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マーケティング
休眠顧客とは?効果的な掘り起こし方法・手順や成功事例を紹介
2025/02/03

「休眠顧客」とは、自社の商品・サービスを一定期間利用していない顧客を指します。休眠顧客にアプローチし、関係を再構築することを「掘り起こし」といいます。休眠顧客の掘り起こしは、新規顧客の場合と比べて、低コスト・短期間で行いやすいことが魅力です。
しかし、休眠顧客をどのように掘り起こせばいいか、具体的にイメージしづらいこともあるでしょう。そこで本記事では、休眠顧客の掘り起こし方法や注意点について詳しく解説します。
目次

休眠顧客とは

まずは休眠顧客について、次のポイントから解説します。
- 自社商材を一定期間利用していない顧客のこと
- 関係が途絶えた「離反顧客」とは大きく異なる
- 休眠顧客へのアプローチは低コストで実施できる
自社商材を一定期間利用していない顧客のこと
「休眠顧客」とは、かつては自社の商品・サービスを利用していたものの、一定期間の利用がない顧客を指します。以前は商談や取引があったものの、現在はやり取りがない見込み顧客も休眠顧客に含まれます。
休眠顧客の定義は商材や企業によりさまざまですが、一般消費者を顧客対象にするBtoC業種は半年~1年ほど、企業を顧客対象にするBtoB業種では1年以上やり取りがなければ、休眠顧客とするのが一般的です。
関係が途絶えた「離反顧客」とは大きく異なる
休眠顧客と混同されやすいのが「離反顧客」で、両者とも「過去に取引があった」という点では同じです。しかし、離反顧客は何らかの理由により、自社との関係を明確に断った顧客を指します。多くの場合は、自社商材に関する不満があったことが理由です。
一方で、休眠顧客は現時点で取引がないだけで、自社や商材に対する悪印象があるとは限りません。言い換えれば、休眠顧客の場合は「適切なアプローチにより取引を再開できる可能性がある」ということです。
休眠顧客へのアプローチは低コストで実施できる
休眠顧客に再びアプローチして、取引を再開することを「掘り起こし」と呼びます。近年では、この休眠顧客の掘り起こしが重要視されています。その理由は「低コストで成約へつなげやすい」ことです。
休眠顧客は、以前自社の商材に興味を感じたことがあり、すでに自社商材に関する知識がある状態です。そのため、新規顧客の開拓と比べて低コストでアプローチしやすい傾向があります。購買意欲を再び高めるナーチャリング施策を行うことで、検討段階を引き上げられる可能性があるのです。
休眠顧客の掘り起こしに効果的な施策

休眠顧客の掘り起こしを行うためには、次のような施策が効果的だと考えられています。各施策の特徴やメリット、実施時のポイントについて見ていきましょう。
- DMやテレアポ
- メールマーケティング
- リターゲティング広告
- MAシステムの活用
- 顧客コミュニティの構築
DMやテレアポ
DM(ダイレクトメッセージ)やテレアポ(電話)は、顧客への古典的なアプローチ方法です。
DMでは郵便やFAXを利用して、顧客に商品案内やカタログなどを送付します。画一的な内容ではなく、顧客それぞれにマッチしたものを配信すれば、訴求力が高まるでしょう。ただし、後述するメールマーケティングに比べて、郵送費・FAX代・資料作成費などがかかります。
一方でテレアポは、顧客に架電して自社商材をアピールする手法です。短時間で効率的にアピールし、自社の従業員を活用する場合はコストも抑えられます。ただし近年では、テレアポを嫌う顧客も少なくないことに注意が必要です。
メールマーケティング
休眠顧客の掘り起こしでは、「メールマーケティング」がよく活用されています。メールマーケティングには、同じ内容を一斉配信するメールマガジンと、顧客ごとにパーソナライズドした「One to Oneメール」の2種類があります。
休眠顧客の掘り起こしにおいては、顧客の興味を喚起しやすいOne to Oneメールのほうが効果的です。One to Oneメールには、次のような種類のものがあります。
【One to Oneメールの種類】
- ターゲティングメール
- リターゲティングメール
- フォローメール
- ステップメール
- セグメントメール
- リマインドメール
ただし、休眠顧客は新規リードや既存顧客より反応が鈍い傾向があるため、いずれの施策を実施する場合もメールの内容を必要に応じて変えたり、ほかの施策を組み合わせて行ったりすることが大切です。
リターゲティング広告
「リターゲティング広告」は、自社のWebサイトやECサイトを訪問したことがあるユーザーを対象として、別のWebサイトやSNSなどで広告を表示する手法です。例えば、自社商材のページを訪問して離脱した人が別サイトに訪問した時に、その商材に関する広告が表示されることです。
ユーザーにとっては既知の商材に関する広告が表示されるため、CV率(コンバージョン率)が高くなる傾向があります。ただし、リターゲティング広告の出稿時は、自社商材をプッシュしすぎると、顧客に迷惑がられてしまうので注意が必要です。あくまで「お役立ちコンテンツ」を意識することで、顧客からの好感と信頼が得られるでしょう。
MAシステムの活用
休眠顧客の掘り起こしには、各顧客の検討状況を把握したうえで、それぞれに適した情報を提供する必要があります。ところが、前述したような施策を手作業で行おうとすると、膨大な負荷が担当者にかかるため、効率的なアプローチができません。
そこで「MA(マーケティングオートメーション)」を活用すると、休眠顧客のナーチャリング施策を効率化できます。例えば、従来は手作業で行っていたリード管理やメール配信、分析などの業務を自動化できます。さらに、リードの検討段階を定量的に計測できるため、適切なタイミングでのアプローチが可能です。
顧客コミュニティの構築
MAのほかに「顧客コミュニティ」の構築も、休眠顧客の掘り起こしに効果的です。事業成長のためには顧客層の拡大が欠かせませんが、どんな訴求方法やメッセージがターゲット層に刺さるか、その最適解を見つけるのは容易ではありません。
顧客コミュニティは、顧客と企業、さらに顧客同士が交流を深めるための場所です。企業が一方的に行う施策では、「顧客の本音」が見えないため、休眠顧客の掘り起こし効果にも限界があります。
しかし、顧客コミュニティで商材に関するアンケートや顧客との対話、あるいは顧客同士の情報交換などのデータが蓄積されることで、「顧客が何を求めているか」が分かり、効果的な施策が打ちやすくなるのです。
休眠顧客の掘り起こし手順・ステップ

休眠顧客の掘り起こしは、次のような手順・ステップで行うことを意識しましょう。
- 自社における「休眠顧客」を定義する
- アプローチすべき休眠顧客をリスト化する
- 休眠理由に合わせた適切なアプローチを行う
自社における「休眠顧客」を定義する
まずは自社における「休眠顧客」を定義しましょう。前述したように、顧客の休眠状態の定義は、業種や商材の種類などによって異なります。そのため自社の実態に応じて、「最終取引から1年」「最終商談日から半年以上」など、明確な線引きを行っておく必要があります。
より厳密に定義したい場合は、顧客データを活用するのがおすすめです。例えば、「メールが開封されない」「電話に出てもらえない」など、顧客からの反応が急速に薄くなるタイミングがあれば、それ以上の期間を休眠顧客と定義するといいでしょう。
アプローチすべき休眠顧客をリスト化する
次にアプローチ対象となる顧客を選別してリスト化します。コストや工数を考えると、すべての休眠顧客にアプローチするのは効果的ではありません。そこで「顧客の属性情報」「行動履歴」「購買履歴」などのデータを活用して、顧客を分析してみましょう。
分析結果を活用することで、顧客のニーズや検討段階などに応じてグループ化、つまり「セグメンテーション」が可能となります。その結果、顧客が休眠状態になった理由を把握しやすくなるうえに、優先的にアプローチすべきグループに対しパーソナライズドしたアプローチができます。
休眠理由に合わせた適切なアプローチを行う
リスト化した顧客に対して、休眠理由に合わせた適切なアプローチを行いましょう。先ほどのステップで、顧客がセグメントごとに分類されているため、それぞれに合うタイミング・内容でアプローチします。前述した「DMやテレアポ」「メールマーケティング」「リターゲティング広告」などの施策を実施することで、休眠顧客の検討段階を引き上げることが可能です。
休眠顧客を掘り起こす際の注意点・ポイント

休眠顧客を掘り起こす際は、次のようなポイントに注意することで、効果を高めることができるでしょう。
- 「休眠顧客ありき」にならないようにする
- 休眠顧客を長期間にわたって放置しない
- 休眠顧客の心理や行動への理解を深める
- 普段から顧客情報を丁寧に管理しておく
「休眠顧客ありき」にならないようにする
休眠顧客の掘り起こしは、必ずしも優先順位の高いものではありません。例えば「休眠顧客が増えてきた」という曖昧な理由では、むしろコストパフォーマンスが悪い施策になるかもしれません。
コンテンツマーケティングやWeb広告など、既存の施策で新規リードの獲得や商談獲得が限界に達したとき、休眠顧客の掘り起こしに着手するのが適切だと考えられています。「休眠顧客ありき」の体制になってしまうと、既存施策による新規のリード獲得が疎かになるため注意が必要です。
休眠顧客を長期間にわたって放置しない
休眠顧客を長期間放置しすぎると、自社商材への興味関心がますます薄れてしまいます。放置期間が長くなるほど、再び関係を構築することが難しくなるため、早めに掘り起こしの施策を展開することが大切です。
そのためには、顧客が休眠状態になったことを素早く察知して、適切な対応ができるような仕組みづくりが欠かせません。例えば、最後の取引から一定期間が経過したあとに、フォローアップのメールや新サービスの情報を顧客に提供するなどです。
休眠顧客の心理や行動への理解を深める
休眠顧客の掘り起こしは、単にアプローチし直すだけでは上手くいきません。「なぜ自社商材を利用しなかったのか」という根本的な原因が分からなければ、効果的な施策を打つことができないからです。一般的には、「商材への不満」「予算の都合」「競合他社への流出」などが考えられます。
また、顧客が休眠状態になるまでの利用状況を確認することで、アプローチの優先度も分かります。例えば、利用頻度が高かったにもかかわらず休眠になってしまった場合は、優良顧客だった可能性が高いため、優先的にアプローチするといいでしょう。アンケート調査や「顧客コミュニティ」の活用で、顧客の生の声を把握することも可能です。
普段から顧客情報を丁寧に管理しておく
普段から顧客情報を丁寧に管理することも、休眠顧客の掘り起こし効果を高めるために大切です。そもそも顧客情報の管理が不十分であれば、顧客が休眠状態になったことを察知できず、適切なアプローチ方法も分かりません。現時点でステータスが不明な顧客がいる場合は、顧客情報の管理体制の改善が必要です。
顧客の「購入履歴」「問い合わせ内容」「商談状況」などの情報があれば、顧客が抱えている課題や興味関心のある商材が分かります。こうした情報をもとに、それぞれの休眠顧客に合わせた提案やフォローアップが実現できるため、顧客情報は企業の大切な資産なのです。
休眠顧客の掘り起こしに成功した事例
休眠顧客の掘り起こしに成功した事例をご紹介します。
- メールマーケティングで顧客に合う情報を提供
- MAツールの導入による顧客管理で受注数が増加
- 顧客が抱える悩みに合わせた施策で購入数が増加
メールマーケティングで顧客に合う情報を提供
建設会社のA社では、オウンドメディアやWeb広告などの施策を展開し、資料請求や問い合わせの導線としていました。しかし、数回のやり取りで連絡が途絶える顧客が多いことが課題でした。そこでメールマーケティングを導入し、休眠顧客の掘り起こしに着手したのです。
顧客に有益な情報を提供するために、物件の希望条件や検討段階に応じてセグメント化し、それぞれに適したメールマガジンを配信することにしました。その結果、顧客の希望に合う物件を提案しやすくなり、休眠顧客からの問い合わせが増加しました。
MAツールの導入による顧客管理で受注数が増加
IT企業のB社では、見込み顧客を獲得しても、検討段階を進めることが難しいという課題がありました。そこで同社では、顧客情報の管理を効率化するためにMAツールを導入したのです。
その結果、これまで把握することが難しかった顧客の行動や履歴が見える化され、顧客の心理が把握しやすくなりました。アプローチの最適化により、休眠顧客をナーチャリングして受注につなげやすくなりました。
顧客が抱える悩みに合わせた施策で購入数が増加
電気機器メーカーのシャープ株式会社では、運用リソースや開発リソースなどの課題から、顧客コミュニティの構築に踏み切れていませんでした。また、新しい調理家電について、製品利用のイメージが難しく、購入をためらう顧客が少なくなかったことも課題です。
そこで同社は「Commune」を導入し、顧客コミュニティを構築しました。ユーザー同士がクチコミやレシピなどを購入することで、購入を検討している顧客が製品についてイメージしやすくなり、購入に至るケースも増加したのです。本事例の詳細については、以下の記事をご参照ください。
*シャープ株式会社の顧客コミュニティ事例を見る
初心者からベテランまで。異なるユーザーニーズと点在する顧客接点を一元サポート。限られたリソースでも効果を生むホットクック部のカスタマーサクセスとは。
休眠顧客の掘り起こしには顧客コミュニティ「Commune(コミューン)」がおすすめ

休眠顧客の掘り起こし施策として、「DMやテレアポ」「メールマーケティング」「リターゲティング広告」などが一般的です。しかし、顧客が休眠状態になった理由を把握し、適切なアプローチ施策を展開するためには、顧客情報を適切に把握する必要があります。その方法のひとつとして、顧客と双方向のコミュニケーションが取れる「顧客コミュニティ」の構築がおすすめです。
顧客コミュニティ構築サービス「Commune(コミューン)」には、ユーザー同士の交流や企業とユーザーとの共創を実現するための機能が備わっています。顧客の熱量を上げ、双方向の関係を築く仕組みにより、優れた成果を得られるカスタマーサクセス・ファンマーケティングが実現できます。この機会にぜひ、Commune(コミューン)の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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