1. Commune コミュニティコンパス
  2. コラムの記事一覧
  3. ECサイトのCX(顧客体験)とは?基本から具体的な施策まで実践解説

コラム

マーケティング

ECサイトのCX(顧客体験)とは?基本から具体的な施策まで実践解説

2024/12/17

ECサイトのCX(顧客体験)とは?基本から具体的な施策まで実践解説
コミューン編集部

コミューン編集部

「ECサイトでの購入体験(CX)がイマイチで、リピート率が伸びない……」
「しかし、具体的にCX向上のために、何をすべきか分からない」
── このような悩みを抱えている方は、多いのではないでしょうか。

ECサイトの運営においては、CX(顧客体験)の向上が成功の鍵です。
一方で、CXは概念的で捉えどころがなく、具体的な施策に落とし込むのが難しいという声をよく聞きます。

この記事は、CXとは何か、なぜ重要なのかを理解したうえで、具体的な施策に落とし込めるように構成しました。

最後までお読みいただくと、ECサイトのCX向上に必要な知識が身につき、自社の施策にすぐに活かせるはずです。売上向上とファン獲得を実現し、ECサイト運営を成功に導きましょう。

ECサイトのCXについて最初に知っておくべき基本

ECサイトのCXについて最初に知っておくべき基本

ECサイトを運営するうえで、CX(顧客体験)は重要な指標のひとつです。まずは、CXとは具体的に何を指すのか、ECサイトにおける具体例や構成要素、その重要性について確認しましょう。

  1. CXとは何か?
  2. ECサイトにおけるCXの具体例
  3. ECサイトのCXを構成する要素
  4. CX向上がECサイト成功の鍵を握る理由

1. CXとは何か?

CX(Customer Experience、顧客体験)とは、顧客が企業やブランドとのさまざまな接点で感じる体験を、一つの大きな流れとして統合して捉える概念です。

CXとは何か?

顧客が企業やブランドと出会い、関わるとき、その接点は実に多様です。

Webサイトやソーシャルメディアでの情報収集、ECサイトでの商品購入、カスタマーサポートへの問い合わせ、さらには使用した感想の共有まで、多岐にわたります。

これらの一つ一つの接点での体験は、バラバラに存在するのではありません。

それぞれの体験はつながり合い、連続的な流れとなって、その企業やブランドに対する総合的な印象を形作ります。この「体験の総体」こそが、CXの本質です。

2. ECサイトにおけるCXの具体例

ECサイトのCXとは「ECサイトに訪れたユーザーがどのような顧客体験をするか」を指します。サイト訪問から商品購入、アフターフォローまでのすべての過程が含まれます。

ECサイトにおけるCXの具体例

ECサイトの体験の例

サイトデザイン:見やすく、直感的に操作できる体験。
検索機能:欲しい商品にスムーズにたどり着ける体験。
レコメンド:ユーザーがちょうど欲しかった商品がおすすめされる体験。
決済プロセス:スムーズにストレスなく購入手続きが完了できる体験。
梱包・配送:丁寧な梱包で希望の日時に商品が届く体験。

このように、ユーザーがさまざまな場面で感じる体験の総体が、CXを形作っていきます。

3. ECサイトのCXを構成する要素

ECサイトにて優れたCXを提供するには、その構成要素を知っておくと役立ちます。

ECサイトのCXを構成する要素

【ECサイトのCXを構成する3つの柱

ユーザビリティ:サイトの使いやすさ。直感的な操作性、見やすいレイアウト、高速な表示速度など。

情報品質:サイトの情報の正確性、信頼性、詳細度。商品情報、会社情報、レビューなどあらゆる情報やコンテンツが対象。

エンゲージメント:ユーザーとのつながりの深さ。コンテンツの面白さ、購入後のフォロー、サイトに対する愛着など。

これらの要素が有機的に機能して、はじめて優れたCXが生まれます。

ECサイトの運営では、常にこの3つの柱(ユーザビリティ・情報品質・エンゲージメント)を意識し、バランス良く施策を打つことを意識しましょう。

4. CX向上がECサイト成功の鍵を握る理由

ECサイトにおいてCXが重要視される理由は明確です。CXの向上は、そのままビジネスの成功につながるからです。

CX向上がもたらすメリット

顧客満足度の向上:良質な体験を提供すれば顧客の満足度が高まります。ECサイトに対する好印象や信頼が生まれます。

リピート率のアップ:満足度の高い顧客は、リピート購入する可能性が高くなります。1人の顧客単価が上がり、安定収益が見込めます。

口コミ効果:良いCXは、クチコミでの推奨にもつながります。ファンによる自発的な拡散は、新規顧客獲得の強力な武器となります。

差別化の実現CXは他社との差別化要因になります。同業他社が並ぶ中で、CXの良さは大きな強みとなり得るのです。

ブランド力の強化:優れたCXの積み重ねにより、ブランドイメージが向上します。ブランド力は、購入動機にも影響を与える重要な要素です。

このように、CXの向上は売上向上・顧客定着・ブランディングなど、ECサイトのあらゆる面での成功に直結します。だからこそ、ECサイト運営ではCXを重視し、日々改善に努める必要があるのです。

ECサイトのCXを向上させる6つの実践ポイント

ECサイトのCXを向上させる6つの実践ポイント

ここからは実践の話をしていきましょう。

ECサイトのCXを高めるには、体系的かつ戦略的に施策を打つ必要があります。先にも述べたとおり、「体験の総体」がCXです。点と点が一本の線でつながり、施策全体が有機的に機能するような取り組みを進めていきましょう。

どのECサイトでも取り組みたいポイントとして、以下の6つが挙げられます。

  1. ペルソナ設定とカスタマージャーニー可視化
  2. UI/UX改善による購入プロセスの最適化
  3. パーソナライズドレコメンドによる購入サポート
  4. 商品到着後の感動的な体験設計
  5. カスタマーサポートの充実化
  6. 有用なコンテンツを介したコミュニケーション

それぞれ見ていきましょう。

1. ペルソナ設定とカスタマージャーニー可視化

1つめのポイントは「ペルソナ設定とカスタマージャーニー可視化」です。

CX向上の出発点は、顧客理解にあります。自社ECサイトのターゲットユーザーを明確にし、ペルソナ(典型的なユーザーを具体的に描写した人物像)を設定しましょう。

ペルソナの行動や心理を分析し、カスタマージャーニー(顧客体験の流れ)を可視化することが重要です。

ペルソナ設定に欠かせない要素

年齢・性別・職業・居住地:ペルソナのプロフィールを明確にします。重視する価値観やライフスタイルの把握につながります。

悩みや課題:ペルソナが抱える問題や実現したいことをリストアップします。提供すべき価値や訴求すべきメリットが見えてきます。

ECサイトの利用目的:そのECサイトを利用する理由を考えます。求める体験や重視するポイントが浮かび上がります。

情報収集の手段:ECサイトにたどり着くまでの流れを整理します。獲得施策を打つうえでの重要な示唆になります。

購入行動の特性:意思決定のプロセスを押さえます。「お気に入り」に入れてからまとめ買いするなど、行動の癖を知ることが大切です。

【設定したペルソナの例】

【設定したペルソナの例】

このように、ペルソナ像を具体的に描いていくと、ターゲットユーザーの実像が見えてきます。ECサイトの設計やコンテンツ制作など、さまざまな施策に有用です。

具体的には、カスタマージャーニーマップに落とし込むと、体系的にCX施策を実行できます。

 

カスタマージャーニーマップの作成例】

【カスタマージャーニーマップの作成例】

カスタマージャーニーについては、以下のページで解説していますので、あわせてご覧ください。

2. UI/UX改善による購入プロセスの最適化

2つめのポイントはUI/UX改善による購入プロセスの最適化」です。

ECサイトのUI(ユーザーインターフェース)とUX(ユーザーエクスペリエンス)は、直接CXに影響します。サイトの使いやすさや、ストレスのない購入フローの実現は、CX向上に欠かせません。

UI/UX改善のポイント

シンプルで直感的なデザイン:余計な装飾を排除し、必要な情報を見やすく整理します。視認性と操作性を両立させましょう。

スムーズな購入フロー:購入までの手順を最小限に抑えます。無駄なステップを省き、ストレスなく決済を完了できるようにします。

モバイル対応の最適化:スマートフォンでの閲覧を想定し、タップ操作に適したデザインにします。縦長の画面にフィットするレイアウトを心がけましょう。

絞り込み検索の充実:ユーザーの目的に合った商品を探しやすくします。価格帯、ブランド、色、サイズなどの条件で絞り込めるようにします。

ページ表示速度の高速化:表示速度が遅いとストレスを感じさせ、離脱率が高まります。サーバーやデータの軽量化などの対策が不可欠です。

サイトが使いやすく、ユーザーにとって心地よい環境であるように、細部にまでこだわりましょう。最適なUI/UXを追求することが、CX向上の第一歩となります。

より詳しくは、UI/UXと関係性の深い「ユーザビリティ」を学ぶことが役立ちます。以下の記事もあわせてご覧ください。

3. パーソナライズドレコメンドによる購入サポート

3つめのポイントは「パーソナライズドレコメンドによる購入サポート」です。

パーソナライズドレコメンドとは、各ユーザーの行動や嗜好に合わせて、最適な商品を提案する手法です。

いまや、自分に合った情報がWeb上に表示されることは、ユーザーにとって当たり前となりつつあります。

ユーザー一人ひとりに合わせた商品提案は、購買意欲を高めるだけでなく、ECサイトのおもてなしの接客要素として、欠かせないものです。

パーソナライズドレコメンドのおもな手法

協調フィルタリング:ユーザーの購入履歴や閲覧履歴をもとに、似た傾向のユーザーのデータを分析し、おすすめの商品を提示します。幅広いジャンルの商品を提案しやすい方法です。

コンテンツベース:商品の特徴や属性をもとにおすすめを提示します。ユーザーの嗜好に合致する商品を見つけやすい反面、意外な発見は得にくいというデメリットもあります。

ルールベース:ユーザーの属性や行動に応じて、あらかじめ設定したルールに従っておすすめを出します。シンプルな仕組みで実装しやすい一方、レコメンドの幅は狭くなります。

ランキング:人気商品のランキングを表示する手法です。多くのユーザーに支持される商品を手軽に見つけられます。パーソナライズの度合いは低くなります。

関連商品:閲覧中の商品に関連する商品をピックアップして表示します。「この商品を見た人はこんな商品も見ています」といった具合です。

状況や目的に応じて、これらの手法を使い分けるのが効果的です。近年は、AIの活用など、より高度なパーソナライズ手法の導入も進んでいます。

具体的な実装方法は、利用しているECプラットフォームの機能を確認することから始めましょう。

4. 商品到着後の感動的な体験設計

4つめのポイントは「商品到着後の感動的な体験設計」です。

CXの向上において、商品到着後の体験も見逃せません。開封時の感動、商品の品質、同梱物のクオリティなど、実際の商品に触れる瞬間のCXは、非常に重要です。

到着後の体験を向上させる施策例

パッケージデザインの工夫:開封時のわくわく感を演出する、こだわりのパッケージを用意します。ブランドロゴを大きく配したり、高級感のある素材を使ったりするのも効果的です。

丁寧な梱包:商品を守るためだけでなく、開封時の体験を意識した梱包を心がけます。緩衝材の使い方や詰め方にもこだわりましょう。

同梱物の充実:商品以外の同梱物も、CX向上に一役買います。お礼状、ノベルティグッズ、使い方ブック、次回使えるクーポン券などを付けるのもおすすめです。

アンケートの同封:率直な感想を聞くことは、今後のCX向上につながります。アンケートへの回答でポイント付与などの特典を用意するのもよいでしょう。

SNSでのシェア促進:ハッシュタグを用意し、商品到着時のSNS投稿を促すのも一案です。SNSへの投稿も貴重な顧客体験となります。

このように、商品到着後の体験にも目を向けることが、CXを高めるためには不可欠です。ECサイトでの体験だけでなく、現実の商品との接点において、ユーザーの感動を生む工夫を凝らしましょう。

5. カスタマーサポートの充実化

5つめのポイントは「カスタマーサポートの充実化」です。

優れたカスタマーサポート(CS)の提供は、CX向上に直結します。ユーザーの疑問や不安に対する丁寧な対応からは、ブランドへの信頼が生まれるからです。

充実したカスタマーサポートに必要な要素

複数チャネルの用意:メール、チャット、電話など、ユーザーの好みに合わせた問い合わせ方法を複数用意します。チャネル間での情報連携も忘れずに行いましょう。

迅速な初期応答:問い合わせから初めの返信までの時間は、できるだけ短くします。24時間以内の返信を心がけ、自動返信メールで受付完了を伝えるのも効果的です。

丁寧で分かりやすい回答:ユーザーの立場に立ち、親身になって対応します。専門用語を避け、分かりやすい説明を心がけましょう。

スピーディーな解決:問題解決までのスピードも重要です。担当者間の引き継ぎをスムーズにし、迅速な解決を図ります。

CSの教育・研修:CS担当者のスキルアップを図ることも忘れてはいけません。定期的な研修を実施し、応対品質の向上と均一化を目指しましょう。

手厚いサポート体制があれば、ユーザーは安心してECサイトを利用できます。満足度の高いサポート体験は、リピート購入やクチコミ発生にもつながります。

サポート品質の向上に注力し、CXのさらなる改善を目指していきましょう。

6. 有用なコンテンツを介したコミュニケーション

6つめのポイントは「有用なコンテンツを介したコミュニケーション」です。

ECサイトとユーザーのエンゲージメントを高め、ブランドとの絆を深めるには、価値あるコンテンツの提供が効果的です。

単なる商品の羅列ではなく、ユーザーの関心を惹きつけ、悩みを解決するようなコンテンツを発信することが鍵となります。

有用なコンテンツの例

ハウツー記事:商品の使い方や活用シーンを紹介する記事を作成します。商品の魅力を伝えるだけでなく、ユーザーの課題解決につながるようなTipsを盛り込むことがポイントです。

お客様の声:商品を実際に使用しているユーザーのレビューや体験談を掲載します。生の声は信頼性が高く、ユーザーの購買判断にも影響を与えます。

インタビュー記事:商品の開発者やオピニオンリーダーへのインタビュー記事を配信します。商品へのこだわりや専門家の視点を伝えることはブランドの価値向上に貢献します。

動画コンテンツ:使用方法の解説動画やブランドストーリーを伝える動画など、視覚的に訴求力の高い動画コンテンツを制作します。没入感のある動画は、ユーザーの心に深く残ります。

FAQ:よくある質問とその答えをまとめたFAQを用意します。ユーザーの疑問を先回りして解消することは問い合わせ数の削減にもつながります。

このようなコンテンツを通じ、ユーザーとコミュニケーションを重ねていくと、ECサイトは単なる販売の場ではなく、ユーザーに寄り添う存在へと変化していきます。

ユーザーの興味・関心を惹きつけ、エンゲージメントを高めるコンテンツ施策にも積極的に取り組んでいきましょう。

以上、6つのポイントを解説しました。

ECサイトのCXを向上させる6つの実践ポイント

さらに、競合他社と差別化し、より優れたCXを実現するために不可欠なのが「コミュニティ施策」です。以下に続きます。

さらなるCX向上を目指すために不可欠なコミュニティ施策

さらなるCX向上を目指すために不可欠なコミュニティ施策

ECサイトにおけるCXのさらなる向上を目指すなら、コミュニティ施策は欠かせません。

ユーザー同士のつながりを創出し、エンゲージメントを高めると、ECサイトに対するロイヤルティ(信頼や愛着)が生まれるからです。

ここでは、コミュニティ施策の重要性と、具体的な手法について解説します。

1. コミュニティ形成がCX向上に与える影響

  1. コミュニティ形成がCX向上に与える影響
  2. 自社ECに適したコミュニティ形態の選択
  3. ファン同士の交流を促進する施策がポイント
  4. コミュニティ発の声を活かした商品開発で循環させる
  5. コミュニティマーケティングの成功事例

ECサイト上にコミュニティを形成することは、CX向上に大きく寄与します。ユーザー同士が交流し、情報を交換する場が、ECサイトとユーザーとの結びつきを強めるのです。

コミュニティ形成がCX向上に与える影響

従来のECサイトでは個別の購買体験でしたが、コミュニティのあるECサイトでは「共有された体験価値」に深化します。

より具体的にその影響を見ていくと、以下のとおりです。

コミュニティのメリット

ユーザー同士の助け合い:商品の選び方や使い方について、ユーザー同士で情報交換ができます。初心者の不安払拭にもつながります。

クチコミの活性化:商品やサービスの評判がコミュニティ内外で広がりやすくなります。ユーザーのクチコミは、新規顧客の獲得にも一役買うでしょう。

ユーザー同士の絆の強化:共通の悩みや関心を持つ仲間とのつながりができます。ユーザー同士の結束が、ECサイトへの愛着を深めることにもなります。

ユーザーニーズの把握:コミュニティでの会話の分析によってユーザーの生の声を拾い上げられます。サービス改善のための重要な示唆が得られます。

ECサイトの差別化:活発なコミュニティを持つこと自体が、ほかのECサイトとの差別化要因になります。ユーザーにとっての「居場所」を作れれば、大きな強みとなります。

コミュニティの形成は、ユーザーエンゲージメントを醸成する施策として、ぜひ検討したい施策です。

2. 自社ECに適したコミュニティ形態の選択

コミュニティ施策を進めるうえでは、自社ECサイトに適したコミュニティの形を選択する必要があります。商品特性や、ターゲットユーザーの属性を見極め、最適な形式を採用しましょう。

【代表的なコミュニティの形式】

ブランドコミュニティサイト:自社ブランドのファンが集う場を作りましょう。ブランドへの愛着を醸成できます。コンテンツの充実度が重要となるため、専任の運営スタッフの配置が望ましいでしょう。

フォーラム(掲示板):ユーザー同士が自由に情報交換できるスレッド形式の場です。カテゴリ分けされた投稿が可能で、コミュニティの運営負荷は比較的低く抑えられます。ユーザー生の声を収集できるのも魅力です。

SNSアカウント:X・Instagramなど、SNSを活用してコミュニティを形成する手法です。ハッシュタグを用いてユーザー同士をゆるくつなぐことができ、拡散性の高いコミュニケーションが期待できます。

オンラインイベント:商品に関する座談会やファンミーティングなど、ユーザー参加型のオンラインイベントを開催する方法です。双方向のやりとりを通じて濃密な関係性を構築します。

アンバサダープログラム:商品の愛用者をアンバサダーに任命し、商品の魅力を発信してもらうプログラムです。アンバサダーを中心としたコミュニティ形成で、ファンの囲い込みにつながります。

ECサイトの目的や投入リソースを踏まえつつ、ユーザーにとって参加価値の高いコミュニティを設計することが重要です。自社の強みを生かせる形式を見極め、ユーザーとの深い結びつきを生み出すコミュニティ施策を推進しましょう。

初めてコミュニティ構築を検討される方は、先に以下の資料をご確認ください。最初に知っておきたいコミュニティマーケティングの基本を分かりやすくまとめています。

コミュニティマーケティング超入門

3. ファン同士の交流を促進する施策がポイント

コミュニティ構築を具体的に進めていく際にポイントとなるのが、「ファン同士の交流を促進する施策」です。

コミュニティを活性化させるには、ファン同士の交流を促進する施策が欠かせません。コミュニティ参加者のエンゲージメントを高め、活発なコミュニケーションを生み出すための仕掛けづくりが重要です。

【交流を促す具体的な施策例】

話題の提供:コミュニティ内で話題になりそうなネタを投下します。新商品の紹介、業界の最新トレンド、ちょっとした小ネタなど、ユーザーの興味を引く話題を提供します。

ユーザー同士の質問の促進:ユーザー同士で助け合える環境を整えます。初心者の質問に経験者が答えるような流れを作ると、コミュニティ内での支え合いが促進されます。

ゲーミフィケーションの活用:コミュニティ内の行動に対して、ポイントや称号を付与する仕組みを設けます。ランキングを用意するなど、ユーザーのモチベーションを高める工夫を凝らすとよいでしょう。

オフラインイベントの開催:コミュニティメンバーが実際に会えるイベントを企画します。オンラインでのつながりを、リアルな場でも深められる機会を提供しましょう。

ユーザー発信の場の提供:ユーザー同士が学び合える場を用意します。商品の使い方のコツを共有したり、ユーザー同士で交流できる機会を設けることが大切です。

ユーザーが受動的にコンテンツを消費するだけでは、十分なエンゲージメントは生まれません。

能動的な参加を促し、ユーザー同士が価値を共創できる場をデザインすることが、良質なコミュニティ構築の鍵となります。

4. コミュニティ発の声を活かした商品開発で循環させる

もう一点、D2CやメーカーのECサイトにおいては、「コミュニティ発の声を活かした商品開発」が非常に効果的な施策となります。

コミュニティから生まれるユーザーの生の声は、商品開発に大いに役立ちます。

また、自分の意見が商品に反映されるという体験は、ユーザーのロイヤルティ醸成に大きなインパクトを与えます。

【商品開発に活かせるユーザーの声】

商品への評価やクレーム:品質・価格・使い勝手など、率直なフィードバックから改善のヒントが見えてきます。とくにクレームの内容は、次の商品開発に直接活かせます。

改善要望・提案:機能の改善要望や新商品のアイデアを、前向きに検討してユーザーの提案を商品開発に反映させましょう。ユーザー視点の商品開発は、CXの向上に直結します。

リアルな使用シーン:コミュニティの運営を通じて、商品の実際の使われ方が見えてきます。想定外の使用方法から、新たな商品の着想が広がります。

ライフスタイルの変化:コミュニティの分析を通じて、ユーザーのライフスタイルの変化を鋭敏に察知します。社会の変化を迅速に商品に取り込むためのヒントが見えてきます。

競合商品の評判:競合他社の商品に対する生の声も把握します。自社商品の差別化ポイントを探るうえでも、他社の評判を確認すると市場での立ち位置が見えてきます。

ユーザーの声を商品開発に活かすことは、真の意味でのCX向上につながります。コミュニティと商品開発を循環させる仕組みを構築し、ユーザー起点の商品づくりを目指しましょう。

3-5. コミュニティマーケティングの成功事例

コミュニティ施策による成功事例は、国内外を問わず数多く存在します。

コミュニティマーケティングの成功事例

SHARP(シャープ):自動調理鍋「ホットクック」のファンコミュニティ「ホットクック部」を運営。レシピ共有や使いこなしTipsの投稿を通じて、ユーザー同士の交流を促進。運営者もファンと同じ目線でコミュニケーションを取り共感を生み出しています。

BEAMS(ビームス):アパレルブランドのBEAMSは、メンズカジュアルのBEAMS PLUS、レディースのBEAMS BOY、スポーツのBEAMS GOLFの3レーベルでコミュニティサイトを運営。リアル店舗でのつながりを重視した交流をサイト上でも展開し、顧客との関係性を深めています。

ベネッセコーポレーション:通信教育講座「進研ゼミ」の卒業生である大学生と現役の受講生をつなぐ「先輩ダイレクト」、さらに大学生と社会人の交流の場「ゆるキャリ」の2つのコミュニティを運営。世代を超えた先輩後輩のサポートを実現しています。

カルビー:「かっぱえびせん」の新シリーズ「絶品かっぱえびせん」のファンコミュニティ「絶品部 やめられない、とまらない課」を運営。ファンとの交流を通じて商品開発のヒントを得たり、共創プロジェクトを実施。ブランド推奨度の向上にも成功しています。

これらの事例に共通するのは、ユーザーの熱量を的確に捉え、コミュニティを通じてブランドとの関係性を深めている点です。ユーザーにとっての価値を提供し続け、強固なファンベースを築くことに成功しているのです。

ほかにも事例をご覧になりたい方は、以下の資料をぜひご活用ください。多様な業界の事例を掲載しています。

Communeの活用事例集

まとめ

本記事では「ECサイトのCX」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。

ECサイトのCXについて最初に知っておくべき基本として、以下を解説しました。

CXとは顧客が企業やブランドとの接点を通じて得る全体的な体験を指す

・ECサイトにおけるCXは、サイト訪問から商品購入、アフターフォローまでのすべての過程が含まれる

CXの構成要素は、ユーザビリティ・情報品質・エンゲージメントの3つの柱からなる

CX向上は、顧客満足度の向上、リピート率のアップ、クチコミ効果、差別化、ブランド力強化などのメリットをもたらす

ECサイトのCXを向上させる6つの実践ポイントは、以下のとおりです。

  1. ペルソナ設定とカスタマージャーニー可視化
  2. UI/UX改善による購入プロセスの最適化
  3. パーソナライズドレコメンドによる購入サポート
  4. 商品到着後の感動的な体験設計
  5. カスタマーサポートの充実化
  6. 有用なコンテンツを介したコミュニケーション

さらなるCX向上を目指すために不可欠なコミュニティ施策として、以下を解説しました。

・コミュニティ形成は、ユーザー同士の助け合い、クチコミの活性化、ユーザーニーズの把握などのメリットをもたらす

・自社ECに適したコミュニティ形態を選択し、ファン同士の交流を促進する施策を打つ

・コミュニティ発の声を商品開発に活かし、ユーザー視点の商品を生み出す

ECサイトの運営において、CXは売上向上とファン獲得の鍵を握る重要ポイントです。本記事で紹介した施策を参考に、自社ECサイトのCX向上に取り組んでみてください。

ユーザーに寄り添い、体験価値を提供し続けることが、ECビジネス成功への道筋となるでしょう。