コラム
マーケティング
DMPとは?仕組みや機能、導入のメリットを解説
2024/10/22
「DMPで何ができるのか?」
「DMPを導入するメリットは?」
など、このような疑問をお持ちの方が多いのではないでしょうか。
DMPは、マーケティング活動に有効なデータを一元管理できるプラットフォームです。自社のデータだけでなく、SNSの投稿などの外部データも含めて、DMPを通じて統合・分析することが可能です。DMPの機能やその導入方法を理解することで、効率的かつ実用的なマーケティング活動を展開することが可能になります。
今回は、DMPについて解説します。具体的な機能、メリット、注意すべき点などを総合的にまとめていますので、DMPの導入にお役立てください。
目次
DMPとは何か?
DMP「Data Management Platform(データ・マネジメント・プラットフォーム)」は、インターネット上のさまざまなサーバーに蓄積された、マーケティングに有用なデータを一元管理できるプラットフォームです。従来のマーケティングでは、それぞれのデータを個別に管理していましたが、DMPではこれらのデータを一元化できます。これにより、効率的にマーケティング施策の最適化を実現します。
また、DMPでは自社で取得した顧客データだけでなく、SNSへの投稿などの外部のビッグデータまでを統合し、分析することが可能です。これにより、顧客のニーズや消費者動向をより細部まで把握できるようになり、それぞれの顧客にあったマーケティング戦略を策定できます。
DMPの具体的な機能
DMPは多くの機能を備えていて、それらの機能を活用することにより、データの統合、結果の分析、課題発見などが可能となります。
DMPには主に以下の機能が備わっています。
DMP・DWH・MAは何が違う?
DMP「Data Management Platform(データ・マネジメント・プラットフォーム)」、DWH「Data Warehouse(データウェアハウス)」MA「Marketing Automation(マーケティングオートメーション)」は、それぞれマーケティングに関連する用語で、一緒に言及されることが多くあります。以下は、DMPとDWH、MAの違いを表にしたものです。
DMPがマーケティングに関連する様々なデータを一元管理し、それを活用しマーケティング活動に役立てます。それに対し、DWHは企業全体のデータを一元管理し、長期的なデータ保管を可能にするシステムです。これにより、データ分析を行うことも可能ですが、変則的な分析が難しいという特徴があります。
一方、MAはマーケティング活動を可視化し、自動化するシステムです。その機能を活用すると、見込み客の獲得が可能となります。DMP・DWH・MAはそれぞれ異なる機能を持っていますが、これらの機能を連携して使用することで、さまざまなデータベースの中から、多角的な分析や、効果的なマーケティング活動に役立てることができます。
DMPには2種類ある
DMPにはパブリックDMP(オープンDMP)とプライベートDMPの2種類に分けられます。それぞれの特徴は以下の表の通りです。
パブリックDMPとプライベートDMPは扱う情報の所有者や性質、そして適切な使用方法が異なります。それぞれの主な違いは、データの所有者にあります。
パブリックDMPで一元管理するデータは、「国や自治体、民間企業」など自社と直接的な利害関係を持たない組織が公開・提供するデータです。自社で取得できない情報が必要な場合や、情報が自社にまだ蓄積されていない場合には、パブリックDMPのデータが有用になります。一方、プライベートDMPで一元管理するのは、自社で所有するデータです。これには、自社のWEBサイトの会員データや購買データ、問い合わせデータなどが含まれます。
また、パブリックDMPとプライベートDMPでは運用目的も異なります。パブリックDMPの主な運用目的は、新規顧客の開拓です。パブリックDMPは、自社のデータだけでなく、外部のデータも取り入れることができるため、自社のデータでは把握できない消費者の興味・関心や行動などが把握できるのです。
一方プライベートDMPの主な目的は、既存顧客との関係強化やLTV(顧客生涯価値)向上などです。
これらのDMPは異なる性質を持つためそれぞれの性質を加味したうえで、適したツールを選択することが重要なポイントです。ここからは、パブリックDMPとプライベートDMPのそれぞれの特徴について解説します。
パブリックDMP
パブリックDMPの特徴は以下の通りです。
- 主に3rd Party data(外部から提供されるデータ)を管理
- 自社以外のWebサイトでの行動履歴などのデータが保存される
- 新規顧客の開拓に活用することに向いている
- 情報の精度や品質はプライベートDMPに及ばない
- データ収集と整理、セグメント作成、データ分析などの機能がある
パブリックDMPでは自社では収集できないWEBサイトの行動履歴やSNSデータなどを集約し、管理します。これらのデータには、ユーザーの興味や嗜好を示すWebサイトのアクセスログや年齢、性別などの情報が含まれています。
これらのデータを分析することで、自社商品やサービスを購入する可能性がある「潜在顧客」を特定することが可能です。
パブリックDMPを利用する際は、外部から提供されるデータの信頼性を確認することが重要です。これにより、データの品質を保証し、より正確な分析とマーケティング戦略の策定が可能となります。
プライベートDMP
プライベートDMPの特徴は以下の通りです。
- 主に1st Party Data(自社の顧客の利用許諾を得て収集したデータ)を管理
- 自社が取得したデータが保存されている
- 既存顧客との関係強化やLTV(顧客生涯価値)向上を目的に利用される
- 自社で獲得したデータのため、情報の精度や品質が高い
- 自社の広告配信やマーケティングに使用できる
プライベートDMPでは自社で獲得した顧客情報や購買履歴、問い合わせ履歴などのデータを一元管理します。これらの情報は、従来各部署で個別に管理されていましたが、プライベートDMPにより、全てのデータを統合・連携できるようになりました。
これらのデータを分析することで、見込み顧客を興味、関心、欲求の度合いに応じてセグメント化することができます。顧客に関わるデータを集積することで、顧客それぞれのニーズをより詳細に把握し、LTVの向上を実現することが可能となります。
2種のデータは連携が可能
プライベートDMPとパブリックDMPのデータは、連携することで、効果を最大限に発揮できます。これらのデータを連携させることで、ユーザーをより実態に応じたセグメントに分類し、最適化された広告やメール配信を行うことが可能となります。
例えば、「商品Aを購入した顧客が、商品Bを購入する傾向がある」という情報を得ることで「商品Aを購入した顧客に商品Bの広告を表示する」というマーケティング戦略を立てることが可能となります。
これにより、ユーザーが顧客になる前の状態から、顧客として定着するまでの一連の流れを把握できます。したがって、プライベートDMPとパブリックDMPを連携できれば、見込み客を顧客へと育成することが可能となります。
DMPを導入する具体的なメリット
DMPを導入することで以下のメリットが生まれます。
- さまざまなデータを一元管理できる
- 見込み客や新規顧客を開拓できる
- ターゲット層の明確化
- マーケティング施策を最適化できる
ここからは、DMPを導入する具体的なメリットを一つずつ解説します。
さまざまなデータを一元管理できる
DMPを導入すると、様々なデータを一元管理でき、分析できるというメリットがあります。これまで企業内のデータは個々に管理されていたため、その全体像を把握し、効率的に分析することは困難でした。
しかし、DMPを導入することによって、これらのデータを統合し、一元管理することが可能となりました。これにより、データ分析が効率的に行えるようになり、効果的なマーケティング施策を展開できるようになったのです。
見込み客や新規顧客を開拓できる
DMPを導入すると見込み客や新規顧客の開拓に役立ちます。DMPは、自社サイトに訪れたユーザーの属性や閲覧履歴などのデータを一元管理できることから、そのデータをもとに、新規顧客の開拓が行えます。
また、自社サイトへアクセスしたユーザーが他にどのようなサイトにアクセスしているか傾向や趣味嗜好を詳細に把握できるようになります。これにより、見込み顧客に対してより効果的なアプローチを行うことが可能となります。
ターゲット層の明確化
DMPは、各部署でバラバラに管理していたデータを統合し分析することで、企業の顧客像がより明確になります。
自社データと外部データを統合することにより、一般の消費者の中から、自社の製品やサービスに興味を持ちそうなターゲット層を見つけ出すことも可能です。これにより、アプローチすべきユーザーとそうでないユーザーを明確に識別できるようになります。
マーケティング施策を最適化できる
DMPを導入することにより、膨大なデータを的確に分析することができ、多種多様な顧客のニーズを把握できるようになります。これにより、各顧客のニーズに合わせたマーケティング施策の立案が可能となります。
詳細なマーケティング戦略の策定ができることで、無駄なく効果的なアプローチを行い、マーケティング活動のコストパフォーマンスを向上させることができます。したがって、DMPはマーケティング施策を最適化し、効率的なマーケティング活動を実現します。
DMPを導入する際の注意点
DMPを導入する際には以下の点に留意する必要があります。
- 情報流出の恐れがある
- データを整備しておく必要がある
- 運用管理コストがかかる
ここからは、DMPを導入する際の注意点について解説します。
情報流出の恐れがある
DMPは膨大なデータを扱うため、情報が流出するリスクがあります。単体の情報では問題なくても、複数のデータを組み合わせることで、個人が特定できてしまう場合があるため注意が必要です。データの管理者と管理権限をしっかりと定めると、情報流出のリスクを軽減できます。
また、データの保管場所はセキュリティレベルの高いところに設定し、アクセスできる人員を制限するようにしましょう。以上のように、導入前に適切なセキュリティ措置を講じ、トラブルが起きないよう備えておくことが重要です。
データを整備しておく必要がある
DMPを導入する際は、データを整備しておく必要があることを覚えておきましょう。データが適切に整備されていないと、分析の精度が低下し、マーケティング施策の効果が期待通りにならない可能性があるためです。各部門やシステムで個別に保存している情報があれば、予めまとめておく必要があります。
データを効果的に活用するためには、社内にどのようなデータが保存されていて、どのように管理されているのか、導入前に確認しておきましょう。
また、データの形式の確認も必要です。そのままDMPで利用可能なデータなのか、データを改めて整える必要があるのかも、確認したうえで整備をするようにしましょう。
運用管理コストがかかる
DMPを導入するには、運用管理コストがかかります。まず、DMPを利用するには、導入するための初期費用がかかります。これには、システム設定やデータの移行などが含まれています。
加えて、運用管理費用もかかります。システムのメンテナンスやデータの更新と分析、レポート作成などがこの費用に含まれています。また、外部からのデータを購入するのにもコストが発生します。
これらのコストは、企業の規模や業種、DMPの利用目的により異なります。クラウド型のDMPであれば、初期費用が抑えられる傾向にあります。DMPの導入を検討する際は、コストを考慮し、予算に合ったものを選択することが重要です。
DMPの導入がおすすめの企業の特徴
DMPの導入がおすすめの企業の特徴は以下の通りです。
上記の特徴を持つ企業は、DMPを導入することにより、効率的なデータ分析が可能になり、業務効率を向上できる可能性があります。自社の特徴が表に含まれているかを確認し、DMPの導入を検討してみましょう。
DMP導入の手順
DMPの導入手順は以下の通りです。
- 目的と要件の明確化
- 目的に適したDMPの種類を決める
- DMPの提供企業を選ぶ
ここからは、DMPの導入手順について解説します。
目的と要件の明確化
DMPを導入する前に、目的と要件を明確化しておく必要があります。目的が明確でないと、必要なデータが把握できず、活用できないためです。
多くの企業がDMPを提供していますが、機能や特徴がそれぞれ異なります。「どのような課題があるのか」「導入する目的」などを明確にし、その目的に合ったDMPを導入するようにしましょう。自社に合うDMPを選択するために、この工程は重要なポイントといえます。
目的に適したDMPの種類を決める
目的を明確にしたら、DMPの種類を決めましょう。まず、パブリックDMPかプライベートDMPを選択する必要があります。新規顧客の獲得に力を入れるのであれば、パブリックDMPを、既存顧客との関係を強化するなら、プライベートDMPが向いています。
見込み客から顧客の育成を図るのであれば、二つのDMPを連携させるという方法もあります。自社の目的と照らし合わせて適切なDMPの種類や使い方を選択しましょう。
DMPの提供企業を選ぶ
次に、DMPの提供企業を選びましょう。企業ごとに機能やコストが変わるので、自社の目的や予算に合わせて比較検討しましょう。
中には、AIを搭載していて、より高度な分析ができるDMPもあります。自社の業務に適したDMPを選択することで、効率的なマーケティング活動が可能となるでしょう。
ただし、サービスによっては、カスタマイズ性が低かったり、既存のシステムと連携できなかったりする可能性もあります。導入する前には、各サービスを比較し、機能やコストも考慮しながら選択すると良いでしょう。
まとめ
今回はDMPについて解説しました。DMP(Data Management Platform)は、インターネット上のさまざまなサーバーに蓄積されたマーケティングに役立つデータを一元管理できるプラットフォームです。
DMPを導入することで、顧客のニーズや消費者動向を詳細に把握できるようになり、効果的なマーケティング活動が可能となります。ただし、DMPを導入する際には、情報流出のリスクや、データを整備しておく必要があるということを覚えておかなければなりません。
導入前に適切なセキュリティ措置を講じ、個別に管理されていた自社のデータを整備したうえで、導入すると良いでしょう。この記事の情報をもとに、DMPのメリットや注意点などを把握し、それを踏まえて自社での導入を検討してみてください。
マーケティングならCommune(コミューン)
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