コラム
カスタマーサクセス
オンボーディングとは?重要性からポイントまで徹底解説! – 0からわかるカスタマーサクセス用語集
2024/07/04
SaaSが流行し多くの企業がカスタマーサクセスに取り組むようになった今、オンボーディングという言葉を耳にする機会が増えてきました。カスタマーサクセスの世界ではオンボーディングの重要性が声高に叫ばれておりますが、その意味するところの理解が曖昧になっている方も多いのではないでしょうか。
今回は、オンボーディングの意味から、重要性、実施する際のポイントまで解説したいと思います。
目次
オンボーディングとは?
オンボーディングとは、顧客が自社の提供するサービス・プロダクトを使いこなせるようになるまで支援するプロセスのことです。
オンボーディング(on-boarding)の元になった単語は「船・飛行機に乗っている状態」を表す、「on board」です。元々は、”船や飛行機の新たな乗務員や乗客が早く環境に馴染めるよう、必要なサポートを行うプロセス”を指す言葉でした。
そこから派生して、人材育成の場面で、”企業が新たに採用した人材を組織の一員として定着させ、戦力になってもらうまでのプロセス”を指すようになりました。
さらに、サービスやプロダクトを提供する場面で、”企業が新たな顧客を支援し、いち早く使い方に慣れてもらうプロセス”も指すようになりました。
なぜオンボーディングは重要なのか?
オンボーディングは、カスタマーサクセスが担う役割の中で最も力を入れるべきものであると言えます。 なぜなら、オンボーディングに失敗してしまうと、その後顧客がサービス・プロダクトを利活用し成果を実現することは難しくなるからです。
オンボーディングの失敗が、顧客のその後のサービス・プロダクトの利活用に与える影響について、顧客ライフサイクルを用いて考えてみましょう。
顧客ライフサイクルの観点で見るカスタマーサクセスの重要性
顧客ライフサイクル(関連記事を読む)とは、《サービス・プロダクトの利用期間を基に顧客のフェーズを管理する考え方のこと》です。特に顧客との長期的な関係構築が必要とされるサブスクリプションモデルの場合は、効率的・効果的にカスタマーサクセスを行うために、利用期間ごとに顧客をセグメントすることはとても有効です。
顧客ライフサイクルの分け方は企業によって様々ですが、概ね「導入期」「運用期」「活用期」「定着期」の4つに抽象化することができます。そして、基本的にオンボーディングは、最初期にあたる「導入期」に実施されることになります。 以下、顧客ライフサイクルのそれぞれの期間の特徴と、実施するカスタマーサクセスの内容をまとめました。
(1) 導入期
顧客がサービス・プロダクトの導入を決定し、利用し始める段階です。まだ自社のサービス・プロダクトを触り始めたばかりなので、利用価値を伝えながら基本的な使い方をレクチャーする必要があります。これがオンボーディングに当たります。
(2) 運用期
オンボーディングが終了し、いよいよサービス・プロダクトを業務フローに組み込むことを目指す段階です。多くの顧客はまだサービス・プロダクトを通じてサクセスできていないため、より活用するためのトレーニングメニューや成功事例の紹介などを行い、顧客自身でサクセスできるよう支援する必要があります。
(3) 活用期
数回の契約更新などを経てある程度の期間サービスを使用し、本格的にサクセスを目指す段階です。この段階になるとサクセスできている顧客とできていない顧客の差が明確になってくるため、サクセスできていない顧客に対してはタッチポイントを多く持ち、関係を構築する必要があります。コミュニティを構築し、ユーザー同士で交流してもらうことも有効です。
(4) 定着期
顧客がサクセスを実感し、安定的に継続利用している段階です。他の顧客の良き見本となるケースが多いので、事例取材や自社イベントでの登壇をお願いするなど、提供側のコミュニティ活動に協力していただけるようご依頼してみても良いかもしれません。
以上からわかる通り、顧客ライフサイクルとは段階的に進むものです。利用方法を理解できていない顧客が、サービス・プロダクトを業務フローに組み込んだり本格的にサクセスを目指したりすることは、おそらく難しいでしょう。そのため、オンボーディングの成否はそれ以降の全てのフェーズに関わってくると言えます。
なるべく多くの顧客にサクセスを実感してもらい「定着期」に到達してもらうためには、まずはオンボーディングを成功させる必要があるのです。
オンボーディングはカスタマーサクセス組織の成熟度が如実に現れる
オンボーディングは、カスタマーサクセス組織の成熟度が如実に現れる部分でもあります。サービスの提供者側にとって、オンボーディングは最も工数がかかるフェーズですが、同時に仕組み化や自動化によって工数を削減しやすいフェーズでもあります。そのため、「どれだけ効果的かつシステマティックなオンボーディングを提供できているか」が、カスタマーサクセス組織の成熟度を測るものさしになるのです。
特に、サービス・プロダクトが優れているほど、このフェーズに流入する顧客は増えていくため、より磨き上げられたオンボーディングが求められるようになります。
オンボーディングの工数削減において有効なのは、顧客自ら課題を解決できるセルフコンテンツを充実させることです。
ヘルプページと似ていますが、ヘルプページは《提供しているサービス・プロダクトの機能面にフォーカスしたもの》であるのに対し、セルフコンテンツは《顧客の典型的な利用シーンにフォーカスしたもの》です。顧客の利用シーンを把握しそれに応じたコンテンツを数多く揃えることで、より顧客の自己解決能力を高めることができるのです。
動画や記事を作成することは一定の費用と労力がかかるので、優先順位をつけることが大切です。その際に意識するべきポイントは以下の2つです。
・顧客から高頻度で質問があるユースケースは何か?
・その説明をする場合、一顧客あたり何分程度費やすか?
高頻度かつ時間がかかる説明から優先的にコンテンツを作成することで、工数削減のインパクトも大きくなるでしょう。
オンボーディングを実施する際のポイントとは?
オンボーディングを適切に実施するためには、以下の3つの点に注意する必要があります。
①「期間」と「成功の定義」を決める
オンボーディングプロセスのPDCAを効果的に回すためには、「当該期間中に何人の顧客がオンボーディングの成功に至ったか」を計測する必要があります。
期間と成功の定義を各カスタマーマネージャーに任せているというケースもありますが、何となく終了してしまえば成功をパターン化することも、失敗からインサイトを得ることもできなくなります。数値に落とし込むことで、共通認識の下でオンボーディングを振り返ることができ、自然と施策が洗練とされていくでしょう。
②顧客の正しい状況を理解する
多くの場合、顧客ごとに目的や背景知識、動作環境はまったく異なります。しかし、事情が異なる顧客を標準化したプロセスに強制してしまえば、上手く軌道に乗ってもらうことは難しくなるでしょう。
オンボーディングのプロセスは、顧客ごとの多様な事情を考慮しなければならず、中には固有の構成やアプローチが必要になる場合もあるはずです。そのため、誰が使うのか、何のために使うのか、どのように使用するのか、その際の懸念事項は何か、など、顧客ごとの事情を把握しておく必要があります。
③定期的なコミュニケーションを実施する
サービス・プロダクトによってオンボーディングに要する期間はさまざまですが、期間に関わらず定期的に顧客とコミュニケーションを取り続けることは大切です。
導入支援の勉強会などでよくあるケースとして、その場では理解できたが実際に手を動かそうとすると分からない、といったものが挙げられます。一度アクションをとった際は数日後に連絡し、説明したことを実施しているか、その他の不明点はないか、を確認すると効果的でしょう。
手厚いフォローをすることで、サービス・プロダクトについての理解が進みオンボーディングの早期化が可能になります。また、このようなコミュニケーションを繰り返すことで、顧客からの親近感や信頼感の向上にもつながります。
まとめ
オンボーディングは顧客をサクセスへ導くプロセスの中で、最も力を入れるべきポイントです。なぜなら、顧客が利用方法を理解できていない状態だと、それ以降の施策が意味を持たなくなってしまうからです。最悪の場合、オンボーディングの失敗は、サクセスどころかチャーンにつながってしまうこともあるでしょう。そうならないために、紹介した3つの点を意識しながら、適切にオンボーディングを設計する必要があります。
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