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マーケティング
バイラルマーケティング完全ガイド|成功事例から炎上回避策、ROI測定まで
2025/04/23

バイラルマーケティングとは、SNS などを通じてユーザーが自発的に情報を共有し、短期間で爆発的な認知拡大を生む手法です。SNSや動画プラットフォームが普及したことで、人から人へと口コミを通じて爆発的な拡散を生むバイラルマーケティングが再び注目されています。従来のマス広告と比べ、低コストで高い認知効果を実現できることから、数多くの企業がキャンペーンに活用しようと検討しています。
一方、ユーザー主体の拡散を狙う施策であるため、炎上リスクや情報が制御不能になるなどの課題も存在します。本記事では国内外の多彩な成功・失敗事例をもとに、バイラルマーケティングを成功させる秘訣や注意点を具体的に解説します。自社での実践に役立つ計画・実行・検証のプロセスも詳しく紹介します。
目次
1. はじめに:バイラルマーケティングが注目される理由
「バイラルマーケティング」という言葉を聞いたことがあるマーケターは多いでしょう。SNSや動画プラットフォームが普及し、人々が日常的に膨大な情報をシェアする時代になった今、バイラル(viral)=ウイルスのように爆発的に拡散するマーケティング手法が注目されるようになりました。緻密に計画された仕掛けをもとに、予想を超える大きな拡散が生まれ、短期間でブランド認知が飛躍的に向上する。こうした事例は今でも多く存在します。
かつてはテレビCMや雑誌広告など、ある程度の予算をかけたマス広告が主要な認知拡大施策でした。しかしデジタルメディアが日常化したことで、企業・ブランドが直接コントロールしきれない“口コミ”による大規模拡散 が可能になっています。バイラルマーケティングが魅力的なのは、
- 短期間で一気に認知度を高められる
- 広告費を大幅に削減できる可能性がある
- ユーザーの自発的な拡散ゆえ、高い信頼性や熱量が生まれやすい
こうした理由から、多くのマーケティング担当者が「次のキャンペーンはバイラルを狙おう」と考えています。
一方で、バイラルマーケティングは万能ではありません。うまくいけば爆発的な成功を収める一方、想定外の炎上リスクや拡散制御の難しさといったデメリットも孕んでいます。
そこで本記事では、バイラルマーケティングの定義から最新事例、成功のためのポイント、失敗を回避する注意点、さらに効果測定や再現性を高めるコツまで幅広く解説します。自社での施策設計やアイデア出しに、ぜひご活用ください。
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2. バイラルマーケティングとは?定義と特徴
バイラルマーケティングの概要
バイラルマーケティング(Viral Marketing)とは、人から人へと口コミによって情報が自然拡散することを意図したマーケティング手法です。SNSの普及により、人々が“面白い”“驚きがある”“役に立つ”と感じたコンテンツを手軽に共有できるようになったことで、バイラルマーケティングの威力はますます高まっています。
バイラルマーケティングでは、主にユーザー側の自発的なシェアを狙います。企業やブランドが「この施策を拡散してください」と公然に依頼する場合もありますが、「ぜひ多くの人に知ってほしい」というユーザー心理を引き出す仕掛けを作ることが鍵となるのです。これにより、広告予算を大幅にかけなくても爆発的な拡散を得られる可能性がある点が、他のプロモーション手法にはない魅力となっています。
特徴1:拡散源(コンテンツ)の重要性
バイラルマーケティングの要は、拡散の出発点となるコンテンツがどれだけ魅力的でシェアしたいと思わせるかにあります。優れたコンテンツであれば、最初は小規模の拡散しか得られなくても、そこから徐々に波及し、爆発的なバイラルを生み出す可能性があります。
特徴2:企業コントロールが限定的
拡散の主体はユーザーであるため、企業が拡散を完全にコントロールしにくいのも特徴です。SNSで批判的な反応が盛り上がれば、一転して炎上に発展するリスクもあります。また拡散を狙って仕掛けても、必ずしも思惑どおりにバズるわけではありません。ある意味、コントロール不能な要素が大きい点を理解しておく必要があります。
特徴3:コミュニティ参加型
バイラルマーケティングでは多くの場合、ユーザーがキャンペーンやコンテンツに参加したり、友人・知人にシェアすることで効果が増大します。つまりコミュニティをいかに巻き込むかが成功のカギとも言えます。SNS上のハッシュタグキャンペーンや動画投稿企画など、ユーザーが主役となる企画が多いのも大きな特徴です。
3. 他の手法との比較:バズマーケティング、インフルエンサーマーケティング、ステルスマーケティング
バズマーケティングとの違い
「バイラルマーケティング」と似た言葉で「バズマーケティング(Buzz Marketing)」があります。いずれもSNSや口コミによる話題化を狙う点では共通しますが、バズマーケティングは企業があらかじめ仕掛けを作って“人為的に話題を作る” ことを重視するのに対し、バイラルマーケティングはユーザーの自発的拡散に焦点を当てている点でややニュアンスが異なります。もっとも、現代では両者をほぼ同義として扱うケースもあり、実務レベルではあまり厳密に区別されないこともあります。
インフルエンサーマーケティングとの違い
インフルエンサーマーケティングは、フォロワー数や影響力の大きな個人(インフルエンサー)を起用・活用し、商品やサービスの認知拡大を図る手法です。拡散によるバズを狙うという点でバイラルマーケティングと共通しますが、インフルエンサーを中心に拡散を狙うのか、それとも不特定多数のユーザー全体から広がっていくのかが大きな違いです。なお、インフルエンサーマーケティングをきっかけにバイラルが生まれるケースもあるため、2つは併用可能な手法といえます。
ステルスマーケティング(ステマ)との違い
バイラルマーケティングと混同しがちなものに「ステルスマーケティング」があります。ステルスマーケティングとは、広告であることを隠して宣伝行為を行う手法で、景品表示法や不当表示防止法に抵触する可能性があります。特に近年では規制が厳しくなっており、消費者庁や公正取引委員会が取り締まりを強化中です。
一方、バイラルマーケティング自体はユーザーの自然な口コミを期待するものであり、広告であることを偽る必要はありません。企業としては、広告表記のルールを守りながらいかに“シェアしたい”と思わせるコンテンツを作るかが鍵となります。
4. バイラルマーケティングのメリット・デメリット
バイラルマーケティングのメリット
- 低コストで高い拡散効果
従来のマスメディア広告と比べ、格段に少ない費用で一気に知名度を高められる可能性があります。成功すれば投下コスト以上のリターンを得ることも珍しくありません。 - 高い信頼性や共感を獲得しやすい
友人や知人による口コミは、広告よりも信頼度や説得力が高いとされています。バイラルが起きれば、ブランドへの好意度向上も期待できます。 - SNSや動画メディアの時代に適合
Twitter(X)・Instagram・TikTok・YouTubeなど、拡散力のあるプラットフォームは増え続けています。ユーザーが日々膨大な情報をシェアしている環境は、バイラルマーケティングに非常に相性が良いといえるでしょう。
バイラルマーケティングのデメリット
- 拡散のコントロールが難しい
思い描いたようにバズが起こらない場合もあれば、炎上などネガティブに拡散してしまうリスクも。企業の意図したメッセージが正しく伝わらない可能性があります。 - 再現性が低い場合がある
一度大きなバイラルに成功しても、次回以降で同じようにバズるとは限りません。毎回新鮮なアイデアやタイミングが必要とされ、簡単に「型化」しづらい面があります。 - 短期効果に偏りやすい
爆発的な拡散は一時的な盛り上がりをもたらしますが、長期的なブランド価値向上や継続的な売上増に結びつけるには追加の施策が必要です。バイラルだけで中長期の顧客育成が完結するわけではありません。
5. バイラルマーケティング成功事例(国内外)
5-1. 国内の成功事例
ここでは、バイラルマーケティングによって大きな成功を収めた代表的な事例を紹介します。日本国内の事例と海外の事例に分けて、その特徴や施策内容を見てみましょう。
事例A:ロッテ「Fit’sダンス」キャンペーン
- 概要: ガム「Fit’s」の発売当初、人気タレントを起用し「踊ってみた動画」企画を大々的に展開。テレビCMとSNS上の動画投稿を連動させることで、ユーザー自身が“Fit’sダンス”を踊った動画を続々と投稿。
- 成功要因:
- ユーザー参加型施策で盛り上げやすかった
- ダンスの難易度がそこまで高くなく、真似しやすい
- テレビCM×SNSのハイブリッドが相乗効果を生んだ
- 成果: TwitterやYouTubeを中心に多くのUGCが生まれ、Fit’sの認知度が飛躍的にアップ。店頭での売上増にもつながったとされる。
事例B:資生堂「High School Girl?」動画
- 概要: 高校生の女子たちが次々とメイクを落とすと、その全員が実は……という衝撃的な展開の動画広告。メイクの力やビジュアルチェンジにフォーカスして、視聴者の驚きを誘う作り。
- 成功要因:
- 動画の意外性やストーリー性が高く、SNSで共有したくなる
- クオリティの高いビジュアル演出によるインパクト
- 成果: YouTube上で数千万回再生を記録し、海外メディアでも取り上げられるなどグローバルな話題へ発展。
事例C:H.I.S「#タビジョ」Instagram施策
- 概要: 旅行会社H.I.Sが女性向け旅行のプロモーションとして「#タビジョ」というハッシュタグを設定。利用者に旅先の写真を投稿してもらい、優秀作を公式アカウントで紹介する仕組みを作った。
- 成功要因:
- ユーザーの投稿欲を高める「公式掲載のチャンス」や「旅仲間との共感」が明確
- ビジュアル的に映える写真が多く、Instagramとの相性が抜群
- 成果: Instagram上で100万件を超える投稿が集まり、女性を中心にH.I.Sのブランドイメージ向上と旅行需要喚起に成功。
5-2. 海外の成功事例
事例D:Dove「Real Beauty Sketches」
- 概要: ユニリーバ社の化粧品ブランドDoveが、「女性の自己認識と本来の美しさ」に焦点を当てた動画企画。プロの似顔絵アーティストが、本人の自己申告と他人の証言をもとに描いた2種類の似顔絵を比較し、実際には他者が思うよりも自分を過小評価しがちというメッセージを発信した。
- 成功要因:
- 感動を呼ぶストーリー設計と「自己イメージと他者の視点のギャップ」という普遍的テーマ
- 共感とシェアを誘発する心理要素(自尊感情、女性の美しさへの意識)
- 成果: 公開からわずか12日間でYouTube再生5000万回超え。世界中で大きな反響を呼び、Doveのブランドイメージが大幅に向上。
事例E:ALSアイス・バケツ・チャレンジ
- 概要: 筋萎縮性側索硬化症(ALS)の啓発と寄付集めを目的に、バケツに入った冷水を頭からかぶり、その様子を動画投稿し次の挑戦者を指名する運動。セレブや有名スポーツ選手が相次いで挑戦し、一大ムーブメントに。
- 成功要因:
- 指名(ノミネート)システムにより人から人へ加速度的に拡散
- 有名人が積極的に参加することでメディア報道が拡大
- 動画という分かりやすいフォーマットがSNSとマッチ
- 成果: 世界中で数百万人が参加し、大きな話題と莫大な寄付金を集めることに成功。寄付先のALS協会は数億ドルの資金を得たと報告。
事例F:Old Spice「The Man Your Man Could Smell Like」
- 概要: 男性向けデオドラントブランド「Old Spice」がリリースしたCMを皮切りに、SNS上で話題沸騰。俳優が“男らしさ”を面白おかしくアピールする演出で人気を博し、その後、Twitterユーザーからの質問に対してリアルタイムに動画返信を行うという企画でさらに拡散。
- 成功要因:
- ユーモアと意外性にあふれる映像演出
- SNSユーザーとのやりとりをリアルタイムで動画化する斬新な試み
- 成果: 1週間あまりで動画再生数が数千万回に達し、売上も大きく伸びたと報告される。CMキャラクターはネット上の人気者となり、他ブランドへの波及効果も大きかった。
6. 失敗から学ぶ:炎上・拡散制御不能などのリスク事例
失敗事例集
バイラルマーケティングには大きな成功が期待できる一方、企業が意図しない形で批判や炎上を招くリスクも潜んでいます。失敗事例から学び、注意点を把握することが大切です。
失敗事例G:某飲料メーカーのキャンペーン
- 概要: ある海外CMにて、著名モデルを起用し「抗議デモの最前線で飲料を差し出す」シーンが放映。社会運動を軽視しているとして批判が集中し、CMはすぐに取り下げられた。
- 原因:
- 社会的課題を娯楽的に扱ってしまい、当事者の感情を害した
- 企業のメッセージ性が浅く、何を表現したいのか不明瞭だった
- 教訓:
- センシティブな社会問題を扱う際は、慎重な演出と関係者への配慮が必須。SNS上の批判拡散は想像以上に早く、一気にブランドイメージが損なわれる危険がある。
事例H:拡散しなかったケース
「企業名を伏せた一般的なパターン」として、大きな仕掛けを用意したが全く拡散されず空振りに終わるケースも珍しくありません。例えば、ハッシュタグキャンペーンを打ち出しても、
- ユーザーが参加するインセンティブが不明確
- ハッシュタグが分かりにくい、長すぎる
- キャンペーン自体の話題性や面白みが乏しい
このような要因でほとんど投稿が集まらず、結局何の盛り上がりもなく終わってしまうのです。拡散を期待するのであれば、参加メリットをユーザーに明確に訴求する、あるいはユーモアや驚きなど人がシェアしたくなる仕掛けを入れる必要があります。
7. バイラルマーケティングを成功させるために
成功のためのポイント4選
バイラルマーケティングが成功するためには、「自然に共有したくなる仕掛け」を生むことが重要です。以下に4つの代表的なポイントを挙げます。
1. 強い感情を喚起するコンテンツ
驚き、笑い、感動、共感、怒りなど、強い感情を呼び起こすコンテンツは拡散されやすいという心理学的な傾向があります。単に「いい商品です」だけでは響きにくく、視聴者や読者の感情を揺さぶる演出がカギとなります。
2. 参加・共有のハードルを下げる
拡散が起きやすいキャンペーンは、参加手順がシンプルです。例えば「写真を撮って指定のハッシュタグをつけるだけ」「TikTokで同じダンスを踊るだけ」というように、誰でも簡単に参加できる仕組みを作ると、爆発的拡散が起きる可能性が高まります。
3. SNSの特性やトレンドを押さえる
Twitter(X)は拡散スピードが速い反面、情報が流れやすい。Instagramはビジュアル重視で、共感系ハッシュタグが機能しやすい。TikTokは短い動画で一気にバズを起こしやすい……など、SNSそれぞれの特性を理解して、最適なプラットフォーム設計を行うことが大切です。併せて、SNSごとの最新トレンド(例:InstagramリールやTikTokのハッシュタグチャレンジ)をうまく取り入れる工夫も重要です。
4. コミュニティ醸成を見据えた設計
一過性のバズで終わらせないためには、その後もファンやユーザー同士がつながりを感じられるような設計が欠かせません。SNS上で公式アカウントがユーザー投稿に積極的に反応する、キャンペーン終了後もハッシュタグを継続運用するなど、コミュニティを大切にする姿勢が結果的により長い拡散を生むことがあります。
8. 施策の再現性を高めるために
計画・実行・検証のプロセス
「バイラルマーケティングは再現性が低い」と言われることもありますが、計画的に実施すれば成功確率を高める余地は十分にあります。以下のプロセスを意識しましょう。
ステップ1:明確な目標・KPI設定
- 目標例: 認知度向上・SNSフォロワー増加・売上アップ・アプリDL数増など
- KPI例: 動画再生回数、投稿数、ハッシュタグ使用数、CTR、CVR など
あらかじめ「どんな成果を目指すか」を具体的にし、キャンペーンの企画段階からKPIを設定します。ぼんやり「バズりたい」だけでは方向性が定まりません。
ステップ2:ターゲット選定とコンテンツ企画
- 誰に拡散してほしいか?(10代~20代女性、ビジネス層、子育て中のママ etc.)
- ターゲットが好むコンテンツの傾向は?(感動系、エンタメ系、ビジュアル重視、実用的情報 etc.)
ターゲットを明確にし、その人たちが「友人にも教えたい」「SNSでシェアしたい」と感じる要素を取り入れたコンテンツ企画を行いましょう。既存の成功事例を研究しつつも、独自の切り口を盛り込むと差別化につながります。
ステップ3:拡散プランと初動施策
- どのSNSやメディアを中心に拡散させるか
- 拡散の初動をどう作るか(インフルエンサーの起用、メディアリリース、広告出稿など)
「自然に拡散される」部分は大切ですが、最初の一押し(初動施策)をどう仕掛けるかも重要です。プレスリリースやインフルエンサーとの協業、SNS広告の限定的出稿などを使ってある程度の初期波及を作り、そこから自走的に広がるイメージを持つとよいでしょう。
ステップ4:効果測定と改善
バイラルの進行状況を適宜モニタリングし、何が上手くいっているか、足りていないかを把握します。
- ハッシュタグの使用率
- 動画再生回数と視聴維持率
- ユーザー投稿やコメントの内容
必要に応じてコンテンツの追加要素を投入したり、SNS上でユーザーとコミュニケーションをとることで拡散を後押しします。最終的にKPI達成度を評価し、次回施策に活かすことで徐々に再現性を高めることができます。
9. UGC(ユーザー生成コンテンツ)の活用とコミュニティ形成
バイラルマーケティングの要となるのは、ユーザー自身がコンテンツを作り発信する「UGC(ユーザー生成コンテンツ)」です。UGCが活発に生まれるとき、爆発的な拡散が起こりやすくなります。
UGCを引き出す工夫
- ハッシュタグ設計
- 短く覚えやすいハッシュタグ
- 興味を惹く言葉選び(例:「#踊ってみた」「#タビジョ」など)
- 参加メリットを提示
- 優秀投稿の公式アカウント掲載
- 抽選やクーポンなどの特典
- 「友達と一緒に盛り上がれる」情緒的メリットも有効
- 具体的なお題やテーマ
- ただ「商品を使ってみてください」よりも、「この商品でオリジナルレシピを作って投稿しよう」のようにお題を設定すると投稿のハードルが下がる。
コミュニティ形成と長期的メリット
UGCを通じてユーザー同士が交流し合うコミュニティが生まれると、企業にとっては長期的なファンベースが育ちやすくなります。バイラルは一時的なバズにとどまらず、コミュニティ形成までつなげることで、ブランドイメージ向上やロイヤル顧客の獲得へ繋がります。具体的には、キャンペーン終了後もハッシュタグを継続活用し、公式アカウントが定期的にUGCをリポストするなど、コミュニケーションを絶やさない工夫が大切です。
10. 測定指標とROI
施策の効果をどう評価するか
バイラルマーケティングで重要なのは、どれだけ拡散したかだけでなく、最終的にどのようなビジネス効果を生んだかです。以下に主要な測定指標と評価方法を挙げます。
主な測定指標
- リーチ数 / 動画再生数
- どれだけ多くのユーザーにコンテンツが届いたかを把握。
- エンゲージメント(いいね、コメント、シェアなど)
- コンテンツに対するユーザーの反応度を示す。SNSプラットフォームごとに指標をチェック。
- ハッシュタグ使用数 / UGC投稿数
- UGCがどれだけ生成されたかの目安。
- サイト訪問数 / コンバージョン率
- キャンペーンをきっかけに公式サイトへの流入が増えたか、購入や資料請求につながったか。
- 売上・指名検索数の変化
- バイラル施策を行った前後で、商品の売上やブランド名の指名検索がどれだけ伸びたか。
ROI評価の考え方
バイラル施策のROI(Return on Investment)を厳密に算出するのは簡単ではありません。なぜなら、口コミやSNS拡散は間接効果も大きいからです。たとえば「認知拡大でブランド好感度が上がり、後々の購買に影響した」というケースを数値化するには、マーケティングファネル全体を分析する必要があります。
一方で、可能な限りデジタル指標を活用して効果を把握することは大切です。例えば、
- キャンペーン期間中に専用URLへアクセスしたユーザーの購買行動
- キャンペーン後のブランド検索量増加
- アンケートで「このブランドを何で知りましたか?」という質問を設定する
など、多角的な方法で「バイラル施策の貢献度」を測れば、社内での評価や次回施策の改善に活かしやすくなります。
11. 最新トレンドと今後の展望
現在流行している/今後していく施策について
ショート動画プラットフォームの台頭
TikTokやInstagramリール、YouTube Shortsなど、短尺動画プラットフォームが急成長しています。短い動画は視聴ハードルが低く、一気にバズを起こしやすいため、企業がバイラル狙いで参入する事例は増加中です。例えば、短尺ダンスチャレンジや楽曲を使ったリミックス企画が盛り上がりやすく、今後もショート動画×バイラルマーケティングは注目トレンドといえます。
コミュニティ主導型のキャンペーン
かつては企業がスタータとして仕掛ける「バズ狙い」のキャンペーンが主流でしたが、近年ではファンコミュニティが自発的に企画・運営するケースも増えてきました。ブランドはあえてユーザーに裁量を与え、「ファン同士のつながり」「共同創造(コー・クリエーション)」を後押しする形が増えています。こうした取り組みでは、ユーザーの熱量が高まりやすく、企業とユーザーが共創する形で長期的に盛り上がりを維持しやすくなるメリットがあります。
ステルスマーケティング規制の強化
日本国内でも2023年以降、景品表示法や不当表示防止法の改正・解釈強化などにより、広告であることを隠す行為(ステマ) に対して厳しく対処する流れが加速しています。バイラルマーケティング施策を考える際は、インフルエンサー等を活用する場合は特に、「PR」「広告」等の明示ルールを守ることが不可欠です。「拡散を狙うあまり表記を曖昧にする」などのリスク行為は避け、コンプライアンスを徹底しながら施策を進める必要があるでしょう。
個人情報保護とプライバシーへの配慮
欧州のGDPRや日本の個人情報保護法など、データ活用に関する規制が世界的に厳しさを増しています。ユーザーの個人情報や行動データを活用するようなバイラル施策(キャンペーン応募フォームなど)では、取得データの取り扱いと安全管理をしっかり説明・遵守しないと、トラブルや炎上につながる恐れもあります。
12. まとめと今後のアクション
自社でのバイラルマーケティング実践ガイド
バイラルマーケティングは、ユーザーの自発的な拡散を軸に、短期間で大きな認知拡大と話題化をもたらす可能性を秘めています。一方で、炎上リスクや再現性の難しさ、長期的ブランド価値との接続など、注意すべき点も多数存在します。本記事で紹介したポイントを踏まえ、自社でバイラル施策に取り組む際の流れを再度整理しましょう。
- 目的・目標の明確化
- 認知度アップ、売上増、ブランド好感度向上など、何を優先するかを定義。
- 適切なKPI(ハッシュタグ使用数、動画再生数、CV、ROIなど)を設定。
- ターゲット分析とコンテンツ企画
- 誰に、どんな価値や感情を届けたいのか?
- どのようなコンテンツならシェアしたいと思ってもらえるのか?
- 既存の成功事例を参考にしつつ、独自の要素で差別化を図る。
- SNSプラットフォームの選定と拡散プラン設計
- Twitter(X)、Instagram、TikTok、YouTube…どこを主戦場にするか?
- 初動をどう起こすか?インフルエンサー協業や広告出稿も検討。
- コミュニティ形成を見据えた運用方針を整備。
- UGC促進とコミュニティマネジメント
- ハッシュタグや投稿テーマなど、ユーザーが楽しく参加できる仕掛けを用意。
- 公式アカウントからの積極的リプライやシェアで盛り上げる。
- キャンペーン終了後もファンとのコミュニケーションを続ける。
- 効果測定とフィードバック
- 数値指標(再生数、エンゲージメント、コンバージョンなど)を定期的に把握。
- 必要に応じて中間施策を調整し、拡散を後押し。
- 最終的な成果を分析し、次回施策の改善ポイントを抽出。
- リスク管理とコンプライアンスチェック
- ステルスマーケティングに該当しないか?広告表記は適切か?
- 個人情報や著作権の扱いに問題はないか?
- 炎上リスクが高いテーマの場合、事前に危機管理マニュアルを整備。
最後に
バイラルマーケティングは確かに「当たれば大きい」施策ですが、必ずしも運頼みではありません。綿密な企画設計やユーザーへの徹底した共感アプローチ、拡散を促す仕組み作りを行い、さらに途中でのモニタリングや軌道修正を怠らなければ、成功率を高めていくことができます。
また、バイラルが起きた後にそれを売上やブランド力向上につなげるフォローアップ施策を考えておくことも、マーケティング担当者に求められる仕事です。一過性のブームで終わらせず、自社の資産として成果を最大化していきましょう。