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PLG・SLGとは?- 0からわかるカスタマーサクセス用語集

2024/03/27

PLG・SLGとは?- 0からわかるカスタマーサクセス用語集
コミューン編集部

コミューン編集部

PLGとは、Product-Led Growth(プロダクトレッドグロース)の略で、「プロダクトがプロダクトを売る」という事業モデル/成長戦略です。
SLGとは、Sales-Led Growth(セールスレッドグロース)の略で、「セールスがプロダクトを売る」という事業モデル/成長戦略です。

本記事では、プロダクトをユーザーまで届けるPLG・SLGの定義や具体例、応用まで解説します。

PLG・SLGの定義

ここでは、PLG、SLGの定義についてご紹介します。

プロダクトがプロダクトを売る「PLG」

PLGとは、Product-Led Growth(プロダクトレッドグロース)の略で、「プロダクトがプロダクトを売る」という事業モデル/成長戦略です。2016年、アメリカのOpenViewというベンチャーキャピタルが提唱した成長戦略だと言われています。

代表的な事例として知られるのがZoomやSlackです。

実際にプロダクトを利用して価値を実感したユーザーが、その良さを他のユーザーに伝えるとともに有料のオプションプランを検討していく、という購買プロセスをたどります。つまり、営業担当者を介在させることなく、プロダクト自体が営業の役割を担い、販路を拡大することができます。実際にプロダクトを利用したユーザーに導入を検討してもらえるため、ボトムアップ型の意思決定に適した手法といえます。

セールスがプロダクトを売る「SLG」

SLGとは、Sales-Led Growth(セールスレッドグロース)の略で、「セールスがプロダクトを売る」という事業モデル/成長戦略です。

いわゆる従来型のセールス手法で、営業担当者がプロダクトの強みを紹介し、企業ごとにカスタマイズを加えながら意思決定者にプレゼンテーションを行い導入決定に至る、という営業プロセスをたどります。

トップダウンの意思決定に適したセールス手法であり、意思決定者の導入決定の後にデモを使うことができます。したがって、現場担当者が事前にプロダクトの良さを実感することはできません。

一つひとつの得意先に対して丁寧にコミットしていくことができる一方で、そのための労力やコストは甚大です。


PLGのメリット、デメリット

プロダクトを実際に利用したユーザーが他のユーザーにその利用を促すことで、営業担当者を介することなく、プロダクトがひとりでに認知され、拡散されていきます。

実際に利用したユーザーがその利便性を感じ、営業担当者からのアプローチを待つことなく有料のオプションサービスにグレードアップすることもあります。

始めやすく辞めやすい、サブスクリプション型モデルと相性が良いため、解約のリスクや契約の可能性を事前に完全に把握することは困難です。

また、営業担当者が不在のため、ユーザーからの疑問に応えるFAQを整備したり、ユーザーの使用状況を集約・分析しながら改善を図る必要があります。

SLGのメリット、デメリット

意思決定者にセールスして、企業や部署に一斉に導入することができるので、1件当たりの受注額は高額になるケースが多いのが特徴です。また、営業担当者がしっかりと得意先の要望をヒアリングし、プロダクトをカスタマイズしていくため、各企業のビジネスに適した形での導入が可能です。

一方で、一社一社に営業担当者を配置し、プロダクトにカスタマイズを加え、サービス導入後に微調整を加えていくという手法は時間と労力が掛かります。また、導入企業にとっても高額で重大な意思決定となるため、導入決定までに大幅な時間を要します。

PLGが登場した時代背景

1990年代にインストール型のソフトウェアが隆盛を極めたあと、2000年代になるとSalesforceが登場し、クラウド型のソフトウェアサービスが主流になりました。

インターネット、SNSの更なる進化を経て、ユーザーは企業への接触を待たずに製品を比較検討、購入を決定する時代に突入します。購買プロセスが変化したことで、導入の意思決定者は経営層から部署長へ、さらにはユーザーへと拡大していくこととなります。

これによってセールスの主軸を担う担当者は営業担当者のみならずマーケティング担当者、カスタマーサポート担当者へと広がりを見せました。企業側ではこの煩雑な営業フローに対応するため、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスといった形で分業化が進んでいきました。

そして時代は進み、サブスクリプション型モデルの登場やコロナ禍のステイホーム需要も相まって急拡大を見せているのがPLGです。

営業の主力がトップセールスからマーケティングへ、そしてプロダクトが担う時代に突入したのです。

PLGの具体例

Zoom

PLGの代表例といえるのがZoomです。

Zoomは無料のオンライン会議システムで、URLをクリックするだけで簡単にオンライン会議をスタートさせることができます。コロナ禍を背景に飛躍的に顧客数を伸ばし、2020年4月には1日あたりのミーティング参加者数が3億人(*)を突破。Zoomの認知度を飛躍的に高め、事業拡大に成功しました。

その大きな要因として考えられているのが、PLGです。

既にZoomのユーザーとなっている人から会議の招待URLが送られてきたことでZoomの存在を知った方も多いのではないでしょうか。

実際に利用して利便性を感じたユーザーが、自分でもアカウントを作ってみる。「40分の無料版が会議時間として少々物足りない」と感じたユーザーが時間制限のない有料版へアップグレードを図る。そんな流れで営業担当者を介することなくユーザーを獲得していくことができました。

Zoomの有料プランは「プロ」「ビジネス」「エンタープライズ」の3種類で、1IDあたり月額1,440~2,200円。サブスクリプション型モデルのため、初期コストなどもかからず導入ハードルが低いことが特徴となっています。

 

*:2020年を振り返ってZoom Blog(2022年1月16日参照)

Slack

PLGの代表例としてZoomとともに名前が挙がるのがSlackです。

ビジネスメッセージアプリとして社内外のメンバーとメッセージやデータのやりとりができることが特徴で、チャンネルごとにプロジェクトやメンバーを整理して管理することができます。

Zoom同様に無料プランがあり、利便性を実感できたら有料プランにアップグレードすることも可能です。

有料プランでも費用は月額960~1,800円と導入ハードルは低め。何かのプロジェクトでSlackに招待されて使い始めたユーザーが、自身で新しく立ち上げたワークスペースに別のプロジェクトの担当者を招待していくことで、ユーザーの認知や潜在顧客数を伸ばしていくことに成功しました。

企業への応用

「営業担当者を介さないからPLGはコスパが良い、自社でも取り入れよう」となる前に、自社のビジネスモデルに適しているか、以下の観点で考えてみる必要があります。

なぜ今、PLGを考える必要があるのか

インターネット・SNSの進化、サブスクリプション型モデルの登場によって、以下のような変化が起こりました。

参入障壁が減ったことによる競争の激化、顧客獲得コストの上昇

導入を検討するにあたって利用体験を重視する顧客が急増

自社の資料申込フォーマットに必要事項を記入してもらうより前に、潜在顧客が無料体験で競合製品に接触している可能性がある、ということです。

資料を送り、営業担当者が特長を説明しデモ画面を見せるよりも、ユーザーに利用してもらい、そのユーザーに他者を巻き込んでもらうビジネスモデルのほうが導入までのスピードが早く、手間がかかりません。

従って、時間とコストを抑えて販路拡大をすることが可能なPLGを検討することは重要です。

MOATフレームワーク

PLGは有用な成長戦略ですが、必ずしもすべての企業にマッチするわけではありません。

ウェス・ブッシュ氏が開発したMOATフレームワークを元に、自社のビジネスモデルに即してるかを判断する必要があります。

マーケット戦略(Market Strategy)


自社のマーケット戦略は、ドミナント型戦略か、ディスラプティブ戦略か、差別化戦略かどれしょうか。

書籍『プロダクト・レッド・グロース 「セールスがプロダクトを売る時代」から「プロダクトでプロダクトを売る時代」』によれば、競争優位性とプロダクト価格という指標に基づいて図表を作成すると、上記のようになることがわかっています。

この中でPLGに適しているのは、ドミナント型戦略とディスラプティブ戦略です。

ドミナント型戦略は、競合他社と比較してサービスのレベルが高く、かつ安価である企業が導入している戦略となります。NetflixやUberなどがその代表例です。

ディスラプティブ戦略は、既存のサービスが過剰だと考えている顧客層に、低価格のサービスを提供する戦略です。Google DocやCanvaなどのプロダクトが該当します。

自社の立ち位置(Ocean Conditions):自社のビジネスモデルはレッド・オーシャンか、ブルー・オーシャンか

レッドオーシャンは既存の市場で競争し、既存需要をすべて取り込むことを目標としています。一方、ブルーオーシャンは未開拓市場を開拓し、新たな需要を創出して占有することを目標としています。

レッドオーシャンにいるなら、PLGを取り入れることが必要です。

ブルーオーシャンにいる場合は、ユーザーがプロダクトの価値を体験するのに時間がかからない場合にPLGが適しているといえるでしょう。

顧客の意思決定(Audience):自社のマーケティング戦略は、トップダウン型か、ボトムアップ型か

フリートライアルやフリーミアムを導入しているビジネスで、顧客の意思決定がボトムアップ型ならPLGに適していることがわかります。

スピード(Time-to-value):自社のプロダクトがユーザーに価値を感じてもらうまでのスピード

自社のプロダクトがユーザーに価値を感じてもらうまでのスピードが早い場合は、PLGに適しているといえるでしょう。

まとめ

近年注目を集めるPLG。プロダクトがプロダクトを売り込むという新たな概念について、自社のビジネスモデルに照らし合わせながら、是非PLG戦略の導入を検討してみてください。

 

 

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