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マーケティング
カスタマーマーケティングとは?重要性や効果・施策例について解説
2025/01/28

カスタマーマーケティングとは、既存顧客に対するマーケティング活動全般を指すものです。アップセルやクロスセルを通じて、LTV(顧客生涯価値)を最大化することが目的です。
近年、新規顧客の獲得難易度が上がり、サブスクリプションモデルが普及したことから注目度が高まっています。本記事では、カスタマーマーケティングとカスタマーサクセスの違いを解説します。
目次
カスタマーマーケティングとは?

カスタマーマーケティングとは、既存顧客との関係性を深め、顧客生涯価値(LTV)を最大化するための戦略的なアプローチです。単なる解約防止に留まらず、充実したサポートや的確なフォローアップを通じて、顧客満足度と信頼関係を向上させます。さらに、顧客ニーズを深く理解することで、アップセルやクロスセルの機会を適切に見出し、継続的な収益成長を実現します。新規顧客の獲得に比べてコストパフォーマンスが高く、多くの企業で重要な経営戦略として注目されています。
カスタマーサクセスとの関係性とは?
カスタマーサクセスとは、顧客が製品やサービスを通じて望む成果を達成できるよう支援し、購入や契約後にも継続的に価値を提供し、長期的な関係性を構築する取り組みです。単なるアフターサポートを超えて、顧客の目標達成や成功を積極的に支援することに重点を置いています。一方、カスタマーマーケティングは、既存顧客に対して行うマーケティング活動全般を指します。
この二つは密接に関連しており、相互に補完し合う関係にあります。カスタマーサクセスで得られた顧客の成功事例やノウハウは、カスタマーマーケティングの効果的なコンテンツとして活用できます。また、カスタマーマーケティングを通じて提供される情報やコンテンツは、顧客の成功を支援するカスタマーサクセスの取り組みを強化します。
両者を効果的に連携させることで、顧客満足度の向上、解約率の低下、顧客生涯価値(LTV)の最大化といった成果を実現できます。特にSaaSビジネスなど、サブスクリプションモデルを採用する企業にとって、この連携は重要な競争優位性となります。
カスタマーマーケティングがなぜ重要なのか

インターネットやSNSの普及により企業と顧客との接点は多様化し、既存顧客のエンゲージメント向上は企業の持続的な成長に不可欠となっています。顧客の期待値は年々高まり、継続的な価値提供が求められています。
顧客生涯価値(LTV)の最大化
既存顧客の維持・育成は、新規顧客の獲得と比較して5〜25倍もコストが低く(「1:5の法則」「5:25の法則」)、投資対効果の高い施策として知られています。カスタマーマーケティングを効果的に実施することで、顧客の製品・サービスの活用度を高め、継続的な利用を促進できます。さらに、信頼関係を構築することで、クロスセルやアップセルの機会が自然と生まれ、顧客一人あたりの売上を着実に増加させることが可能となります。
また、満足度の高い顧客は自然とブランドの支持者となり、口コミやレビューを通じて新規顧客の獲得にも貢献します。これにより、新規顧客を獲得するためのマーケティングコストを抑制しながら、持続的な成長を実現できます。このような好循環を生み出すことが、LTV最大化の本質といえます。
データドリブンな顧客理解の深化
カスタマーマーケティングでは、顧客との日々のやり取りを通じて、利用状況や行動履歴などの詳細なデータを継続的に収集・分析することができます。これらのデータを活用することで、顧客のニーズや課題、さらには潜在的な要望までも正確に把握することが可能となります。
この深い顧客理解に基づき、一人ひとりの状況やフェーズに合わせた細やかなコミュニケーションや最適なタイミングでの提案を実現することができます。さらに、これらの顧客インサイトは製品開発やサービス改善にも活用でき、企業全体の顧客を中心とした考え方を強化することにつながります。企業間の競争が激しさを増すデジタル時代において、このようなデータに基づく顧客理解の深化は、重要な競争力の源泉となっています。
カスタマーマーケティングの効果とは?

カスタマーマーケティングの強化は、顧客との関係性の強化につながります。既存顧客に商品やサービスの価値をより深く理解していただくことで、事業の持続的な成長を実現します。以下では、具体的に期待できる3つの主要な効果について説明します。
LTVの向上
顧客との信頼関係を築き、商品やサービスの価値を深く理解していただくことで、追加購入や上位プランへの移行が自然と生まれます。また、定期的な情報提供や活用方法を提案することで、継続利用を促進し、解約を防ぐことができます。さらに、顧客一人あたりの購入頻度も高めることで、顧客生涯価値(LTV)が向上し、安定的な収益基盤を構築できます。
商品やサービスの購入や契約後にも、顧客に合わせた適切で丁寧なフォローを続けて行うことで、顧客の不安や疑問を解消し、長期的に良好な関係性を持つことができます。地道な取り組みではありますが、これらの活動を続けることで、結果的に安定的な売上と収益性の向上につながり、企業の持続的な成長を支える重要な要素となります。
顧客満足度の向上とファンの獲得
カスタマーマーケティング活動は、商品やサービスの活用方法を効果的に伝え、顧客の目的達成を支援することで、顧客満足度の向上につながります。満足度の高い顧客は、SNSやレビューサイトなどで好意的な口コミを自然と発信する、アドボケートやブランドのアンバサダーとして機能します。このようなロイヤルカスタマーの存在は、新規顧客の獲得に影響する信頼性の向上につながり、マーケティングコストの削減にも貢献します。
特に、実際のユーザーからのフィードバックは、製品やサービスを検討している潜在顧客の購買判断に大きな影響を与えます。満足度の高い顧客を通じたアドボカシーマーケティングは、企業の成長を加速させる重要な推進力となっています。
商品開発やサービス改善への活用
顧客との継続的なコミュニケーションを通じて得られる意見や要望は、商品開発やサービス改善における貴重なインサイトとなります。顧客の日々の利用状況や抱えている課題を直接把握することで、市場調査だけでは見えてこない実践的な改善点を見出すことができます。コミュニケーションから得られたインサイトを基にすぐに改善していくサイクルを構築することで、より使いやすく価値の高い商品・サービスを提供することが可能となります。
このような改善サイクルの構築と実行を繰り返して行うことで、市場のニーズに合致した商品開発が実現でき、競合他社との差別化にもつながります。データに基づく継続的な改善サイクルは、市場での優位性確保に重要な役割を果たします。
カスタマーマーケティングの具体的な施策

顧客との継続的な関係構築を目指すカスタマーマーケティングには、様々な施策があります。それぞれの施策は顧客のニーズや利用段階に合わせて選択し、組み合わせることで高い効果を発揮します。以下では、4つの代表的な施策について説明します。
オンボーディング施策
新規顧客が商品やサービスを効果的に活用できるよう支援する導入期の取り組みです。トレーニングセミナーやオンライン学習コンテンツの提供、専任担当者による導入支援ミーティングなどの実施が一般的です。特に初期段階での手厚いサポートは、顧客の早期離脱を防ぎ、継続利用を促進する効果があります。よくある質問をまとめたFAQページの整備や、ステップ形式で使い方を学べるチュートリアル動画の提供も効果的です。さらに、顧客の利用状況を定期的にモニタリングし、つまずきが発生した際には迅速なサポートを提供することで、スムーズな導入と定着を実現できます。このような整備された段階的なアプローチにより、顧客は安心して商品やサービスを使いこなせるようになります。
利用促進施策
顧客の利用頻度や活用度を高めるための包括的な取り組みです。季節に合わせた特別キャンペーンの実施や、ポイント制度の導入、利用実績に応じた特典の提供などが挙げられます。また、既存顧客の成功事例やノウハウ、顧客の声を活かした活用事例集の配布は新規顧客に対して効果的な利用促進につながります。特に重要なのは、顧客の利用パターンやニーズを分析し、最適なタイミングで適切な提案を行うことです。例えば、利用頻度が低下している顧客には再活性化プログラムの提供や、高頻度での利用、またはロイヤルティの高い顧客向けには特別なイベントやキャンペーンの開催など、顧客セグメントに応じたアプローチを行うことで、商品やサービスの価値を最大限に引き出すことができます。
顧客の声を活かした改善施策
顧客からの意見や要望を積極的に収集し、商品やサービスの改善に活かす戦略的な取り組みです。定期的な満足度調査やアンケートの実施、SNSや口コミサイトでの声の収集、カスタマーサポートに寄せられる問い合わせ内容の分析などを通じて、多角的に顧客の声を集めます。収集した声は、新機能の開発や料金プランの見直し、サービス品質の向上など、具体的な改善活動に反映します。また、改善の実施後は必ずフィードバックを収集し、効果測定を行います。このような継続的な改善サイクルを確立することで、顧客のニーズに合った商品やサービスの進化を実現し、競争優位性を高めることができます。顧客の声に基づく改善活動は、顧客満足度の向上と長期的な関係構築に大きく貢献します。
コミュニティ施策
上記の全ての施策の効果を最大化できる場がコミュニティです。オンラインコミュニティの運営を中心に、定期的なオフラインイベントの開催や、新商品のモニター体験会なども実施します。ここでは、新規顧客のオンボーディングを先輩ユーザーが自然とサポートし、成功事例の共有による利用促進が生まれ、さらには製品やサービス改善につながるアイデアも創出されます。特に、顧客同士の活発な交流は、企業からの一方的な情報提供では得られない価値を生み出します。また、コミュニティ内で形成される強い信頼関係は、ブランドへの深い愛着を育み、長期的なロイヤルティ向上につながります。このように、コミュニティ活動は持続的な事業成長の基盤となり、他社との本質的な差別化を可能にする重要な施策といえます。
カスタマーマーケティングの成功事例
コミュニティを活用したカスタマーマーケティングで成果を上げる3社の事例をご紹介します。既存顧客との関係深化、ユーザー主導の価値共創、高単価商材における顧客接点の強化など、それぞれの特徴的な取り組みを知ることができます。
株式会社大丸松坂屋百貨店

百貨店の大丸東京店が展開するワイン愛好家向けコミュニティ「World Wine Now!」は、カスタマーマーケティングの好事例です。半年に1度の催事しているオフラインイベント「世界の酒フェス」だけでは限られていた顧客接点を、オンラインコミュニティを通じて継続的な関係構築へと発展させました。
特徴的なのは、新規顧客の獲得ではなく、既存顧客との関係深化に焦点を当てた点です。月1-2回のセミナー開催や商品紹介を通じて顧客の興味を広げ、その体験がコミュニティ内で共有されることで、実店舗やオフラインイベントへの来店や新たな商品購入につながっています。また、会員ランク制度の導入やプレゼント企画により、顧客の嗜好をより深く理解することにも成功しています。
オンラインとオフラインを効果的に連携させ、百貨店ならではの価値提供と顧客接点の強化を実現した事例といえます。
*株式会社大丸松坂屋百貨店のファンコミュニティを見にいく
株式会社SHARP

株式会社SHARPのホットクック(自動調理鍋)のカスタマーマーケティング事例は、ユーザーコミュニティを活用した顧客理解と価値提供の好例です。「ホットクック部」と呼ばれるこのコミュニティでは、初心者からベテランまで異なるニーズを持つユーザーが集い、レシピや使用方法を共有しています。
特筆すべきは、ユーザー主体の運営方針です。企業からの一方的な情報発信を抑えることで、自然なユーザー間交流の場を実現し、投稿の7割がレシピ共有、2割が日常の投稿、1割が質問という健全な構成を維持しています。その結果、製品の新たな使用方法の発見や、購入検討者への具体的な活用イメージの提供、さらにはサポートコストの削減にもつながっています。
コミュニティをオープン化することで、潜在顧客との接点も創出し、実際の購買にも貢献する統合的なマーケティング施策として機能している点が注目されます。
*株式会社SHARPのファンコミュニティを見にいく
株式会社LIXIL

株式会社LIXILの「猫壁」は、リフォーム市場開拓の一環として生まれた革新的な商品でありながら、優れたカスタマーマーケティングの事例として注目されています。高単価商材であることを逆手に取り、オンラインコミュニティ「猫壁ひろば」を立ち上げ、顧客との深い関係構築に成功しました。
特筆すべきは、SNSでは実現できなかった濃密な顧客接点を、Communeを活用したコミュニティ運営で確立した点です。製品開発にユーザーの声を直接反映させる仕組みを構築し、顧客満足度とブランドロイヤルティを同時に向上させました。
データ分析機能を活用した効果測定や、担当者からの的確な運営サポートにより、少人数でも質の高いコミュニティマネジメントを実現し、リフォーム市場における新たなマーケティングモデルを確立しています。
まとめ
カスタマーマーケティングは、既存顧客との関係性を深め、LTV(顧客生涯価値)を最大化する重要な戦略です。中でもオンラインコミュニティの活用は、顧客満足度とブランドロイヤルティの向上、さらには商品開発への顧客インサイト活用を同時に実現できる効果的なアプローチです。本文中でも紹介した事例が示すように、オンラインコミュニティを通じた継続的な顧客接点の創出と、データに基づく効果測定の組み合わせが、持続的な事業成長の原動力となっています。
カスタマーマーケティングをやるならCommune(コミューン)
カスタマーマーケティングの成功には、コミュニティを通じた継続的な顧客接点の創出が不可欠です。
コミュニティサクセスプラットフォームCommune(コミューン)は、ノーコードで簡単に自社だけのオンラインコミュニティを構築することができます。さらに、コミュニティ運営のノウハウを持つ担当者が、オンラインコミュニティの立ち上げから運営、効果測定までをワンストップで伴走しながらサポートします。高度な分析機能と専門的な運営支援により、少人数でも質の高いコミュニティマーケティングを展開でき、データドリブンな顧客理解と効果的な施策実行を実現します。
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