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CX戦略とは?戦略策定の方法・ポイント・成功事例を解説

2024/05/29

CX戦略とは?戦略策定の方法・ポイント・成功事例を解説
コミューン編集部

コミューン編集部

最近注目されているCX(カスタマーエクスペリエンス)は顧客が商品やサービスを認知するようになることから、実際に消費(または利用)して、その後の行動や感情に至るまでの体験を意味します。
本記事で、なぜこの顧客の体験に注目が集まるようになったかの背景やメリットを理解し、具体的なCX戦略の策定方法とポイントなどを知ることができます。

そもそもCX(カスタマーエクスペリエンス)とは?

CX(Customer Experience、関連記事を読む)」とは、商品やサービスの機能・性能・価格といった「機能的な価値」だけでなく、購入するまでの過程・使用する過程・購入後のフォローアップなどの過程におけるあらゆる体験である「情緒的な価値」を指す概念です。

日本語では「顧客経験価値」「顧客体験価値」という用語が使われています。

市場の成熟化とともに顧客ニーズが多様化・高度化する現代では、機能的価値のみで差別化を図るのは容易ではありません。優れた商品・サービスを設計・開発するだけでなく、感覚的・心理的な価値を提供することで顧客満足度の最大化に寄与し、企業の持続的な成長と発展につながります。

また、CXはあくまでも顧客視点での体験のことを指しており、企業側が顧客に提供したエクスペリエンスを、そのままCXと捉えるのは危険です。企業視点ではなく、顧客視点でのCXを考え、提供できるようにしましょう。

UX・CSとの違い

CXと混同されやすい概念としてUXとCSがあります。ここではこの2つの概念との違いについて解説します。

UX(User Experience / ユーザーエクスペリエンス)」は商品やサービスの利用を通じて得られる顧客の体験価値のことです。

一方、CXは購入するまでの過程やSNSの情報、コールセンターの対応など、購入前から購入後までに顧客が体験する全ての体験が対象となるので、CXUXよりも広範な意味合いを持ちます。

CS(Customer Satisfaction / カスタマーサティスファクション)」は顧客がどの程度商品やサービスに満足しているかを定義する言葉で、顧客の満足度の維持や不満を解消することを目的として行われる指標です。

一方、CXはマイナス要因をなくすことや満足度を維持することに重きを置くのではなく、顧客の期待を上回るような価値を提供します。

CX戦略とは?(カスタマーエクスペリエンス)とは?

CX戦略とは、優れた顧客体験価値の創出を目的とするマーケティング戦略のことを指します。優れたCXを提供するためには、顧客を理解し、顧客中心に商品・サービス提供を行う必要があります。

また、 CX戦略を策定するには、ペルソナやカスタマージャーニーマップの作成・現状の見直し・KPIの設定など、さまざまなポイントがあります。

CX戦略が必要になっている背景

CX戦略が注目されるようになった背景には、大きく3つの理由があります。

①市場競争力の低下
上述のように、市場の成熟と顧客ニーズの多様化・高度化により商品やサービスの差別化を図りにくくなっています。価格競争は短期的かつ健全ではないので、長期的な企業成長戦略の一環として、CX戦略が注目されるようになったのです。

②顧客接点の多様化
インターネットやスマホ、SNSの普及により、企業と顧客のタッチポイントが多様化しています。企業と顧客だけではなく、口コミやレビューサイトのように顧客同士でも商品やサービスへの接点が持てるようになりました。もちろん、全ての接点を企業側でコントロールすることはできません。だからこそ、企業側は顧客が自社の商品やサービスの魅力を最大限に体験できるようなCX戦略を立て、展開する必要があります。

③顧客データの分析の容易さ
インターネットやSNSなどの普及により接点が増えたのは顧客だけではありません。企業側でも顧客の様々なデータを入手しやすくなったのです。それに合わせ、MA・CRM、SFAなどの分析ツールが登場し、カスタマージャーニーマップRFM分析など顧客の行動や体験の実態を分析する様々な手法も活用されています。

CX戦略を行うメリット

カスタマーエクスペリエンス(CX)を向上させることで、以下の4つのメリットが期待できます。

LTVの向上
・市場競争力の向上
ロイヤルカスタマー(ファン)の増加
・ブランド力の向上

LTVの向上

カスタマーエクスペリエンス(CX)を向上することで、顧客に感情などの付加価値を与えることができます。商品やサービスの本来の価値をより深く、正しく感じられる体験は、商品やサービスへの顧客満足度を上げる効果を持ちます。そして、満足度が高い顧客はもう一度同様な体験を求めて再度の購入や契約の継続をするため、顧客の離脱を防ぐことにも繋がります。

顧客が離れずに購入や契約を続ける、つまり顧客の離脱が防止できるため、商品やサービスのLTV(ライフタイムバリュー、顧客生涯価値)の向上が期待できるのです。

市場競争力の向上

CXを向上して付加価値を上げることは、市場競争力の向上にも繋がります。本来の商品やサービスが提供する価値に加え、満足度の高い体験を顧客に提供することで競合との差別化を図るとともに、市場で有利な立場を取ることができます。

似たような商品やサービスだと顧客は少しでも安い方に流れていきがちですが、企業側からすると価格を下げるのにも限界があります。値引きや価格改定で短期的な売上成果は得られるかもしれませんが、長期的にはなるべく避けたいはずです。価格を下げる代わりに、競合他社とは違う顧客体験を提供して顧客満足度を上げることで、価格以外に選ばれる理由を作り、中長期的に継続して購入や契約してくれる顧客を増やすことができます。

CXを向上して顧客満足度を上げて顧客の離脱防止とロイヤルティ化を進めることで中長期的な企業成長を実現しましょう。

ロイヤルカスタマー(ファン)の増加

CXを向上させ、顧客満足度を上げると顧客はその商品やサービスに愛着を持ち、単純な顧客ではなく、ファン(ロイヤルカスタマー)になります。インターネットやSNSの普及により、顧客同士での情報交換が活発に行われている中、このようなロイヤルカスタマーの発言は他の顧客に大きな影響力を持ちます。

ロイヤルカスタマー口コミやレビューサイト、自身のSNSなどで積極的にその商品やサービスの体験を共有します。顧客自らが広告塔になり、商品やサービスの宣伝を担ってくれるアドボカシーマーケティングにつながるのです。

ブランド力の向上

CXを向上させるとリピーター顧客が増えたりロイヤルカスタマー化が進み、彼らによる口コミや宣伝効果はアドボカシーマーケティングに繋がります。こういった効果は市場全体でのブランド力の向上にも貢献します。

競合他社と差別化された体験ができることが市場に認知されるとその体験を求めて新規顧客が増えます。ファンが新規顧客を呼んで、その新規顧客がまたファンになる好循環が生まれるのです。

ブランド力が向上すると価格競争からも有利な位置を取ることができます。商品やサービスそのものの価値よりも体験に価値を感じるようになると、顧客はその体験への対価を支払うことに抵抗がなくなります。企業は消耗的な価格競争を行う必要がなくなるため、品質改善や新規事業へ集中しやすくなり、さらなるCX向上に取り組むことができます。

効果的なCX戦略の立て方


顧客にとって価値のあるCXを提供するためには、適切なCX戦略の策定・実行が必要です。 以下のことを意識して取り組みましょう。

ペルソナやカスタマージャーニーマップの作成

優れたCXをデザインする際、最も重要なのは顧客の視点に立って考えることです。ペルソナとカスタマージャーニーマップを作成し、整理しましょう。

ペルソナとは、企業が提供する商品やサービスの顧客像のことであり、新規顧客獲得やターゲットに合わせたCX策定の基盤になります。

カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品の購入やサービスの利用までにどのような動きをするのかを明確にしたものです。顧客の動きを追うことによって、どのような顧客体験を提供できるかを把握できます。

ペルソナもカスタマージャーニーマップも常に変化し続けていくものなので、一度作ったら完成ではなく、都度見直してアップデートしていきましょう。

戦略策定と現状の見直し

次に、ペルソナやカスタマージャーニーマップから得られる情報や顧客満足度調査や市場分析などを基に戦略を策定していきます。

同時に、現状の課題や改善点を整理する必要もあります。そこで重要な役割を担うのが、「VOC(Voice of customer:顧客の声、関連記事を読む)」の分析です。過去に行ったアンケート結果やクレームなど、企業に寄せられた顧客の声を元に顧客満足度調査や感情解析などを実施することで、顧客の潜在需要や現状の経営課題を把握することができます。

KPIの設定

CXの向上を図るためには、数値目標であるKPIの設定が必要です。適切なKPIを設定することで、目標の達成度合いを可視化できるとともに、プロジェクトの進捗管理や軌道修正も効率化できます。

CXの創出につながるKPIとしては、商品やサービスへの満足度を測る「顧客満足度」や、サービスの推奨度を定量化する「NPS(Net Promoter Score:ネットプロモータースコア)」、顧客1人あたりがもたらす生涯合計金額を算出する「LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)」などが挙げられます。

定期的な改善

優れた顧客体験価値を創出するためには、KPIの達成度を定期的に計測し、PDCAサイクルを回しながら計画や戦略の改善に取り組む必要があります。

外部環境の変化と共に顧客のニーズも絶えず変わっています。その中で同じ戦略をとっていれば、企業は時代遅れの戦略を取り続けることになり、顧客にとって最適なCXを提供することはできません。

CX戦略の成功事例3選

1.株式会社ユーグレナ

微細藻類ユーグレナを活用した栄養問題・環境問題の解決を目指すバイオベンチャーである株式会社ユーグレナは、フィロソフィーである「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」に共感し一緒に未来を考えていただける仲間が集まる場所として「ユーグレナ・エアポート」というコミュニティを始めました。商品のことはもちろん、サステナビリティのこと、普段の生活で実際に取り組んでいるサステナブルなアクションをお客様同士で共有していくことで、お客様が一歩踏みだす後押しになっています。また、「Sustainability First」に共感してくれる仲間とユーグレナで一緒に未来を一緒に作っていると感じてもらいやすくなっており、コミュニティがサステナブルなアクションが積み上がっていく基盤となっています。

2. 株式会社Gakken

小学生向け科学雑誌「科学」の出版などを行う教育事業や医療福祉事業を展開している株式会社Gakkenは、「科学」のキットを使った経験などを共有できる場としてコミュニティを始めました。コミュニティでは、オンラインワークショップやイベントに無料で参加できたり、本誌と連動した動画や本誌のテーマとは離れたオリジナルの動画が見られたり、離れた場所にいる編集部や他の読者たちと「科学」というキーワードでつながることができます。投稿をするとどんな内容でも編集部のメンバーが絶対に返信をくれるので、コミュニティに参加できているという安心感を感じてもらいやすくなっています。また、お互いの経験をリスペクトする雰囲気があるので、普段学校で共有しづらいかもしれないマニアックな科学の知識や経験を共有しても出る杭が打たれないどころか自分の知識や体験を興味の対象が似ている仲間たちに褒めてもらうことができる場となっており、読者のCX向上に繋がっています。

3. 六甲バター株式会社

QBBブランドのプロセスチーズ等の製造・販売を行っている六甲バター株式会社は、プロセスチーズ国内シェアが1位にも関わらず、ブランド調査の結果、純粋想起率は1位ではありませんでした。ファンを育てていくことと情緒的価値を生み出すことが必要があると考えコミュニティを導入したところ、熱量の高いユーザーの可視化ができただけではなく、ユーザーと一緒に商品開発をするという新しいマーケティングもできました。

CX戦略でおさえておくべきポイント


CX戦略の展開を推進するためには、いくつか押さえるべきポイントが存在します。以下5つの点を意識して戦略策定・実施に取り組みましょう。

担当者を決める

組織全体でCX戦略を推進するためには、部署を連携して旗振り役となるCX担当者を配置しましょう。 顧客体験を向上させるためには、全社で取り組む必要があります。

また、顧客体験を変革するには、 顧客中心の文化を組織全体に根付かせる必要があるので、必要に応じてミッションステートメントを作成することで、社員全員に共有したり、評価制度を整えたりすることも検討しましょう。

一貫性のある価値提供をする

それぞれの顧客接点で一貫性のある価値を提供できているか意識しましょう。 顧客に届けたいブランド一貫したイメージを訴求できていれば、顧客とのコミュニケーションが円滑となり、CXの向上が期待できます。

多様なチャネルに対応する

現代はインターネットとスマートフォンの普及に伴ってチャネルが多様化しており、オフラインの広告以外に、WebサイトやSNS、アプリケーション、動画配信サービスなど、販売促進に寄与するさまざまなチャネルが存在します。こうした複数の顧客接点を戦略的に活用するためには、企業と顧客の間にあるタッチポイントを連携させて統合的な販売経路を構築する、オムニチャネル戦略の推進が不可欠です。

コンタクトセンターを見直す

企業と顧客をつなぐ架け橋としての役割を担っているコンタクトセンターは、顧客理解を深めるために欠かせない役割を担っています。日々顧客の意見やクレームなどが寄せられているため、このVOC(関連記事を読む)を分析することでリピーターの獲得やロイヤルカスタマーの醸成に寄与することが可能です。

顧客情報を一元化する

CX戦略を推進するためには、顧客情報を一元管理し、活用する仕組みが求められます。顧客情報を部門ごとに分けて管理していると、一貫性のある対応ができずにCXが悪くなってしまいます。購買履歴や顧客属性などの顧客情報を管理するCRMツール、マーケティングに関する作業を一部自動化するMAツール、サイトの訪問者数の集計、行動履歴の分析に役立つWeb解析ツールチャットボットなどのWeb接客ツールなどを連携し一元管理できるようになれば、従業員の負担が減るだけでなく、データの効果的活用が可能になります。

CX戦略ならCommune(コミューン)

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コミュニティ戦略と運営を知り尽くした専門担当者が、運用を代行するサービスも展開しています。

これまでの企業と顧客の関係 ― サービスを与える側、受け取る側という”価値交換する関係”― ではなく、同じ方向を向く共創関係を築きたいと考える方は、ぜひコミューンにご相談ください。

まとめ

本記事では「CX戦略」をテーマに解説しました。以下で要点を簡単にまとめます。

CX(Customer Experience)」とは、商品やサービスの機能・性能・価格といった合理的な価値だけでなく、購入するまでの過程・使用する過程・購入後のフォローアップなどの過程におけるあらゆる体験を指す言葉です。

CX戦略とは、優れた顧客体験価値の創出を目的とするマーケティング戦略のことを指します。優れたCXを提供するためには、顧客を理解し、顧客中心に商品・サービス提供を行う必要があります。

効果的なCX戦略の立て方は4つのポイントがあります。

CX戦略の成功事例として3社紹介しました。

CX戦略でおさえておくべきポイントは5つあります。

  • 担当者を決める
  • 一貫性のある価値提供をする
  • 多様なチャネルに対応する
  • コンタクトセンターを見直す
  • 顧客情報を一元化する

本記事を参考にしていただき、CX戦略を成功させましょう。

 

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