュニティについて、その定義やメリット、運営におけるポイントや注意点などを具体的に解説します。

ファンコミュニティとは?


ファンコミュニティとは、SNSやネット上で形成される、ブランドやサービス、商品に対してのファン集団のことです。

【対象の例】

  • 人物・グループ:芸能人、俳優、アイドル、スポーツ選手、スポーツチーム、作家、監督など
  • 創作物・コンテンツ:音楽、映画、マンガ、ゲーム、テレビ番組、本、アートなど
  • 企業活動:企業、ブランド、商品・サービスなど

たとえば、日本に根付いているプロ野球の私設応援団やアイドルのファンクラブは、ファンコミュニティの一形態といえます。

あるいは、ハーレーダビッドソンの「ハーレーオーナーズグループ(Harley Owners Group)」は、世界的規模のファンコミュニティとして知られています。

 

【ファンコミュニティのさまざまな形態】

ファンコミュニティのさまざまな形態

ファンベースの文脈における「ファンコミュニティ」

ファンコミュニティ自体は、昔から存在していて新しいものではありません。

一方、マーケティングの分野で「ファンコミュニティ」がよく聞かれるようになったのは、「ファンベース」の影響があります。

ファンベースとは、ファンを大切にし、ファンをベースにして中長期的に売上や価値を上げていく考え方のことです。

2018年2月に出版された書籍『ファンベース』にて、広く知られるようになりました。

佐藤尚之『ファンベース』
出典: 佐藤尚之『ファンベース』

ファンベースでは、「共感・愛着・信頼」の3つのアプローチの実践を通じて、ファンのLTVを上げ、新たなファンも育てていきます。

ファンの支持を強くする3つのアプローチ

【共感を強くする】

A. ファンの言葉を傾聴し、フォーカスする
B. ファンであることに自信を持ってもらう
C. ファンを喜ばせる。 新規顧客より優先する

【愛着を強くする】

D. 商品にストーリーやドラマを纏わせる
E. ファンとの接点を大切にし、 改善する
F. ファンが参加できる場を増やし、活気づける

【信頼を強くする】

G. それは誠実なやり方か、自分に問いかける
H. 本業を細部まで見せ、丁寧に紹介する
I. 社員の信頼を大切にし「最強のファン」 にする

出典:佐藤尚之,『ファンベース』, 筑摩書房, 2018年, p.106

上記のとおり、重要な施策に「F. ファンが参加できる場を増やし、活気づける」があり、それが「ファンコミュニティ」なのです。ファンベースについては、「ファンベースとは?重要な考え方と実践アプローチ・施策例」にて解説しています。

先にファンベースの考え方をインプットしておくと、ファンコミュニティを理解しやすくなります。あわせてご覧ください。

ファンコミュニティとSNSの違い:双方向コミュニケーションの重要性

ファンコミュニティと聞いて、SNSと何が違うのか疑問に思う人もいるでしょう。

InstagramやFacebook、X(旧Twitter)に代表されるSNSは、自社のファンだけではなく様々な人が様々な利用目的で参加します。フォロワーには自社のファンだけではなく、ただの興味本位の人もいます。それに対して、ファンコミュニティはその商品やサービスに興味や愛情を持っている人が参加するため、熱量から差が生まれます。

そのため、運営からの発信内容について、SNSと比べて高い関心と反応が期待できるため、企業とファンが持続的に双方向コミュニケーションを取ることができます。

ファンコミュニティがビジネスにもたらす5つのメリット

ファンコミュニティがビジネスにもたらす5つのメリット

マーケティング施策としてのファンコミュニティはビジネスに直結しにくい、という印象を持つ方が多く見られます。

何がよいのか?
本当に収益につながるのか?
と、懐疑的に捉える声が少なくありませんが、実際のところ、「ビジネスにとって非常に有益」です。

ファンコミュニティがもたらす効果として、5つ挙げられます。

  1. 愛着の強化
  2. ユーザー生成コンテンツの増加
  3. インサイトの発見
  4. 売上の増加
  5. 費用対効果の改善

以下で詳しく見ていきましょう。

愛着の強化

1つめの効果は「愛着の強化」です。

別の言い方をすれば、顧客ロイヤルティを高めて、顧客離反率の低下につなげるために、ファンコミュニティが重要な役割を担うのです。

『ファンベース』の著者・佐藤尚之氏は、以下のとおり述べています。

ファンが気軽に参加できる場を作り、想いを共有し、企業や商品ブランドの体験を増やしていくことは、確実に「愛着」を強くする。

というか、せっかくファンになってくれた人がいるのに(情報も商品も溢れかえるこの時代においてそれは貴重なことである)、彼らの行き場がないというのはどういうことだろう。
すべからく、彼らが集え、交流でき、発言できる場所を作るべきである。

出典:佐藤尚之, 『ファンベース』, 筑摩書房, 2018年, p.141

 

ファンコミュニティとは、きわめて良質な顧客接点(タッチポイント)の創出であり、ファンコミュニティでの体験が、愛着を強くするのです。

【ファンコミュニティでの体験の例】

    • 自分が支持しているブランドや商品についての想いを、同じように支持している他のファンへ共有する
    • 他のファンの想い(投稿やコメント)を聞くことで、自分の想いの確信が深まる
    • 企業・ブランドから、大切なファンとして、丁寧で上質な待遇を受ける

ファンコミュニティとは、その場にいることで「ファンである自分のポジティブな気持ち」が高まり、膨らんでいく空間といえます。

ユーザー生成コンテンツの増加

2つめの効果はユーザー生成コンテンツ(UGC)の増加」です

近年、広告よりも、他のユーザーの口コミを信頼するユーザーが増えました。

たとえば、Nielsenの調査では、

〈世界中の消費者の92%が、友人や家族からの口コミや推薦などのアーンドメディアを、他のあらゆる広告形態よりも信頼している〉

と指摘されています。

ファンコミュニティは、最上のユーザー生成コンテンツ(UGC)を生み出す場として、効果的に機能します。

ファン同士がつながり、盛り上がり、共感し合うなかで生まれる口コミやシェアは、最も訴求力の強いコンテンツといっても過言ではありません。

インサイトの発見

3つめの効果は「インサイトの発見」です

ファンコミュニティは、企業・ブランドにとって有益なヒントが詰まった、宝の山のようなものです。

【ファンコミュニティを通じて得られるデータの例】

  • 企業を意識しないオーガニックな生の声
  • 従来のアンケートやインタビューでは到達できない本当の心理
  • 共通の関心を持つ仲間同士だからこそ発露される本音
  • ユーザーの意見・興味関心・態度がリアルタイムで変化する様子

たとえば、欧米では、「MROC:Market Research Online Community(マーケティングリサーチ・オンラインコミュニティ)」という手法が、活用されています。

リサーチを目的としてコミュニティを形成しデータを収集する手法で、コミュニティ内のメンバーの行動や会話から、インサイトを探索します。

ファンコミュニティは、商品・サービスの改良や商品開発、タッチポイントの改善、新たな事業のアイデアなど多方面へ意義深いインサイトを提供してくれます。

売上の増加

4つめの効果は「売上の増加」です。

ファンコミュニティは、以下の構造で中長期的なビジネス収益を増加させます。

【ファンコミュニティと売上増加の関係】

    • 既存顧客の愛着が強まり、顧客維持率が上昇し、LTV(ライフタイムバリュー:顧客生涯価値)が高まって、売上が上がる。
    • ファンコミュニティのメンバーのUGC経由の新規顧客が増え、顧客総数が増える。
    • ファンコミュニティのメンバー限定の商品・サービス(オリジナルグッズ、特別なオファー、限定イベントなど)が新たな収益源となる。
    • 優れたファンコミュニティを保有していることが、ブランド認知度の向上に寄与し、潜在顧客層へのリーチが拡大される。

ただし注意点として、「儲けることを目的としてコミュニティを構築しても、うまくいかない」というパラドックスがあります。

【コミュニティの重要ポイント】

「Don’t Sell to the Community, Sell Through the Community.」
(コミュニティへ売るのではなく、コミュニティを通じて売る)

上記については、後ほど詳しく解説します。

費用対効果の改善

【ファンコミュニティが含有する施策】

    • 既存顧客との関係性を強化するリレーションシップ施策
    • 良質なUGCを増やすコンテンツマーケティング施策
    • 潜在層へのリーチを拡大する露出向上施策
    • 顧客インサイトのリサーチ施策
    • 限定の商品・サービスなどによる客単価向上施策

「それぞれの施策に割り振っていた予算を統合できる」と考えると、ファンコミュニティは、きわめて費用対効果のよい施策といえます。

ファンコミュニティ施策のやり方 5つの重要ポイント

ファンコミュニティ施策のやり方 5つの重要ポイント

ファンコミュニティ施策のやり方として、押さえたい5つの重要ポイントがあります。

  1. コミュニティへ売ってはいけない
  2. ファンからの傾聴を出発点とする
  3. 「ファンに支持されている価値」を軸にコンセプトを作る
  4. コミュニティの“あるべき姿”にフィットするツールを選定する
  5. ツールの提供会社と協働してコミュニティを構築する

それぞれ解説します。

コミュニティへ売ってはいけない

1つめのポイントは「コミュニティへ売ってはいけない」です。

前述したことでもありますが、以下のフレーズを噛みしめたいところです。

【コミュニティの重要ポイント】

「Don’t Sell to the Community, Sell Through the Community.」
(コミュニティへ売るのではなく、コミュニティを通じて売る)

この言葉の意味するところについて、佐藤氏は以下のとおり解説しています。

ネット上のファン・コミュニティや、リアルな会員組織の場合、「Don’t Sell to the Community / Sell Through the Community」という考え方を意識したほうがいい。
つまり、ファンには売るな、ファンを通して外に売れ、ということだ。

出典:佐藤尚之, 『ファンベース』, 筑摩書房, 2018年, p.144

ファンコミュニティを通して外に売る

多くの企業・ブランドが、ファンコミュニティからの直接収益を急ぐあまりに、コミュニティの構築に失敗しています。

同じ過ちをしないよう、ぜひ心に留めていただければと思います。

ファンからの傾聴を出発点とする

2つめのポイントは「ファンからの傾聴を出発点とする」です

ファンコミュニティで売らずに、何をすべきかといえば、「ファンが喜ぶこと」に徹します。

ただし、担当者の「これをやれば、ファンは喜ぶだろう」というもくろみは、往々にして外れます。

「ファンのツボは、そこじゃないんだよね……(わかってないなぁ)」

と、ファンを失望させかねません。

そのような失敗を回避するためには、ファンコミュニティの企画をする前に、じっくりと「傾聴」をすることです。

【傾聴する施策例】

    • ファンミーティング:ファンが集い、ファン同士で盛り上がる中で、共感ポイントを再発見してもらう
    • 各種リサーチ:ファンに対してアンケート調査やインタビューを行う
    • ソーシャルリスニング:SNS上の会話を収集・分析する

傾聴を通じて知るべきことは、
「自社のファンは、どんな価値を支持して、ファンでいるのか?」
というポイントです。

〈ファンが一番喜ぶのは「支持している価値」のブレのない改善である〉
と、佐藤氏は述べています。

「ファンに支持されている価値」を軸にコンセプトを作る

3つめのポイントは「ファンに支持されている価値を軸にコンセプトを作る」です。

ファンコミュニティのコンセプトを決めるとき、企業視点ではなくファン視点で考えることが重要です。

たとえば、ベースフード株式会社はファンコミュニティの『BASE FOOD Labo』で、以下のコンテンツを提供しています。

【BASE FOOD CAMP】

BASE FOODを食事に取り入れ、栄養バランスを整えることで、健康状態を改善し、「理想のからだ」を目指す、1か月集中プログラム

これは「ファンが喜ぶこと」です。

なぜなら、BASE FOODのファンは、BASE FOODの「栄養バランスを整えることで健康状態を改善し、理想のからだを目指せる」という価値を支持しているからです。

自分が支持している価値がブーストされるコミュニティは、ファンのツボとなります。

もし、支持している価値が「おいしい」なら「おいしい」をブーストするコミュニティ、「オシャレ」なら「オシャレ」をブーストするコミュニティ……という具合に変わります。

すべては、前項で「傾聴」したファンの声を起点として、パズルを作っていくイメージです。

コミュニティの“あるべき姿”にフィットするツールを選定する

4つめのポイントは「コミュニティの“あるべき姿”にフィットするツールを選定する」です。

ファンコミュニティの実装は、コミュニティツールを利用して行います。

コミュニティツールには、複数の選択肢があります。

傾聴を起点として、コミュニティのコンセプトが見えてきたら、「コミュニティのあるべき姿にフィットするツールはどれか?」
という視点で探していきましょう。

 

【コミュニティツールの例】

コミュニティツール名 提供会社の価値観
Commune(コミューン) コミューン株式会社(2018年設立)
Vision:あらゆる組織とひとが融け合う未来をつくる
coorum(コーラム) 株式会社Asobica(2018年創業)
Mission:遊びのような熱狂で、世界を彩る
OSIRO(オシロ) オシロ株式会社(2017年設立)
Mission:日本を芸術文化大国にする
QON(クオン) クオン株式会社(1996年創業)
Vision:World Wide Communityを育てる
CRAYON(クレヨン) 株式会社クレヨン(2018年設立)
社名には「世界を色付ける道具」という想いが込められている

コミュニティツールについて詳細は「コミュニティツールとは?おすすめツール5選と選定ポイント11項目」をご覧ください。

ツールの提供会社と協働してコミュニティを構築する

5つめのポイントは「ツールの提供会社と協働してコミュニティを構築する」です。

「自社でファンコミュニティを運営するなんて、想像がつかない」
という声を聞くことがあります。

実際には、コミュニティツールの提供会社に、運用代行も含めてアウトソーシングするやり方が、多く採用されています。

初めてコミュニティを構築する場合には、コミュニティの運用サポートが付随する提供会社と協働して構築するやり方がおすすめです。

Communeの顧客支援体制

上図は弊社の「Commune(コミューン)」の運用体制の例ですが、高い提案力・伴走力でサポートしています。

実践知を持つメンバーが、「やるなら徹底的に」という信念のもと、サポートしています。

ファンコミュニティについて疑問な点があれば、ご相談だけでもお気軽にお問い合わせください。

ファンコミュニティ運営における注意点

ファンコミュニティの安定的な運営のために注意したい3つのポイントについて説明します。

・良質なファンを集める
・長期的な計画を立てる
・専任の担当を配置する

良質なファンを集める

コミュニティは参加者が多いほど盛り上がると思うかもしれませんが、ファンコミュニティはそうとは限りません。

特にコミュニティの立ち上げ時には、商品やサービスに対する愛着があり、より良いものにしていきたいと思っているファンを集める必要があります。中でも、投稿やリアクションなどを積極的に行ってくれる人をお勧めします。コアなファンが立ち上げ時からコミュニティを盛り上げ、そのコミュニティの雰囲気を作ります。

熱意のあるファンが活発に活動して盛り上がっているコミュニティは、後から参加したライトなユーザーも楽しい場所と認識し、仲間になりたい、再訪したいと思えるようになるでしょう。そして、自然と商品やサービスへの関心も高まっていきます。このようなライトユーザーがコアユーザーに育つ雰囲気が醸成されるためには、立ち上げ時の良質なファン集めが重要になります。

長期的な計画を立てる

ファンコミュニティを開設し、ファンが集まったからと言ってすぐに業績やブランディングに効果が出るものではありません。参加者が増えて活発な交流が行われても、ファンとの共創による新規商品の企画などの活動につながるまで、年単位の時間が必要です。すぐに目で見てわかる成果が出ないことに焦りを感じ、運営側が営業色の強い発信を続けるとせっかく集まったファンも離れていくかもしれません。

ファンコミュニティの参加者にどのような体験を提供するのか、ロイヤルティの高め方はどうするのか、ライトユーザーをどのようにコアユーザーに育てていくか、長い目線で計画を立てることが重要です。さらに、その計画を社内に共有して理解を得てから進めると良いでしょう。

専任の担当を配置する

ファンコミュニティを管理・運営する担当者をコミュニティマネージャーといいます。参加者が定着して活性化するためには、コミュニティマネージャーのコミットが重要です。

コミュニティマネージャーはコミュニティの運営や掲示物の管理、参加者への対応を基本に、コミュニティを盛り上げること、参加者を増やすこと、ロイヤルティを高めることが主な業務になります。そのため、コミュニケーションとマーケティングのスキルを合わせて持っている必要があります。

自社内にこのような人材が見つからない場合は、専門会社に依頼する方法もあります。コミュニティマネージャーの主な業務内容や求められるスキルについては、以下の記事で詳しく説明していますので、ご参考にしてください。

ファンコミュニティの成功事例

ファンコミュニティの成功事例

実際に、ファンコミュニティ施策で大きな成功を収める企業が増えています。事例を2つ、ご紹介します。

・カゴメ株式会社「&KAGOME」
・ベースフード株式会社「BASE FOOD Labo」

カゴメ株式会社「&KAGOME」

&KAGOME
出典: &KAGOME

『&KAGOME』は、ファンコミュニティの成功事例として、ケーススタディによく取り上げられる存在です。

【事例データ】

コミュニティ名 &KAGOME
運営会社 カゴメ株式会社
課題 2013年当時、全社的に売り上げが鈍化しており、「ここで手を打たないと」という危機感があった
解決策 すでにカゴメの商品に価値を感じてくれているファンの方と向き合い、継続的にカゴメの商品を使っていただくための施策を取ろうという方針を打ち出した
成果 &KAGOME所属ユーザーはNPSスコアを維持を維持(ただし数字のためよりも、ファンの方々にとっておもしろい、ためになるコンテンツづくりを重視)

 

参考:「KAGOMEらしさ」を追求したコミュニティ。ファンを中心に据えたマーケティング戦略に迫る

書籍『ファンベース』では、以下のとおり紹介されています。

カゴメは、20年かけて、企業理念に共感してくれた個人株主をじわじわ増やしてきた。そして今や、なんと総株主のうち99・5%が個人株主であり「ファン株主」なのである(そのうち3分の1が主婦層だというのもすごい)。そう、ファンが株主として企業活動そのものに参加しているのである。とかく「ファンの顔が見えない」とお嘆きの企業が多いが、カゴメはファンに株主になってもらうことで、ファン個人個人とつきあえるベースを作ったのだ。
カゴメのファン・コミュニティ「&KAGOME」は、オープン時、会員募集キャンペーンを一切やっていない。告知したのはこの個人株主と通販の購入者のみである。最初から濃いファンしか入れない仕組みなのである。そしてそのファンたちに参加してもらう施策もいろいろ実施して、カゴメへの愛着をより強めてもらおうとしている。結果、一般顧客がカゴメ商品を月平均100円購入するのに対し、株主は月1300円も購入するという。彼らが売上を支えているわけだ。

出典:佐藤尚之, 『ファンベース』, 筑摩書房, 2018年, pp.142-143

新時代のマーケティング施策のあり方として、学ぶべき点が、『&KAGOME』には数多くあります。

『&KAGOME』の詳細がわかる2つの記事を以下にご紹介しますので、ぜひ目を通してみてください。

ベースフード株式会社『BASE FOOD Labo』

BASE FOOD Labo
出典: BASE FOOD Labo

『BASE FOOD Labo』は、完全栄養食「BASE FOOD」のファンコミュニティです。

D2Cブランドのコミュニティ施策として、卓越した存在感を放ちます。

 

【事例データ】

コミュニティ名 BASE FOOD Labo
運営会社 ベースフード株式会社
課題 オフラインでのイベント開催など、リアル接点を大切にしていたが、オフラインだとできることが限られてしまう、全国のお客様とコミュニケーションを取ることは難しい
解決策 オンラインでの施策を検討しコミュニティを導入
成果 ・LTV向上
・新規顧客獲得
・解約率減少
・商品力
・プロモーションの改善

 

参考:Communeを活用したベースフードのユーザーコミュニティ「BASE FOOD Labo」会員1万人を突破

『BASE FOOD Labo』の中を覗いてみると、ファンを惹きつけるコンテンツが並びます。

BASE FOOD Labo
出典: BASE FOOD Labo

たとえば、『BASE FOOD CAMP』は、BASE FOODを食事に取り入れ、栄養バランスを整えることで、健康状態を改善し、「理想のからだ」を目指す1か月集中プログラムです。

BASE FOOD Labo
出典: BASE FOOD Labo

参加者同士でコメントやリアクションを行い、楽しみながらBASE FOODを続けられるコンテンツとなっています。

2010年代の後半、「D2Cブランドは世界観が重要」とよくいわれました。

多くのブランドが世界観を兼ね備えた今、次の打ち手として重要なのが、BASE FOODのように「良質なコミュニティを持つこと」といえます。

『BASE FOOD Labo』の詳細がわかる2つの記事を以下にご紹介しますので、ぜひ目を通してみてください。

まとめ

本記事では「ファンコミュニティ」をテーマに解説しました。要点を簡単にまとめます。

ファンコミュニティがビジネスにもたらす5つの効果として、以下が挙げられます。

  1. 愛着の強化
  2. ユーザー生成コンテンツの増加
  3. インサイトの発見
  4. 売上の増加
  5. 費用対効果の改善

ファンコミュニティの成功事例として、2つご紹介しました。

  1. カゴメ株式会社『&KAGOME』
  2. ベースフード株式会社『BASE FOOD Labo』

ファンコミュニティ施策の重要ポイントはこちらです。

  1. コミュニティへ売ってはいけない
  2. ファンからの傾聴を出発点とする
  3. 「ファンに支持されている価値」を軸にコンセプトを作る
  4. コミュニティの“あるべき姿”にフィットするツールを選定する
  5. ツールの提供会社と協働してコミュニティを構築する

ファンコミュニティの施策を検討する際は、多くの事例を見ることが有益なヒントとなります。

こちらの導入事例ページにて、多数の事例を、業界や活用シーンごとに絞り込み検索できます。参考資料として、お役立てください。

 

コミュニティマーケティングを実践したいですか?

私たちは、コミュニティサクセスプラットフォーム「Commune(コミューン)」を通じて、企業のコミュニティマーケティングにおける企画・構築・運用を一気通貫でサポートします。

以下では、導入事例やプラン体系がわかりやすく掲載された資料をダウンロード可能です。顧客体験を向上させたいマーケティング担当者の方はぜひチェックしてみてください。

資料請求はこちらから