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リレーションシップマーケティングとは?メリットと活用事例を徹底解説

2024/10/29

リレーションシップマーケティングとは?メリットと活用事例を徹底解説
コミューン編集部

コミューン編集部

リレーションシップマーケティングとは、企業と顧客が長期にわたって価値提供し合う関係を構築し、維持し、深化させるマーケティング手法です。市場の成熟化にともない新規獲得コストが年々高まる中、特にBtoB企業にとって既存顧客との長期的関係をいかに築くかは競争優位性を大きく左右します。
 
本記事ではリレーションシップマーケティングのn定義から具体的手法、事例、組織作りからアクションプランまでを網羅しました。読了後には、自社でリレーションシップマーケティングを推進するための道筋が明確になるはずです。

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第1章 リレーションシップマーケティングとは何か

リレーションシップマーケティングは、「企業と顧客が長期にわたって相互に価値を提供し合う関係を構築・維持・深化させるマーケティング手法」を指します。この手法は、1983年に米国テキサスA&M大学のレナード・ベリー教授が初めて提唱しました。

当時の米国では、スーパーマーケット同士の激しい価格競争が常態化し、差別化が困難になっていました。そうした状況を分析したベリー教授は「顧客一人ひとりとの“感情的絆”の強さこそが、企業収益の安定源になる」と指摘。商品の機能・価格競争に明け暮れるのではなく、「関係性による競争」への転換を促しました。

その後、90年代にはペッパーズ&ロジャースによる「1to1マーケティング理論」が台頭。リレーションシップマーケティングは顧客識別からニーズの把握、双方向コミュニケーション、そしてカスタマイズされた価値を提供するというサイクルを前提した手法へと発展を遂げていくことになります。

BtoBビジネスには、「購買単価が高い」「それゆえ、意思決定に関わる人数が多い」「長期取引が前提となる」「導入後も、サポートが必須となる」といった構造があります。この構造は、実はリレーションシップマーケティングととても相性が良いのです。

2000年代以降、CRM/SFAツールの普及とともにリレーションシップマーケティングはBtoB企業の王道戦略として再評価されています。「売上の約8割を上位2割の顧客が生み出す」パレートの法則や、「既存顧客維持コストは新規顧客獲得の1/5である」という1:5の法則(米ベイン&カンパニーの実証)が示す通り、リレーションシップマーケティングは収益の質を根底から変える経営手段といえるでしょう。

■押さえておきたい基礎用語

  • LTV(顧客生涯価値):取引開始から離脱までに企業が獲得する総利益。RMの最重要指標。
  • ロイヤルティ:顧客の心理的愛着度。単なる満足ではなく「継続購入」「推奨行為」までを含む。
  • NPS(ネット・プロモーター・スコア):推奨度を数値化する指標。RM成果の定量把握に利用。
  • 1to1マーケティング:顧客単位にカスタマイズされた価値提供を行うRMの実践フレーム。

第2章 なぜ今リレーションシップマーケティングなのか

ここ10年で、BtoB市場を取り巻く環境は大きく変化しました。以前は、売り手のほうが情報を多く持ち、買い手は営業担当から説明を聞かないと判断できない情報の非対称がありました。2025年6月現在、その様子は大きく異なります。インターネットの発達により、買い手自身が比較サイトやSNSで自由に情報を集め、自分にとって最適な選択肢を自ら探せるようになっているのです。

結果として、売り手である企業は「思い出してもらえなければ、選択肢にすら入らない」状況になりました。また広告や集客にかかる費用=リード獲得単価(CPL)は年々高くなっており、簡単に顧客を増やせる時代ではなくなってきています。加えて、最近ではサブスクリプション型サービスが広がったことで、「お客さんに長く使ってもらうこと」が利益を生むビジネスモデルが台頭してきました。

こうした継続型の収益モデル(リカーリングレベニュー)は、たとえ初年度が赤字でも、2年目・3年目の継続利用によって利益が出るように設計されています。そのため、契約の継続率(GRR=解約されずに続く割合、NRR=契約内容が成長した割合)は、企業の価値を評価するうえで非常に重要な指標になっています。

のような状況のなかで、リレーションシップマーケティングは大きな注目を集めるようになりました。ハーバード・ビジネス・スクールの調査では、「既存の顧客の解約を1%減らすだけで、利益が平均7%向上する」というデータがあります。実際にSaaS企業(ソフトウェアの定額提供ビジネス)の決算情報を見ても、GRRが90%を下回ると、一気に売上効率が悪くなり、事業が不安定になることが分かっています。

さらに買い手の購買行動が複雑になっている今、営業(セールス)とマーケティングの役割は重なり始めています。これまでのように「マーケはリード(見込み客)を集め、営業はクロージングする」という分業だけでは、うまくいかないケースが増えていくでしょう。

マーケティング部門と営業部門だけでなく、契約後のフォローを担うカスタマーサクセス部門までが連携し、「顧客一人ひとりの体験や成果」に基づいてKPI(成果指標)を共有する必要があります。そうでなければ、LTV(生涯顧客価値)を最大化することはできません。

リレーションシップマーケティングとは単なるマーケティング手法ではなく、「お客さまとの関係を長く大切にする」ことを中心に、会社の仕組みやデータの使い方を見直す“経営そのものの改革”だと言えるのです。

リレーションシップマーケティングが脚光を浴びる4つの理由

  1. 新規獲得コスト高騰──CPL上昇で投資回収が困難に
  2. サブスク化による継続収益モデル定着──解約率低下が企業価値を左右
  3. 顧客主導の情報収集行動──一方的なプロダクトアウト型営業の限界
  4. 営業・マーケ・CSの統合KPI化──全社で顧客単位の価値最大化を追求

第3章 メリットと効果指標

リレーションシップマーケティングの効果を経営陣に説明する際は、「目に見える数値的なメリット」と「感覚的だけど大事な価値」を分けて伝えることが大切です。

まず定性的な価値としては、顧客との信頼関係が深まることです。たとえば「値引き交渉が減る」「他社との競合に巻き込まれにくくなる」「一緒に未来をつくるような大きなプロジェクトに発展しやすくなる」など。これはお客さまに「この会社と付き合い続けたい」と思ってもらえる状態をつくる効果です。

一方で、定量的な効果を示すことも必要です。そのためにはCRM(顧客管理)ツールなどで集めたデータをもとに、KGI(最終的なゴール)やKPI(途中の目標)を設定し、「どの数字が改善されたら成功といえるのか」を明確にすると社内の合意を得やすくなります。

特に注目される数字の一つがLTV(顧客生涯価値)です。たとえば、毎月の平均契約金額(MRR)が40万円のSaaS企業があるとします。この企業の月ごとの解約率(チャーンレート)が3%から2%に下がった場合、1人の顧客が契約を続けてくれる月数は33ヵ月から50ヵ月に伸びます。するとLTV(=40万円×継続月数)は1320万円から2000万円に増え、約1.5倍になります。

次に重要なのがNRR(Net Revenue Retention)という指標です。これは「解約があっても、アップセル(追加購入)やクロスセル(関連商品購入)で収益を伸ばせているか」を示すもので、NRRが120%を超える企業は、上場しているSaaS企業の中でも評価がとても高い水準にあります。

さらに、リレーションシップマーケティングの効果として注目されているのがCAC Payback Period(顧客獲得コストの回収期間)です。「1人のお客さんを獲得するために使ったお金を、どれだけ早く取り戻せるか」を意味する指標のことです。

NPO法人Brimcoの調査によると、リレーションシップマーケティングを実施している企業は、そうでない企業に比べてこの回収期間が平均で2.8ヵ月短くなっており、資金繰りやキャッシュフローの改善に役立っていることが分かります。

こうした数字から、リレーションシップマーケティングは「守りのコスト削減」と「攻めの成長投資」の両方を同時に実現できる取り組みだと考えられます。最初の年は、データの整理やCRMツールの更新などでコストがかかるかもしれませんが、それを乗り越えて顧客の解約を防ぎ、追加提案の成功率が高まれば、継続収益が増えていきます。こうした効果によって、2年目以降は高いROI(投資対効果)が期待できるのが導入の王道パターンです。

効果測定の代表指標

  • GRR/NRR解約率とアップセルを包括的に捉える3年後企業価値の先行指標
  • LTV/CAC比1を上回れば投資回収、3以上で高効率モデル
  • NPSロイヤルティの強さを早期に察知し、解約リスクを事前把握
  • チャーン分解分析:製品要因・価格要因・サポート要因を特定し打ち手を優先順位化

第4章 主要アプローチと活用シナリオ

リレーションシップマーケティングを成功させるには、「テクノロジー」「組織」「プロセス」がバラバラではなく、一体となって動くことが重要です。ここでは、代表的な4つの施策と、それぞれがどのような場面で役立つかをご紹介します。

データベースマーケティング(DBM)

お客さまの情報を一か所にまとめて管理し、それを活用して最適なタイミング・内容でアプローチする手法です。具体的には、名前や会社名だけでなく、どんな商品を買ったか、いつ使っているかといった情報をまとめた「データウェアハウス」を作り、そのデータをもとに「この人にはこの案内を送ろう」とセグメント(細かく分類)していきます。

たとえばBtoB企業では、「担当者が他部署に異動した」といった情報をきっかけに、継続利用を促すメールを送ったり、「最近あまり使っていない」顧客に健康診断のようなレポートを届けたりする施策が効果的です。顧客数が何千社もある場合は、自動でこうした対応ができるマーケティングオートメーション(MA)を使うことで、効率が大きく向上します。

アカウントベースドマーケティング(ABM)

ABMは「企業単位でターゲットを絞って、営業とマーケが一緒に動く」戦略です。たとえば「この200社を最優先に売りたい」というリストを先に作り、その会社ごとにオーダーメイドのアプローチをしていきます。

国内の大手IT企業K社では、年商500億円以上の製造業200社を「Tier1(最重要顧客)」と定義。これらの企業がどんな情報を調べているか(インテントデータ)や、ウェビナーに参加したかどうかなどの行動データを営業チームと即共有しました。その結果、営業につながる率(商談化率)が以前の2.7倍になったと報告されています。

カスタマーサクセス(CS)プログラム

これは、商品やサービスを「買ってもらった後」に、しっかり使ってもらい、満足してもらうための仕組みです。どのくらい使ってくれているかをスコア(点数)にして見える化し、そのスコアが下がってきたときには自動で注意を促すようにします。

たとえばSaaS企業では、「利用頻度」「管理者がログインした回数」「どの機能まで使っているか」などをもとにヘルススコアを設定。このスコアが下がると、カスタマーサクセス部門がすぐに対応するようなタスクが自動で作られます。さらに最近では、CS部門が「追加購入(アップセル)」の責任も持つようになり、ARR(年間収益)を伸ばす中心的な役割を担っています。

コミュニティ&イベント戦略

これは、ユーザー同士がつながれる場をつくることで、会社(ベンダー)を超えた学びや共創の関係を育てていく施策です。たとえば、ユーザー会やSlackコミュニティ、年に1回の大きなイベントなどを通じて、ユーザーの声を拾い、ファンを増やしていきます。

あるERPソフトの提供企業P社では、年次イベントをきっかけにユーザーによる発表資料(UGC=ユーザー生成コンテンツ)を集め、それを別の資料として再利用。この取り組みだけで、年間2,000件のリード(見込み顧客)を、低コストで集めることができました。こうした場があると、お客さんのロイヤルティ(信頼や愛着)も高まり、「あの会社のサービスなら使い続けたい」と感じてもらえるようになります。

 

このように、リレーションシップマーケティングを進めるには「データをうまく使う」「営業とマーケが連携する」「契約後のフォローを大事にする」「ユーザー同士のつながりを育てる」といった複数の工夫が必要になります。それぞれの施策は単体でも価値がありますが、組み合わせて使うことでより大きな成果を生み出します。

第5章 成功事例に学ぶ──RMを機能させる組織とプロセス

RM(リレーションシップマーケティング)が社内にきちんと根づくかどうかは、一部門の努力だけでは決まりません。大切なのは、「お客さまを中心に考え、それに合わせてKPI(指標)や責任を全社で共有する文化」がつくれるかどうかです。ここでは、国内外の代表的な4つの企業事例を取り上げ、BtoB企業がRMを成功させるためのヒントを整理していきます。

Salesforce(アメリカ)

クラウド型の営業支援ツールで有名なSalesforceでは、「Trailblazer Community」という学びの場をつくっています。これは200万人以上が参加するオンラインのコミュニティで、ユーザー同士が使い方を教え合ったり、質問に答えたりする“自走型サポート”の仕組みです。

特に特徴的なのが、コミュニティ内での貢献度を「バッジ」として見える化し、その実績が転職や評価にもつながるようにしている点です。こうした工夫によって、ユーザーが自然と「学ぶ→慣れる→他の人に勧める」流れをつくっており、RMの理想的な形を体現しています。

チャットツール大手S社(日本)

国内のある大手チャットツール企業では、カスタマーサクセス(CS)部門の役割を根本的に見直しました。以前は「解約を防ぐための部門」でしたが、それを「製品改善をリードする部門」に変えたのです。

CSチームが集めた解約理由をすぐに製品開発チームに共有し、2週間単位で機能を改善していく「スプリント方式」を導入。その結果、既存顧客から得られる収益を示す指標(NRR)は110%から124%へと大幅に伸びました。

計測機器メーカーM社(日本・製造業)

BtoB製造業のM社では、RM導入前は営業担当者に頼った属人的なやり方が中心で、大型装置の入札で負けることが多くありました。そこで、営業活動を計画的に進めるABM(アカウントベースドマーケティング)を導入。

「お客さまの中で誰が意思決定をするのか」を整理し、その人たちに向けて技術セミナー、製品デモ、現場でのテストなどを7カ月かけて順番に提供しました。その結果、最重要顧客(Tier1)向けの商談での失注率は、35%から18%にまで下がりました。

これらの成功事例に共通するのは、「一つの接点だけで終わらせず、複数の場面でお客さんとつながる体験を設計していること」、そして**「会社全体が同じ目標を見て、横の連携が取れていること」**です。

営業・マーケ・CSなどの部門間で壁(サイロ)をつくらず、顧客に関するあらゆるデータを一元化し、速やかな意思決定を行えるガバナンス体制こそが、RM成功の決め手となるのです。

カルビー株式会社

食品メーカーのカルビー株式会社は、さらに多くのファンを生み出すマーケティング戦略として、スマートフォン向けアプリをリリースしました。開発の際、社内に蓄積されていた未利用のデータを生かしていることが特徴です。アプリの登場により、顧客が欲しい商品を置いている店を手軽に検索できるようになりました。顧客の不満を解消し、商品や会社のファンを増やすことにつながっています。

カルビー株式会社の事例について、詳しくは導入事例紹介ページでご覧ください。

※カルビー株式会社のリレーションシップマーケティング活用事例を見る

熱狂的なファンとオンラインで直接繋がる。商品の共創も実現した絶品かっぱえびせんのファンコミュニティ

リレーションシップマーケティングで顧客との信頼関係を築きましょう!

リレーションシップマーケティングは、リピート率顧客単価の向上口コミの拡散、顧客生産価値の最大化など、多くのメリットをもたらします。個々の顧客に応じたマーケティング戦略を実行することで、強固な信頼関係を築けるようになります。企業によって適した手法は異なるため、自社に合う方法を選ぶこともポイントです。今回ご紹介した手法や活用事例なども参考にしながら、既存顧客との関係を深めていきましょう。

 

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