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UGCとは何か?メリット・生成促進4ステップと成功事例

2025/04/19

UGCとは何か?メリット・生成促進4ステップと成功事例
コミューン編集部

コミューン編集部

マーケティング担当者の方で、「UGC」という言葉を耳にする機会が増えた方は多いのではないでしょうか。SNSや口コミサイトをはじめ、「UGC=ユーザー自身が作り出すコンテンツ」が、ブランドの認知拡大・売上アップに大きく貢献する事例が近年大きく増加しています。
 
一方、「UGCとは何を指すのか」「企業広告との違いは」「UGCを増やすには具体的に何をすれば」といった疑問を抱えている方も少なくないはずです。本記事では、UGCの定義から注目される背景、活用メリット・事例、導入ステップ、運用時の注意点などを網羅的に解説します。自社でUGCを取り入れる際に気をつけるべきポイントまでカバーしているので、ぜひ最後まで読んでみてください。

■記事監修:澤山モッツァレラ(コミューン株式会社)

UGC(ユーザー生成コンテンツ)とは何か

UGCとは、「User Generated Content」の略称で、ユーザー(生活者)が自発的に作成し、公開したコンテンツを指します。具体的には、以下のようなものがUGCの代表例です。

  • SNS投稿(Instagram、Twitter、TikTok など)
  • レビューサイトへの口コミや星評価(食べログ、Googleマップ、Amazonレビュー など)
  • Q&Aサイトの回答(Yahoo!知恵袋、Quora など)
  • ブログや動画サイトへの投稿(個人ブログ、YouTube など)

企業がWebサイトや広告などで公開するコンテンツではなく、あくまで「一般ユーザーの手によって作られたコンテンツであること」が定義です。口コミや写真・動画など、ユーザー自身の体験や意見が色濃く反映されるため、広告コンテンツと比べ「リアルさ」「信頼感」の大きい点が特徴と言えます。

なぜ今UGCがこれほど注目されるのか

1. 広告に対する消費者の不信感、嫌悪の高まり

ユーザーは、日常的に無数の広告にさらされています。SNSを何気なく眺めていても、ウェブサイトを読んでいても、「いつの間にか」広告が目に飛び込んできた経験をされた方は多いのではないでしょうか。そして、こんなふうには思いませんでしたか?

  • この広告、わずらわしいな
  • 大げさな表現だな
  • 良いことばかり書いてるけど、本当かな

自分自身でもそう感じる方は多いのではないでしょうか。その感覚の通り、もはや企業が一方的に発信するメッセージだけでは購買意欲を刺激しにくくなっています。クリック率(CTR)を考えても、広告の信用度は基本的には高くなく、広告だけではユーザーに信頼されにくくなっています。

参考:約7割が広告を意識的に避けることが判明!リスティング広告に関するユーザー意識調査(URL

一方、UGCはあくまでユーザー自身の声であり「企業の意図が介入していない」という前提があります。利害関係のない立場からの発信だと信じられているからこそ、人は「実際に使った感想」「リアルな評価」を信頼します。こうした口コミを重視する消費者が増える現代において、UGCは欠かせない情報源となっています。

質の高いUGCを生み出すには、コミュニティの活用が非常に効果的です。

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2. SNS活用が当たり前になり、口コミ検索が増えた

2025年時点でユーザーは「購入の参考に、ほぼ間違いなくSNS検索する」と考えた方がいいでしょう。例えば気になるコスメを見つけたらインスタのハッシュタグ検索でリアルな声を調べたり、TikTokの検索窓からリアルな声を参考にしたり、X(Twitter)で評判を読んだりという行動はごく一般的に行われています。

参考:「SNSでの商品購入に関する調査

企業がいくら公式ブログや広告で盛んに発信をしても、ユーザーはそれだけで信用することはありません。同じプロダクトやサービスを使ったユーザー投稿を見るのは「購買前のルーティン」と考え、対策を取ることが重要です。

こうした傾向は、コロナ禍を経てさらに加速していると考えられます。自宅にこもることで、オンライン上での情報収集時間が増え、さまざまなオンライン上の活動が活発化しました。これによって、レビューやSNSにおける口コミの影響力はさらに拡大しています。

3. 企業が生み出すコンテンツの限界を補える

広告・コンテンツ制作には、コストとリソースがかかります。そして上記したように、企業からの一方的な発信だけではユーザーの信頼を獲得するのは難しくなっています。

UGCがうまく発信されれば、企業側のそうした限界を乗り越えられる可能性があります。例えば外食チェーンならユーザー側が自発的なカスタマイズを行い、企業側が想定するよりもはるかに多様なコンテンツを得られる可能性があります。

ユーザーからの自発的な投稿が多く集まれば、広告費はそうした「ユーザー投稿をより増やす」目的で発信するという手法も考えられるわけです。

UGCを活用するメリット

ここでは、UGCをマーケティング活動に取り入れることで得られる主な効果を4つ挙げて解説します。

1. 信頼性が高く、購買意欲を強力に後押しする

企業公式の宣伝より、第三者の口コミの方が信頼できる。多くの消費者がそう考えています。ある調査では「UGCを見たことで購入を決めた経験がある」と回答する人が全体の7割以上にのぼったという結果もありました。

特に化粧品など実際の使用感が重要な商品は、企業都合でいかようにも加工できる広告素材よりも、インスタやYouTubeなど個人の使用感、リアルな声の方がはるかに信用されやすくなっています。

2023年のForbes記事「Why User-Generated Content Is Winning」(なぜユーザー生成コンテンツが勝つのか?)には、「平均60%の消費者は、友人や家族からのUGCを購入の参考にしている」という記述があります。

2. 制作コストを削減できる可能性がある

自社で画像や動画を制作する場合、商材によっては多くのコストやリソースが必要になります。撮影場所の確保、モデルの手配、カメラマンの手配、画像や動画の編集、などなど。

そうして制作されたクリエイティブは、企業のブランドイメージを保つためにも、また広くサービスやプロダクトの存在を知らしめるためには必要です。一方、それだけでは購買の後押しにはなりづらくなってきました。

UGCをマーケティングに活用すれば、ユーザーが撮影したリアルな写真や動画をそのまま利用できます。うまく活用できれば、広告制作コストを大幅に削減することも可能になります。

3. ブランドとユーザーの距離感を縮める

X(Twitter)やInstagramで、自分の投稿が推しブランドの公式に取り上げられたら、誰しも嬉しいものではないでしょうか。UGCをうまく扱えば、ブランドとファンの距離感が縮まることがあります。

参考:ユーザー目線のUGC活用でファンを獲得 先進事例を紹介(リンク

ユーザーが自発的に行なった投稿がブランド公式に取り上げられることで、ユーザーは「ブランドが自分の投稿を見てくれた」「公式に認められた」という感想を覚えます。そうした高揚感は、ユーザーにより高いロイヤリティを与えてくれるでしょう。こうして「育成」されたロイヤルユーザーは、いずれ他のユーザーを巻き込んで、新たなUGCを増やす好循環を生んでくれることもあります。

質の高いUGCを生み出すには、コミュニティの活用が非常に効果的です。

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4. 顧客インサイトの収集にも役立つ

UGCはコントロールできない以上、絶賛一色ということはあまりありません。ネガティブな口コミが含まれることもあるでしょう。

しかしネガティブな口コミがあることは、必ずしもネガティブな事象とは限りません。「本気で改善を願っているファンがいる」ことの裏返しの場合もあるためです。真摯に向き合い、その声を今後のサービス改善に活かすことで、よりユーザーに支持されるブランドづくりに繋げることは可能です。

UGC活用の具体的な方法と導入ステップ

ここからは、「実際にUGCマーケティングを始めるにはどうすればいいのか?」という疑問にお答えします。大まかな流れは、(1)UGCを創出・収集する → (2)UGCを選別・分析する → (3)UGCを適切に活用する → (4)効果測定と改善というサイクルです。

1. UGCを創出・収集する

  • ハッシュタグキャンペーン
    InstagramやTwitterで、商品名やキャンペーン専用のハッシュタグを設定し、投稿を促す施策です。参加者に抽選でプレゼントを行うなどインセンティブ(特典)を用意すると、ユーザーが積極的に発信してくれやすくなります。もっとも、インセンティブだけでは特典が終了すれば投稿がシュリンクします。あくまで他の企画と組み合わせて実施することがおすすめです。
    レビュー依頼の仕組みづくり
    ECサイトや商品のパッケージ、メールマガジンで「レビューを投稿してください」と促すものです。購入後、一定期間が経った顧客にレビュー依頼メールを送るのも効果的です。なお、フィーが発生する場合はPR表記が必要となり、怠った場合は法的リスクを抱えるので注意が必要です。あくまで「お願い」ベースで行いましょう。
  • ユーザーが投稿したくなる体験を作る
    例えば開封時の体験(アンボクシング)をより盛り上げるため、商品パッケージを写真映えするデザインにしたり、手書きのメッセージカードを封入するなど、ユーザーがポジティブなサプライズを覚え「思わず撮影したくなる」要素を意識しましょう。

関連記事:バイラルマーケティングのメリットは?用語の意味と主な手法

2. UGCを選別・分析する

  • コンテンツのクオリティや適切性をチェックする
    自社のSNSアカウントやWebページにユーザー投稿を使用する場合は、許諾を取る前にきちんと投稿内容を精査しましょう。自社商品に関連する投稿とはいえ、低画質なもの、誤情報が含まれるもの等不適切な内容では活用できません。品質には一定基準を設け、UGCを選別しましょう。
  • 投稿内容から、顧客の本音を読み解く
    ポジティブな投稿はどんなポイントを評価しているのか、ネガティブな投稿は何に不満を感じているのか……UGCを分析して、商品・サービス改善のヒントを得ることも重要です。SNS分析ツールを利用すると大規模な投稿を効率よく調査できます。関連記事:コミュニティコマースとは?メリット・事例・ROI測定を解説

3. UGCを活用する

  • 自社サイト・EC商品ページに掲載する
    レビューやSNS投稿を商品ページに掲載することで、訪問者は購入前に他のユーザーの意見を知ることができます。結果として離脱率を下げ、CVRアップが見込めるでしょう。
  • 広告クリエイティブへの転用
    企業がデザインしたクリエイティブではなく、ユーザーのリアルな写真や動画を広告素材として使うことで「広告感」が薄れ、自然な印象を与えられます。特にFacebookやInstagram広告などでUGCを活用すると、CTR(クリック率)が向上したという事例も多く報告されています。なお、第三者配信をする場合は事前許諾が必要です。
  • 公式SNSでリポスト・紹介する
    ユーザーの投稿を公式アカウントで引用したり、リポストで紹介するのも有効です。紹介されたユーザーはロイヤリティを高め、フォロワーに「公式にも支持されている」とプラスのイメージを与えることができます。
  • オフラインでの活用や同梱物への掲載
    実店舗のPOPに口コミを載せる、商品同梱のチラシに他のユーザーの投稿を引用して紹介するなど、オフライン施策にも応用可能です。購入後の満足度が上がり、リピートや口コミ拡散を促すきっかけにもなります。

4. 効果測定と改善

UGCを使ったからといって、すぐに大きな成果が出るわけではありません。マーケティングに魔法の杖はありません。KPIを設定し、効果を継続的に測定しながら地道に改善を図っていくことが大切です。

  • KPI例
    • UGCの投稿数・インプレッション数
    • 広告クリエイティブでUGCを使った際のCTRやCVR
    • 商品ページにUGCを載せる前後での購入率の比較
    • ハッシュタグキャンペーンでの参加者数、エンゲージメント率 など

これら数値をもとに、より効果が高いUGCのパターンを分析して次の施策に活かしましょう。たとえば「テキストだけより、写真付きレビューの方が売上に貢献している」「20代女性の投稿が特にインプレッション数が高い」などの傾向があれば、そこを強化していくイメージです。

成功事例の紹介

ここでは、実際にUGCを活用して成果を上げている事例をいくつかご紹介します。

ベネッセ様(みらいキャンパス)

ベネッセでは、オンライン対話型ライブレッスン「みらいキャンパス」の認知拡大とLP・販促素材の収集を目的としてアンバサダープランを導入。アンバサダーの子育て家庭から実際にお子様がサービスを利用し、目を輝かせながら学習に取り組む自然な写真が数多く集まりました。

特に、Instagramではフォロワー増加が従来比1.5倍となり、指定のハッシュタグ「#オンライン学習」でトップ投稿入りを果たした投稿も生まれました。また、エンゲージメント率約50%という高い数値を記録した投稿もあり、UGCの活用がサービスの価値をリアルかつ効果的に伝えることに成功しています。このアンバサダー施策で集まった素材は公式SNSやLPに積極的に活用され、生活者目線での共感を呼び、さらに多くのユーザーの関心を引きつける好循環を生んでいます。

質の高いUGCを生み出すには、コミュニティの活用が非常に効果的です。

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スノーピーク様(キャンパーコミュニティ)

スノーピークは1998年からキャンプイベントを積極的に開催し、キャンパー同士が自然とつながり合える環境を構築してきました。同社ではユーザーを「スノーピーカー」と称し、ブランドとユーザーが同じキャンパーとして対等な目線で交流することを大切にしています。イベントには役員や執行役員も必ず参加し、ユーザーから直接フィードバックを受けてサービス改善を迅速に行うことで、ブランドへの信頼と愛着を育んできました。実際に、新しい施策がユーザーの期待に沿わなかった際には、SNSやコミュニティから即座に指摘があり、迅速に軌道修正を行うなど、顧客との強固なコミュニケーションがUGCの効果を最大化しています。こうしたユーザーを巻き込む姿勢が、熱狂的なファンコミュニティ形成につながり、ブランドの継続的な成長を支えています。

カルビー様(絶品かっぱえびせん)

カルビー様は、酒と絶品かっぱえびせんをこよなく愛するイケオジ達が集う、「絶品部 やめられない、とまらない課」というコミュニティを創設。商品を楽しむ様子を、ユーザー自身がコミュニティに投稿できる仕組みを作っています。

「絶品日報」と呼ばれる投稿コーナーでは、商品を味わいながら晩酌を楽しむ写真が自然と集まりました。またオンライン飲み会では、社員とファンがフラットに交流し、商品の開発秘話やユーザーの本音を気軽に語り合うことで、コミュニティの熱量が上昇しました。

こうしたUGCを積極的に販促に活用した結果、新商品のブランド推奨意向が大きく高まり、従来のかっぱえびせんブランド全体の売上にも波及効果が生まれています。

UGC活用時の注意点

UGCには数多くのメリットがありますが、いくつかのリスクや注意すべきポイントも存在します。以下を踏まえ、適切に運用しましょう。

ネガティブ投稿・不正確な情報も混在する

ユーザー投稿は企業がコントロールできないため、中には否定的な口コミや誤った情報も含まれます。そうした投稿が拡散されるリスクもゼロではありません。ただし、ネガティブな投稿は必ずしもリスクだけではなく、誠実に対応することでブランドへの信頼を高めるチャンスにもなり得ます。

ステマ規制法や薬機法など、法令を認識し遵守する

2023年以降、日本でもステルスマーケティングに対する規制が強化されました。インフルエンサーに対しPR表記を設定せず、報酬を渡して投稿してもらう手法は厳しく制限されています。インフルエンサーとコラボする際は「#PR」など広告である旨をきちんと表記しましょう。化粧品や医薬品のUGCを広告に転用する場合は、薬機法を始めとする法的ルールにも注意する必要があります。

著作権や肖像権へ配慮する

SNS上に公開された写真であっても、企業が勝手に転載して広告素材として利用することはできません。事前に投稿者の許可を得るか、利用規約において同意を明確に得た状態で行なうなど、権利関係のクリアが必要です。無用なトラブルに巻き込まれないよう、細心の注意を払いましょう。

UGCが生まれにくい商材もある

誰もがSNSに投稿したくなる商材ばかりではありません。例えば日用品などいわゆるコモディティ商材、SaaSサービスなどの無形商材、BtoB向けの商材はUGCが生まれにくいケースも考えられます。

toCであっても、例えばトイレのリフォーム商材など高関与商材、ウィッグなどのコンプレックス商材などはUGCが出にくいことが予想されます。その場合、投稿を促すための施策を強化するか、そもそも別のコンテンツマーケティング手段を検討するなど状況に応じた判断が求められます。

質の高いUGCを生み出すには、コミュニティの活用が非常に効果的です。

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まとめ:UGCを戦略的に活用し、ブランドとユーザーを繋げよう

「UGCとは何か?」という定義から、UGCが注目される背景や具体的なメリット、導入手法、成功事例、注意点までを紹介してきました。企業による一方向の広告が飽和状態にある今、ユーザーのリアルな声を活用してブランドと顧客の距離を縮める手段としてUGCは非常に有効です。

  • UGC(ユーザー生成コンテンツ)は信頼性や共感力が高く、購買行動に大きな影響を与える
  • SNSや口コミサイトの普及により、UGCが集まりやすい環境が整っている
  • 広告コスト削減やSEO効果、コミュニティ形成など多彩なメリットを得られる
  • 適切な方法で創出・収集し、サイトや広告、SNS運用などに戦略的に活用することが大切
  • ネガティブ投稿、ステマ規制、著作権などのリスク・法令面への注意も必要

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