
コラム
マーケティング
PREP法とは?結論ファーストで成果を伸ばすコミュニケーション術
2025/05/24

「結論から話してほしい」「何を言いたいのか分からない」――日々の業務で、こうした声を耳にすることはありませんか? ビジネスの場では時間やリソースが限られがちです。端的に要点を伝え、説得力をもって相手を動かすためには、話の組み立て方が重要になります。
そんな場面で注目されるのがPREP法です。本記事では、なぜPREP法が求められるのかから、具体的なステップ・メリット・注意点・活用例まで幅広く解説します。PREP法を身につければ、上司やクライアントから「分かりやすい」「要点がすぐつかめる」と評価され、チームのコミュニケーションや意思決定がスムーズになるでしょう。
目次
第1章:PREP法とは何か
PREP法はPoint(結論)→Reason(理由)→Example(具体例)→Point(結論)という順序で情報を伝えるフレームワークです。英単語の頭文字を取って「プレップ法」と呼ばれます。論理構成が明快なため、限られた時間内で要点を強調したいビジネスパーソンに好まれています。
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結論を重視
まず「何が言いたいのか」をはっきり伝えるため、相手は冒頭でゴールを知ることができます。 -
理由を提示
なぜその結論に至ったかを説明して納得感を高めます。 -
具体例で補足
実例や数字などを示すことで、聞き手がイメージを膨らませやすくなります。 -
結論を再提示
最後に再度結論を述べ、要点を定着させます。
一般的な日本語の会話や文章は時系列や状況説明を先にする傾向があります。しかし、ビジネスの現場では回りくどい前置きが嫌われ、「結局何を提案しているのか分からない」と思われがちです。PREP法を活用すると、冒頭とラストに結論が配置されるため、受け手は話の要旨を見失いにくくなります。
第2章:なぜPREP法が必要とされるのか
ビジネスシーンには、「短い時間で大事なことを伝えなければならない」「上司や顧客を短いプレゼンで納得させたい」といった局面が多々あります。PREP法は、そうした結論重視のコミュニケーションを支援する仕組みです。特に次のような課題を抱える方はPREP法を学ぶ意義が大きいでしょう。
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結論が埋もれてしまう
説明が長くなるほど、相手は「何が言いたいの?」と感じやすくなります。 -
曖昧な主張で説得力が欠ける
具体例やデータを後回しにし、抽象的なトーンだけで伝えているケースです。 -
相手の反応が得られない
時系列報告や背景説明ばかりだと、結論まで聞き手の集中が続かない場合があります。 -
要点を短時間でまとめたい
ミーティングやプレゼンの制限時間内で最大限のインパクトを出したい状況に対応します。
例えば、上司への進捗報告で前置きを延々と話してしまうと、「結局どうしたいのか?」という疑問を抱かれがちです。最初に「プロジェクトを一週間延長したいです」と結論を述べれば、聞き手は意図を瞬時に理解できます。その後に根拠や具体的な事情を補足すれば、上司も判断しやすくなるのです。この「最初と最後に結論を置く」構造こそ、PREP法の最大の特徴です。
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第3章:PREP法の4ステップを理解する
それでは、PREP法を構成する4つの要素について詳しく見ていきましょう。単に頭文字を並べただけではなく、それぞれのパートでどのような視点を押さえるかが重要です。
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Point(結論)
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もっとも伝えたい主張を、最初に簡潔に示す
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「私は〇〇を提案します」「結論として△△が最適です」など、キーワードから入ると分かりやすい
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Reason(理由)
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結論の根拠となる事実やデータを伝える
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「なぜなら~」「その理由は~」など論理に説得力を持たせる表現を活用
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Example(具体例)
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他社事例や数字、エピソードなどを提示
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「例えば~」「具体的には~」といった導入で、相手のイメージをより明確にする
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Point(結論)
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再度結論を掲示し、話を締めくくる
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「以上の理由から、~を推奨します」と同じゴールに着地させる
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「Point→Reason→Example→Point」という順序はシンプルですが、これを意識して書く・話すことによって主張が迷子になりにくくなります。特にExample(具体例)は、数字や実績を含むと効果が高いです。一方で、感覚的なイメージだけでは説得力が弱まるため、客観的・定量的な材料を入れるのがおすすめです。
第4章:PREP法のメリット
PREP法がビジネスシーンで高く評価されるのは、主に以下のようなメリットが得られるためです。限られた時間の中で相手を説得したいとき、あるいはチームメンバーへの指示や報告を効率化したいときなど、さまざまな場面で役に立ちます。
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1. 要点が伝わりやすい
話の冒頭で結論が明らかになるため、相手はゴールをイメージしながら聞いてくれます。 -
2. 論理構成が明確
「結論→理由→例→結論」と既定路線があるため、書き手・話し手も構成に迷わず効率的に準備可能です。 -
3. 説得力が増す
結論と理由を連動させ、具体例で補強するプロセスは、相手の納得を得やすい流れを自然に作り出します。 -
4. 何度も結論を提示できる
冒頭と最後の二度にわたり結論を打ち出すため、結論が印象に残りやすく、理解も早まります。
たとえば、社内プレゼンで新サービスを導入する必要性を説明するとき、最初に「新サービス導入を提案します」と宣言し、そのあと導入の背景データ、導入事例を示す。最後に再度「よって新サービスを導入すべきです」と締めると、一貫したストーリーで聞き手の理解を深められます。こうした結論反復の効果は、特に短時間で結論を出す必要があるミーティングや商談において顕著です。
第5章:PREP法のデメリットと注意点
一方で、PREP法が万能というわけではありません。向き・不向きがあるため、以下のような点には注意が必要です。場合によっては他のフレームワークや伝え方を併用したほうがよいケースもあります。
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1. 長大なストーリーには適さない
小説やドキュメンタリーのようにプロセスを味わってもらう目的には向きません。結論ファーストがかえって味気なさを生むことも。 -
2. 感情に訴えかける場面には不向き
共感を狙うプレゼンや自己紹介でドラマ性を重視したい場合、ロジック優先のPREP法だと物足りないと感じさせる可能性があります。 -
3. 使いこなすまで練習が必要
結論から話す習慣がない人にとっては、最初はぎこちなくなることが多いです。継続して実践するうちに自然にできるようになります。 -
4. 全てを数値で語れるわけではない
「理由」や「具体例」を数字にしづらいテーマ、あるいは定性的な価値観が大事な説明では、PREP法の型が合わない場合もあります。
とはいえ、ビジネスコミュニケーションの多くは短時間で相手を納得させることが求められます。特に会議やメール報告では情報を簡潔にまとめることが重視されるため、PREP法は非常に有効です。状況や相手のニーズを見極めながら、必要に応じて他の手法(SDS法など)とも比較検討してください。
第6章:ビジネスで使える具体例
ここからは、実際のビジネス現場でどのようにPREP法を使うか、サンプル文を紹介します。悪い例と良い例を対比させることで、PREP法の効果を体感してみましょう。
【上司への報告(悪い例)】
「○○プロジェクトなのですが、担当者が体調を崩してしまいまして、実は先週から資料作成が止まっています。それで、外注を考えたのですが費用もかかりそうで、実施時期をどうするか迷っていて……結果、納期を延ばすかどうか判断してもらえたらと思っています。」
【上司への報告(PREP法の良い例)】
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Point(結論)
「○○プロジェクトの納期を一週間延ばしていただきたいと考えています。」 -
Reason(理由)
「担当者の急病により、予定していた資料作成が大幅に遅れています。」 -
Example(具体例)
「現時点で必要なページの半数以上が未着手で、外注も追加コストが大きいため、その手段は得策ではありません。」 -
Point(結論)
「よって、今週は延長了承をいただき、来週改めてレビューを行わせてください。」
最初に「納期延長」という結論を明示すると、上司はすぐにゴールを理解できます。理由と具体例を示すことでやむを得ない事情も伝わり、最後に再度「納期延長の許可を求める」というお願いを強調できます。
【2. プレゼンでの提案(PREP法例)】
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Point(結論)
「新しいコラボキャンペーンを導入すべきです。」 -
Reason(理由)
「現行の単独広告だけでは既存客を中心とした売上しか見込めず、新規層への訴求が不足しています。」 -
Example(具体例)
「実際に、昨年同業他社とのコラボ企画を実施したA社は、初月で前年比150%の集客に成功しています。」 -
Point(結論)
「以上のデータから、コラボキャンペーンを採用する価値があると判断できます。」
数字を交えた具体例は、提案内容の説得力をぐっと高めます。最後の結論と最初の結論が一致しているため、聞き手は提案の要旨をはっきりと記憶に残せます。
第7章:PREP法習得のコツ
PREP法を日常に取り入れるには、まず意識的に結論ファーストで話し始める訓練が必要です。いきなり完璧に使いこなすのは難しいかもしれませんが、以下のステップを踏むとスムーズに身につけられます。
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1. メールや短い報告で練習する
文章量が少ないメール報告はPREP法の意識づけに最適。見出し的に「結論:」「理由:」「具体例:」と分けてもよいでしょう。 -
2. フィードバックをもらう
上司や同僚に「わかりやすいかどうか」を率直に尋ね、結論部分が明確だったか評価してもらいます。 -
3. プレゼン資料にも応用する
スライドの冒頭に「目的・結論」を表示し、中盤以降で根拠と例を展開すると一貫性が出ます。 -
4. 話し慣れない場合はメモを活用
「P・R・E・P」と書いたメモを手元に置いておくと、緊張しやすい場でも順序を忘れず話せるでしょう。
まとめ
結論を先に示し、理由と具体例で補強し、最後に再度結論で締めくくる――それがPREP法の核です。ビジネスの現場では、端的で説得力のあるコミュニケーションが求められます。PREP法を使いこなせば、上司や顧客への説明がスムーズになり、短時間で的確な意思決定を促せる可能性が高まるでしょう。ただし、ストーリー性や感情面を重視したい場面では使いにくいこともあるため、場面に合わせた使い分けも大切です。
まずは小さな場面からでも「結論→理由→具体例→結論」の型を意識してみてください。時間を追うごとに自然と身につき、やがては「余計なことを言わずに主張が通る」快適なコミュニケーションができるようになるはずです。PREP法は慣れてしまえば難しくありません。ぜひ今日のメールや明日の会議から、結論ファーストの思考を取り入れてみましょう。きっと、「何が言いたいの?」といった指摘からは卒業できるはずです。