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ユーザーエクスペリエンス(UX)とは?注目される背景や改善のためのポイントについて解説

2025/02/06

ユーザーエクスペリエンス(UX)とは?注目される背景や改善のためのポイントについて解説
コミューン編集部

コミューン編集部

ユーザーエクスペリエンス(UX)とは、製品やサービスを通じて得られる「ユーザーの体験全般」を指します。実は、使いやすさや見た目だけがUXのすべてではありません。本記事では、UXが注目される背景や、UXと混同されがちなUI・CXとの違いも含め、誤解されがちなポイントや改善に必要な方法をまとめました。

ユーザーエクスペリエンス(UX)とは?

ユーザーエクスペリエンス(UX)とは?

「ユーザーエクスペリエンス(UX)」という言葉を耳にしたことはありませんか。多くの人が「デザイン性」や「操作性」を想像するかもしれませんが、その本質はもっと広がりを持っています。実は、サービスを知る前から利用後まで、ユーザーが抱くあらゆる感情や気付きがUXに含まれるのです。だからこそ、UXを意識した取り組みが、ブランドイメージや顧客満足度を大きく左右します。この後のパートで、さらに詳しく解説していきます。

UXの定義・概念

「UXって結局何なのだろう」と疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。実は、日本産業規格(JIS)の「JIS Z 8521:2020」には、UXを「システム、製品、サービスの利用前、利用中及び利用後に生じるユーザーの知覚及び反応」と明確に定義する一文があります。ここで注目したいのは「感情や信念、知覚、行動など」も体験の一部に含まれるという点です。

ユーザーは同じサービスを利用しても、それぞれが異なる背景や期待、そして目的を持っています。したがって、単に操作性や見た目を整えるだけでは、本当の意味での「良いUX」に到達しません。たとえば、同じアプリを使っていても、楽しさを最重視する人と、効率を最重視する人では、満足度に差が出るからです。つまり、ユーザーの生活環境や心理状態に目を向けることで、本質的なUXの向上が可能になります。これこそがUXの定義・概念を学ぶ重要な理由なのです。

UXの種類

UXは「いつ」感じるのかによって、さらに深く区分できます。たとえば「予期的UX」では、ユーザーが利用前に抱く期待感や想像が大きく関わります。一方「一時的UX」は、利用中にリアルタイムで体験する感情を指し、「エピソード的UX」は、利用後の振り返りに焦点を当てます。最後の「累積的UX」は、複数回の利用を重ねる中で蓄積される長期的な印象です。

こうした区分を見ると、UXが一瞬では終わらないことがわかってきます。この先の項目では、UIやCXとの関係も合わせて確認しながら、さらに理解を深めていきましょう。

UXとUI・CXとの違い

「UXとUIの違いは何?」とよく聞かれますが、UI(ユーザーインターフェース)は、ユーザーが直接触れる“画面やボタンなどの操作部分”を指します。それに対してUXは、UIを使った結果としてユーザーが抱く“総合的な体験”と言えばイメージしやすいでしょう。つまりUIが“ユーザーの入り口”だとすれば、UXは“ユーザーが入った後の世界全体”と言えます。

また、似た概念として「CX(カスタマーエクスペリエンス)」がありますが、これは企業目線で顧客体験を評価するマーケティング概念です。具体的には「ブランド認知から購買、リピートに至るまでの接点全体」を見る際に活用できます。一方のUXは国際規格でも定義されている通り、ユーザー個人の内面にフォーカスする考え方が基本です。 

ただし、CXとUXはまったく別物というわけではありません。両者を合わせて考えると、顧客満足度やブランド力を高める総合施策に発展しやすくなるからです。CXを向上させたい企業は、まずユーザー個人の感情変化を捉えるUXから着手すると効果的でしょう。ここでもう少しCXを知りたい方は、ぜひ下記のコラムも参考にしてください。

UXが注目される背景

デジタル化の進展により、あらゆる製品やサービスがオンライン化が進み、ユーザー体験(UX)の重要性が高まっています。競争が激化する市場において、機能や性能だけでなく、使いやすさや満足度が差別化の重要な要素となっています。特にスマートフォンの普及により、直感的で快適な操作性がより一層求められるようになりました。また、高齢化社会の進展に伴い、誰もが簡単に使えるインターフェースの必要性も増しています。

さらに、デジタルネイティブ世代の台頭により、優れたUXへの期待値が年々上昇しています。ユーザーの期待に応えられない製品やサービスは、すぐに離脱や解約につながるリスクがあります。このような背景から、企業はUXデザインへの投資を増やし、ユーザー調査やプロトタイピングなど、体系的なアプローチでUXの改善に取り組んでいます。

UXによくある誤解

UXによくある誤解

UXの重要性が広まる一方で、その本質が正しく理解されていないケースが増えています。ここからは、よく見られる5つの誤解を取り上げ、その真意を探ってみましょう。

UXの数値評価に関する誤解

「UXは数値で簡単に評価できる」という誤解が最初のハードルです。よく知られた手法としてNPSやアンケートなど定量的手法もありますが、UXはあくまでユーザー個々の主観的体験を土台にしています。それを数値だけでまとめてしまうと、人間の感情面での評価を見落としがちになるリスクがあります。つまり、“数値は一つの参考指標”として捉え、本質的なUXは“ユーザーの心の動き”にこそあることを忘れてはいけません。

UXの範囲に関する誤解

「UXは利用後の使いやすさやデザインだけの話」という思い込みも要注意です。実は、商品やサービスの認知から利用終了後までのすべてのプロセスがUXを左右します。たとえば、あるサービスを“最初に知ったときの印象”や、実際に購入や契約に至り、利用した後も“継続して使い続けたくなる気持ち”もUXの一部です。そのため、デザインや操作性を整えるだけでは、本当の「ユーザーの満足」や「UX向上」にはつながらないのです。

UXのユーザー定義に関する誤解

「ユーザー」は「顧客」だけではないという事実も見逃せません。JIS規格の定義にある通り、商品やサービスに関わるあらゆる人々をユーザーとして認識する必要があります。例えば、保守やメンテナンス、サポートを担う人たちもユーザーに含まれます。家庭用の冷蔵庫なら、購入者だけでなく家族全員や故障した際の機械修理工もユーザーになり得るのです。この視点を欠くと、思わぬところでUXを損ねてしまうかもしれません。

UXとCXの関係性に関する誤解

「UXはCXの一部に過ぎない」と思われがちですが、UXとCXは、どちらかがどちらかの一部というような単純な包含関係ではありません。UXは商品やサービスの利用体験全体を指し、CXはブランドとの接点における顧客体験全体を表します。例えば、あるアプリケーションのUXは、そのアプリの使いやすさや機能性に焦点を当てますが、CXはそのブランドとの出会いから購入後のサポートまで、より広い範囲での体験を対象とします。両者は相互に影響し合い、補完し合う関係にあり、優れたUXがCXの向上につながり、良好なCXがUXの価値を高めるという相乗効果を生み出します。

UX推進体制に関する誤解

「UXデザインはデザイナーだけの領域」という先入観も根強いかもしれません。実は、商品やサービスに関わるすべての部門が、UXの創出に重要な役割を果たしています。例えば、開発チームは技術的な基盤の整備で、カスタマーサポートはユーザーの声を拾い、マーケティングチームは適切な期待値を設定します。営業部門も顧客との関係構築を通じてUXに貢献し、経営層は組織全体のUX戦略を方向付けます。優れたUXを実現するには、商品やサービスの提供に関わるすべての部門が密接に連携し、共通の目標に向かって協働する必要があります。それぞれの専門性を活かしながら、一貫した体験を提供することが重要です。

UXに起こりがちな課題

ここまでUXの基本と誤解を見てきましたが、実際に取り組もうとするとさまざまな課題が見えてきます。これから挙げる課題に心当たりがあるときは、早めの対策をおすすめします。

まず一つは、組織内での情報共有不足や連携不足です。たとえば、営業部門と開発部門、あるいはデザイナーとサポート担当との間で、ユーザー情報がうまく共有されていなければ「期待と実態のずれ」が生じがちになります。

次に、ユーザーの声を十分にリサーチせずにプロダクト開発を進めてしまうケースも要注意です。定量データに頼るだけで、ユーザーに対して定性的なインタビューや観察を怠ると「使う人の真のニーズ」を把握できません。

さらに、UXを考慮するフェーズが遅いという問題も多いでしょう。後工程になってから「ユーザーに合わない」と判明しても、根本から修正するには多大なコストと時間がかかります。加えて、UXは一度デザインしただけでは終わりではありません。ユーザーの嗜好や市場環境は常に変化するため、継続的な改善プロセスを構築しなければ、せっかくの優れたサービスも時代に合わなくなってしまうのです。

こうした課題を総合的に解決するには、ユーザー視点の徹底と、組織横断的な連携が欠かせません。次に紹介するポイントを押さえれば、こうした課題を一つひとつクリアする道筋が見えてくるはずです。

UX改善のためのポイント

UX改善のためのポイント

UXを本格的に向上させるためには、具体的なアクションと段階的な施策が重要です。ここでは、最初の一歩におすすめの3つのポイントを紹介します。どれも明日から取り組めることばかりなので、ぜひ参考にしてみてください。

ユーザーを正しく理解するためのリサーチ強化

いきなり開発や改善に着手するのではなく、まずはユーザーを深く理解するためのリサーチを徹底することが鍵を握ります。デプスインタビューやアンケート、ユーザビリティテストといった調査方法を組み合わせることで、ユーザーの背景や潜在的な不満、そして本当の願望が浮き彫りになるからです。

得られたデータを活かしてペルソナを作ったり、カスタマージャーニーマップで利用シーンを可視化したりすると、チーム全員の理解が深まりやすくなります。そして、この理解が何よりもUX向上の土台となるのです。

早期プロトタイピングとユーザーテストを反復する

ユーザーが本当に満足する機能やデザインを見極めるには、“使ってもらう”以外にありません。だからこそ、できるだけ早い段階でプロトタイプを作成し、実際のユーザーや社内のテスターを巻き込んでテストを繰り返すことが重要です。

小さな失敗を短いサイクルで発見し、迅速に修正する“アジャイル的アプローチ”は、最終的に大きなコスト削減にもつながります。完成間近に致命的な欠点を見つけるより、実装初期からユーザーの声を聞き続けて軌道修正するほうが、はるかにスムーズです。

チーム・組織全体でのユーザー中心思考の共有

UXは一つの部署が頑張るだけでは決して完成しません。例えば、UIを美しく整えても、サポート対応がユーザー目線でなければ総合的な体験が損なわれる可能性があります。だからこそ、トップマネジメントから現場まで、すべての担当者が“ユーザー中心思考”を持ち続ける組織文化が大切です。

この文化を確立するには、プロジェクト初期からユーザーの声を共有する仕組みを導入したり、定期的なミーティングでユーザー体験に関する報告を行うなど、全員がUXの視点を忘れない環境づくりが求められます。結果として、部門を超えた改善アイデアが出やすくなり、サービス全体が段階的に進化していくのです。

UXの実例

ここからは、UXを意識して大きく飛躍した3つの事例をご紹介します。具体的にどのような成果が得られるのか、実践のヒントとしてぜひ参考にしてみてください。

フリマアプリにおける一連の出品・購入体験の向上

フリマアプリでは、出品者が商品を登録するところから、購入者が受け取った後の評価まで、多くのステップがあります。たとえば、出品のハードルを下げるために写真撮影を初心者でも簡単にできるようなガイドを表示して投稿しやすくしたり、購入者とのやり取りをわかりやすくすることで不安を解消した事例があります。さらに、商品発送後も、追跡や到着時期をタイムリーに知らせる仕組みを整えると、出品者と購入者の相互コミュニケーションがスムーズになります。

これらの改善を繰り返していくうちに、利用者同士が安心して取引できるエコシステムが醸成され、結果的にはリピート率や売上向上につながったのです。

カフェチェーンにおける「店舗+アプリ」のトータル体験の最適化

ある有名カフェチェーンは、モバイルアプリを導入して顧客との接点を大きく変えました。事前注文と決済機能により、来店時の待ち時間を大幅に削減したのです。利用者は自分の予定に合わせて柔軟に商品を受け取れるようになり、日々の生活にシームレスに溶け込むサービスとなりました。

さらに店舗では、温かい接客や落ち着くインテリア、心地よい音楽でリラックスできる空間を演出しました。アプリの利便性と店舗での快適な体験を組み合わせることで、“ここで過ごす時間が楽しい”と感じられる価値を提供したわけです。これこそがUXがもたらす付加価値であり、結果として多くのリピーターを獲得しています。

ECサイトにおける購入前後を含む総合的なジャーニーの強化

ECサイトのユーザーが不安に感じるのは、実は購入後の配送ステータスやサポート対応であることが少なくありません。そこであるEC事業者は、購入確定後にリアルタイムで配送状況を追跡できる仕組みや、24時間対応のFAQチャットボットを導入しました。

さらに、返品手続きもわかりやすくし、万が一のトラブル時にもすぐ対処できる体制を整えたのです。このように、単に購入をゴールとせず、利用後の満足度を徹底的に高めたことで、結果的にリピート購入率や顧客ロイヤルティが向上しました。まさに“購入後の体験”に目を向けることが、他競合との大きな差を生み出したポイントだといえます。

まとめ

ここまで読んでみて、「UXの重要性」や「UXとUI・CXの違い」、そして「具体的な改善方法や事例」についてのイメージがクリアになったのではないでしょうか。UXは決して一朝一夕に仕上がるものではありませんが、正しくアプローチすれば必ず結果に結びつきます。小さな一歩でも、まずはユーザーを深く知ることから始めてみてください。その積み重ねが、競合に差をつける大きな原動力になるはずです。

UXを進めるならCommune(コミューン)

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コミューン株式会社では、コミュニティサクセスプラットフォーム「Commune(コミューン)」を提供し、企業とユーザーが継続的にコミュニケーションを図れる場を提供、サポートしています。ユーザー同士の交流や企業との情報共有を促すことで、ブランドコミュニティを形成し、UXを包括的に高める仕組みを作ることが可能です。コミュニティを通じて顧客の声を集め、タイムリーに改善を行うことで、製品やサービスに対する満足度を確実に向上させていきましょう。

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