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RFM分析とは?基本的な顧客分析の方法や活用例を紹介
2024/09/25
RFM分析とは「Recency(最終購入日)」「Frequency(購入頻度)」「Monetary(購入金額)」の3指標で顧客をグループ化し、分析する手法です。顧客をグループ化することで、最適なターゲット設定が可能になり、ターゲットに合わせた施策を図れるようになります。
本記事ではRFM分析の基本情報、メリットや注意点、具体的な分析手順などについて解説します。
目次
RFM分析とは何か?
RFM分析とは3つの指標により顧客をグループ分けし、分析する手法です。3つの指標は「Recency(最終購入日)」「Frequency(購入頻度)」「Monetary(購入金額)」で、それぞれ以下のように顧客を分析・評価します。
例えば分析の結果「購入頻度と購入金額が高く、最終購入日からの経過時間が長い」グループがあったとします。このグループは「購買力は高いが、最近は自社商品を購入しておらず、商品の存在を忘れている」可能性が考えられます。メールやDMを送るなどして積極的に接点を持てば、商品の存在を思い出し、再度購入してくれるようになるかもしれません。
このようにRFM分析を実施すると、分類したグループごとに効率的かつ効果的にマーケティング施策を講じられるようになります。
RFM分析を実施するメリット
RFM分析には、自社の顧客像が明確化され、マーケティング施策の最適化が可能になるというメリットがあります。
顧客のグループ化による自社顧客像の明確化
顧客をグループ化し、自社の顧客像を明確化できるのは、RFM分析の大きなメリットです。RFM分析では、以下のような顧客グループを見つけ出すことが可能です。
各顧客グループの全体に占める割合が分かるため、自社における顧客の傾向が明確化します。
マーケティング施策の最適化
RFM分析により顧客グループの分布が可視化されることで、顧客に適したマーケティング施策を検討できます。
例えば「新規顧客」が多かった場合、商品の認知を広める施策は上手くいっていると考えられます。一方で購入履歴はあるものの最近の購入がない「休眠顧客」が多かった場合は、リピート購入を促す施策が不足しているのかもしれません。この企業が今検討すべきなのは、リピート購入を促す施策ということになるでしょう。
RFM分析の具体的な手順
RFM分析は目的を明確にした上で、顧客データを収集し、分析するという流れで行います。また分析結果に基づいてマーケティング施策を立案し、効果を検証しながら改善していくことも大切です。ここではRFM分析の具体的な手順をご紹介します。
ステップ1:課題設定、仮説立案
まずはRFM分析で解決したい課題を明確にします。RFM分析は購買行動に焦点を当てた分析法なので、特に売上低迷などの課題に有効です。
課題が明確になったら、その課題に対する原因と対策法の仮説を立てます。例えば課題が売上低迷なら「新規顧客を獲得できていないことが原因であり、自社商品の認知を広める対策が必要」という具合に仮説を立てます。
ステップ2:データ収集、集計
次に顧客のデータを収集・集計します。対象となるデータは「最終購入日」「購入頻度」「購入金額」の3つです。
これらのデータ収集・集計を行う場合には、CRM(Customer Relationship Management)システムを導入するのがおすすめです。CRMシステム導入により得られるメリットやシステムの選び方については以下の記事を参考にしてみてください。
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ステップ3:指標の分布状況を確認
「最終購入日」「購入頻度」「購入金額」のデータを収集できたら、次はそれぞれの分布状況を確認します。確認にはヒストグラムを使うのが一般的です。
ヒストグラムとは連続する何か(RFM分析の場合は最終購入日・購入頻度・購入金額)を区間ごとに区切ったものを横軸に、横軸に対する個数(RFM分析の場合は顧客数)を縦軸に取ったグラフで、データの分布状況を視覚的に確認するために用いられます。ヒストグラムで得られた値を適切に解釈・判断するには、自社ビジネスへの理解が必要不可欠です。
例えば通販の購入金額において、特定の金額帯における顧客数が著しく多かったとします。理由としてはさまざまなことが考えられますが「その金額帯以上の購入者に対する送料無料サービス」を行っていたとしたら、影響がある可能性は高いでしょう。どの値でグループを分けるか決めるには、ビジネス的観点と根拠が必要になります。
ステップ4:スコアを利用したデータ分析
ヒストグラムで「最終購入日」「購入頻度」「購入金額」それぞれの分布状況が確認できたら、次は分析を行います。分析には以下のようなスコア表を使うのが一般的です。
顧客ごとに「最終購入日」「購入頻度」「購入金額」それぞれのスコアを算出し、合計スコアで「優良顧客」「安定顧客」「新規顧客」「休眠顧客」などにグループ分けしていきます。
ステップ5:改善のための施策立案、実施
グループ分けができたら、グループごとに改善のための施策を立案、実施します。グループごとの施策例は以下の通りです。
優良顧客
優良顧客は、3指標ともに高いスコアを示すグループです。優良顧客に対しては、商品や企業に愛着や信頼を持つ「ロイヤルカスタマー」への進化を目標にした施策を講じます。
施策のポイントとなるのは「特別感」が得られることです。具体的なものとしては、新商品体験イベントやプレミアサービスの実施、限定商品の提案などが挙げられます。
安定顧客
安定顧客は、3指標ともに中ぐらいのスコアを示すグループです。安定顧客に対しては、優良顧客へと押し上げるための施策を講じます。
例えば購入頻度のスコアを上げるためのポイントカード導入や、購入金額のスコアを上げるためのお得なセット販売などです。
安定顧客が優良顧客になるか、休眠顧客になるかは、ビジネスに大きな影響を与えます。そのためアンケートの実施など、顧客インサイトを深掘りする施策も併せて検討していきたいところです。
新規顧客
新規顧客は「最終購入日」のスコアが高く、「購入頻度」のスコアが低いグループです。新規顧客に対しては、安定顧客や優良顧客へ育成することを目的とした施策を講じます。
初回購入後のアフターフォローの質を高めるなどして、リピーターとなってもらえるようにしましょう。
休眠顧客
休眠顧客は「最終購入日」のスコアが低いグループです。元々は優良顧客や安定顧客だったものの現在は休眠顧客になっているというケースでは、DMやテレアポなどにより自社との接点を持てるようにする施策が有効です。
一方新規顧客から休眠顧客になったケースでは、新規顧客の育成に失敗していることが考えられます。新規顧客に向けた施策の見直しを行いましょう。
ステップ6:施策の効果検証
施策を実施した後は、必ず効果の検証を行います。検証結果が芳しくなかった場合には、施策の見直しも必要です。PDCAを回すことで、マーケティングを最適化していきましょう。
Excelを用いたRFM分析の活用例
RFM分析はExcelで行うことが可能です。ここではExcelを用いたRFM分析の流れをご紹介します。
データの入力
まずは分析に必要なデータを、以下のように入力します。
- A列:顧客IDまたは顧客名
- B列:最終購入日
- C列:購入頻度(累計購入回数)
- D列:購入金額(合計購入金額)
R値を設定
次に「最終購入日から分析期間最終日までの経過日数=R値」を計算します。経過日数の計算にはDATEDIF関数を使用し、以下のように入力します。
- セルF1:分析期間の最終日
- セルF2:=DATEDIF(B2,$F$1,”d”)
DATEDIF関数は最終購入日としてB2セルを選択、分析期間の最終日としてF1セルを選択すると、経過日数がF2セルに表示される関数です。
F列の最後の行まで関数をコピーすれば、F列に自動で経過日数が表示されるようになります。
3指標それぞれをスコア分け
3指標それぞれをスコア分けします。スコア分けにはIF関数を使用し、前章の表に従ってスコア分けする場合は以下のように入力します。
- セルG2:=IF(F2>=90,1,IF(F2>=60,2,IF(F2>=30,3,IF(F2>=14,4,IF(F2<14,5)))))
- セルH2:=IF(C2>=20,5,IF(C2>=10,4,IF(C2>=5,3,IF(C2>=3,2,IF(C2<3,1)))))
- セルI2:=IF(D2>=30000,5,IF(D2>=20000,4,IF(D2>=10000,3,IF(D2>=5000,2,IF(D2<5000,1)))))
例えば「IF(F2>=90,1」というのは、F2セルの数字が90以上の場合にスコア1を付与するという意味です。
これでG列に「最終購入日のスコア=R値」、H列に「購入頻度のスコア=F値」、I列に「購入金額のスコア=M値」が表示されました。
3指標のスコアを合計、2指標のスコアを掛け合わせ
スコア分けを行ったら、3指標のスコアを合計します。計算にはSUM関数を使用し、以下のように入力します。
- セルJ2:=SUM(G2:I2)
これでJ列に3指標の合計スコアが表示されました。スコアが1〜5まであるなら、最大値の「R値5+F値5+M値5=15」に最も近い顧客が優良顧客です。
3指標のスコアを合計できたら、2指標のスコアを掛け合わせる分析も行いましょう。例えば3指標のスコアを合計した際に、以下のような結果が得られたとします。
- 顧客A:R値1+F値5+M値1=7
- 顧客B:R値3+F値2+M値2=7
両者とも合計スコアは7と同じですが、顧客Aは「F値:購入頻度」だけが高く、「R値:経過日数」や「M値:購入金額」は低くなっています。一方顧客Bは3指標に偏りがない状態です。
3指標のスコアを合計する方法では、上記のような顧客を区別できません。より詳細な分析を行うために、2指標を掛け合わせる手法も検討してみましょう。
RFM分析の注意点
RFM分析は顧客を分析するのに有効な手法ですが、課題もあります。ここではRFM分析の課題をご紹介します。
顧客の属性や購入商品は考慮されない
RFM分析は顧客の購買行動に焦点を当てた分析法です。そのため顧客の性別や年齢、職業といった属性情報や、顧客が購入した商品情報までは考慮されません。
顧客の属性や好みに合わせたマーケティング施策を検討したい場合には、分析項目を増やすことや他の顧客分析手法と組み合わせることを検討する必要があります。
集計期間により結果が変わる
RFM分析はある期間における顧客分析を行うものであり、継続性がありません。そのため、どの期間を集計対象とするかにより、結果が大きく変わる可能性があります。
例えば夏物商品について分析を行う場合、対象期間を夏に設定するか、それ以外の季節に設定するかで、購入頻度や購入金額、最終購入日に大きな違いが出るでしょう。
またベビー用品について分析する場合も、対象期間により分析結果が変わってきます。例えば二人の子どもを持つ顧客の中には「第1子が赤ちゃんの時は頻繁に商品を購入していたが、成長とともに購入しなくなり、第2子誕生とともに再び購入するようになった」という人がいるでしょう。この顧客のRFM分析結果は「優良顧客→休眠顧客→優良顧客」と変化するため、どのタイミングを集計対象とするかがとても重要になります。
人的リソースやコストがかかる
RFM分析を行うには、収集したデータを抽出して分析する必要があります。
特にデータ量が多いケースや、さまざまな店舗のデータを統合しなくてはならないケースでは、多くの人的リソースやコストがかかる可能性があります。データを一元管理できるCRM(Customer Relationship Management)ツールやMA(Marketing Automation)ツールなどを導入し、分析コストを抑える工夫が必要になるかもしれません。
RFM分析の応用
RFM分析にはいくつかの課題がありますが、その中には分析項目を増やしたり、他の顧客分析手法と組み合わせたりすることで対処できるものもあります。最後にRFM分析の課題に対する対処法をご紹介します。
分析項目を増やす
RFM分析は「R:最終購入日」「F:購入頻度」「M:購入金額」の3つのみを指標とするため、他の指標を追加することでより詳細な分析が可能になります。
代表的な例としては「I:Item(購入商品)」を追加した「MRFI分析」や、「D:Distance(配達距離)」を追加した「RFM-D分析」などが挙げられます。
またR・F・Mの3指標を掘り下げ、新たな指標として追加することも効果的です。例えばRFM分析において、半年間に5回購入した顧客と1カ月間に5回購入した顧客の「F:購入頻度」は同じ集計期間内であればどちらも5回となり、同じスコアが付与されます。ここに「購入頻度の集中度」という新たな指標を追加すれば、さらに詳細な分析結果が得られるでしょう。
他の顧客分析手法と組み合わせる
RFM分析の課題に対処するには、他の分析手法と組み合わせることも有効です。具体的には以下のような手法が挙げられます。
デシル分析
デシル分析とは、顧客を購入金額順に10ランクに分け、実際に商品を購入した顧客の割合や顧客一人あたりの購入金額などをランクごとに算出する分析法です。「デシル」とは聞き慣れない言葉かもしれませんが、実はラテン語で「10分の1」という意味を持ちます。
デシル分析では、売上貢献度の高い優良顧客が可視化されるため、その層に向けて集中的に施策を講じられるようになります。指標が購入金額のみで簡単に分析できるため、優良顧客を素早く見つけて囲い込めるのも大きなメリットです。
その一方で過去に1回だけ高額商品を購入した顧客が優良顧客に分類されるなど、実態にそぐわない結果が出ることもあり、注意が必要です。RFM分析など、他の分析法と組み合わせることが必要になるでしょう。
CPM分析
CPM(Customer Portfolio Management)分析とは、顧客を購買行動に基づいてグループ分けし、それぞれに適した施策を講じる分析法です。
CPM分析では「購入頻度」「購入金額」「最終購入からの経過日数」を指標とし、顧客をグループ分けします。RFM分析とCPM分析が大きく異なるのは、どの顧客グループに対して積極的に施策を講じるかという点です。
RFM分析では現在も商品の購入がある顧客に対し、さらに商品を購入してもらえるように施策を講じます。逆に現在購入がない休眠顧客は、施策を講じてもすぐには売上に繋がらないと判断し、後回しになります。一方CPM分析では、休眠顧客に対しても積極的に施策を講じ、現役顧客へと育成することで売上向上を目指します。
企業が成功するためには、長期的視点と短期的視点の両方を持つことが大切です。そのため顧客を育成しながら長期的視点で売上向上を目指すCPM分析は、現役顧客に対して積極的に施策を講じて短期的売上向上を目指すRFM分析と、相性がいいと言えます。
ABC分析
ABC分析とは、商品やサービスを売上貢献度の高い順にA・B・Cとグループ分けし、優先度を明確にする分析法です。
例えば売上累積構成比70%までの商品をAグループ、70〜90%までをBグループ、残り10%をCグループという具合に分類します。A・B・Cの線引きに明確な決まりはないため、分析の目的やビジネスの経験則を基に設定しましょう。
ABC分析を実施すると、売れ筋とそうでない商品を区別して販売戦略を立てられるようになります。例えば売れ筋のAグループは機会損失がないよう、多めに在庫を確保しておき、逆に売れ行きの悪いCグループは仕入れ量を少なくするなどです。
CTB分析
CTB分析とは「Category(カテゴリ)」「Taste(テイスト)」「Brand(ブランド)」の3指標で顧客をグループ分けし、分析する手法です。3指標の例は以下の通りです。
- Category(カテゴリ):食料品、衣料品、電化製品、化粧品など
- Taste(テイスト):サイズ、素材、形、色など
- Brand(ブランド):メーカー、キャラクターなど
分類されたグループごとに購入傾向が可視化されるため、CTB分析は購買予測を立てるのに役立ちます。RFM分析が抱える、未来の購買行動を分析するのに向かないという課題を、カバーしてくれるでしょう。
行動トレンド分析
行動トレンド分析とは、どの商品がどのシーズンに多く売れるのか、そのシーズン性(トレンド)を作り出しているのがどのような顧客グループなのかを分析する手法です。顧客グループは年齢や性別、居住地域などを指標として分類されます。
行動トレンド分析では顧客をグループ分けすることで、売上の高い優良顧客を把握できます。優良顧客に対して優先的に施策を講じられるようになるため、短期間で効率良く売上向上を狙えるでしょう。
また行動トレンド分析はプロモーション活動にも役立ちます。特定の時期に、特定の顧客グループに向けて広告配信やキャンペーンを実施するなど、費用対効果の高い施策を講じられるでしょう。
セグメンテーション分析
セグメンテーション分析とは、顧客を属性やニーズ、行動履歴などによりグループ化し、分析する手法です。顧客をグループ化する指標には以下のようなものがあります。
- 地理的変数(ジオグラフィック変数):地域、気候、人口密度など
- 人口動態変数(デモグラフィック変数):年齢、性別、家族構成など
- 心理的変数(サイコグラフィック変数):趣味、価値観、ライフスタイルなど
- 行動変数:購買頻度、購入経路など
セグメンテーション分析では、RFM分析では考慮されない顧客の特性から購入傾向を把握できます。そのため、よりパーソナライズされた施策を講じることが可能です。
AIによる分析
近年目覚ましい発展を遂げているAIは、顧客分析にも活用されています。例えば顧客ごとの属性や購買データをインプットして分析させることで、未来の購買行動を予測させることが可能です。
またAIは、画像や映像のような表形式に変換できないデータの分析にも向いています。店舗に設置された監視カメラの映像から、顧客動線や商品陳列の最適化も可能です。
まとめ
RFM分析は、顧客の属性や購入商品についてのデータがなくても分析できる手軽さが魅力です。しかし分析指標が少ない分、実態にそぐわない結果が得られることもあります。
必要に応じて分析指標の追加や、他の分析法との組み合わせについても検討し、自社にとって最適な分析ができるようにカスタマイズしていきましょう。
顧客コミュニティをやるならCommune(コミューン)
RFM分析によりマーケティング施策が決定したら、オンラインコミュニティの利用を検討してみてはいかがでしょうか。顧客との接点を継続的に持てるオンラインコミュニティは、マーケティング施策を講じる際に役立つでしょう。
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