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VoC(Voice Of Customer)とは?5つの収集方法と手順、メリットを紹介

2024/08/21

VoC(Voice Of Customer)とは?5つの収集方法と手順、メリットを紹介
コミューン編集部

コミューン編集部

VoCとは、「Voice of Customer」の略で、直訳すると「顧客の声」となります。言葉の通り、顧客から企業に対して向けられた意見や要望を総称したものを意味しています。
電話、メール、チャット、SNS、アンケートなど、VoCはさまざまな形で取得することができます。VoCを集めてカスタマーエクスペリエンス(CX)の向上を目指す活動のことをVoC活動と呼びます。

本記事ではVoCの概要説明と実践方法について解説します。

VoC(Voice Of Customer)の概要

顧客の声に耳を傾け、商品やサービスの改善に活用していくことは企業の成長に不可欠です。ここでは、VoCの言葉の定義やその目的、VoC活動の実践方法についてご紹介します。

VoCの定義

VoCとは、「Voice of Customer」の略で、直訳すると「顧客の声」となります。言葉の通り、顧客から企業に対して向けられた意見や要望を総称したものを意味しています。

電話、メール、チャット、SNS、アンケートなど、VoCはさまざまな形で取得することができます。VoCを集めてカスタマーエクスペリエンス(CX)の向上を目指す活動のことをVoC活動と呼びます。

VoC活動の目的、メリット

VoC活動にはさまざまなメリットがあります。

顧客ニーズを正確に把握できる

VoCを集めて分析すると、クレーム、要望、顧客の行動理由など、さまざまなニーズを把握することができます。

ブランドイメージの向上による売上アップが見込める

VoCを正確に集めて対応していくことで、該当製品・サービスの印象だけでなくブランドイメージが向上します。ブランドイメージが向上すると既存顧客はリピーターとなります。同時に、自社が提供する別の商材やサービスに対しても導入を検討し始めるでしょう。これにより、一顧客あたりの単価が上昇します。

新規顧客の獲得ができる

顧客満足度が向上すると、顧客はさまざまなタイミングで自身の体験を発信していきます。SNSや口コミサイトでのリアルな体験談や評価は、製品・サービスの導入を検討する潜在顧客層に対して広告宣伝効果が見込めます

中長期的な戦略立案に生かせる

VoCを収集すると、製品やサービスの思いがけない訴求ポイントや魅力、活用方法を発見することができます。逆に課題や改修ポイントに気づかされることもあります。これらは将来的な製品開発、サービス開発において重要な役割を果たします。また、開発の順序や重要度を決定する上でも大きな意味があります。

VoCの5つの収集方法

VoCの5つの収集方法

では、実際にVoC活動をするには何から手を付ければいいでしょうか。ここでは、VoC収集のための具体的なチャネルやVoC活動の課題について解説します。

アンケート

選択式、フリーアンサー方式などさまざまな手法があります。漠然とした質問を投げかけるより、具体的な内容に対して選択式で回答させるほうが回答率は上がります。また、回答を分析しやすい内容に落とし込むうえでも選択式は有効です。

アンケートを送るタイミングは、最も回収率が高いサービス導入直後、実際に使い始めた頃に設定するなど、回収のタイミングやプッシュの方法についても検討するようにしましょう。

コールセンター

コールセンターには問い合わせやクレームなど、ネガティブな情報が集まりやすい傾向にあります。しかし、コールセンターに寄せられるクレームは全体の3割以下といわれており、過半数以上のクレームは企業まで届きません。従って、コールセンターで拾い上げる情報は、残り7割の意見を代弁しているという意味でも非常に重要です。

一方で、口頭でのやりとりにおいて、相手の主張を的確に把握し、情報として記録していくことは困難を極めます。正確な理解と分析のために、音声認識ソフトの利用など、寄せられた情報を正確に把握できる体制を整える必要があります。

SNS

SNSは顧客の本音を聞くことのできるツールの一つです。商品名やサービス名、ブランド名、企業名などで検索をすれば、率直な書き込みを見つけることができるでしょう。SNSと一括りにするにはあまりに多様化している状況もあるので、プラットフォームの特性を理解した上で考察をしていくべきです。

口コミサイト等のレビュー

自社がECサイトを運営している場合には、そこに書かれている評価や口コミを参考にするとよいでしょう。

類似商品の比較検討をしているようなブログや口コミサイトは無数にありますが、GoogleマップやGoogleマイビジネスの口コミは情報源として活用しやすいものの一つです。サイトのレビューに目を通し、顧客が思う自社商品・サービスの魅力、強み、課題について知ることは自社商品・サービスを客観視するうえでも重要です。

問い合わせ/ダイレクトメール

自社ホームページのお問い合わせや公式SNSへのダイレクトメールなどもVoC収集に役立ちます。企業への直接的で能動的なアクションである問い合わせは、内容への緊急性や重要度が高い傾向にあります。電話での問い合わせよりもハードルが低く、顧客にとっては企業との重要な接点となります。問い合わせの内容をしっかり収集・管理・蓄積していくことは貴重な資源となります。

VoC収集の難しさ

VoC活動の重要性を理解しても、導入する際にはさまざまな課題があります。

そもそも収集ができていない

VoCの収集は、シンプルな反面、網羅的に把握することは意外と難しい内容です。アンケートは実施しているが回収できていない、コールセンター等が整備されておらず、問い合わせの内容とその対応に関する情報がブラックボックス化しているといったことも考えられます。

収集をしているが、管理できていない

さまざまな部署でさまざまな情報収集を行っているものの、情報収集すること自体が最終的な目的になってしまっている例は珍しくありません。

まずは、どのチャネルでどのようなVoCが収集できているのかを正確に把握し、管理体制を構築することが重要です。

収集をして管理しているが、活用できていない

会社全体として情報の共有がうまくいっていない場合などでは、各部門で収集・保管されている情報が全体の経営戦略に生かされていないというケースも考えられます。また、統合的に管理されている場合でも、分析担当者がいないといった理由により、どのように改善に生かせばよいのかわからず、情報が取りっぱなしになってしまっている例も珍しくありません。

VoC活動の実践方法

ここでは、VoCを効果的に収集し、改善に生かす方法について紹介します。VoC活動の実践に当たっては、段階を踏んで進行していくことが必要です。

目的を決める

VoCの収集方法は多岐にわたるため、まずは目的に沿った収集方法を選べるよう、収集の目的を明確化することが重要です。

VoCを活用するうえでは、「この商品とこの商品はどちらのほうが需要があるかを明らかにする」といったように目的を具体的に絞ることが肝要です。具体的に設定しているほうが、収集データの効果分析がしやすいためです。

収集チャネルを決める

目的を決めたら次は目的に合った収集方法を検討します。収集チャネルは一つに絞らず複数設定するほうが効果的です。

アンケートにすべきか、コールセンターを導入すべきか、どのように組み合わせていくかは、目的との親和性・整合性をよく検討して最も効果的な方法を導入するようにしましょう。またそれぞれのチャネルのメリットデメリットも整理し、その内容も踏まえたうえで決定を行うようにしましょう。

ツールの導入を検討する

VoCの収集・管理・分析には人的リソースが必要となります。現業に支障を来たさないオペレーションを考えるうえでは、適宜ツールの導入を検討することが求められます。

コールセンターシステム、AI音声認識、CRMなど、各種システムの導入を検討してみましょう。マニュアルの整備やトークスクリプトの整備も併せて進めておく必要があります。

部署をまたいだ情報共有がしやすい環境を整える

各部署から1名ずつプロジェクトチームのメンバーを募るなど、部署間での情報共有が円滑に進む手法を考えることも重要です。複数にまたがっていた部署を統合してしまうといった対策を取る企業もあります。情報共有のために、情報管理システムを導入することも業務の効率化のうえでは重要です。

収集した情報を精査・分析し、施策を考える

収集した情報はツールなどを用いて分析し、結果を社内で共有します。次に、分析結果を元に、対策を組み立てていきます。情報を収集してから分析し、対策を講じるまではスピーディーに対応することが求められます。対策を講じたあとは再びVoC活動を行い、施策が実際にどのように受け入れられたかを調査、分析し、次の戦略に生かしていきましょう。

VoCの成功事例4選

顧客の声を効果的に収集・活用し、製品やサービスの改善に成功した4つの事例を紹介します。オンラインコミュニティ運営、音声分析、SNSモニタリング、顧客調査など、多様なアプローチでVoCを活用し、具体的な成果につなげた企業の取り組みをご紹介します。

ファンコミュニティを活用したVoC収集と商品開発 -カルビー株式会社「絶品かっぱえびせん」の事例

カルビー株式会社は、複数のVoC収集チャネルを効果的に組み合わせることで、商品開発と顧客理解の深化に成功しました。

お客様相談室への問い合わせから、箱買いや品切れ店舗の追跡といった熱心な購買行動を発見しました。次に実施した消費者調査では、商品使用シーンの写真提供を依頼し、ビールと共に楽しむといった具体的な利用実態に気づきました。これらの声をより深く理解するため、オンラインコミュニティを立ち上げ、日常的な商品レビューや、開発担当者との直接対話の場を設定しました。特に開発裏話や失敗談も共有する双方向のコミュニケーションにより、従来の調査では得られなかった本音の声を引き出すことに成功しました。

このVoC活用の集大成として、コミュニティ内での50以上のアイデア募集から投票、試食会を経て、ファンと共に新商品を開発、その結果、新シリーズながら高いブランド推奨意向を獲得しています。

ファンコミュニティを活用したVoC収集と商品開発 -カルビー株式会社「絶品かっぱえびせん」の事例

オンラインコミュニティ活用による継続的VoC収集 -日本ケロッグ合同会社「オールブラン」の事例

日本ケロッグ合同会社は、オールブラン商品の熱心なユーザーから新たな商品活用法を学び、継続的な喫食を促進するため、オンラインコミュニティ「オールブラン腸活部」を立ち上げました。

まず約70名の限定メンバーで基盤を固め、その後「オールブランすっきりチャレンジ」などの参加型企画を通じて、朝食シーンの投稿や独自のアレンジレシピなど、質の高いVoCを日常的に収集しました。それにより、「オールブランを混ぜ込んだお好み焼き」など、開発側では思いつかなかった商品活用法も発見されました。これらのVoC活用により、コミュニティメンバーの喫食回数は参加前と比べて1.6倍に増加し、全5種類中3種類の商品を購入するメンバーが44%を占めるなど、商品の買い回り率向上にも成功しました。さらに、新商品開発時の顧客インサイトを速やかに獲得できる情報源としても機能しています。

オンラインコミュニティ活用による継続的VoC収集 -日本ケロッグ合同会社「オールブラン」の事例

リアル店舗とオンラインの相乗効果によるVoC活用 - 株式会社大丸松坂屋百貨店「World Wine Now!」の事例

株式会社大丸松坂屋百貨店は、半年に1回催事する「世界の酒フェス」だけでは顧客接点が限られていた課題を解決するため、ワイン愛好家向けコミュニティ「World Wine Now!」を立ち上げました。

当初は新規顧客獲得を目指していましたが、既存顧客との関係性を深めるVoC収集の場へと方針を転換し、セミナーやイベント参加者の感想、店頭商品への反応、ワインの好みなど、従来把握できなかった顧客インサイトを継続的に収集しています。その結果、「カリフォルニアワイン愛好家はオーストラリアワインも好む」といった嗜好の傾向や、「ドロップストップ」など想定外の商品ニーズを発見することができました。さらに、コミュニティでの商品紹介が実店舗への来店を促進し、セミナー参加者の体験投稿が新たな来店動機を生むなど、オンラインとオフラインの相乗効果も生まれています。

リアル店舗とオンラインの相乗効果によるVoC活用 - 株式会社大丸松坂屋百貨店「World Wine Now!」の事例

*株式会社大丸松坂屋百貨店「World Wine Now!」の事例を見にいく

コミュニティの投稿をきっかけにユーザーの行動がリアルに波及

多角的なVoC収集による製品改善と顧客理解 - 株式会社SHARP「ホットクック」の事例

株式会社SHARPは、自動調理鍋「ホットクック」について、従来のカスタマーサポートへの問い合わせだけでは把握できない顧客の声を収集するため、オンラインコミュニティ「ホットクック部」を立ち上げました。

特筆すべきは、製品ライフサイクルの各段階(購入検討期・導入期・熟練期)ごとに異なるVoCを効果的に収集できた点です。購入検討者からは具体的な購入障壁、初心者ユーザーからは操作上の不安や困りごと、ベテランユーザーからは詳細な改善要望や想定外の使用方法など、多面的な声を継続的に集約しました。特に「大量購入した肉の下処理」「離乳食の調理」といった想定外の活用法の発見は、製品の新たな価値提案につながりました。さらに、新機能リリース時の生の反応や改善要望をリアルタイムで収集できる体制を構築し、製品開発にダイレクトにフィードバックする仕組みを確立しています。

多角的なVoC収集による製品改善と顧客理解 - 株式会社SHARP「ホットクック」の事例

まとめ

VoC活動は、顧客との関係性を深め、製品やサービスの改善に不可欠な取り組みです。アンケート、コールセンター、SNS、口コミサイトなど、様々なチャネルでVoCを収集することができます。しかし、それぞれのチャネルを個別に運用するだけでは、情報の統合や分析が難しく、本当に価値のある顧客インサイトを見逃してしまう可能性があります。

そこで近年注目されているのが、ファンコミュニティを活用したVoC活動です。カルビー株式会社や日本ケロッグ合同会社など事例から、ファンコミュニティは顧客との継続的な双方向コミュニケーションにより、従来の方法では得られなかった深い顧客インサイトの収集を実現します。さらに、ユーザー同士の自然な会話から想定外のニーズを発見したり、新商品開発のアイデアを得たりすることもできます。

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