コラム
マーケティング
「顧客接点のDX」顧客接点を統合しポータル化すべき4つの理由
2024/08/27
顧客の声を聞きたい、その声に応えたいと考えいている企業様がほとんどではないでしょうか。
本記事では、その顧客の声を聞くための顧客接点について解説したものです。
効果的な顧客接点を持つ手法、盲点などについて説明します。
目次
顧客接点の分断、アナログな接点の運用がもたらす課題
<シーン 1>
あなたは、大手通信会社YZグループに勤務しています。
金曜19時。残業しながら分析系ソフトウェアX-Analyticsを利用していて、「機能Aの利用法がわからないな…。」と悩んでいます。
そもそも見づらいヘルプページ。がんばって探してもピンポイントで答えは見つからず、問い合わせセンターは営業時間外。解決は諦めて月曜に回します。
月曜日になり問い合わせセンターに電話すると、5分以上「ちょっと待って下さい」の音声案内。ようやく繋がって質問をすると、1分程で解決方法を教えてもらいすんなり解決。水曜日の会議向けの資料作成は間に合うでしょうか。
火曜日、X-Analyticsの自社担当営業から架電があります。
「機能Aのご利用状況、いかがですか?是非Aをさらに便利にするA+の提案もしたく〜〜〜」
あなたは答えます。
「あのね、そもそもほぼ使えてないの。昨日問い合わせセンターに電話して初歩的なこと聞いたくらいだもん。共有受けてないの?あ、あと、機能Aはだいたい理解したんだけど、分析フィルタリングのところを細かく変えられるともっと使うんだけどな〜。」
営業は元気よく答えます。
「わかりました!開発チームに伝えますね!」
<シーン 2>
あなたは、X-Analyticsの事業責任者です。
月曜日、問い合わせセンターに得意先から架電。なにやらイライラしていますが、なんとか解決。 問い合わせセンターのスタッフが言います。
「機能Aの利用法についての問い合わせ、今日他の会社からも2件来てます。ていうかサポートパンパンなんですが、人増えないんですか?」
「そうだよね、わかるんだけど、なかなか今期はコストがね…。」
火曜日、営業担当から相談を受けます。
「得意先のYZグループに電話したら、『機能Aについては問い合わせセンターに電話したぐらいそもそも使ってないんだよ、ちゃんと社内連携しろよ』って言われちゃいまして…。」
「なるほどね…あとはなんか言ってた?」
「いえ、その点だけでした。来週フォローしておきます。」
水曜日、既存顧客向けメルマガ担当から月次報告を受けます。
「2ヶ月前に送った機能Aの解説メルマガ、そのときのユーザーには好評だったんですけど、結構新規ユーザーも増えてきたので再送しようかなと思ってます。」
「あれ、YZグループさんってそれ届いてる?」
「いえ、1ヶ月半前成約なので届いてないですね。」
「あ〜…そういうことね。」
いかがでしょうか。 上記の体験をユーザー視点、事業運営者視点のそれぞれからまとめてみます。
◎ユーザー視点での体験
・ツールを利用していてわからないことがあっても、自分で解決するのは簡単ではない
・問い合わせセンターは対応時間が限られていたり必ずしも繋がるわけではない
・自分が伝えたフィードバックがちゃんと受け止めてもらえているのかわからない
・自分に適した情報を取得するすべがない
それらの結果、なんとなくストレスが蓄積されていく
◎事業運営者視点での体験
・顧客情報の社内連携がとれていない
・社内連携をとろうにも、対面/電話/メール/Slackなど顧客接点がバラバラでが困難
・同じような問い合わせばかりで、サポートが逼迫
・人件費は高騰しており簡単に人を増やすことができない
・お客さんからの要望が開発に伝わらない / 誤って伝わる
・質のよいメルマガを配信するも流れてしまい、コンテンツとしての蓄積価値がない
目先のことを正しく対処しても、根本的な課題はそのまま
両者の体験とも、結構あるあるではないでしょうか。
これでは、顧客体験が最大化されていません。多くの場合、企業と顧客のコミュニケーションは対象顧客や目的等によりチャネルが分断されており、場当たり的な運用となっているためです。
また、企業側の視点に立つと、リソース面でも効率性が低いという問題があります。
そしてこれは構造的な問題です。社員のレベルアップや「情報共有をしっかり行う」といったスローガンでは解決できません。
コミュニティを通じた統合的なデジタル顧客接点構築により実現できること
これらの問題は、顧客ポータル、すなわち「ツール/サービスについての情報やサービスが集約されている場所」をコミュニティタッチを通じて実現することにより、解決されます。
◎ユーザーにとって
”困ったら行く場所 = GoTo” が明確になることで、時間の制約を受けないセルフサーブ型(ユーザー自身による)の課題解決が容易になり、自身に最適化された情報を取得することが可能となります。
◎企業にとって
顧客支援リソースの効率化につながるのはもちろん、顧客接点の統合 / 一元管理によりデータや情報の連携が容易になり、ユーザー体験の向上が実現できます。
例えば、ユーザーからのフィードバックは開発部門が直接ポータルで確認することが可能となりますし、メルマガで提示するコンテンツもポータルに蓄積させることで情報資産となり、ユーザーのニーズに合わせて利用いただくことが可能となります。
デジタルな顧客接点を持つことで、人力やオフラインの顧客接点に依存しない、顧客体験向上が図れるのです。
▼コミュニティタッチについてはこちらの記事でより詳しく解説しています
コミュニティタッチとは?カスタマーサクセスを実現するハイタッチ、ロータッチ、テックタッチを横断する「4つ目のタッチ」
デジタルな場所を整備する、だけでは不十分
ただし、注意しなければならないのは、「じゃあツールを入れれば解決ですね」という単純な話ではないことです。
ツールを導入し、顧客接点の機能そのものを作ることは簡単です。 しかし、実際にそのようなツールや機能の利用フローを日常業務の中に組み込まないと、最大限にそれらを活かすことはできません。
例えば、24時間365日稼働するハイレベルなコールセンターを持つ企業が、ユーザー同士がQ&Aするポータルサイトを作って、一方でコールセンターは維持するとします。 あなたが顧客なら、どちらを利用するでしょうか?これまで慣れ親しんでいて、会社が正解を教えてくれる(であろう)コールセンターに電話しますよね。
・顧客接点をしっかりデジタルで作り切ること
・ビジネスオペレーションを見直し最適化すること
この両者ができて初めて、デジタル顧客接点の成果が最大化できます。
まさに、顧客接点をDXする、という視点から腰を据えて取り組む必要があるのです。
なぜ取り組む必要があるのか?
では、なぜ統合的なデジタル顧客接点の重要性が高まっているのでしょうか? その理由は4つあります。
1. 既存顧客重視 / LTV重視の世の中に
2. 生産年齢人口の縮小により、「人力でがんばる」ではもたない時代に
3. 顧客のデジタルアクセス環境が整い、オンライン顧客接点の活用ができるように
4. 新型コロナウイルスの影響でオフラインの接点強化が難しい状況に
1. 既存顧客重視 / LTV重視の世の中に
未顧客向けのランディングページやそこからのお問い合わせの導線はたくさん時間をかけて検討しているのに、既存顧客向けには、未顧客向けページから遷移する申し訳程度のヘルプページ。あとは問い合わせ窓口に電話してもらい、人力でなんとかする…となっていませんか?
サブスクリプション型ビジネス / SaaSの普及も相まって、既存顧客の利用満足度の重要性は高まるばかりです。
未顧客向け同様、あるいはそれ以上に既存顧客向けのデジタル体験設計をしっかりと行わないと、顧客体験が損なわれ、利用満足度の低下、そして解約率の高騰等の結果を生んでしまいます。
また、「顧客の声を聞く」という意味合いでもデジタルな顧客接点は有効です。
営業が顧客と自社の開発部門の間をいったりきたりすることでコミュニケーションロスが生まれ、効率的な製品改善が難しくなります。デジタルな顧客接点では開発部門がダイレクトに顧客の声を聞くことが可能となり、顧客にとってのフィードバック体験も向上します。
2. 生産年齢人口の縮小により、「人力でがんばる」ではもたない時代に
特に日本では、生産年齢人口 (15~64歳の働き手)の減少が社会問題になっています。
コミューン代表の高田が、10年前大学時代にアルバイトをしていた飲食店の時給は900円でしたが、今では1,100円になっています。実に1.2倍になっているのです。では、作業の質は1.2倍になっているでしょうか。そうではないですよね。
人が足りないから、同じレベルの人材を雇うためにかかるコストが1.2倍になっているのです。
これは飲食店に限らず、サービス業、ソフトウェア販売業、すべての業界に起こっています。
従来は「お客様の問い合わせが多いので、サポートの人数を1.5倍にしよう」と言っても成立していたものが、
①そもそも採用できない
②サポートの人数を1.5倍にすると人件費で赤字になってしまう
のような問題により、成立しなくなっているのです。
このトレンドは不可逆であり、いかに限られたリソースでお客様体験を最大化するか?が重要となっています。
デジタルな顧客接点は、スケーラブル (限られた数の担当者が多くのユーザーに対して価値提供できる)な場です。さらに、コンテンツが資産として蓄積していくことで、その生産性は時間が経つにつれ高まっていきます。
人口不足というトレンドに対する最適解の一つとなるために、デジタルな顧客接点の重要性が高まっているのでしょう。
3. 顧客のデジタルアクセス環境が整い、オンライン顧客接点の活用ができるように
2020年、多くの企業担当者、生活者がスマートフォンを持ち歩くようになり、PCは薄く軽いラップトップが主流になっています。
従来は、「携帯電話でインターネットはできない…」「ネットの回線は遅いから結局営業さんに電話したほうが早い」という方も多くいらっしゃいましたが、既に快適なモバイルインターネットは多くの方に普及しています。
IT活用が進んでいない産業の方も、ご高齢の生活者様も、デジタルアクセス環境が整ったことにより、デジタルな顧客接点構築によりこれまで以上に多くのユーザーに対してアプローチすることが可能となっていることからも、「機が熟した」といえそうです。
4. 新型コロナウイルスの影響でオフラインの接点強化が難しい状況に
新型コロナウイルス感染症の拡大により、社会は大きな影響を受けています。
ビジネスにおいては、テレワークの推進やイベントの自粛、会食の自粛など、これまでの商習慣を一気に変えるような動きが急展開で進んでいます。
そのなかで、顧客接点において最も大きな影響は、ユーザーとのオフライン接点を持つことが未曾有の難しさになっていることです。
・イベントやセミナーの開催中止
・営業による訪問説明の停止
・対面ユーザーインタビューの延期
etc.
2020年6月時点で、新型コロナウイルスは完全に沈静化したとは言えず、「Withコロナ」「コロナとの共存」を前提として顧客接点のあり方を検討する必要性が高まっています。
オフラインで身動きが取りづらい今だからこそ、デジタルでの顧客接点づくりの緊急度や、企業として取り組むべき重要度が高まっていると考えられます。
他方でこれは、新型コロナウイルスの影響で突発的に出てきたニーズではありません。
既述の1~3のようなポイントを背景にニーズがふつふつと高まっていたものが、コロナ禍で一気に広がったものと考えられます。ゆえにこの流れは不可逆であると言えるでしょう。
以上、統合的なデジタル顧客接点の重要性が高まっている4つの理由をご説明しました。
1. 既存顧客重視 / LTV重視の世の中に
2. 生産年齢人口の縮小により、「人力でがんばる」ではもたない時代に
3. 顧客のデジタルアクセス環境が整い、オンライン顧客接点の活用ができるように
4. 新型コロナウイルスの影響でオフラインの接点強化が難しい状況に
まとめ
大前提として、オフラインの顧客コミュニケーションには、デジタルな顧客接点の構築だけでは提供できない付加価値があります。
だからこそ、コミュニティタッチを通じ顧客接点を統合・ポータル化することで、デジタルな顧客接点でまかなえる部分はしっかりとカバーすることが顧客体験の向上にも繋がります。
本記事が少しでも、顧客接点のあり方やユーザーコミュニケーションの統合、効果最大化について検討されている方のヒントになれば幸いです。
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