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コラム

マーケティング

コミュニティマネジメントとは?企業における役割と取り組み事例

2024/03/26

コミュニティマネジメントとは?企業における役割と取り組み事例
コミューン編集部

コミューン編集部

コミュニティマネジメントとは

コミュニティマネジメントとは、ユーザーとの交流を通じてコミュニケーションを取り、認知拡大、ブランドロイヤリティ向上などを行う特定のユーザーコミュニティに置いて、コミュニティの活性化や健全化のための施策や監視などのマネジメントを行うことです。

 

ユーザーコミュニティは、特定の人物、グループ、コンテンツ、企業・ブランド、活動などに対して、ポジティブな関心を持つ人たちの集まりを指します。たとえば、日本に根付いているプロ野球の私設応援団やアイドルのファンクラブは、ファンコミュニティの一形態といえます。

近年、企業が自社ブランドのコミュニティを形成することを通じて、高いロイヤルティを持つファンを増やそうとするコミュニティマーケティングという手法が、スターバックスやLEGOなど世界的なマーケティング先進企業から始まり、日本国内でも取り組む企業が増えてきています。

それらのコミュニティを活性化させたり、顧客ロイヤルティを高めたり、売上増加に繋げたりマネジメントすることをコミュニティマネジメントと言います。

コミュニティマネジメントが生まれた経緯

企業が運営する「自社サービスやブランドのためのコミュニティサイト」は、2010年代後半より米国企業を中心に加速してきました。企業・ブランドが、顧客とのエンゲージメントを深める目的でユーザーコミュニティを活用するケースが多く、主にコミュニケーションを円滑に回したり、イベントの企画・運営をしたり、トラブル対応をするためにマネジメントの担当者であるコミュニティマネージャーを置くようになりました。

日本でもコミュニティマネージャーとして働く人が増えてきており、実際に求人サイトIndeedで「コミュニティマネージャー」と検索すると6,185件の募集があります。(2023年10月現在)

コミュニティマネジメントの効果

日本でもコミュニティマネジメントが注目されるようになったのはなぜでしょうか。コミュニティマネジメントの効果を5つご紹介します。

  • 認知拡大
  • ブランドへのロイヤリティ向上
  • ユーザー生成コンテンツ「UGC」の増加
  • インサイトの発見
  • 売上の増加

認知拡大

コミュニティにより、自社ブランドや商品などの認知を拡大する効果が期待できます。近年、ユーザーの広告宣伝に対する信頼度が落ち、消費者は、友人・知人、家族などからの口コミやリコメンド情報を信頼するようになっています。

コミュニティでは企業発信の活用シーンではなく、実際にユーザーが自社商品の購買やサービスを体験をした上でのコメントをしているので、同じ消費者目線として他のユーザーの心に届きます。

ユーザーコミュニティを作ることは、広告宣伝以外の良質なタッチポイント(顧客接点)を増やし、認知拡大にも繋がるのです。

ブランドへのロイヤルティ向上

顧客ロイヤルティは、顧客が特定のブランドや商品に対して抱く「強い信頼や愛着心」、およびそれによって生じる「繰り返し購入したいという意欲や行動」のことです。

コミュニティを通じた連帯感や、コミュニティ内だけで得られる限定感は、顧客ロイヤルティを強力に深める効果があります。ブランドと顧客のつながりだけでなく、顧客と顧客のつながりが構築されてこそ、顧客ロイヤルティは加速度的に深まっていきます。コミュニティがあれば、顧客たちは困りごとや疑問を、お互いに解決できます。今までは知らなかった、商品・サービスの使い方や工夫を知って、さらに満足度が高まる場面もあるでしょう。

そして、「コミュニティ自体に対する愛着」が醸成されることで、顧客はより強くブランドと結びつくことになります。

ユーザー生成コンテンツ「UGC」の増加

近年、従来の広告宣伝ではなく、ユーザーにとって価値あるコンテンツを媒介として良質な顧客接点を作る手法(コンテンツマーケティング)を実践する企業が増えています。

UGC(“User Generated Contents”の略で「ユーザー生成コンテンツ」の意味)はコンテンツマーケティングにおいて重要な役割を担うコンテンツです。

ファン同士がつながり、盛り上がり、共感し合うなかで生まれる口コミやシェアは、企業にとって貴重な財産となります。

たとえば、ブランドのファンによって書かれた愛用コメントや、愛用者だからこそ生み出せた思わずやってみたくなるユニークな使い方などの発信は、企業発信の広告よりも訴求力の強いコンテンツです。

UGCは新たな顧客獲得の機会となったり、まだファン度が低い顧客のファン化を促進したりするのに役立ちます。

インサイトの発見

コミュニティは、企業・ブランドにとって顧客に関する有益なヒントが詰まった宝の山のようなものです。

コミュニティを通じて、企業を意識しないオーガニックな生の声や、共通の関心を持つ仲間同士だからこそ引き出される本音を聞くことができます。

また、従来のアンケートやインタビューでは掘り下げきれない本当の心理を知ることができ、サービス改善に繋げたり、新たな事業アイデアのインサイトを得ることもできます。

売上の増加

コミュニティは、中長期的に見て、売上の増加を見込むことができます。

  • 既存顧客の愛着が強まり、顧客維持率が上昇し、LTV(ライフタイムバリュー:顧客生涯価値)が高まって、売上が上がる
  • ファンコミュニティのメンバーのUGC経由の新規顧客が増え、顧客総数が増える
  • ファンコミュニティのメンバー限定の商品・サービス(オリジナルグッズ、特別なオファー、限定イベントなど)が新たな収益源となる
  • 優れたファンコミュニティを保有していることが、ブランド認知度の向上に寄与し、潜在顧客層へのリーチが拡大される

ただし「儲けることを目的としてコミュニティを構築しても、うまくいかない」というパラドックスには注意する必要があります。目先の利益にとらわれず、長い時間をかけてコミュニティを育てていくことが重要です。

コミュニティマネジメントを行うポイント

コミュニティマネジメントの効果を把握できたところで、実際にコミュニティマネジメントを行うにあたって気をつけておくポイントを解説します。

コミュニティの場を用意する

コミュニティマネジメントを実施するためには、まずはマネジメント対象となるコミュニティを用意する、つまり「コミュニティサイトを運営する」必要があります。

イチから自社(または開発会社)で開発・構築する方法もありますが、主流となっているのは、コミュニティツールを利用する方法です。コミュニティツールを使うと管理画面から簡単にユーザーコミュニティを立ち上げられますし、専門知識は不要なので初めてのコミュニティ立ち上げでも安心です。

コミュニティツールをお探しの方は下記の記事も参考にしてください。
コミュニティツールとは?おすすめツール5選と選定ポイント11項目

コミュニティ内での繋がりを提供する

コミュニティでは、企業とユーザー同士が双方向にインタラクティブにコミュニケーションを取ることができます。情報発信一つとっても、一方通行のメルマガと、リアクションが取れるコミュニティ内の投稿では、親しみやすさが違うはずです。企業も、コミュニティの方がよりカジュアルな内容を投稿できるでしょう。

また、自分の意見に対して同じ回答をもらうにしても、メールでの返答と、コミュニティ内で企業担当者から直接言われるのでは、後者のほうが”受けて止めてもらえた感”が高いです。

このような特別な体験を通じて、ユーザーは他のユーザーや企業との繋がりをより感じることができ、エンゲージメントの向上に大きく貢献します。

コミュニティを盛り上げる

コミュニティであればユーザーを巻き込んだ企画を実施することができます。

コミュニティメンバー限定のイベントや、新商品の体験会、さらにはユーザーと一緒に商品開発をするなど、メンバーが盛り上がることによって、よりコミュニティへの愛着が湧き、帰属度が高まります。

また、どれくらい盛り上がっているのかを数値で把握することも重要です。コメント数、アクション率などのKPIを設定し、効果測定を行いましょう。コミュニティツールによっては管理画面から分析レポートが見れるものもあります。現状や進捗を管理画面から簡単に把握できるコミュニティツールは、改善アクションが早くなるため、成果も早く上げやすくなります。

コミュニティマネジメントの具体的な取り組み

実際にコミュニティマネジメントを行うにあたって、具体的にどのような点に気をつけたほうが良いのか解説していきます。

コミュニティサイトの運営

コミュニティサイトの運営をするにあたり、コミュニティに必要な機能の例をご紹介します。

【コミュニティ機能の例】

  • ユーザーの嗜好や属性情報に応じたグループ作成
  • コンテンツ投稿(テキスト、画像、動画、その他)
  • 投稿へのコメント、リアクション(いいね!やスタンプなど)
  • フォロー機能
  • DM送信機能
  • Q&A
  • ナレッジベース
  • SSO(シングルサインオン)

【コミュニティ管理機能の例】

  • 投稿の非表示・編集機能
  • 投稿モニタリング機能

【データ活用機能の例】

  • 各種分析機能
  • レポート生成
  • テキストマイニング
  • GA/GTMによる各種タグ埋め込み
  • 自社が保有する顧客データとの連携

自社のコミュニティで力を入れたい活動やその目的は何かを明確にしたうえで、必要な機能を洗い出し、それらが備わっているコミュニティツールを導入し、運営するようにしましょう。

メルマガの配信

コミュニティマネジメントでは、メルマガ配信も有効な手段の1つです。

メルマガでトークテーマを紹介してコミュニティ内での投稿を促したり、コミュニティ内での出来事のダイジェストを送ることも有効です。メルマガは古いイメージがあるかもしれませんが、必要な情報を効率よく取得する方法として活用できます。

SNSアカウントの作成

「うちの会社は、SNSでアカウントを運用しているから、コミュニティサイトは不要なのではないか」あるいは、「コミュニティサイトを構築したら、SNS運用は停止してよいのか」と、迷われる方も多いようです。

答えは、 「SNSとコミュニティサイトは役割が異なるため、どちらも必要」 となります。

上図のように、コミュニティサイト内で密なつながりを醸成しつつ、外に向かって拡散するためにSNSを活用する、というイメージなので、コミュニティとは別にSNSのアカウントを運用することも有効です。

リアルイベントの開催

コミュニティはオンライン上のものが大半で直接顔を合わせる機会は少ないですが、オフラインでのリアルイベントの開催も有効な手段の一つです。

オンライン上でコミュニケーションを取っていると友達のような感覚になり、イベントで初めて対面した場合もすぐに打ち解けることができ、共通の話題で盛り上がることができます。

また自分の好きなサービス、商品の開発者やブランドの中の人と会話をすることができ、直接想いを伝えたり、改善の要望を伝えたりできることがさらなる愛着に繋がっていきます。

ユーザー共創企画の実施

コミュニティ内でユーザーに新商品のモニターとなってもらいフィードバックをもらったり、新商品の開発を一緒に行う企画を実施することも考えるといいでしょう。

自社の社員だけでは考えつかない斬新なアイデアを得ることができたり、市場に出す前のマーケティングをコミュニティ内で行うことで、スピーディーな商品開発・改善が行えるメリットがあります。

ユーザーにとっても、コミュニティメンバーだからこそ携われる商品開発などは特別な体験となり、実際に市場に出た商品を「自分も開発に携わった」などと口コミで広めてくれることもあります。

コミュニティマネジメントの企業事例

ヤマハ発動機株式会社 - ユーザーと直接会話できる関係性をメーカー主体で構築。商品の共創が叶うコミュニティ活用

[課題]

  • ユーザーとの距離をさらに縮める活動を進めたかった
  • メーカー自身による、ユーザーのエンゲージメントを高める取り組みができていなかった

[活用内容]

  • ユーザー同士がカスタマイズや日々のツーリングについて共有
  • 製品のカスタマイズに関する悩みをユーザー同士で解決
  • 商品開発者とユーザーが直接繋がる場を提供
  • コミュニティのロゴステッカーやショーでの展示用のヘルメットをユーザーと共創

[成果]

  • ユーザーの生の声を直接聞ける環境・関係を構築
  • オフラインイベントでは多くの社員が参加し社内を巻き込めた
  • ユーザーと一緒に商品を作り上げる基盤ができた

株式会社サイバー大学 - 学生同士の交流で休・退学を思いとどまった学生も

[課題]

  • 学生の学習に対するモチベーションの維持・向上を目指したい
  • 休・退学の抑止や履修継続率の向上を目指したい
  • フルオンライン大学であっても、通学制大学の様な学生生活を送ってほしい

[活用内容]

  • 在学生、卒業生、教職員の相互コミュニケーション
  • 在学生、卒業生間で学習方法や学びの中での気付きの共有
  • 在学生、卒業生有志によるオンライン勉強会や交流会の開催

[成果]

  • 休・退学を思いとどまる学生が出てきた
  • 学内のオンライン・オフライン両方の交流が活性化された

ユーザックシステム株式会社 - コミュニティを活用ユーザー支援で解約率を低減

[課題]

  • PAを使いこなせないユーザーが増加→解約率増加
  • 新たなサポートを取り入れたい

[活用内容]

  • 既存コミュニティに相談コーナー設置
  • 月2回のオンラインイベント開催

[成果]

  • 解約率の改善
  • コミュニケーションの活性化

▽記事はこちら
コミュニティを活用したRPA導入後のユーザー支援で解約率を低減(ユーザックシステム株式会社)

コミュニティマネジメントの参考書籍

ファンベース

人口急減や高齢化、超成熟市場、情報過多などで、新規顧客獲得がどんどん困難になっている現代において生活者の消費行動を促すためには「ファンベース」が絶対に必要であり、ファンを大切にし、ファンをベースにして中長期的に売上や価値を上げていく考え方である「ファンベース」を解説しています。

そのファンベースの重要性と効果的な運用の方法を、豊富なデータや事例を挙げて具体的に紹介しており、コミュニティ検討する方は読むべき必読書です。

マーケティング4.0

経営学者のフィリップ・コトラー教授の「マーケティング4.0」では、「自己実現」が重視されるようになり、消費者は、製品を購入することだけでなく、購入したことによって自らの「精神的欲求を満たすこと」を重視するようになったと解説しています。

SNSやクチコミサイトなど、一般顧客が集まる顧客コミュニティが自然発生するようなり、企業発信の情報より、同じ消費者の口コミの方が信頼できるので、見込み客が何かの製品を買うとき、事前に顧客コミュニティの意見を覗きに行くのが一般的な商習慣となりました。

マーケティングがどのように変遷しているのか、またコミュニティがどのような機能を果たすかを解説している一冊です。

遠くへ行きたければ、みんなで行け ~「ビジネス」「ブランド」「チーム」を変革するコミュニティの原則

「メンバーが自律して動き、才能が最大限引き出される」 「予想を越えた成果(=イノベーション)が生まれる」 ような「人と人とのシナジーが絶えず生まれるコミュニティ」は、どうすれば作れるのか?ということを、 7,300万人が使う開発プラットフォーム「GitHub」や オープンソースOS「Ubuntu」など、世界規模のコミュニティでディレクターを務めたジョノ・ベーコン氏が解説している一冊です。

コミュニティマーケティングならcommune(コミューン)

「commune」は、売上向上などの重要な事業指標の実現を支援するコミュニティツールです。データ分析機能、KPIの設計やコミュニティの構築、行うべき施策の提案など、運営支援に強みがあります。

カスタマーサクセスの観点から、戦略的に効果的なコミュニティ施策を推進したい企業・ブランド向きのコミュニティツールです。

コミュニティ戦略と運営を知り尽くした専門担当者が、運営代行を行うアウトソーシングサービスも展開しています。

コミューンは、企業と顧客の垣根をなくし、共創関係が当たり前である社会の実現を目指しています。その実現のためにコミュニティサクセスプラットフォーム「commune(コミューン)」を提供しており、また、当社のお客様限定のコミュニティ「SHIP」を通じたお客様との共創関係構築にも力をいれています。

これまでの企業と顧客の関係 ― サービスを与える側、受け取る側という”価値交換する関係”― ではなく、同じ方向を向く共創関係を築きたいと考える方は、ぜひコミューンにご相談ください。

まとめ

本記事では「コミュニティマネジメント」をテーマに解説しました。要点を簡単にまとめます。

コミュニティマネジメントとは、特定のユーザーコミュニティにおいてユーザーとの交流を通じてコミュニケーションを取る中で、コミュニティの活性化や健全化のための施策実施や監視などのマネジメントを行うことです。

コミュニティマネジメントの効果は5つあります。

  • 認知拡大
  • ブランドへのロイヤリティ向上
  • ユーザー生成コンテンツの増加
  • インサイトの発見
  • 売上の増加

コミュニティマネジメントを行うポイントは3つあります。

  • コミュニティの場を用意する
  • コミュニティ間の繋がりを提供する
  • コミュニティ内の盛り上がりを起こす

コミュニティマネジメントの具体的な取り組みとして5つポイントがあります。

  • コミュニティサイトの運営
  • メルマガの配信
  • SNSアカウントの作成
  • リアルイベントの開催
  • ユーザー共創企画の実施

コミュニティマネジメントの参考書籍として3冊紹介しました。

  • ファンベース
  • マーケティング4.0
  • 遠くへ行きたければ、みんなで行け ~「ビジネス」「ブランド」「チーム」を変革するコミュニティの原則

本記事を参考にしていただき、コミュニティマネジメントを成功させましょう。