コラム
マーケティング
ABテストとは?種類や仕組み、やり方を紹介
2024/09/11
「ABテストをするとどのような効果が生まれるのか?」
「ABテストを行う際の注意点は?」
などの疑問をお持ちではないでしょうか。ABテストはWebサイトや広告などの、要素を一部変更した複数のパターンを一定期間公開し、どちらがより高い成果をもたらすか検証する方法です。ABテストのメリットや、実施の流れなどを把握することで、短期間で効率的に自社のWebサイトなどの最適化が可能になります。
今回は、ABテストについて解説します。ABテストの種類や注意点、実施の流れについても解説しますので、ABテストを実施する際に本記事の内容をご活用ください。
目次
ABテスト(A/Bテスト)とは何か?
ABテストとは、Webサイトや広告文、バナーなどを最適化するために実施されるテストの一つです。
特定の要素を変更したABの二つのパターンを作成し、ランダムにユーザーに表示することで、どちらがより高い成果をもたらすか検証します。ユーザーに対してランダムに異なるパターンを提示し、結果を分析することで、最も効果的なものを見つけ、コンバージョンを向上させることが主な目的です。 例えば、WebサイトのデザインAとデザインBを作成したとします。それぞれのデザインに対するユーザーの反応を比較することで、どちらのデザインがユーザーにとって魅力的であるか、またはどちらのデザインが目標(例えば、購入、クリック、登録など)を達成するのに効果的であるかを判断することができます。
ABテストの種類
ABテストには3種類あります。それぞれの種類の特徴を把握して、適切な方法で分析することが大切です。ここからは、ABテストの種類について解説します。
同一URLで表示させるデザインを変更
ABテストの一つの手法として、URLを同一にして、見た目を変える手法があります。
これは最も一般的なABテストといえます。この手法では、JavaScriptの技術を使ってソースコードを書き換えずに見た目を変えて検証していきます。 ユーザーが同じURLをクリックしたときに、一定の割合でAパターンとBパターンが表示されるように設定することで、検証が可能となります。 この手法のメリットは、URLを変更する必要がないので、ソースコードの改変が不要で、テストの準備が容易になるという点です。また、SEOへの影響を最小限に抑えられるというメリットもあります。
別のURLにリダイレクトさせる
ABテストの手法の一つに、別のURLにリダイレクトを設定して飛ばす方法があります。
この手法は1つ目に紹介したや次に紹介する多変量テストとは異なり、ページ内の要素だけでなく、URLやパス自体を変更してパターンを作成します。これは「スプリットURLテスト」とも呼ばれます。 既存デザインとは全く異なる新しいデザインのランディングページを試したい場合や、サイト全体のデザインを大幅に変更したい場合、あるいはリニューアルの効果を測定したい場合などに、この手法は活用されます。 この手法のメリットは、既存のデザインパターンや要素の組み合わせを意識する必要が無い事です。既存のデザインにとらわれない、自由度の高い新しいデザインを作成することが可能となります。
多変量テスト
多変量テストは、複数の要素を同時に変更し、その組み合わせの効果を比較検証する手法です。
この手法は、ページ上の画像やテキストなどの複数の要素を変更し、それぞれの組み合わせがどの程度効果的であるかを分析できます。 この方法は、最も効果的な組み合わせや、各要素がどの程度影響を及ぼしているかを特定し、コンバージョン率を最大化するための最適な組み合わせを見つけ出すことが可能になります。
多変量テストのメリットは、複数の要素を、最短で同時に検証できることが挙げられます。また、一般的なABテストでは検証する要素を限定する必要がありますが、多変量テストではそのような制限がなく、様々な要素を検証できるという点も大きな利点といえるでしょう。
ABテストが必要な理由
ABテストは効果的なマーケティング活動を行っていく上で非常に重要な手法です。ここからはABテストが必要な理由を解説します。
短期間でパフォーマンスを最適化できる
ABテストが必要な理由は、短期間でパフォーマンスを最適化できる点が挙げられます。
デザインやコンテンツなど異なる要素を同時にテストすることが可能なので、他の方法と比べて、短期間で検証できます。 同じ条件下で異なるバージョンを公平にテストできることから、結果の信頼性が高いので、必要性が高い手法といえるでしょう。
リニューアルでのコスト増を回避できる
ABテストは、リニューアルでのコスト増を回避できるため、必要な手法といえます。
リニューアル前にABテストを行うことで、新しいデザインや機能が効果的であるか、検証することができます。もし、新しいデザインをテストしないで一斉展開すると、ユーザーが使いづらいと感じた場合、売上に大きなダメージを与える可能性が考えられます。 リニューアル前に、ABテストを利用すれば、新旧のデザインのどちらが良いパフォーマンスを発揮するか確認できます。この結果に基づいて、リニューアルの方向性を決めれば、リニューアルによるコストを大幅に軽減できます。
低コストで最適なパターンを把握できる
ABテストは低コストで最適なパターンを把握できます。
サイト全体ではなく、バナーやLPなど部分的な要素の検証ができることから、作業時間やコストを抑えながら高い効果を出せます。 他の手法では、データの分類や、データ全体の傾向の把握などが必要になる場合も多く、膨大なデータを扱う場合に、時間とコストがかかる可能性があります。
ABテストでは、そのようなコストが削減できるため、効率的に最適なパターンを把握するための必要な手法といえるでしょう。
ABテストのメリットとは
ABテストにはいくつかのメリットがあります。ここからは、ABテストのメリットについて解説します。
Webサイトの部分的な改善ができる
ABテストはWebサイトの部分的な改善ができます。
Webサイトの特定の場所(購入ボタンのデザインなど)に焦点を当て変更することで、変更箇所のみの効果検証が可能です。部分的に検証できることから、どの要素がユーザーの行動に影響を与えるのかが明確になります。
これにより、効果的な改善策を見出すことができ、短期間でWebサイトを最適化できます。
効果を正確に判断できる
ABテストの大きなメリットは、その結果を正確な数値で判断できることです。
ABテストは、テストをする要素以外の条件を揃えて行うことから、外的な要因に左右されないデータを取得可能です。そのため、正確な数値で効果を判断できます。 膨大なデータから、どれを採用すべきかを判断することは困難ですが、ABテストであれば、正確なデータから、そのような判断の根拠を検証結果から裏付けできます。 ABテストで得た正確なデータをリアルタイムで把握することができるため、その結果をもとに迅速な対応が可能となります。
複数のパターンを同時並行で試せる
ABテストのメリットの一つに、同時並行で複数のパターンを検証できる点が挙げられます。
これにより、時間や外的要因に左右されずに精緻なデータを取得できます。 例えば、Webサイト上の購入ボタンを赤いデザインと青いデザインに分けて、どちらがより多くのクリックを生むかテストすることもできます。そのデータを基に、効果的なデザインの改善策を考案することができるでしょう。 また、両パターンを同時に検証することで、季節性やトレンドなどの要素に左右されることを防ぐことができます。
成果の出るパターンをつかめる
ABテストは、成果の出るパターンをつかめるというメリットがあります。
これは、ユーザーの反応や目標達成率などを比較して、最適なバージョンを特定できるようになるためです。 分析を重ねることで、自社にとって成果のでるパターンが明らかになります。例えば「デザインはAパターンの方が効果的」「コピーはBパターンの方が適している」など、成果の出るノウハウを蓄積できます。 その知識は、自社の貴重な財産となり、将来のマーケティング活動全体に役立てることができるでしょう。
ABテストの注意点とは
ABテストには、いくつかの注意点があります。注意点を把握することで、ABテストの精度を高め、より信頼性のある結果を得ることが可能となります。ここからは、ABテストの注意点について解説します。
ABテストの目的を明確に持つ
ABテストを行う際は、目的を明確にすることが大切です。
目的が曖昧なままテストを行ったとしても、有効な改善策を導くことが難しくなるためです。ABテストでは、テストをする前に、何を改善したいのか、どのような結果を期待しているのかを明確に定義する必要があります。 例えば、「ユーザーの離脱防止」「購入ボタンのクリック率の上昇」などです。目的を明確にすることで、テストの設計から実施、分析までがよりスムーズに進行します。そのため、ABテストを行う際には、目的を明確に持つことが重要なポイントとなります。
同じタイミング・同じ時期にテストする
ABテストを行う際には、同時期に検証することを心がけましょう。
テストの時期が違うと、ユーザーの流入経路やモチベーションに変換が生まれる可能性があり、信頼性の高い検証結果が得られない可能性があるためです。 競合の動向やテレビやSNSの話題、天候によってもユーザーの行動は変化します。そのため、ABテストは同時期に、期間や広告を配信する頻度などをできる限り差異がでない条件下で行うことが大切です。
テストは2週間以上行う
ABテストを行う場合は、テストする期間を2週間以上設けましょう。
テスト期間が短すぎると、季節性などの影響で、正確な結果が得られない可能性があるためです。テストした時が平日か、月末か、休日かによっても結果は異なります。 偏った結果を出さないためにも、テスト期間は十分に設けるようにしましょう。そうすることで、日々の変動があったとしても、影響を最小限に抑え信頼性の高いデータを取得できます。
一定以上のサンプル数を確保する
ABテストで信頼性の高い結果を得るためには、一定以上のサンプル数を確保することが大切です。
サンプル数が少ないと、特定の個人に偏った結果になってしまい、正しい検証ができない為です。 もしサイトを開設したばかりで、アクセス数が少ない場合は、ユーザーを獲得する施策から取り組む必要があります。これにより、信頼性が高いデータを得られるようになるでしょう。
テストする要素以外は揃える
ABテストを行う際の注意点は、テストする要素以外を揃えることです。
テストする要素以外を揃えないと、改善点の特定がしづらくなってしまう為です。また、どの要素が効果的に働いているのかも不明確になってしまいます。 そのため、テストする要素以外の条件(ユーザーの属性や配信期間など)を揃えてテストをする必要があります。これにより、変更箇所の効果のみを検証することが可能となるでしょう。
効果的なABテストを実施するための流れ
効果的なABテストを実施する流れは以下の通りです。
- 目標と仮説をたてる
- テストパターンを作成
- テスト実施
- 結果の分析
ひとつずつ解説します。
①目標と仮説をたてる
テストを行う前に、目標と仮説をたてることが重要です。まずは目標を明確にしましょう。この目標は、ユーザーの行動に影響を与えるような、以下のような目標を設定することを推奨します。
- コンバージョン率を10%向上させる
- ページ滞在時間を20%増やす
などが考えられます。 また目標設定後には、仮説を構築することも重要なポイントです。例えば
- バナーのデザインを赤色にするとクリック率が5%上昇する
- キービジュアルのデザインをシンプルなものに変更すれば、直帰率が5%減る
などが仮説として考えられます。このように仮説をたてることで、テストをする要素を絞ることができ、効果が見込めそうなポイントを見極められるようになります。
②テストパターンを作成
次に比較対象となる2つのパターン(AパターンとBパターン)を作成しましょう。変更する要素の例としては、以下のものが挙げられます。
- CVボタンの色
- LPのデザイン
- メインビジュアル
- コンテンツの表示順
これらの要素は、ユーザーの行動に大きな影響を与える可能性があります。
ユーザーがサイトを離脱する理由や、なぜボタンをクリックしないのかを考慮に入れてテストパターンを作成すると良いでしょう。 LPを改善する場合、キャッチコピーの改良、コンテンツの配置の最適化、フォームデザインの見直しなどが一般的なテスト項目です。事前に立てた仮説をもとに、テスト項目を検討すると良いでしょう。
③ABテストの実施
次にテストを実施しましょう。テストをする際は、実際に影響する範囲を予測しておくことが重要なポイントです。
この予測は、テストの結果が期待通りでなかった場合や、予期しない結果が出た場合に、すぐに対応するために役立ちます。 例えば、バナーのデザインを変更した場合、クリック率が20%上昇すると予測したとします。しかし、実際にテストを行うとクリック率は5%しか上昇しなかったとします。この場合、デザインだけでなく、表示位置などを変更するなどして、新たなテストの実施を検討する必要も考えられるでしょう。
④結果の分析
テストの結果がでたら、勝ちパターンを確認するだけでなく、分析や改善も行うようにしましょう。
テスト前に立てた仮説をもとに、予測通りになったか、間違っていればどこが違っていたのかを考えていきます。 もし、どちらかのパターンで効果的なものがあれば、さらに変更を加えることで、より効果を上げることも可能となるでしょう。逆に、思うような結果が出なかった場合は、その要素を変えて、再度テストすることも検討してみましょう。 一度のテストで効果が得られなくても、そこでやめることなく、改善をし続けることが大切です。ここで得られたデータは、他の場面にも応用し、持続的な改善を図り続けると良いでしょう。
ABテストの実施によるインパクトが大きい箇所
ABテストで検証する項目にはインパクトが大きい箇所があります。ここからは、ABテストの実施によるインパクトが大きい箇所について解説します。
ファーストビュー
ファーストビューはユーザーがWebサイトに訪れたときに初めに目にする部分で、その印象はユーザーの行動に大きな影響を与えます。
そのため、ABテストを行うのであれば、初めにファーストビューからテストすることを推奨します。 ファーストビューでABテストを行う際は、ページ内のどの箇所に課題があるか仮説を立て、仮説に基づきパターンを作成しましょう。その際、ユーザー像を予測し、どのようなページが効果的に働くかを考慮することが重要です。 具体的な例として、ファーストビューの訴求内容を変えて、Bパターンとしてテストするという方法もあります。このテストにより、ユーザーの反応をみて、どちらの訴求内容が効果的かを見出すことができます。
CTA(アクションボタン)
CTA(アクションボタン)は、ボタンやリンクとして表現され、そのデザインや文言、配置場所などがユーザーの反応に影響を与えます。
CTAを配置するには、基本的にユーザーに発見されやすい箇所に配置することが理想的です。 他にも、色やコピー、数なども考慮すべきポイントです。ボタンを配置する周囲にどのような情報が付加されているのかも、クリック数を上げるうえで重要です。CTAの位置やコピーを変更したものをBパターンとしてテストし、どちらが効果的かを検証しましょう。結果を分析し、改善することで、コンバージョン率を上げることに繋げていけるでしょう。
メインビジュアル
メインビジュアルもユーザーの印象に大きな影響を与えます。
メインビジュアルは、Webページの最初に表示される大きな画像やデザインのことを指します。このメインビジュアルは、コンバージョン率やクリック率に影響を与えます。 メインビジュアルのABテストを行う際は、どのようなコピーを用いるのか、どのような色を使用するかを考慮しましょう。数値を入れるのか、写真を入れるのかでも効果は変わります。仮説をもとに、変更する要素を絞って、テストを実施しましょう。
ページタイトル
ページタイトルも多くのユーザーが注目しているポイントです。
ページタイトルはWebサイトの看板のようなもので、ユーザーに対し、ページ内容を端的に伝えます。これは、SEOにおいても重要な役割を果たしています。 タイトルによって、ユーザーは、検索ページからアクセスするかを決めるので、大変重要な要素といえます。現在のタイトルと、新しいタイトルを準備し、一定期間ABテストをしてみましょう。タイトルは、ユーザーの興味関心を惹くような魅力的なタイトルが理想的です。ページビュー数やクリック数などを比較し、検証することで、より効果的なタイトルを見つけられるでしょう。
離脱導線
離脱導線は、ユーザーがサイトから離れる可能性のある要素のことを指します。
離脱導線には、別ページや関連ページへのリンク、別サイトへのリンクなども含まれます。ページ内に存在するリンクが原因で、本来ユーザーを向かわせたい方向から逸れてしまっている可能性が考えられます。 リンクは適切な位置にあるのか、余計なリンクは貼っていないかなど、改善に繋がるような要素をテストしていきましょう。実際に、新規会員登録ページで離脱導線を削除した結果、遷移率が上昇し、新規会員登録率が高まった事例もあります。離脱導線を改善することは、Webサイトのパフォーマンスを最適化することに繋がります。
まとめ
今回は、ABテストについて解説しました。ABテストとは、要素が異なる2つのバージョン(AとB)を作成し、それぞれの効果を比較する手法です。ABテストでは、異なるパターンを比較することで、効果的なパターンを見つけ出すことができます。 ABテストは、Webサイトの部分的な改善ができたり、成果のでるパターンをつかめたりするメリットがあります。本記事の内容をもとに、ABテストの知識を深めていただき、効果的なABテストの実施に活かしていただけたら幸いです。
マーケティングならCommune(コミューン)
Commune(コミューン)は、コミューン株式会社が提供する企業とユーザーが融け合うコミュニティサクセスプラットフォームです。顧客コミュニティをノーコードで簡単に構築・運用でき、顧客接点・コミュニケーションのワンストップ化を可能にします。コミュニティを通して、よりリアルなユーザーの実態を把握できるようになります。合わせて、ABテストなどの手法を用いて、どのパターンがユーザーにとって効果的であるかを検証することで、顧客との関係をより深められるでしょう。 Commune(コミューン)の詳しい情報が気になる方は、以下のフォームから無料でダウンロードできる資料をご覧ください。