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【2025年最新】SaaSとは?意味やメリット・デメリット、事例を経営視点で徹底解説

2025/08/01

【2025年最新】SaaSとは?意味やメリット・デメリット、事例を経営視点で徹底解説
コミューン編集部

コミューン編集部

DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、業務効率の抜本的な見直し、競争優位性の確保といった経営課題に直面し、その解決策として「SaaS」を考える方は多いのではないでしょうか。
 
事実、日本のSaaS市場は2024年に約1.4兆円規模に達し、2028年までに年平均11%の成長が見込まれています。これは、もはやSaaSが一部のIT企業だけのものではなく、あらゆる業界・規模の企業にとって事業成長に不可欠な経営インフラとなりつつあることを示しています。
 
しかし、「SaaS」という言葉が浸透する一方、「クラウドと何が違うのか?」「導入メリットは聞くが、具体的なリスクはないの?」「自社に最適なサービスをどう選べばいいの?」といった疑問が、導入の障壁となっているケースも少なくありません。
 
本稿は、そうした経営者やDX推進担当者の皆様が、自信を持ってSaaS導入の意思決定を下せるように構成された戦略ガイドです。SaaSの本質的な価値から、経営指標に与えるインパクト、具体的な導入ロードマップ、そして潜むリスクとその克服法まで。国内外の最新データと事例を基に、SaaSという選択肢を深く、多角的に解説します。

目次

第1章 SaaSとは?その定義と本質
よくある誤解――「クラウド=SaaS」は間違い
データが示すSaaSの浸透度
第2章 DX時代の必然性――なぜ今、SaaSが経営戦略の核となるのか?
第3章 経営指標から見るSaaSのメリット
① TCO(総所有コスト)の削減:
② 業務効率の向上と生産性(平均15〜20%向上)
③ 導入スピードと事業機会の創出
④ 顧客LTV(生涯顧客価値)の向上
第4章 潜むリスクと克服戦略――導入前に知るべき3つの壁
① セキュリティとデータガバナンスのリスク
② カスタマイズの制約と業務プロセスの見直し
③ ベンダーロックインのリスク
✅ SaaS選定時のリスクチェックリスト
第5章 国内外の成功事例と数字――“業務変革”の瞬間
✅ 事例1:トヨタ自動車(BtoB・グローバル連携)
✅ 事例2:株式会社メルカリ(BtoC・組織急拡大への対応)
第6章 SaaS導入ロードマップ――失敗しないための4つのフェーズ
フェーズ①:目的・課題の明確化(Why)
フェーズ②:サービス選定と要件定義(What/How)
フェーズ③:パイロット導入と効果検証(Test)
フェーズ④:全社展開と定着化(Scale)
第7章 まとめと行動プラン:あなたの次の一手は?
✅ 今日からできる!SaaS導入検討の3ステップ
① 自社の「ペイン(痛み)」を言語化する
② 3つのSaaSを「無料トライアル」してみる
③ 簡易的なROIを試算する

第1章 SaaSとは?その定義と本質

SaaS(サース)とは、「Software as a Service」の略称で、直訳すると「サービスとしてのソフトウェア」を意味します。従来のようにソフトウェアをPCにインストールして利用するのではなく、インターネット経由で提供されるソフトウェアを、必要な時に必要な分だけ利用するモデルのことです。

身近な例ではGmailやGoogle Drive、Microsoft 365などがSaaSにあたります。ユーザーは自身のPCに大掛かりなソフトウェアをインストールすることなく、Webブラウザとインターネット接続環境さえあれば、いつでもどこでもサービスを利用できます。

よくある誤解――「クラウド=SaaS」は間違い

SaaSを理解する上で重要なのが、他のクラウドサービスモデルである「PaaS」「IaaS」との違いです。これらはしばしば混同されますが、提供されるサービスの範囲が明確に異なります。料理に例えると、その違いは一目瞭然です。

サービスモデル 略称 提供範囲 料理の例え 具体例
SaaS Software as a Service ソフトウェア レストラン(完成した料理を注文するだけ) Salesforce, Slack, Zoom
PaaS Platform as a Service 開発環境
・実行基盤
シェアキッチン(調理器具やコンロは完備) AWS Elastic Beanstalk, Google App Engine
IaaS Infrastructure as a Service サーバー
・ネットワーク
キッチン付きの貸しスペース(場所とインフラだけ借りる) Amazon EC2, Google Compute Engine

つまり、IaaSがインフラ、PaaSがその上の開発環境を提供するのに対し、SaaSはアプリケーションソフトウェアそのものをサービスとして提供します。これにより、利用企業はサーバーの管理やソフトウェア開発といった専門的な業務から解放され、本来注力すべきコア業務に集中できるのです。

データが示すSaaSの浸透度

総務省の「令和5年版 情報通信白書」によると、クラウドサービスを利用している企業の割合は72.2%に達しており、その利用内容として最も多いのが「ファイル保管・データ共有」(61.8%)、次いで「電子メール」(52.0%)、「社内情報共有・ポータル」(48.1%)と、SaaSが企業活動の根幹を支えている実態が浮き彫りになっています。これは、SaaSがもはや選択肢ではなく、標準的なビジネスツールであることを示しています。

第2章 DX時代の必然性――なぜ今、SaaSが経営戦略の核となるのか?

SaaSの導入が加速している背景には、単なるコスト削減や利便性向上といった目先のメリットだけではなく、より構造的な市場環境の変化があります。

  1. ビジネススピードの劇的な加速
    現代の市場は、顧客ニーズの多様化や競合の出現により、変化のスピードがかつてなく速まっています。このような環境下で、数ヶ月から数年単位の時間をかけてシステムを自社開発する「オンプレミス型」では、市場の変化に対応しきれません。
    SaaSであれば、契約後すぐに利用を開始でき、事業の変化に応じて機能を追加・縮小することも容易です。この「俊敏性(アジリティ)」こそが、SaaSが選ばれる最大の理由の一つです。
  2. 働き方の多様化とリモートワークの定着
    パンデミックを経て、リモートワークやハイブリッドワークは多くの企業で標準的な働き方となりました。SaaSはインターネット環境さえあれば場所を問わずにアクセスできるため、多様な働き方を支える基盤として不可欠です。全社員が同じ情報にリアルタイムでアクセスし、共同作業を行える環境は、生産性の維持・向上に直結します。
  3. DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の要請
    経済産業省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」に象徴されるように、多くの企業がレガシーシステムからの脱却とDXの推進を迫られています。SaaSは、最新のテクノロジー(AI、データ分析など)を比較的低コストで導入できるため、DXを加速させる強力なエンジンとなります。自社でAIエンジニアを抱えずとも、AI機能を搭載したSaaSを導入することで、データに基づいた意思決定や業務自動化を実現できるのです。

これらの変化は、SaaSへの投資がもはや単なるITコストではなく、事業の持続可能性と成長を左右する戦略的投資であることを示唆しています。

第3章 経営指標から見るSaaSのメリット

経営者や事業責任者がSaaS導入を判断する際、最も重要なのは「投資対効果(ROI)」です。ここでは、SaaSが具体的にどの経営指標に、どの程度のインパクトを与えるのかを定量的に解説します。

① TCO(総所有コスト)の削減:

最大30%以上 オンプレミス型の場合、サーバー購入費やソフトウェアライセンス費といった初期投資に加え、サーバー維持費、保守・運用人件費、アップデート費用など、目に見えにくいコストが継続的に発生します。 SaaSはサブスクリプションモデルであるため、これらのコストが月額・年額の利用料に一本化されます。Gartner社の調査では、SaaSへの移行により、TCOを15%〜30%削減できるケースが報告されています。

② 業務効率の向上と生産性(平均15〜20%向上)

SaaSは、特定業務に特化して最適化されているため、導入するだけで業務プロセスを標準化し、効率化できます。例えば、営業支援ツール(SFA)を導入した企業では、営業担当者が日報作成や案件管理にかける時間が削減され、顧客との対話といったコア業務に集中できるようになった結果、生産性が平均15%向上したというデータもあります(自社調査より)。

③ 導入スピードと事業機会の創出

新規事業を立ち上げる際、システム開発に半年かかるところを、SaaSなら1週間で準備できるかもしれません。このスピードの差は、市場にいち早く参入し、先行者利益を獲得する上で決定的な違いを生み出します。Time to Market(市場投入までの時間)の短縮は、直接的な売上機会の創出につながるのです。

④ 顧客LTV(生涯顧客価値)の向上

CRM(顧客関係管理)やMA(マーケティングオートメーション)といったSaaSを活用することで、顧客データを一元管理し、一人ひとりに最適化されたアプローチが可能になります。これにより顧客満足度が向上し、解約率の低下やアップセル・クロスセルの促進に繋がります。結果として、顧客LTVが20%以上向上したという事例も珍しくありません。

SaaSは、コスト削減という“守り”の側面だけでなく、生産性向上や事業機会創出といった“攻め”の側面からも、企業の財務体質を強化する力を持っているのです。

第4章 潜むリスクと克服戦略――導入前に知るべき3つの壁

SaaSは多くのメリットをもたらしますが、その特性ゆえのリスクも存在します。導入を成功させるためには、これらのリスクを事前に理解し、対策を講じることが不可欠です。

① セキュリティとデータガバナンスのリスク

企業の機密情報や顧客データを外部のサーバーに預けることになるため、情報漏洩や不正アクセスのリスクはゼロではありません。信頼できるベンダーを選ぶことが最も重要です。「ISO/IEC 27001(ISMS)」や「SOC2」といった第三者認証の取得状況を確認しましょう。また、契約時にはデータの所有権や、サービス障害時のSLA(サービス品質保証)について明確に確認することが不可欠です。

② カスタマイズの制約と業務プロセスの見直し

SaaSは多くの企業で利用されることを前提に標準化されているため、自社の特殊な業務フローに合わせた大幅なカスタマイズは困難な場合があります。「システムを業務に合わせる」というオンプレミス的な発想から、「業務をベストプラクティスであるシステムに合わせる」という発想への転換が求められます。SaaS導入を、非効率な既存業務を見直す良い機会と捉えましょう。また、API連携が豊富なサービスを選べば、他のSaaSと組み合わせることで柔軟性を高めることも可能です。

③ ベンダーロックインのリスク

特定のSaaSに業務が深く依存してしまうと、他のサービスへの乗り換えが困難になる「ベンダーロックイン」の状態に陥る可能性があります。料金の値上げやサービス品質の低下があっても、簡単には移行できなくなります。 【克服戦略】 導入前に、データのインポート/エクスポート機能が充実しているか、解約時のデータ移行プロセスが明確に定められているかを確認しましょう。また、特定のベンダーに依存しすぎないよう、複数のSaaSを連携させて利用するマルチクラウド戦略も有効です。

✅ SaaS選定時のリスクチェックリスト

  •  第三者セキュリティ認証(ISO27001, SOC2等)を取得しているか?
  •  データ所有権と障害時のSLAは契約書で明記されているか?
  •  API連携の豊富さとドキュメントは整備されているか?
  •  データのエクスポート機能は容易に利用できるか?
  •  サポート体制(日本語対応、対応時間など)は十分か?

第5章 国内外の成功事例と数字――“業務変革”の瞬間

SaaSが実際にどのように活用され、どのような成果を生んでいるのか。具体的な事例を見ていきましょう。

✅ 事例1:トヨタ自動車(BtoB・グローバル連携)

世界有数の自動車メーカーであるトヨタ自動車は、グローバルでの販売・マーケティング活動を強化するため、Salesforceを導入しました。これにより、世界中の販売代理店や従業員が顧客情報をリアルタイムで共有できる基盤を構築。

成果:

  • グローバルでの顧客情報の一元化: 各国でバラバラだった顧客データを統合し、一貫した顧客体験を提供。
  • 営業プロセスの標準化: データに基づいた営業活動が可能になり、商談の精度と効率が向上。
  • 迅速な市場対応: 各市場の顧客の声を迅速に製品開発やマーケティング戦略に反映できる体制を確立。

この事例は、SaaSが大企業において、部門や国境を越えた連携を促進し、組織全体の競争力を高める上でいかに強力なツールであるかを示しています。

✅ 事例2:株式会社メルカリ(BtoC・組織急拡大への対応)

フリマアプリで急成長を遂げたメルカリは、従業員の急増に伴う人事・労務管理の複雑化という課題に直面していました。同社は、人事労務SaaSであるSmartHRを導入。

成果:

  • 入社手続きのペーパーレス化: 煩雑だった入社手続きをオンラインで完結させ、人事部門の工数を大幅に削減。
  • 従業員情報の可視化: 組織図や従業員情報を一元管理し、タレントマネジメントや組織開発に活用。
  • 従業員エンゲージメントの向上: 従業員サーベイ機能を活用し、組織の状態を定量的に把握。働きやすい環境づくりに繋げた。

メルカリの事例は、SaaSがスタートアップや成長企業において、組織の急拡大を支え、スケーラブルな管理体制を構築するための基盤となることを証明しています。

第6章 SaaS導入ロードマップ――失敗しないための4つのフェーズ

SaaS導入は、単にツールを導入するプロジェクトではありません。業務プロセスや組織文化の変革を伴う一大プロジェクトです。ここでは、導入を成功に導くための4つのフェーズを解説します。

フェーズ①:目的・課題の明確化(Why)

最も重要なのは、「何のためにSaaSを導入するのか」という目的を明確にすることです。

  • 「営業部門の報告業務を30%削減する」
  • 「マーケティング部門のリード獲得単価を20%改善する」
  • 「全社の情報共有を活性化させ、意思決定スピードを上げる」 このように、具体的な数値目標(KPI)を設定することで、関係者の目線が揃い、導入後の効果測定も容易になります。この段階で経営層を巻き込み、全社的なコンセンサスを得ることが成功の鍵です。

フェーズ②:サービス選定と要件定義(What/How)

目的に基づき、必要な機能要件を定義します。この際、「Must(必須)要件」と「Want(希望)要件」に分けて整理すると、比較検討がしやすくなります。複数のサービスをリストアップし、無料トライアルなどを活用して、実際の操作感やサポート体制を比較検討します。第4章で挙げたリスクチェックリストも活用し、多角的に評価しましょう。

フェーズ③:パイロット導入と効果検証(Test)

いきなり全社展開するのではなく、まずは特定部門やチームで試験的に導入(パイロット導入)します。ここで小さな成功体験を積み、運用上の課題を洗い出します。このフェーズで得られたフィードバックを基に、本格導入に向けたマニュアル作成や研修プランを策定します。

フェーズ④:全社展開と定着化(Scale)

パイロット導入で得た知見を活かし、全社へと展開します。導入して終わりではなく、ここからが本番です。定期的な研修会の実施や、社内での活用事例の共有、ヘルプデスクの設置など、利用を促進し、定着させるための継続的な働きかけが重要です。利用状況をデータでモニタリングし、活用が進んでいない部門には個別にフォローアップを行いましょう。

このロードマップを着実に実行することで、SaaSは単なる「ツール」から、企業の成長を支える「文化」へと昇華していきます。

第7章 まとめと行動プラン:あなたの次の一手は?

本記事では、SaaSが単なるITツールではなく、DX時代のビジネス環境において企業の競争力を左右する経営戦略の核であることを、定義からメリット、リスク、導入事例、ロードマップに至るまで多角的に解説してきました。

  • 市場トレンド: 日本のSaaS市場は年平均11%で成長し、企業活動のインフラとして定着。
  • 経営インパクト: TCO削減だけでなく、業務効率化、事業スピード向上、LTV向上に貢献。
  • 成功の鍵: 明確な目的設定と、リスクを理解した上での計画的な導入プロセスが不可欠。

SaaSを使いこなす企業とそうでない企業との差は、今後ますます開いていくでしょう。信頼と成長を、同時に育てる経営戦略――その実現に向けた第一歩を、今日踏み出してみませんか。

✅ 今日からできる!SaaS導入検討の3ステップ

① 自社の「ペイン(痛み)」を言語化する

まずは、あなたの部署や会社が抱える最も大きな課題・非効率な業務は何かを書き出してみましょう。「顧客管理がExcelで限界」「部門間の情報共有ができていない」など、具体的な「痛み」から始めることが、最適なSaaSを見つける最短ルートです。

② 3つのSaaSを「無料トライアル」してみる

課題解決に繋がりそうなカテゴリー(例:CRM, SFA, プロジェクト管理)のSaaSを3つ選び、無料トライアルを申し込んでみましょう。百聞は一見に如かず。実際に触れてみることで、自社との相性や本当に必要な機能が見えてきます。

③ 簡易的なROIを試算する

選んだSaaSの導入によって、「どの業務が、何時間削減できるか?」「それが人件費に換算するといくらか?」を概算してみましょう。この簡易的な費用対効果シミュレーションが、社内での承認を得るための強力な説得材料になります。

SaaSを導入し、業務効率や顧客管理が改善された後、多くの企業が次なる課題として「顧客との継続的な関係構築」や「LTVの最大化」に直面します。どれだけ優れたSaaSを導入しても、顧客がその価値を実感し、ファンとして定着してくれなければ、ビジネスは成長しません。

Commune (コミューン) は、まさにその「導入後」の課題を解決するコミュニティサクセスプラットフォームです。顧客同士が繋がり、成功体験を共有し、製品へのフィードバックを行う「場」を提供することで、顧客エンゲージメントを劇的に向上させます。結果として、解約率の低下やアップセルの促進に繋がり、SaaS投資の効果を最大化します。

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